「中間管理職は大変です」
作者:本スレ 1-510様
207 名前:1-510 投稿日: 2013/04/21(日) 19:39:24
1-510です、現代ファンタジークロス設定で早速小話妄想してみました
皆様のキャラさんと絡む為の前提作り?的な自キャラ話ですが、ギャグというかアホな話です
※
1-510キャラで現代ファンタジークロス設定(
設定スレ 2-047)
※登場キャラはグレン、イーグル、ザック、ヴォルグ、シエン、カイ、小ディオス、小ダフネ
※エロ無し、アホでgdgd
シリアスな世界観ぶち壊しの危険があるのでロダの方に上げさせてもらいますね
シリアスもまたその内書けたら良いなぁ…
207 名前:1-510 投稿日: 2013/04/21(日) 19:39:24
中間管理職は大変です
「……で、つい人様の菜園を食い荒らしてしまった、と」
事の始終を聞いてグレンは、はぁーーーーーと長く大きな溜息を吐いた。
訪日して早々に問題を起こしてくれた当事者、ヴォルグは心なしか申し訳なさそうな顔をしているが、
窓際近くのイスに座っているこちらに対して、出入口のドアの近くで正座している。
つまりは同室内において取れる限りの距離を取っている。
俺はバイ菌か何かか、と言いたい気もするが、近くで鳥肌を立てられるのも何であるし、今更なので放置する。
「グレンさん、ヴォルグは悪くないっス」
一方で、近くで正座をしているザックが口を開いた。
正座しろと命じた覚えはないのだが、まぁそれはどうでもいい。
「どういう事かな、ザック君」
「美味そうな野菜を、これ見よがしに育ててる奴らが悪いんスよ」
「………分かった、とりあえず君は黙っててくれるか」
頭が痛い。
自分の隣で立っているイーグルがゲラゲラ笑っているのがまた癪に障る。
「イーグル、暇なら牧医院の所在地と、菜園の被害状況を確かめてこい」
「あぁ?嫌だね。テメーでやれ」
「行けばご褒美もあるぞ」
「…………ちょっくら散歩してくらぁ」
あからさまに自然体を装った不自然な動きで窓を空けると、彼はそこから飛び降りた。
バサっと羽音だけが聞こえる。
戻ってきたら、もっと目立たない場所で変身しろと注意しよう。褒美も無しだ。
「…とにかく。牧医院へは今度改めて謝罪に行こう。
それからヴォルグ君は、今度から食料を携帯して欠かさないように」
「………」
ぐぅ、と腹の音が返事した。
ザックがおもむろに自分の懐やポケットを探っているが、何も出てこないらしく焦った様子を見せている。
何かもう本当に…色んな意味でこの2人は仕方ない。
机の中から自分用にストックしておいたカロリーメイトフルーツ味をザックに投げてやると、
ザックは一応は頭を下げて謝意を示し、ヴォルグに甲斐甲斐しく与えている。
小包装から取り出すくらい自分でやらせたらどうかと呆れながら眺めていると、
ザックがこちらをチラリと見た。少し非難がましい視線だ。
そして何を言うかと思えば。
「ヴォルグはチョコレート味の方が好きなんで、次はそれでお願いしまス」
……知るか。
色々と頭が痛い事ばかりだが、とりあえず待機を命じて退室させた。
時とは有限にして留まる事を知らないものであるからして。
次は、シエンとカイとの面談だ。
「やっほーグレン!来たよ!元気!?」
「元気だよ。まぁ、お前ほどじゃないが」
「お疲れ様です、グレンさん」
「ああ、ご苦労様。カイ君にはシエンの事で面倒掛けてるな。悪いが今後も頼む」
「はい、ご期待に沿えるよう尽力致します」
カイはいいな。貴重だ。癒される…
…じゃない、仕事だ仕事。
「あー、君たちの担当業務についてだが」
「はい!はい!先生!」
シエンが元気良く挙手している。
学校に通った事が無いせいか、ドラマで見るような学生の真似事が好きなのだ。
仕方なく付き合う事にしているが、悪い気はしない。
この子がいつまでも無邪気でいてくれるのは、嬉しい。
「はい、シエン君」
「今回の監視対象に何かメッチャ綺麗で可愛い人いるんですが!」
「…………」
前言撤回。
最近とみに邪気まみれになって来ていて、悲しい。
「あと、この国やたら可愛い子が多いんですが!
しかも強そうなの!なぁなぁ、ウチにスカウトしようよ!」
「…………カイ君」
「はい、問題行動は起こさせないよう注意しますので…」
「本当に頼んだぞ。いざとなったら死なない程度に通電してしまって良いから」
「分かりました」
「酷い!オレ別にそーいうプレイは好きじゃないよ!
そりゃ、カイがどうしてもって言うならさ、我慢して付き合うけど…」
……プレイて。
カイ、今すぐ通電してやっても構わないぞ……と思ったのだが。
「わ、私だって別に好きじゃない!
だがグレンさんの命令なら、私はどんなプ、プレイだって…っ」
ブルータス、お前もか。
「え!?か、カイ…まさか、グレンの事…!?」
「違う!私はただ…!」
「……とりあえず、不穏な会話に俺を巻き込むのは止めてくれるか?」
「ちぇっ、グレンは固いなー。楽しいのに、昼ドラごっこ」
昼ドラごっこだったのか。
その割りには、カイは顔を赤くしているが。
…苦労を掛けているのは分かっていたものの、この方面は想定外だった。
シエンと組ませるのは今後考える必要があるかもしれない。
かといって、シエンの面倒を見れる者はそうそう見つからないので、しばらくは現状維持になるが。
「さて…いい加減、本題に入るぞ。君たちの担当業務について。
暁の翼との交渉が上手く行ったそうだ」
「!…では……」
「ああ、暁の翼から正式に依頼を受ける事になる。
勿論、対象との接触も許可してもらった」
対象との接触の許可は、今回の業務を引き受けるに当たって必須としていた事だ。
監視対象が極めて高度な戦闘能力及び探索能力を保有している場合、
秘密裏に監視をすれば、監視を察知されて危害を加えられる危険性が高い。
対象との接触は依頼者である暁の翼としては本意でなかったかもしれないが、
こちらのリスクが大き過ぎるという事で、交渉させていたのだ。
接触の許可が下りなければ今回の業務からは手を引くつもりだったが、許可が降りれば問題無い。
監視ついでに暁の翼最新モデル個体の性能情報を頂いて、一挙両得と行きたい所だ。
「では、事前に対象へ面通しを行っておきますか?」
「ああ。彼らの指揮官…差し当たりはヘンリー氏になるのかね。
暁の翼経由で彼へアポを取って、挨拶に行っておいてくれるか?」
「勿論です。あくまでも穏便に、ですね」
「そう。あくまでも穏便に、な」
カイは話が早くて本当に助かる。
今度の査定では配慮してあげたいところだ。
それに引きかえシエンは…
「なになに?もしかしてあの人に会えるの!?あの超可愛い人!」
…俺はシエンをちょっと甘やかし過ぎたのかもしれない。
こんな子に育てた覚えは無いのだが。
カイも、困ったような顔でこちらとシエンとを見比べている。
「……シエンは、いかが致しましょうか」
「……待機だな」
「ですね」
「えー!!!何で!?ずるい!オレも会いたいのに!」
「お前が行くと穏便に行くものも行かなくなる。待機だ」
「で、でもさ!カイ一人だと危なくない!?ほら、今回の対象って何かヤバそうじゃん!
テロリストだよ!?オレも行く!カイがケガしちゃったら嫌だし!」
「…私のことを心配してくれるのか?」
「そりゃ心配だよ!当たり前だろ!?」
「シエン…!」
…また昼ドラごっこが始まりそうだ。
とはいえ、シエンの言うことに一理が無いわけでもなし。
「仕方ない。カイには俺とイーグルが同行する。だからシエン、お前は待機」
「えええええええ!!!そんな、グレン酷いよ!
オレ、オレ…あんたのこと信じてたのに…っ!」
「……俺は昼ドラごっこには付き合わないからな」
「ちぇー!つまんないの!グレンのケチ!もういいよ、了解しましたー。
カイ、気を付けてね?無事に帰ってこないと、承知しないんだから…!」
「ああ…必ず、無事に帰るよ」
「じゃあ、約束して?無事に帰ってきたら、その時はオレと…」
「シエン……」
それは昼ドラというより死亡フラグ……何かもうツッコミも面倒臭い。
というか、ごっこ遊びで済ませておいてもらいたいんだが、カイは大丈夫なんだろうか。
シエンはその内に飽きるだろうが、カイはなまじ生真面目な分、心配だ。
取り敢えず退室させて待機させておくが、その間に盛り上がられても困るので、
イーグルが戻り次第カイを連れて動こう。
それから牧医院に謝罪しに行って…日本式に、菓子折りも用意しないと。
メサイアの所へも何れかのタイミングで行く必要が…
念のためアルシエルが同席している時を見計らって…
ああ、本社への報告もしなければ…日本支社の状況も確認しておきたいし…
…考えを巡らせていると、ドアが開く音がした。
見れば、これまた厄介なのが2人。
「グレン、貴様、暇だろう」
「お暇でしょう?」
小ディオス。
と、小ダフネ。
彼らを無碍に扱うと爺のダフネが嬉々として小言やら嫌味やらを言ってくるので、大変面倒臭い。
「お陰様で、全く暇ではありませんが。どうされましたか?」
「ダフネがネズミーランドへ行きたいと申しておる。手配せよ」
「手配して下さいまし」
…これまた面倒臭い事を好き勝手言い出してくださりやがって。
「………せっかくの日本です。御自分で手配されてみるのも面白味があるかと存じますが」
「なぁダフネ、どう思う?」
「そんな、ディオス様が自ら手配なさるなんて、とんでもない話です!
グレンは面倒臭がっているだけだとダフネは思います!」
「ダフネはこう申しておるが?」
「いえいえ、私はお二人の為を思えばこそ…
というか、ダフネ様が手配なさるのはどうですかね」
「私のダフネに、そのようなくだらぬ事をさせる気か?」
「ディオス様の私に、させる気なのですか?」
「……いっそ北米本社に戻られて、ネズミーワールドに行かれては」
「また我らを厄介払いしようとしおって、その手には乗らぬぞ。
いいから貴様は黙ってネズミーランドの手配をすれば良いのだ。分かったな?グレン」
「分かりましたね?グレン」
「……はい」
「わぁい!ありがとうございますディオス様!ダフネは嬉しゅうございます!」
「フッ…この程度、礼には及ばんぞダフネ」
「……………」
……何かもう疲れた。頭痛い。
ストレス発散したい…イーグル、早く帰ってこい。
【END】
最終更新:2013年04月23日 23:28