清く正しく◆o7DW0ESrOc
「どうしてこうなった」
多分、一般的には深夜と呼ばれるであろう時間帯。
渡されたあの『家康が居ない』等の訳が分からぬ手紙を見て、つい俺は呟いた。
今日も『学校』だという物に通い、どうにか元の時代に帰る方法を探せばならぬというのに、何故俺に関係無き時代の抗争に巻き込まれなければならぬのだろうか。
怒りを通り越して、もう呆れをも覚える。
…正直なところ、俺は殺し合えと言われたら殺し合える自信がある。
なにせ、少し時間は経ったものの、血を見るなんて幾度とあった為、慣れた物だ。
渡されたあの『家康が居ない』等の訳が分からぬ手紙を見て、つい俺は呟いた。
今日も『学校』だという物に通い、どうにか元の時代に帰る方法を探せばならぬというのに、何故俺に関係無き時代の抗争に巻き込まれなければならぬのだろうか。
怒りを通り越して、もう呆れをも覚える。
…正直なところ、俺は殺し合えと言われたら殺し合える自信がある。
なにせ、少し時間は経ったものの、血を見るなんて幾度とあった為、慣れた物だ。
(俺がどれほど、敵味方の血を浴びてきたと思っているのだ。俺をそう舐めるな…)
…む、いかんいかん。
戦場に立つ者に必要なのは、自らの腕だけだ。
妙な感情なぞ、持ってしまったら邪魔なだけではないか。
戦場に立つ者に必要なのは、自らの腕だけだ。
妙な感情なぞ、持ってしまったら邪魔なだけではないか。
「…まったく、不運続きな上、冷静さも失いかけるとは。俺も変わった物だな…」
不運続き。
今の俺に、これほど似合う言葉はないだろう。
しかも、いちいちその不運が大きい事ばかりだ…
今の俺に、これほど似合う言葉はないだろう。
しかも、いちいちその不運が大きい事ばかりだ…
まず最初の俺の不運はそもそも朝鮮への出兵からだった。
清への出兵の協力を断った朝鮮への攻撃を太閤殿―――いや、秀吉様に任せられ、俺と正則と光成が中心となり、朝鮮を攻めていた最中だったな。
清への出兵の協力を断った朝鮮への攻撃を太閤殿―――いや、秀吉様に任せられ、俺と正則と光成が中心となり、朝鮮を攻めていた最中だったな。
「…光成は思い出したくないから、どうでもいいが」
そして、俺が肥前の名護屋城へと、相良頼房と軍備を整えに行った際の事だったか…。
―――――――――
『加藤殿ー!加藤清正殿ーっ!』
『む、相良か…一体どうした!?』
『嵐です、嵐でございまする!』
『大きいのか』
『それはもうかなりの大きさでございます!』
『状況は!船員は無事か!?』
『数名の者が海へ投げ出されました!』
『…くっ!ならば、俺直々に、あやつらに指示してくる!』
『か、加藤殿!無茶でございます!貴方はここに…!』
『馬鹿者!いざという際に、自ら先頭に立たぬ大将は、将ではない!』
『…し、しかし!』
『ええい、止めるな!止めたならば、相良、お前の首を斬るぞ!』
『なっ…!?』
『よし、では、行って来るぞ!ここは任せた!』
『む、相良か…一体どうした!?』
『嵐です、嵐でございまする!』
『大きいのか』
『それはもうかなりの大きさでございます!』
『状況は!船員は無事か!?』
『数名の者が海へ投げ出されました!』
『…くっ!ならば、俺直々に、あやつらに指示してくる!』
『か、加藤殿!無茶でございます!貴方はここに…!』
『馬鹿者!いざという際に、自ら先頭に立たぬ大将は、将ではない!』
『…し、しかし!』
『ええい、止めるな!止めたならば、相良、お前の首を斬るぞ!』
『なっ…!?』
『よし、では、行って来るぞ!ここは任せた!』
――――――――
…悲しきかな。ここまでしか覚えておらん…。
それで二回目の不運が、目が覚めたら何百年も後の時代で倒れておった事だ。
最初は信じられなかったが、前途多難ありながらもそうだと分かった。
その後、一人途方に暮れておったところを、物書きでおられる神無月殿に出会い、事情を話したところ、疑いながらもなんとか彼女の家で生活させてくれるとの事だった。
しかし、そこでよもや俺が………!
それで二回目の不運が、目が覚めたら何百年も後の時代で倒れておった事だ。
最初は信じられなかったが、前途多難ありながらもそうだと分かった。
その後、一人途方に暮れておったところを、物書きでおられる神無月殿に出会い、事情を話したところ、疑いながらもなんとか彼女の家で生活させてくれるとの事だった。
しかし、そこでよもや俺が………!
「何故俺が女にならなければならなかった!」
…誇りだった髷は、何が起こったか長く漆の様に黒く光る髪になるわ。
長年の鍛練によって鍛えられた肉体は何処へやら。筋肉は消え、腕は白く細くなり、胸に邪魔なだけな脂肪がついてしまうわ。
神無月殿いわく、『顔も良いし、モデルになれるレベル』と、顔以外はまったく意味の分からぬ誉め言葉を頂いたのだが、俺からすれば悲しくなるだけだわで。
前の強靭な肉体から、あまりにも醜い体となってしまったのだ。
…だがこの様な体になろうとも、現にこちらの世界でも自らの鍛練を一日足りともしなかった事は無い。
それ故、変に平穏慣れしてる訳では無い事、忘れないでいただきたい。
長年の鍛練によって鍛えられた肉体は何処へやら。筋肉は消え、腕は白く細くなり、胸に邪魔なだけな脂肪がついてしまうわ。
神無月殿いわく、『顔も良いし、モデルになれるレベル』と、顔以外はまったく意味の分からぬ誉め言葉を頂いたのだが、俺からすれば悲しくなるだけだわで。
前の強靭な肉体から、あまりにも醜い体となってしまったのだ。
…だがこの様な体になろうとも、現にこちらの世界でも自らの鍛練を一日足りともしなかった事は無い。
それ故、変に平穏慣れしてる訳では無い事、忘れないでいただきたい。
「相変わらず戦いにくい体の上に、これで戦わなければならぬとは…」
そう言って仕切り直すかの如く、俺は袋に入っておった棒を握り直す。(ちなみにあと一つ『ぱそこん』なる物があったが、使い方は知らんから放っておく。)
それは見た時すぐに「物干し竿」と聞き慣れた物だと理解した。
無論、それは俺がよく知っている物干し竿だ。
…明らかに俺の時代で一般的な竹等の木の素材ではなく、無機質な物で出来ていたが。
それは見た時すぐに「物干し竿」と聞き慣れた物だと理解した。
無論、それは俺がよく知っている物干し竿だ。
…明らかに俺の時代で一般的な竹等の木の素材ではなく、無機質な物で出来ていたが。
ところでこの物干し竿が武器の変わりになるのか調べる為に、少しばかし両腕で竿を曲げてみた。
しかし、今の俺の体の最大限の力を入れても曲がらないところを見ると、強度は中々であり、武器の変わりには、一応なる事であろう。
…ここばかりは時代の差につい感謝する。
しかし、今の俺の体の最大限の力を入れても曲がらないところを見ると、強度は中々であり、武器の変わりには、一応なる事であろう。
…ここばかりは時代の差につい感謝する。
「では、そろそろ出向くとするか」
誰が連れてこられているのかは俺は知らん。
しかし俺は、自らの信義を貫き、あの手紙を書いたであろう者を倒そうと思っている。
手紙の内容に『歯向かってくる者は殺す』とあったが、現に家康殿が居ないだの戯れ言を記している者の手紙など、信用が無い。
現に大阪城で家康殿と話した事がある俺が言うのだ。間違いない。
仮に、戦わなければならなくなった場合、女、子ども問わず、向かってくる者に容赦はせん。
今はこの物干し竿で我が武を貫くだけだ…ま、出来るかは知らぬが。
しかし俺は、自らの信義を貫き、あの手紙を書いたであろう者を倒そうと思っている。
手紙の内容に『歯向かってくる者は殺す』とあったが、現に家康殿が居ないだの戯れ言を記している者の手紙など、信用が無い。
現に大阪城で家康殿と話した事がある俺が言うのだ。間違いない。
仮に、戦わなければならなくなった場合、女、子ども問わず、向かってくる者に容赦はせん。
今はこの物干し竿で我が武を貫くだけだ…ま、出来るかは知らぬが。
「向かうは東、とするか…加藤清正、いざ参る!」
俺はそう意気込み、歩みを進める。
この不運続きの毎日を、この手にて止めるために。
この不運続きの毎日を、この手にて止めるために。
【一日目・深夜/A-2】
【加藤清正】
【状態】健康、決意
【装備】物干し竿DX
【所持品】基本支給品、ノートパソコン
【思考】
1、手紙を書いた者を見つけ次第倒す。
2、俺自身の事情は隠した方が良いのだろうか…だが…
3、向かってくる者には容赦はせん。
4、…まともな武器が欲しい。
【備考】
※手紙に信憑性が無いと思いました。
※名簿を見ていません。
※相良頼房は清正の朝鮮攻略に従った実在する武将ですが、名護屋城へと向かう下りはおそらくフィクションです。
【加藤清正】
【状態】健康、決意
【装備】物干し竿DX
【所持品】基本支給品、ノートパソコン
【思考】
1、手紙を書いた者を見つけ次第倒す。
2、俺自身の事情は隠した方が良いのだろうか…だが…
3、向かってくる者には容赦はせん。
4、…まともな武器が欲しい。
【備考】
※手紙に信憑性が無いと思いました。
※名簿を見ていません。
※相良頼房は清正の朝鮮攻略に従った実在する武将ですが、名護屋城へと向かう下りはおそらくフィクションです。
【物干し竿DX】
南アフリカ大陸の国、ガータリナ共和国でしか採取出来ないとされる鉄で作られた物干し竿。
その強度は、象が踏んでも壊れなかったとされるほどである。
稀少品からなのか、外国の通販でしか買えない上に段は高く、基本価格は128万3500円。時価になる場合も。
南アフリカ大陸の国、ガータリナ共和国でしか採取出来ないとされる鉄で作られた物干し竿。
その強度は、象が踏んでも壊れなかったとされるほどである。
稀少品からなのか、外国の通販でしか買えない上に段は高く、基本価格は128万3500円。時価になる場合も。
【ノートパソコン】
よくあるタイプのノートパソコン。
48GB程、フォルダに収容可能である。
よくあるタイプのノートパソコン。
48GB程、フォルダに収容可能である。
01:オープニング | 時系列順 | 03:正義のヒーロー様 |
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加藤 清正 | :[[]] |