342 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/06/27(月) 21:10:24
【伊豆基地・格納庫】
???「失礼、TEX-15はどちらですかね?」
整備士姿の男は付近の軍人に尋ねた。
連邦軍人「・・・あぁ、あの新型か。それなら・・・たった今、上海から帰ってきたようだ。ほら、あの灰色の機体だ。」
軍人は灰色のすらりとしたフォルムの機体を指差す。それは
TEXチームに赴任したばかりの
エレナ・キサラギ大尉が搭乗した新型のTEXシリーズである。
???「ほぅ・・・、なかなか立派に完成したもんですね。ありがとうございます。あの機体が担当でして・・・」
連邦軍人「そうか。次はいつ出動になるか分からんのでな、早めに終わらせておいてくれよ・・・。」
???「はい、モチロンですよ・・・。」
整備士はクスっと笑みを零し、帽子を深く被り直して
ブリューナクに向かった。
???(さて・・・、後はもう一つの槍を載せた船が市街に入るのを待つだけか。案外、セキリュティが緩いな・・・連邦さんは)
男は痩せ型で背が高く、――そして青髪であった
343 : ◆gnI8YzVxOo:2011/06/27(月) 21:11:27
上海での戦闘から間を置かずにクーガー少佐はドイツへ向かった。
理由は二つ。
一つはドイツで建造されたTEX-14の受領。
もう一つはフランスで収監中の人物との面会。
その屋敷は広大にして壮麗だった。ちょっとお目にかかれない規模の邸宅に、貴顕のセンスを感じさせる調度。ここは老人一人を拘禁するために作られた牢獄だった。
ガラス板で区切られた部屋で、少佐と老人は対面していた。
「上海では随分な活躍だったようだね。……まあそれだけではなく、私としては連邦側に有利に運び過ぎて、敵の指揮官に同情さえしたが」
老人は資料をめくり、老眼鏡を使って目を通し、質疑応答を繰り返す。見る者が見れば、それはまさに上官と部下のそれと気付くことだろう。
「メンバーの奮戦あればこそです。新人四名も。彼らがいなければ、味方や市街の被害は更に甚大なものだったでしょう」
「君の目の確かさには十二分の信頼を置いているよ。だからこそ人事権をある程度君に委ねていられる」
彼らは
TEX計画における同志だった。この老人の協力あればこそ、L5戦役で中核の抜けたTEXチームを保持することが出来たし、クーガー少佐の一存による人事権の采配も自由が利いた。
「敵は『
ジュワユーズ』だね」
「恐らくは。あれだけの戦力を揃えられるとしたら、『ジュワユーズ』しか考えられません。一方この認識コード『アント』はアフリカ大陸の武装組織同士の抗争で確認されていました」
老人は世界に名だたる財団の実質的な長だった。彼が実のみで名を取ることが出来なかったのは妾腹の生まれだったからに他ならない。父親の遺言に従って十歳以上も年下の異母弟を助け、弟が早世してからはその息子を輔弼した。
彼がその座を失ったのは、ビアン博士を通じてDCの上層部に親交があったからだ。実際に私的な支援を行なっていたことも事実である。甥は伯父の動向を察知するとすぐに連邦に身柄を拘束させた(ファンブー中佐一味が釈放を求めた二十数名の中にもその名はあったことも付記しておこう)。
その後、甥は人類を裏切り横死を遂げた。
「敵の指揮官は?」
「特殊部隊が確保する直前に心臓発作を起こし、急死しました」
「本当に心臓発作か? 状況的に怪し過ぎるだろう、常識的に考えて」
「時限式の毒物という可能性もありますが、現時点では何とも。……しかし」
「何だね」
「同じ目に合いたくなければ、カレーばかりの食事はいかがかと。塩分摂取は控えめに」
「私にとってカレーは生命のスパイスだ。インドからイギリス経由で日本へ渡りアレンジされたあの食べ物がなくては生きてゆけない」
カレーレシピ欲しさに日本の某全国カレーチェーン店を財団の傘下として吸収した老人である。80になんなんとする齢でありながら身長188センチ体重79キロという巨躯を頑健そのもののまま維持しているのは、毎日カレー三皿を平らげる食欲とそれを支えるカレーの刺激だろうか。
「TEX-14は?」
「機体自体のパラメータは要求水準をクリアしていますが、T-ブースターに適合するパイロットが現時点で見つかっていません。SRⅡもⅠ型以上に複雑化し、アバリス以上に適合者探しが困難でしょう」
「それについては心当たりが一人いる。後で『アント』と共に資料を渡そう」
やがて30分の面会時間が終わったことを看守が告げた。
「では少佐、彼らによろしく伝えておいてくれ。一度面通しをしたいしね」
「分かりました。では、また――
クリストフ・アサイラム卿」
345 : ◆YZUHAnFXK6:2011/06/27(月) 21:52:16
【某所――――】
「あれの搭載機、TEXへの合流を開始するそうだ」
煙草をくわえ込みながら背もたれに体重を託す人影は、くるりとその椅子を回す。
それだけでは後方を見るには足りなかったのか
さらにその背もたれに腕を乗せる形で上体を捻った。
「スムーズに進んでいるようで何より、想定通り隠れ蓑にしたことでガードが緩んだか……」
視線を向けられた、立った状態の男性は薄っすらと口元を歪ませた
「危険だったりはしないのか、この選択」
念動能力者だけでなく、予知能力者もあの中に居たはずだ―――
それだけじゃない、際立って敏感な者や逆に強い干渉力を持つ者が居たら
何らかの影響がないとは言い切れない
「リスクも高いが現状維持だと期待値は低いだろう、まだまだ拒絶反応も多い」
「何事も、生きようとする努力と必要となる環境の中でしか最適化はされないものだ」
立つということが出来るとしても、それの必要性を見出すのは生活の中
同じように、兵器の使い方を理解できるのは戦いの中だけ
持論か、はたまたどこかの誰かかの言葉を借りただけか――
口元を歪ませたまま男は部屋を後にする、残されたのは椅子に座った人影だけ
「鬼が出るか、蛇が……いや、蛇しか出ないか」
椅子をテーブルへと向きなるのだった
346 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/06/27(月) 22:22:44
【ドイツ】
???「・・・エドガー、あと何分で合流地点に到着ですの?」
エドガー「お嬢様、もう間もなくでございます。」
ドイツの街中を高級なリムジンが走っていた。初老の男性・
エドガー滝沢は馴れたハンドル操作でリムジンを運転する。
エドガー「目的地は地球連邦軍の研究所で御座いましたね、レイカお嬢様?」
レイカ「ええ。先に運ばれた
カラヴィンカが輸送機に乗っている筈よ。」
エドガー「・・・お嬢様、本当によろしいのですね?」
レイカ「愚問よ、エドガー。わたくしは、ハミルトン家の娘として民を守る義務がありますわ!それを、あのカラヴィンカってお父様が作らせた特機でやってみせるのよ!!」
彼女の父は、何れ貴族として先頭に立って闘う事を選択する跡取り娘のレイカのために各所から技術を集めてカラヴィンカという40m級の大型機動兵器を開発していたのである。
エドガー「・・・しかし、よもや連邦軍の方からお嬢様にお声がかかるとは思っていませんでした。」
レイカ「ええっと、確か・・・てぃーいー・・・」
エドガー「TEX――Telekinesis EXam team――、地球連邦軍の念動兵装試験評価部隊と伺っております。なんでも特殊な力を持っている方々を集めた部隊だそうで、お嬢様くらい若い方も多く所属していると聞かされております。」
レイカ「ふぅん・・・、なんだか愉しそうですわ!お友達も出来そうね・・・。」
エドガー「――お嬢様、戦地はお遊び場では御座いませぬぞ!」
レイカ「分かってるわよ、エドガー!?」
レイカとエドガーはそんな会話を続けながら、目的地へと向かう
しかし、彼女の強運が“凶運”となってしまう事態に追い込まれる事は・・・まだ知らなかった。
347 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/27(月) 22:38:50
>>339
「
アルムか……あの巨大ロボットのパイロットっていうが?なにもんだ?
俺が言うのもおかしな話だけどな」
あの機体はあまりにも異様すぎる……一目見ただけでPTとは一線を画した機体
それにトウジは疑問に思ったのだ……なぜアスケラやセレネと同時にあらわれたのかを?
もっともその疑問は口には出さずに念で飛ばしただけにとどめた
アルムの念動力をはかるという目的もあった
351 : ◆o4yQ/QC5tg:2011/06/28(火) 00:33:16
>>347
「なにもの…?」
アルムは首を傾げた。
自分は、自分ではないのだろうか?
少し考えてから、申し訳なさそうに頭を下げて言った。
「…すみません、ボクもよく分からないんです」
――何故アスケラやセレネと同時に現れたのか?
トウジロウの再びの問いも、アルムは答えられなかった。
最終更新:2011年06月28日 21:41