268 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/21(木) 21:03:37
TEXチームはあくまでも特殊な念動兵器を扱うための試験部隊
それはどれだけの戦果を上げたとしても変わることは無く、試験という名目のもと前線を回ることになる……のが通常の運行である。
TEX-15
ブリューナク、TEX-17
クラウソラスの強奪は連邦軍側としても打撃に他ならない。
元々軍内部でも風当たりが強かった部隊だ、この一件によって追求は免れなかった。
だが秘密裏に行われたある種の取引によってお咎め無しとなり、無理やり黙らせることとなる。
この要人警護も取引の内の1つ。
でなければオーストラリアからイベリア半島などという地球半周に近い航海をすることは無かっただろう。
しかしながら、TEXチームの知名度は隠密行動には向かない領域だと言わざるを得ない。
しかもお荷物としか言えない連邦の政治家という餌まで連れている。
詳しく探りを入れれば一挙手一投足を知ることは不可能ではなかったのだ
ジュワユーズにとって、ここでTEXを叩く事が出来れば邪魔な連邦の要人ごと排除できる機会といえた
だが、このルートを知っていたのはジュワユーズだけではない――――
271 : ◆RwKPe43EuA:2011/07/21(木) 23:03:11
243
えっ、といった表情をすぐさま取り消して微笑むつばめ。
「そうなんだ。それなら私と同い年だね。よろしく、紫亜ちゃん」
何気に、アクイラプラネタには同年代の同性は少なかった。
気兼ねなく話せそうな友達ができて、つばめは嬉しそうだ。
248
「は、はい。ケイトさんもイータちゃんも、これからよろしくお願いします」
ケイトのやや強引な握手にも、快く応じるつばめ。
上手くやっていけそうな妹分の姿を、静香も満面の笑みで見守っていた。
249
「でしたら、二つほど質問が」
エルトロスの言葉に、静香がついと歩み出る。
「先ほどお話に上がりましたお店を、いずれ私とつばめでお手伝いさせていただくことはできますでしょうか?」
もちろん、軍の保護下にある以上、今すぐ自由に暮らしを立てられる身ではないだろう。
しかし、もとの世界に戻る手だてがない以上、仮に解放された場合、生活の依る辺がないことは大きな不安だった。
「それと…つかぬことをお伺いしますが、エルトロス様にはお姉様か、妹様はいらっしゃいますか?」
272 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/21(木) 23:07:38
レイカ「ユーリ、ユーリはどこですのー?」
救援活動から戻ってきた
カラヴィンカのパイロットであるピンクドレスのお嬢様が、走り回っていた。
あの時、出撃していなかった彼を気にしているようだ。
273 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/21(木) 23:25:16
272
「どうした、何か用?」
軽い欠伸を口の中に納め、窮屈そうに制服の襟を左右に動かしている
無造作に靡いていた髪型はキッチリと整えられ、制服もいつも以上に隙間が少ない。
嫌味なほど整えられたその姿から、先ほどまで誰と会っていたのかが容易に想像できた。
ここまで準備をしなければいけない相手なんて今この船には1人しか居ない、恐らくは護衛中の連邦政府要人とやらだろう
「レイカから俺に用があるなんて珍しいじゃないか、トレーニングの相手……はつい先日したばかりだったな」
274 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/21(木) 23:32:20
273
レイカ「・・・////」
しっかりと身なりを整えたユーリを見て、レイカは立ち竦んでしまった。
レイカ「あらまぁ・・・いつもと違って新鮮ですわね、ユーリ。・・・・・・・・じゃなくて、アナタの機体は大丈夫ですの?前回は待機になってしまいましたし、そ・・・その気になってしまって。」
未だに、自分の力が至らないから仲間がその分だけ犠牲を被っているのではないかと思ってるようだ。
271
レイカ「見慣れない顔ですわね・・・。護衛の要人の娘さんかしら?」
275 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/22(金) 00:08:13
274
目の前にいる少女の視線をいつもより強く感じる
ユーリ自身、ここまでキッチリと揃えられた服装は余り似合ってないと思っていた。
故にその視線から軽く顔を背け、照れを見せないようにしたのだ
「いや機体の調子が何故か悪くてな、紙面上だと異常は見当たらなかったんだが……」
軽く咳払いすると質問に対しての答えを返す。
肩を小さく竦めて首を軽く横に倒すおどけたような仕草を見せた
だが、その内心はこの件について思慮深く考察していた
何故前回起動しなかったのか、その理由は一切思いつかなかったからだ。
あの場に居た何かに反応した―――その可能性は否定できないが、アリス・ウィンザードは確かTEX-11との戦闘時に居た筈だ。
となれば反応したという可能性は少ない。
ならばなんらかの機能を機体データ内部で再編成したと見るべきか……
―――何を?
その疑問は、嫌に彼の頭に引っかかっていた
「だから別にダメージを受けていたりとかそういうわけじゃないさ、機嫌が悪かったんだろうぜ」
276 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/22(金) 00:12:17
271
物応じせず二つの質問を咄嗟に行う静香に、紫亜やイータやケイトと早速交友関係を築いてるつばめ。
そんな二人の様子にエルトロスはにんまりとした笑みを浮かべる。
適応力の強い子は嫌いじゃ無い……そんな風に考えつつ、まずは静香の一つ目の質問に答える。
「まず最初の質問だけど、むしろこっちの方からお願いしたたいよ。店長も常々人手が足りないってぼやいてたし」
姉さんのかつての仲間だし、こうして話している分には人格の方も問題無さそうだし。
それに相手が美人二人組なんだからコウスケさん(38歳・独身)も喜んで迎え入れるでしょう、多分。
店長に対して少々失礼な事を考えながら、むしろ望む所だと言わんばかりに返答するエルトロス。
そして次の質問に答える時、エルトロスの笑みは更に深まる。
「で、次の質問……ええ、居るわよ。銀髪碧眼の姉が一人、ね?」
──貴方達の推測、多分当たってるわよ?
言外にそんな意思を込めて、そう返答するエルトロスであった。
277 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/22(金) 00:21:50
275
レイカ「そぅ・・・。良かったら、ウチのエドガーに治させますわよ?」
彼女の執事は職人級の整備技術も持っている。カラヴィンカの補修も彼が班長となってハミルトン家のスタッフを動かしている。
レイカ「貴方の・・・メガリオンでしたかしら?アレの中に、何か・・・おぞましい物でもありますの!?」
外側に異常がないのであれば、自然的に内側にトラブルがあるとしか思えない。
レイカ「・・・・・・機体のご機嫌取りだなんて、ユーリも大変ですわね。」
278 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/22(金) 00:25:41
276
「ちょっと待って、あなたたち知り合いなの?」
イータはすぐにその異常性に気付いた
簡単なことだ。つばめと静香は、トウジロウの言葉を信じるのなら異世界の住人
対する彼女は、REコンツェルンからの出向・・・ということになっている
REコンツェルンはこの世界の企業だ。少なくとも──異世界との接点など一切ない
「あなた、何者?」
信じられないほどに高い念動力に、知っているはずのない情報を知っている
怪しむには十分すぎる条件だった
対する、ケイトは一触即発のような雰囲気になっていることに驚き、必死に場をなだめようとしていた
279 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/22(金) 00:40:33
277
(……おぞましいもの、か)
「AIMの高速演算処理と軌道予測に使用する特殊な情報媒体が積み込まれているんだ」
「と言っても情報の選定と淘汰は俺の頭を使う、T-LINKを用いてそれと脳波コネクトを行うんだが……」
噛むことも舌の動きを止めることも無く、流暢に説明を口にする。
ユーリが前に語っていた頭痛や悪夢―――その症状はこの脳への直接コネクトに関係しているのかもしれない。
「もしかしたら不必要な軌道予測の保存データを一度デリートしたのかもしれない」
「一応機体の内部パラメータの処理も行っているのもあって、再構成中で動作を拒否していたのかもな」
心配しなくてもいいと軽く手を振った。
何分修理に関してはプロジェクトから整備員を1人引っこ抜いてきている (いつものあの小太りの整備班)
専属でもどうにも出来ない以上、手の施しようもない
「まぁあれでも俺のパートナーだ、なぁに大丈夫さ……きっとな」
ぱちりと軽くウィンクした―――他意があるわけでもなく、おどけて見せただけだが
280 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/22(金) 00:51:09
279
エドガー「・・・・・・成る程、AIMの媒介にT-LINKが組み込まれているからこそ・・・TEX(ここ)に呼ばれたのでいらっしゃいますか、ユーリ曹長。」
作業用エプロンを身につけ、ゴーグルを頭に載せたエドガーがこちらにやってきた。
エドガー「お嬢様、カラヴィンカの作業は滞りなく終了致しました。私は一度、着替えて参りますので・・・」
レイカ「ご苦労さま。」
軽く会釈をして、初老の男性はその場から去ってゆく。
レイカ「・・・・・・・まぁ、パートナーを上手にエスコート出来なくては一人前のジェントルマンにはなれませんわよ、ユーリ。」
クスっと微笑み、ユーリを多少なりとも明るくさせようと思ったレイカ。
281 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/22(金) 01:10:13
280
「T-LINK無しの場合、培養液漬けになって頭にプラグを挿すことになる」
にんまりと口元を吊り上げながらさらりと口にしたその言葉は、一瞬恐怖を誘うためだけの冗談に聞こえた。
だが冷静に考えればその状況はバルトール事件の犠牲になったパイロットそのものだ
AIMはODEをマイルドに作り直したもの、いくら再構築したといっても大本は変わらない。
T-LINKによって肉体的な接続は不必要になったが、それが無ければ――――
「これでもエスコートは得意……だと思ってたんだがな、何故か」
整備――そう整備か……
この後の予定は確か無い、メガリオンの様子を見に行ってもいいかもしれない
そんなことをふと思った
282 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/22(金) 01:19:16
278
「言って置くけど、私と静香達は本当に今日が初対面よ?」
イータの様子にさも心外とばかりに首を竦めるエルトロス。
当然これは事実である。面識があるのはあくまで姉であり、自分では無い。
「で、何者かと聞かれれば……今まで見せてきた姿に偽りが無いのは確かよ」
R&Eコンツェルンから出向してきた、銀髪碧眼の姉を持つ少女。
藤村紫亜の先輩で、日ノ出食堂に勤めていたバイト少女。
そして、猫を引き連れ機動兵器を操り戦場を駆け抜ける、強い念動力を持つ少女。
ちなみに姉は異世界組と面識有り。
……最後の段落で怪しさが急加速なのは致し方ない事か。
「そうね……今だから言うけれど、私と姉はトウジ達と同じ所から来た可能性が高いわ」
──ある意味では『迷い子』で『拾われ子』なのよ、私達。
かつての記憶が揺り動かされたのか、最後の方は小さく、小さく呟く。
その表情に、自嘲の笑みを浮かべて。
283 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/22(金) 01:24:15
281
レイカ「・・・・・・・・・・・・そんなこと、わたくしがさせませんわ。」
彼の冗談を真に受けたのか、怖くなったレイカはユーリに抱きついた。その肩は震え、顔色も少し青い。
レイカ「貴方が変な事を言うから、変に疲れた気がしましたわ。わたくし、一度・・・飲み物を取りにいきますわ。ユーリは?」
284 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/22(金) 01:33:59
283
「……そうか、ありがと」
にんまりとつりあがっていた口元が緩やかな傾斜になり
それは微笑みというに相応しい形となった
「そうだな、俺も……紅茶を頂きにでもいこっかな」
珈琲といいかけたところで、素早く言葉を変えた。
レイカはあまりコーヒーは好みじゃなかったはずだ、そしてジュースを飲む……といったイメージも無い
そんなレイカと共に飲む水分となれば紅茶になるだろう
ぐっと体を引き伸ばし、コキコキと軽く首を動かす
早く行こうと立てた人差し指をちょいちょいと動かした。
285 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/22(金) 01:53:46
282
「そう、あなたも異世界の」
エルトロスの様子からして、嘘をついているということは考えられなかった。
彼女はトウジ達が転移するずっと昔から転移していたということだろう。
最後に小さく聞こえた拾われ猫という言葉から判断するに、転移直後にR&Eコンツェルンの人間に拾われ、時がたった
これで全ての説明がつくのだが……。
「でも、凄い偶然ですよねー。
平行世界っていっぱいあるのに、こんなに知り合いが一同に集まるなんて!運命的ですよ」
ケイトのその言葉は核心をついているものであった
そう、平行世界などそれこそ可能性の数だけあるものだ。それが一同に会するなど偶然の一言で片づけられるだろうか
286 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/22(金) 07:35:01
271
「ヨロシクね、つばめちゃん。つばめちゃんの機体って修理装置持ちなんだよね?……えへへ。私、まだまだいっぱい被弾しちゃうかもしれないから、その時は頼むよ。優しく、優しく治してね?」
つばめは、同じく同年齢であるレイカより親しみやすかった。なんというか平凡な庶民と世界有数の名門家の令嬢の格差から年齢を知った後でもレイカにはいまだに敬語を使っていたりする。
282
「難しい事は無しにしよう。なんにしたってエルちゃんは…エルちゃん。何も変わらず私の可愛い先輩だよっ。だからもうそーんな悲しい顔しなくてもいいんだヨ?」
近付いていき、イータとエルトロスの間に流れている微妙に居づらくなる様な険悪な空気を中和しようと動く。
紫亜はふと見せたエルトロスの自嘲気味な顔を見逃さなかった。いつも強気で偉そうな先輩の、この珍しい態度に思わず口を挟まずにはいられなくなる。
「それにさ……え~とね。迷い猫ちゃんを泊めてあげるくらいの器量は持ち合わせているつもりだから、いつでもおいで」
289 : ◆rJzb6vv1uA:2011/07/22(金) 12:37:58
222
「・・・・・・そんなにか!」
エルトロスの反応はいつもと違うくらいもの、さすがのトウジもことの重大さに気付く
「でも、閑古鳥が鳴いてるよりかはましだな。
・・・・・・いや、それよりも店はリュコスに任せっきりでいいのか?
まさかTーLink配膳機とかあるのか!」
素っ頓狂なこと言うのは彼の悪い癖
あと、リュコスがいま念動力を使えないことをすっかり忘れている
223
「馬鹿野郎、人は失敗して成長するもんだぜ
生きてる限り勝ちだ!
多少ぶっこわれたぐらい、いちいち気にしなくていいんだよ!」
整備員が聞いていたら、後ろから殴りかかりそうな発言
224
「心配かけて悪い!
暗~い過去の話でちょっとあってな。もう大丈夫だ」
ケイトの笑顔に自分も笑顔で返す
「でも、男はちょっとぐらい暗い過去があったほうがカッコイイだろ?」
トウジは前より明るくなったかもしれない
あと越えるべき壁は・・・・・・
225
「おうおう、そうだぜ。イータ。そんな隅っこにいても楽しくなんかないぜ!」
紫亜と一緒に手招きしている
226
「そうそう、素直が1番だぜ!
お前はすげぇんだから、自信持っていけよ!」
トウジらしい精神論一辺倒の励ましかただ
イータが距離を詰めたことを自分のことのように喜んでいる
229
「ほかのやつらか・・・・・・リコあたりだったら、呼んでなくても出てきそうだけどな」
ここに来ていないメンバーの顔が浮かぶ
「まだ出てこないってことは来てねぇんだよ
カイルの奴、愛しのセレネちゃんが来てるってぇのに
なにやってやがる!」
282
「なんだ、もうばらしちまうのか?」
トウジは残念といった感じでエルトロスの言葉に続ける
「あとこいつとはこっちでであったとだけは言っておく」
285
「どう考えても背後に誰かいるけどな」
自分がこちらに来た時のことを思い出す
自然に次元の壁を越えることができるとは流石に思わない
297 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/22(金) 21:09:31
286
「・・・そうだね、紫亜の言うとおりだと思う」
彼女が何者であろうと、エルトロスはエルトロス、そこは変わらないはずだ。
ピリピリした雰囲気が一転、イータは柔和な表情を浮かべる。
「ちっちゃいのに、妙に偉そうですからねー。でも、それが自然と様になってて、凄いなーって」
ケイトは自分の中にあるエルトロス像を、うんうんと頷きながら語る。
こういう時何気に毒を含んだことを言うのは彼女の悪い癖だ、特に悪気が全くないところが……
289
「え〝っ、偶然じゃないんですか!?」
「それ当り前・・・。でも、誰が、何の目的で、どうやって」
ケイトが本気で驚きの表情を浮かべるのに対し、イータは軽くため息をついた。
こんなことは自然に怒る現象ではない。何かしら意図がこもった人為的な現象だ
ただ、今の連邦では、DCでは、エアロゲイターでさえも次元を飛び越える技術などは所持していない
つまり、犯人の検討など一切つかないということだ。
そして、この次元転移の目的……これが分からない今、思い通りに動かされている可能性すらも否定できない──
298 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/22(金) 21:53:28
285,297
「ええ、何の因果か知らないけれどね」
流石に現状この程度なら話しても問題無いだろう、エルトロスはそう考え改めて肯定の意を表す。
なにせ、異世界人がこうまで大挙して訪れていているのだから。
ただ、それらの事を踏まえても、認めて貰えたと言う事はやはり嬉しい訳で。
「何にせよ、信じて貰えて良かったわ……ありがとね」
表情を穏やかな笑みに変えて、礼を言うエルトロスだった。
286
──ああ、やっぱり紫亜は紫亜だ。ちょっとお馬鹿で変人で、それでも優しくて場を和ませる。
思わず満面の喜びが溢れそうになるも、意地と気合でそれを引っ込め紫亜の顔をはしっと両手で挟む。
「一応礼は言って置くわよ。でもね……誰が猫よ、誰が」
浮かべる笑顔は、何処か肉食獣を思わせる凄みを帯びていた。
そして隣の黒猫メランは素直じゃ無いなと言いたげに欠伸を一つした。
289
「まあ、そりゃね」
言われるまでも無く、繁盛しているのは良い事だ。
従業員の殺人的忙しさを考慮に含めてなおそれは正しい。
正しいが……割り切れるかと言えば微妙な所だ。
「店の方は心配ないわ。一応頼りになる助っ人は呼んでるから──」
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「……へきしっ!」
「ちょ、大丈夫? 風邪でも引いちゃった?」
「……いや、大方誰かが私の噂でもしているのだろう」
「なら良いけど……無理しちゃダメだよ? これから本気で忙しくなるんだから」
「大丈夫だ、問題無い。何せお前の剣たる私が手伝うのだ、大船に乗ったつもりで居てくれリュコス!」
「(……何だか、ちょっと不安になってきたかも)……ほんと、無理だけはしないでね、イリス」
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
──頼りになる、筈よね?
何か、急に不安になってくるエルトロスだった
──しかしこれは、そろそろ訂正すべきね……私達の認識の誤りについて。
そう、ここは過去世界では無く……平行世界。極めて近く、限りなく遠い場所。
まあ時間を越えた事自体は決して間違いでは無さそうなのだが。
そして、自分達以外のあちらの世界の住人の、あまりにも短期間での連続転移。
これもまた問題だろう……トウジの言うように何者かの作為を確信させるに十分な証拠だ。
299 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/23(土) 12:11:45
289
「よぉし……!失敗をバネに、次は無傷で生還するぞー!また空いてる時に射撃戦闘のコツとかレクチャーしてくださいよ、トウジさん」
もともと赤色の目がメラメラと炎の様に燃えている。
紫亜は意外にもトウジロウの熱いテンションと波長が合うのだ。
297
「…ケイトお姉さん、きき、危険ですよ!そ、そんな、ち、ちっちゃいかわいいちんまいとか言ったら……あ、あれはちっさい怪獣なんです」
―折檻されちゃいます―
日常的な被害者からの実体験に基づいた警告である。
しかしながら、ドS幼女に折檻されてしまうケイトお姉さんのあられも無い姿を見てみたいという下心も有った。
298
と、油断していた所にいきなりエルトロスに両頬をガシッとホールドされる。
たまに理不尽なタイミングでやってくるエルトロスの破天荒な攻撃。
「ひやぁぁあぁぁあ!?何故だ!?何故虐める!?何故そっとしておけない!?あんまり触るとホッペが伸び過ぎてブルンブルンになったらもう、可愛いお嫁さんを貰えないかもしれないんだぞ~!?……エルちゃん先輩が責任を取ってくれると言うのか!?エルちゃんがー!!」
頬を擦りながら、半ばキレ芸の様に訳の解らない事を吠えている。
当然、怒ってはいない。むしろおいしかったりするこのポジション。
「はぁ……人に感謝する時、頬をちねるのがエルちゃんの流儀っすか?……あ、ひょっとしてこのツンツンした態度って今、流行りのツンドラとかいう?」
また善からぬ事を想像しはじめた。
300 : ◆RwKPe43EuA:2011/07/23(土) 13:22:43
276,278,282,285,286,289
エルトロスの返答に、やはり、といった表情を浮かべる静香とつばめ。
そこへイータやトウジらの発言もあり、彼女が自分達と同じ世界からの来訪者であること、
そしてかつての仲間、リュコスの妹であることが確実となった。
「ありがとうございます。厚かましいことは承知ですが、お店の件、よろしくお願いいたします。
…いずれ、お姉様ともお話しをさせていただきたいですしね」
聞きたいことは山ほどあったが、静香はあえてそれを胸中に収めた。
リュコスに直接確認すべきことだと思ったからだ。
「…そう、ですか。ありがとうございます。トウジさん」
つばめはトウジにぺこりと頭を下げるが、その表情は少し浮かないものだった。
特に『愛しのセレネちゃん』との言葉がつばめの表情を曇らせたようにも見受けられる。
そこへ紫亜の、修理装置についての提案があった。
「う、うん、任せて。図面さえ見せて貰えたら、なんとかなると思うから…」
彼女にしては珍しく、自信有りげな答えだ。
さりげなくとんでもないことを口走っているが、事実である。
見た目とは裏腹に、つばめは自身の世界の多彩な発掘兵器から、時には異星のメカニックまであらゆるものを修理してきており、
その方面に関しては天才的ともいえる才能を発揮していた。
「でも、気を付けてね? 被弾して怪我したり、死んじゃったりしたら元も子…も…」
忠告を述べる最中に、またもエルトロスに折檻されはじめた紫亜。
「あ、あはは…」
つばめはその姿を、苦笑いで見守るしかなかった。
301 : ◆Y8uKSMR.3I:2011/07/23(土) 14:05:45
エンリフィアは自室のベッドに横になっていた
「………」
特に何かをするでもなくただ天井をぼんやりとみつめている
『えんりふぃあ、えんりふぃあ』
「…ああ、大丈夫さスニープ。ただ少し……」
言葉に詰まり語尾を濁す。体を起こすと、窓越しに見える空を睨んだ
いつくるかも、そもそも本当に来るのかさえも分からない敵。それが彼の精神を蝕んでいた
だがそれを口にするほど自分は弱くない。そう自負しているつもりだ
「……まったく、まさか自分がこんなにナーバスなタイプだとはね。想像してもみなかったよ」
体面だけは辛うじて保ちながら、自嘲気味に微笑を浮かべた
304 :◆vGTe9D4z5Y:2011/07/23(土) 15:39:31
298
「何だろこれ・・・」
エルトロスが紫亜の頬をプニプニしている姿を見て、イータはぼそりとつぶやく
どうにも自分とは全然違うノリにはついていけないようであった
299
「ふぇ、ちっさい猛獣?はははっ、ないない、それはないですよ!」
ツボに入ったのか、ケイトは声をあげて笑っていた
ケイトとエルトロスは頭一つ分ほどに背が違う
紫亜とエルトロスのやりとりは仲の良いもの同士のスキンシップ……にしては行き過ぎなのだが、少なくとも彼女にはそのようにしか見えなかった
だからこそ、油断する。ニコニコ笑いながら、紫亜とエルトロスを撫でるのであった
306 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/23(土) 21:17:44
299
「……取り敢えずあんたが私の事をどう思ってるかよ~~~く解ったわ」
額に青筋を浮かべた笑い顔で紫亜を睨み付けるエルトロス。
「それとツンドラって何よツンドラって。私の心は永久凍土か」
ボケに対するツッコミのポジション。ある意味、二人の関係は鉄板であった。
300
「ええ、勿論よ。姉さんもきっと喜ぶ……と思うわ」
紫亜への折檻をしながら静香に返答するエルトロス。無駄に器用である。
確かに姉は喜ぶのは事実であろう。二度と会えないと思っていた仲間に再び出会えるのだ。
しかし、同時に姉は最後まで共に戦えなかった事を負い目に感じていた。
だからこそ、エルトロスは言い澱む……喜びと共に申し訳なさで泣き出しそうだなと思ってしまうから。
304
「……流石に他人様にまでこんな事しないわよ」
紫亜を身内扱いしてると取られかねない発言でイータとケイトに釈明する。
まだまだ二人に対してはそこまで心を開ききれていないようだ。
しかし、現状が続けば二人に対して遠慮がなくなるのもそう遠くはないだろう。
307 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/24(日) 01:06:07
306
「二人とも仲がいいんですね」
ニコニコと笑いながらケイトはそう言う。
彼女からしたらそういった関係が羨ましかったのだ。
話友達くらいはすぐにできるのだが、こういった深い関係を築くことができない。
誰とでも別け隔てなく接する、悪く言うなら、誰にも変わらない態度を示す弊害であろう。
だからこそ、どこか羨ましそうに二人のやりとりを見ているのだった。
最終更新:2011年08月19日 19:38