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二つの決意

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二つの決意◆o7DW0ESrOc




「はぁ」

…面倒な事になってしまった。
しがない一教師である僕が、目が覚めたら僕の生活に縁も何も無い殺し合いに巻き込まれてしまっていた。
聖職と呼ばれる教師がこんな事言うのもなんだが、どうして僕なんだろうか。
まったく、夢なら覚めてほしい、というのはこういう時を示すんだろう。
と、僕は肩を落としながら歩いてたのだけどね。まぁいいや。

「ところで…これはどうしようか」

そう呟いた僕の手の平に収められた黒く輝く鉄の塊。
いわずと知れた、拳銃らしい。
素人目にもよく分かった。
本気で、殺し合わせる気なんだなぁ、と。

話は変わるけど、その中に食べ物やなんか知らないけどロープとか、探検家が持ってそうな道具がぎっしり入ってる袋を押し退け見ると、『参加者名簿』っていうのを見つけた。
薄っぺらい紙だったが、なんとなく見てみたらどうやら僕が殺し合う相手らしく、その中に芳賀さんを始めとする僕の受け持つ生徒が沢山居たのだ。
で、よくよく見たら音信不通になっていた国坂も居たし。
会ったらちょっとあいつに説教してやらなきゃいけないな。

そういえば昔、仮にこういう状況で教師がやるべき事は一体何なんだ、て先輩である祝先生に聞いた事あったなぁ。
その時は酒飲んでたし、祝先生も酔ってたけど、確かこう言っていた記憶がある。

『教師ならば、生徒を守れ。ただし、自分の命を無駄にはするな。死んだら、損をするだけだ』

そう、笑いながら話してくれた記憶がある。
何処かその言葉には安心感があって、そしてなにより、正義感があった。
同じ様に殺し合いに巻き込まれているその祝先生は、どうしてるのだろうか。
その言葉を実行してるのだろうか。
…完璧には言えないが、おそらく生徒達を助ける為、辺りを走り回ってるだろう。

「…だったら、僕もそうしなきゃいけないじゃないか」

まったく、聖職というのを忘れていた。
僕の役目は、『生徒の安全の確保』。そして『ここからの脱出』だ。
正直な話、生徒全員を助ける事は難しいだろう。
だが、こうも考えられる。
『他の参加者を殺せば良いじゃないか』と。
僕は支給品で拳銃を得た。
くじで行くなら大当たりの一等商品。
使い慣れてる訳じゃない。でも、ハリセンとかよりは戦える。
頭を撃ち抜ける。胸を撃ち抜ける。眼を撃ち抜ける。
いとも簡単に人を殺せる兵器。
なんだ、思ってたより案外使うのは簡単じゃないか。

「…正直、人は殺したくない。
でも、僕が出来る事はこれぐらいだろうしね」

弾は、最初から入ってるらしい。
予備弾は無いみたいだけど、そもそも入れ方知らないし、なるべく無駄遣い禁止って事で。

「んじゃ、行きますかね。ぼっつらぼっつら」

そう言うと、僕は目覚めた場所らしいドームを後にする。
ところで祝先生。
僕が基本、参加者殺しまくるんで、なるべく死なないで下さいよ。
だって祝先生。貴方の言葉の中に『他人の命』は無い。
弱肉強食って言葉あるし…
自分が生かせたい人の為、自分が生きる為には、他の人を殺しても仕方ないですよね?

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ドーム内の一角にある小さな部屋で、小説家である神無月静香は困惑していた。
突然誘拐されたと思ったら訳が分からない手紙を渡され、やれ殺し合いをしろなどと言われたからだ。
今日はうるさい編集者が来て、やっと完成した新作小説、『昼は長いし走れよ小亀』の原稿を取ってくる日だというのに、こんな訳が分からないところに呼ばれて、最悪原稿を落としてしまうかもしれないからだ。
更に、この殺し合いで死んでしまい、原稿を落とし、挙げ句の果てに突然の失踪とされてしまうと、あの編集者がまたうるさく言うだろう。

静香としても、常連の本屋の店主である三条瑠歌、居候してる電波美少女(と、彼女が思っているだけである)、加藤清正を残して死ぬ事は出来ない。
三条は良い。大人だから。自分が死んでも大人だから慣れてるはず。
けれど清正は、例え電波っ娘と言えど、住む場所が無くなったら、あの少女は悲しんで飛び降り自殺してしまうかもしれない。
…どうすればいいか、少し静香は考えてみた。

(…う~ん、清正ちゃんがこの殺し合いに呼ばれてるのは流石に無いとしても…清正ちゃん自殺したらあたしもなんかやだからなぁ…
あ!そうだ!こういう見方もあったわ!)

――神無月シュミレーションその①――

私が死ぬ

清正ちゃんが悲しむ

清正ちゃんが飛び降りて命を絶とうとする

たまたまそれを見たイケメンが、颯爽と現れる。(清正ちゃんは可愛いから100%助けに向かう)

イケメン「やめろー!死んじゃダメだー!」

清正ちゃん「助けてくれてありがとう!結婚して下さい!」

二人は結婚した。スイーツ(笑)

――――

「って、なぁんだぁ!心配する事無いじゃない!」

困惑を投げ捨て、急激に喜びへと感情を変える静香。
超展開?いいえ、神無月シュミレーションの力です。流石はシュミレーションだ。なんとも無いぜ。

しかし、これで居候をなんとかする事が出来た。
残るは自分だが、果たして何をするべきか。
普通に考えるならば、やはり優勝だろう。
…しかし、静香の頭上に疑問符が浮かんだ。

(ってありゃ?もしかして私が生き残っても、あの手紙が嘘ついて私達が殺し合った後もしかしたらこの世界が滅びるかもしれないし、
生き残っても独身で三十路越えた女一人だけだったら○○○も出来なくて一人滅びるだけだし…
それによくよく考えたなら世界が滅びる形なんて、アンタが決める事じゃないし)

頭を抱え、どうしようも無くなった様に落ち込む静香。
思い出してみれば自分は凡人。殺し合ったら、間違いなく自分は死ぬ。
だからといって、生き残っても意味が無い。

「…どうすれば良いのかなぁ…ハッ!そうだ!」

―――神無月シュミレーションその②―――

まずは何か巻かれてる首輪をどうにかして外す。

参加者の中から主催を突き止め、倒し、土下座させる。

やったねしずかちゃん!元の世界に帰れるよ!

原稿落とさない、清正ちゃん平気。世界?多分だいじょーぶ。だいじょーぶ。

私大勝利!

――――――

「イヤッホォォォ!この手があったわ!私マジ天才!」

立ち上がり、大声を上げる静香。
ちなみにここ周辺には殺し合いに乗った相澤猛が居たのだが、仮にあと数分、相澤猛がこの建物から出るのが遅れたならば、最悪命を落としていただろう。
だがここは運が良かったのか、なにかある訳でもなく、ただ静香の声が響くだけ。

「そうと決まれば早く仲間探しね!よーし!私、頑張っちゃうぞー!」

しかし、どうやら遠回しに行われていた勝負は、静香に軍配が上がったらしい。
静香はそんな事知った事無いらしいが。

「よーし!いざ、しゅっぱーつ!」

そうまた叫んだ静香は、部屋を飛び出し、また猛とは違う裏口がある方向へと向かうのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

小説家はイカれた決意をし、教師は狂った決意をする。
二つの決意は、似てる様で似ていない。
ただ間違いなく言える事は、彼等は二人とも、まったく違う方針を取ったという事だ。
天使が微笑み、悪魔に刺されるのはどちらか?
ゲームはまだ、始まったばかりだ。

【一日目・深夜/B-5 ドーム外】
【相澤猛】
【状態】決意、落ち着き
【装備】グロック17(15/15)
【所持品】基本支給品、とある男の探検セット
【思考】
1、生徒の為、殺し合いに乗る。人は殺したくないけど、仕方ない。
2、祝先生、国坂正義は殺さない。

【一日目・深夜/B-5 ドーム裏口付近】
【神無月静香】
【状態】テンションMAX、決意
【装備】無し
【所持品】基本支給品、不明支給品0~2
【思考】
1、殺し合いを止め、原稿を落とさない様にする
2、首輪を取りたい
【備考】
※手紙を嘘だと判断しました
※中身を確認していません。

※二人は別方向から出ました。


05:幸運のお地蔵様 時系列順 07:不運<アンラッキー>
05:幸運のお地蔵様 投下順 07:不運<アンラッキー>
相澤 猛 :[[]]
神無月 静香 :[[]]


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