正義のヒーロー様◆4ajyjN4fcU
探偵、桜井暮葉は考える。
この事件の真相を。
この事件の真相を。
残された置手紙。
暮葉自身、人間原理というモノに対してある程度の知識は有しているものの、手紙の内容に対し理解を示すことは正直言って難しい。
人間原理とは、人間を中心にとらえた宇宙論の一つである。
イギリスのケンブリッジ大の理論物理学者ブランドン・カーターはが発表したActive Human-Principle(強い人間原理)において
観測者の認識が世界を決めるという量子力学的な考えが提示されているが、所詮は理論説は論説であり現実としてとらえるには余りにも乱暴な論法である。
暮葉自身、人間原理というモノに対してある程度の知識は有しているものの、手紙の内容に対し理解を示すことは正直言って難しい。
人間原理とは、人間を中心にとらえた宇宙論の一つである。
イギリスのケンブリッジ大の理論物理学者ブランドン・カーターはが発表したActive Human-Principle(強い人間原理)において
観測者の認識が世界を決めるという量子力学的な考えが提示されているが、所詮は理論説は論説であり現実としてとらえるには余りにも乱暴な論法である。
だが、全て虚実だと切って捨てるのも、全て真実だと盲信するのも、どちらも悪手だ。
虚実の中の真実。真実の中の虚実を見極めることこそが重要である。
そのため前提として手紙書いてる内容は基本的に事実であると定義する。
考察における矛盾点、論理的に不可能であると判断したものを虚実であると判断する。
虚実の中の真実。真実の中の虚実を見極めることこそが重要である。
そのため前提として手紙書いてる内容は基本的に事実であると定義する。
考察における矛盾点、論理的に不可能であると判断したものを虚実であると判断する。
そして自分に繋がる痕跡は全て消したと手紙には記されているが、どれだけ痕跡を消そうとも何かが起きた以上どうしようもなく事実は残る。
痕跡を完全に消し去るなど神にでも不可能だ。
事実から真実を手繰り寄せる。
それが桜井暮葉のやり方だ。
痕跡を完全に消し去るなど神にでも不可能だ。
事実から真実を手繰り寄せる。
それが桜井暮葉のやり方だ。
――――では、考察を始めよう。
ここにある事実の一つとして、まずこの首に巻かれた首輪が挙げられる。
ここから検討を始めるとしよう。
ここから検討を始めるとしよう。
手紙に記されている内容に基づき考えるに、首輪に必要な機能はいくつか挙げられる。
まず、当然ながら爆破機能。
そして、それを遠隔から行える遠隔操作機能。
禁止エリアに侵入したか否かの判断を行うエリア感知機能。
その際警告を放つアラーム機能、及び侵入時間を判定するタイマースイッチ。
24時間の死亡者の有無を判断し自動爆破する機能も必要だ。
そのためには生死を判断するためにバイタルを計測機能も必要だろう。
その他にも、参加者の動きを監視するための小型カメラに盗聴器も欲しいか。
まず、当然ながら爆破機能。
そして、それを遠隔から行える遠隔操作機能。
禁止エリアに侵入したか否かの判断を行うエリア感知機能。
その際警告を放つアラーム機能、及び侵入時間を判定するタイマースイッチ。
24時間の死亡者の有無を判断し自動爆破する機能も必要だ。
そのためには生死を判断するためにバイタルを計測機能も必要だろう。
その他にも、参加者の動きを監視するための小型カメラに盗聴器も欲しいか。
簡単に考えるだけでもこれだけの機能が必要となる。
暮葉は自身の持つ機械工学の知識から、その全てをこの小さな首輪に集約するなど可能なのかを判断する。
暮葉は自身の持つ機械工学の知識から、その全てをこの小さな首輪に集約するなど可能なのかを判断する。
結論から言うと、それ自体は"可能"だ。
だが、精密機械というものは機能を特化させればさせた分だけ繊細になる。
殺し合いなどという、これ以上ない激しい運動行為を行う附属品としてはそぐわないだろう。
故にこの首輪に全ての機能を載せることは現実的に"不可能"だ。
だが、精密機械というものは機能を特化させればさせた分だけ繊細になる。
殺し合いなどという、これ以上ない激しい運動行為を行う附属品としてはそぐわないだろう。
故にこの首輪に全ての機能を載せることは現実的に"不可能"だ。
だから、現実的にこの首輪を実現させるにあたり、不要なものを削り必要なものを残すために、製作者は付属する機能を精査し選別する必要がある。
ならばいったい、今この首輪には何の機能が残っているのか?
各機能の重要度を検証し考察する。
ならばいったい、今この首輪には何の機能が残っているのか?
各機能の重要度を検証し考察する。
爆破機能は当然ながら必須だろう。
これが嘘であれば殺し合いという前提が瓦解する。
ハッタリで殺し合いを強要することも不可能ではないだろうが、適当な首輪を解析してしまえばお終いだ。
相手側に殺し合いを完遂させる意思があるのならば、そんなことはしないはずだ。
これが嘘であれば殺し合いという前提が瓦解する。
ハッタリで殺し合いを強要することも不可能ではないだろうが、適当な首輪を解析してしまえばお終いだ。
相手側に殺し合いを完遂させる意思があるのならば、そんなことはしないはずだ。
小型カメラや盗聴器。
これは必要であるが必須ではない機能だ。
とはいえ小型カメラの方はともかく、盗聴器くらいならば取り付けてもそうスペースをとるものでもない。
故障をいとわないという前提であればつけておく位の事はしていてもいいだろう。
どちらにせよ警戒しておくにこしたことはない。盗聴器くらいはあると考えておいた方がいいか。
これは必要であるが必須ではない機能だ。
とはいえ小型カメラの方はともかく、盗聴器くらいならば取り付けてもそうスペースをとるものでもない。
故障をいとわないという前提であればつけておく位の事はしていてもいいだろう。
どちらにせよ警戒しておくにこしたことはない。盗聴器くらいはあると考えておいた方がいいか。
次に禁止エリア侵入による自動爆破。
及び24時間死亡者がなかった場合の爆破機能これはどうか。
及び24時間死亡者がなかった場合の爆破機能これはどうか。
禁止エリア侵入の判定に伴う必要機能は以下の通り。
参加者の位置特定、及び現在設定されている禁止エリアの情報、そして30秒のタイムカウントを行った後、自動爆破する機能。
だがこれは機能すべてを自動化した場合の必要機能であり、その一部を手動化した場合はその限りではない。
位置特定は首輪を使わずとも、参加者の位置特定を監視カメラなどに任せることもできるし。
禁止エリアの侵入判定も、監視員が禁止エリアに侵入したタイミングでアラートを出し、30秒後に遠隔爆破ボタンを押せばいい。
そうすればこの機能を実現するに辺り、必要な機能は遠隔爆破操作機能のみに限られる。
参加者の位置特定、及び現在設定されている禁止エリアの情報、そして30秒のタイムカウントを行った後、自動爆破する機能。
だがこれは機能すべてを自動化した場合の必要機能であり、その一部を手動化した場合はその限りではない。
位置特定は首輪を使わずとも、参加者の位置特定を監視カメラなどに任せることもできるし。
禁止エリアの侵入判定も、監視員が禁止エリアに侵入したタイミングでアラートを出し、30秒後に遠隔爆破ボタンを押せばいい。
そうすればこの機能を実現するに辺り、必要な機能は遠隔爆破操作機能のみに限られる。
容量削減の効率を考えればなくはない話だが、暮葉はそれはないと考える。
なぜなら、この首輪の示すところは殺し合いをしなければ爆破するぞという、これ以上にないほどわかりやすい脅迫だ。
殺し合いを強要するのならば、その強制力である首輪の信憑性は最重要項目である。
それこそ参加者の目の前で誰の首をデモンストレーションとして爆破して見せるくらいの事はすべきだ。
少なくとも暮葉ならそうする。
だが、それは行われなかった。
それは何故か?
なぜなら、この首輪の示すところは殺し合いをしなければ爆破するぞという、これ以上にないほどわかりやすい脅迫だ。
殺し合いを強要するのならば、その強制力である首輪の信憑性は最重要項目である。
それこそ参加者の目の前で誰の首をデモンストレーションとして爆破して見せるくらいの事はすべきだ。
少なくとも暮葉ならそうする。
だが、それは行われなかった。
それは何故か?
世界の観測者である39名を、そんな手段で殺すのがいやだったから?
否。それならば生贄として適当な人間を用意すればいいだけの話だ。
ここまでする相手が、今さら無関係な人間を巻き込むことを躊躇うとは思えない。
否。それならば生贄として適当な人間を用意すればいいだけの話だ。
ここまでする相手が、今さら無関係な人間を巻き込むことを躊躇うとは思えない。
ならば、行わなかったのではなく、行えなかったのではないか。
つまり、この首輪に遠隔爆破機能はないのではないか。
そう暮葉は当たりをつけた。
つまり、この首輪に遠隔爆破機能はないのではないか。
そう暮葉は当たりをつけた。
だが、遠隔爆破が行えないなど、ハッキリ言ってかなりの欠点である。
爆破機能がある以上すぐどうこうなる事でもないが、それでも参加者に露見すればかなりの痛手だ。
にも関わらず、この機能を取捨択一した理由は何か。
この選択から見えるもの。
それは人手を介さず、自動でゲーム進行を進めるためのシステムの自動化だ。
爆破機能がある以上すぐどうこうなる事でもないが、それでも参加者に露見すればかなりの痛手だ。
にも関わらず、この機能を取捨択一した理由は何か。
この選択から見えるもの。
それは人手を介さず、自動でゲーム進行を進めるためのシステムの自動化だ。
それの指し示すところはなにか?
犯人側の人材の不足だろうか。
だが、犯行の規模からしても単独犯ではないだろう。
手紙にもある通り、一定上の組織の犯行であることは間違いない。
ハッキリ言って人一人拉致するというのは結構な労力だ。
周りに気づかれず事を運ぶには素人が相手でも組織的に動く人間が4,5人はいる。
まして葛西や柳刑事のような玄人相手ともなればそれでは足りないだろう。
それが39名。
しかも一斉にともなれば組織の規模もうかがえるというモノだ。
犯人側の人材の不足だろうか。
だが、犯行の規模からしても単独犯ではないだろう。
手紙にもある通り、一定上の組織の犯行であることは間違いない。
ハッキリ言って人一人拉致するというのは結構な労力だ。
周りに気づかれず事を運ぶには素人が相手でも組織的に動く人間が4,5人はいる。
まして葛西や柳刑事のような玄人相手ともなればそれでは足りないだろう。
それが39名。
しかも一斉にともなれば組織の規模もうかがえるというモノだ。
人的ミスを恐れてのことか。
可能性としては一番納得のいく話だが、推測域は出ない。
機械にだって故障、不具合の恐れがある以上、リスクとしてはイーブンだ。
それにコレほど鮮やかなまでの拉致計画を成し遂げた組織が、監視体制だけが杜撰というのも考えづらい。
可能性としては一番納得のいく話だが、推測域は出ない。
機械にだって故障、不具合の恐れがある以上、リスクとしてはイーブンだ。
それにコレほど鮮やかなまでの拉致計画を成し遂げた組織が、監視体制だけが杜撰というのも考えづらい。
ならば、裏切りを恐れての行為である可能性はどうか。
犯行の規模。目的の特異性を考えるに、こんな事を行うのはよほどの一枚岩の組織でない限り不可能だ。
一蓮托生であるはずの組織の人間を信用していないということがあり得るのだろうか?
犯行の規模。目的の特異性を考えるに、こんな事を行うのはよほどの一枚岩の組織でない限り不可能だ。
一蓮托生であるはずの組織の人間を信用していないということがあり得るのだろうか?
そして、舞台となるこの島を用意するための芳醇な財力も、犯人組織は持っていることになる。
無断で使用している可能性もあるが、参加者を運ぶにも船なりヘリなりの用意は必要になる。
どちらにせよ一定以上の財力は必要だ。
無断で使用している可能性もあるが、参加者を運ぶにも船なりヘリなりの用意は必要になる。
どちらにせよ一定以上の財力は必要だ。
ある程度の規模の組織力と財力を持ち、目的のためなら犯罪行為すらいとわない統一性と目的意識を持った組織。
それに該当する候補は何か?
それに該当する候補は何か?
葛西の所属していたような特殊部隊はどうか?
組織力という点ではこれ以上なく、財力という点でも申し分ない。
何しろ国家という最大級の後ろ盾があるのだ、犯行の隠匿も余裕を持って可能だろう。
組織力という点ではこれ以上なく、財力という点でも申し分ない。
何しろ国家という最大級の後ろ盾があるのだ、犯行の隠匿も余裕を持って可能だろう。
だが、それと同時にそれこそが彼らの最大の問題点である。
国家という後ろ盾がる以上、奴らが動くには国の承認が必要だ。
国ぐるみでこんな訳のわからない集団拉致に殺し合いなどを促進するような所があるんなら、それこそ滅んでしまえ、だ。
あの手紙の内容が仮に真実だったとしても頭の固いお偉方がそれを信じてこんな決断を下せるとも思えない。
何かしらの他の大義名分がない以上可能性は低いだろう。
国家という後ろ盾がる以上、奴らが動くには国の承認が必要だ。
国ぐるみでこんな訳のわからない集団拉致に殺し合いなどを促進するような所があるんなら、それこそ滅んでしまえ、だ。
あの手紙の内容が仮に真実だったとしても頭の固いお偉方がそれを信じてこんな決断を下せるとも思えない。
何かしらの他の大義名分がない以上可能性は低いだろう。
では逆に反社会的組織ではどうか。
犯罪組織ではないとの事だが自称であるためそこは考慮には値しない。テロ集団の言い分は大体そうだ。
まず、不良グループ程度の規模では無理だろう。全ての面で。
なら組織化されたテロ集団などはどうか?
下手な軍隊よりも統制された組織も珍しくない上に、資金面では麻薬畑の運営や強力なパトロンがいる組織も少なくない。
条件的には問題なかろう。
犯罪組織ではないとの事だが自称であるためそこは考慮には値しない。テロ集団の言い分は大体そうだ。
まず、不良グループ程度の規模では無理だろう。全ての面で。
なら組織化されたテロ集団などはどうか?
下手な軍隊よりも統制された組織も珍しくない上に、資金面では麻薬畑の運営や強力なパトロンがいる組織も少なくない。
条件的には問題なかろう。
だが、最大の問題は動機だ。
はたから見れば迷惑極まりない組織でも、奴らは奴らなりの正義に沿って動いている。
故に、その根幹にある目的以外の理由で組織を動かすことは誰にでも不可能だ。
はたから見れば迷惑極まりない組織でも、奴らは奴らなりの正義に沿って動いている。
故に、その根幹にある目的以外の理由で組織を動かすことは誰にでも不可能だ。
組織と言うモノは一朝一夕で出来るものではない。
手紙の内容からして、長年かけて準備してきたとは思えない。
どちらかといえば、この事実を知ってしまったが故に、自身の立場を利用し緊急的にこの殺し合いを開始したように思える。
テロ組織を別の目的に動かすことができるのだろうか?
組織が目的に対して一枚岩であればある程難しいだろう。
手紙の内容からして、長年かけて準備してきたとは思えない。
どちらかといえば、この事実を知ってしまったが故に、自身の立場を利用し緊急的にこの殺し合いを開始したように思える。
テロ組織を別の目的に動かすことができるのだろうか?
組織が目的に対して一枚岩であればある程難しいだろう。
では次に宗教団体などはどうか。
宗教というのは兎角金が動く。
その関係で権力者と絡んでいることも少なくない。
島一つ用意するくらいの事も不可能ではないだろう。
宗教というのは兎角金が動く。
その関係で権力者と絡んでいることも少なくない。
島一つ用意するくらいの事も不可能ではないだろう。
動機の面では教祖一人が世迷い言をほざけば十分だ。
この手の組織であればたとえ犯罪行為であろうとも、信仰という魔法の言葉によって迷いない目的へと変換される。
この手の組織であればたとえ犯罪行為であろうとも、信仰という魔法の言葉によって迷いない目的へと変換される。
だがこの場合の問題は組織力だ。
素人集団が葛西や柳刑事を拉致できるだろうか?
不意を突き用意周到に準備すれば不可能ではないだろう。
なにしろ目的に向けて迷いなく動く目的意識というものはなかなかに侮れない。
まぁそれも、強力なブレインがいればの話だが。
素人集団が葛西や柳刑事を拉致できるだろうか?
不意を突き用意周到に準備すれば不可能ではないだろう。
なにしろ目的に向けて迷いなく動く目的意識というものはなかなかに侮れない。
まぁそれも、強力なブレインがいればの話だが。
個人の管理する組織まで考えを伸ばせばきりがないので候補としてはこのあたりにしておくとしよう。
どのグループに共通する疑問として、そもそもの首謀者の動機は何だ。
殺し合いをさせることによって何らかの利益を生むのだろうか?
見世物として悪趣味な金持ち連中に売りつけるとしても、著名人まで含んでいるあたり、リスクに釣り合うとは思えない。
どのグループに共通する疑問として、そもそもの首謀者の動機は何だ。
殺し合いをさせることによって何らかの利益を生むのだろうか?
見世物として悪趣味な金持ち連中に売りつけるとしても、著名人まで含んでいるあたり、リスクに釣り合うとは思えない。
だが、あの手紙の内容が真実であるのならば是非もない。
動機である人間原理における世界の崩壊に関しての信憑性について調べる必要がある。
もし仮に、それが真実だったならば、何か実例のようなものがあるはずだ。
例えば酷くくだらない奇跡のような出来事があっただとか。
例えば強く願っていた願望が叶っただとか。
参加者自身に対して何か起こった、若しくはその周囲で何かが起きているはずである。
その調査、検証をしてみる必要があるだろう。
動機である人間原理における世界の崩壊に関しての信憑性について調べる必要がある。
もし仮に、それが真実だったならば、何か実例のようなものがあるはずだ。
例えば酷くくだらない奇跡のような出来事があっただとか。
例えば強く願っていた願望が叶っただとか。
参加者自身に対して何か起こった、若しくはその周囲で何かが起きているはずである。
その調査、検証をしてみる必要があるだろう。
もしくは"あそこに書かれた内容が真実である"と書いた本人は本気でそう思っているかだ。
その場合、それをあの手紙を書いた誰かに吹き込んだ誰かがいるということになるが。
まあ、現段階では判別の仕様がない。まずはこの手紙を書いた人間を割り当てることが先決だ。
その場合、それをあの手紙を書いた誰かに吹き込んだ誰かがいるということになるが。
まあ、現段階では判別の仕様がない。まずはこの手紙を書いた人間を割り当てることが先決だ。
後は、人選についてはどうか。
この名簿に載った名をづらりと見つめてみれば、個人的な知り合いに、町の有名人から著名人まで。名前だけなら半数以上が見知った名だ。
だが、その知る範囲で考えても、年齢性別人種職種そのすべてがバラバラだ。そこに規則性は見いだせない。
この名簿に載った名をづらりと見つめてみれば、個人的な知り合いに、町の有名人から著名人まで。名前だけなら半数以上が見知った名だ。
だが、その知る範囲で考えても、年齢性別人種職種そのすべてがバラバラだ。そこに規則性は見いだせない。
だが、共通項ならば暮葉はある程度思い至っている。
例えばプロレスラー。
この時期は毎年、近くの会場で公演を行っているはずである。
例えばハリウッド俳優。
来日の日程を思い出すに、確か昨日、事務所近くのホテルでの記者会見があったはずだ。
例えば国賓である王女様。
昨日今日と姉妹都市である我が町に滞在中だったはずである。
例えば動物学者。
天然記念物であるオオワシを追って、この辺にある森を探索中だと新聞の小さな記事で読んだ記憶がある。
町の住民は言わずもがな。つまり暮葉が所在をつかんでいる人間、その全員が事件当日あの町にいたということになる。
もっとも全員の所在を知っているわけでもなく、知らない人間もいるため推測の域は出ないのだが。
世界中に39名しかいない観測者が偶然一つの町に集まるなど天文学的確率だろう。
あの町が世界の中心? なかなかに笑える話だ。
あるいは、偶然ではないなにか必然があるのだろうか。
例えばプロレスラー。
この時期は毎年、近くの会場で公演を行っているはずである。
例えばハリウッド俳優。
来日の日程を思い出すに、確か昨日、事務所近くのホテルでの記者会見があったはずだ。
例えば国賓である王女様。
昨日今日と姉妹都市である我が町に滞在中だったはずである。
例えば動物学者。
天然記念物であるオオワシを追って、この辺にある森を探索中だと新聞の小さな記事で読んだ記憶がある。
町の住民は言わずもがな。つまり暮葉が所在をつかんでいる人間、その全員が事件当日あの町にいたということになる。
もっとも全員の所在を知っているわけでもなく、知らない人間もいるため推測の域は出ないのだが。
世界中に39名しかいない観測者が偶然一つの町に集まるなど天文学的確率だろう。
あの町が世界の中心? なかなかに笑える話だ。
あるいは、偶然ではないなにか必然があるのだろうか。
「と、まあ考えた所で、結論は出ないか」
ここまで手紙を読み終わった一瞬で考察を終えたところで、暮葉は一端の思考を止めた。
ひとまず現段階でわかる情報で考えてみたものの情報が足りなさすぎる。
あるいは真実に掠るモノもあるのかもしれないが、所詮こんなもの想像の域を出ない、単なる妄想だ。
信頼に足るとは思えないし、自分の尊厳にかけて他人に話すことなど死んでもできないレベルの内容だ。
推察のための材料がほしい、必要なのは情報だ。
あるいは真実に掠るモノもあるのかもしれないが、所詮こんなもの想像の域を出ない、単なる妄想だ。
信頼に足るとは思えないし、自分の尊厳にかけて他人に話すことなど死んでもできないレベルの内容だ。
推察のための材料がほしい、必要なのは情報だ。
主催者の情報。
犯人を捜すというのは、ここにいるという内容が真実であるという前提だが。
いないのならばどうしようもないのだ、方針としては念頭に置いておくべきだろう。
犯人を捜すというのは、ここにいるという内容が真実であるという前提だが。
いないのならばどうしようもないのだ、方針としては念頭に置いておくべきだろう。
会場の情報。
脱出のためには島の場所の特定もそうだが。
生き残るうえでは内部の施設の情報も必要だ。
脱出のためには島の場所の特定もそうだが。
生き残るうえでは内部の施設の情報も必要だ。
参加者の情報。
スペック、経歴、スタンスもそうだが。
前日の所在。身近で何かあり得ない事がなかったかなどの情報。
スペック、経歴、スタンスもそうだが。
前日の所在。身近で何かあり得ない事がなかったかなどの情報。
首輪の情報。
できればサンプルがほしい。
そして技術者、暮葉は機械工学の知識はあっても技術はない。
首輪の解除について専門家の手は必要だろう。
できればサンプルがほしい。
そして技術者、暮葉は機械工学の知識はあっても技術はない。
首輪の解除について専門家の手は必要だろう。
本来その辺の情報収集にあたり、動くのは葛西の役目なのだが、肝心の葛西がいない。
「…………使えない従業員だなぁ」
給料下げてやろうか。
……まぁ、それはおいおい検討するとして。
どちらにせよ情報収集のため人手がいる、葛西との合流は必要だ、それに柳刑事も協力はしてくれるだろう。
だが、自ら動くのはハッキリいってあまり得意ではない。というか苦手だ。
襲われれば女子供にも負ける自信がある。
下手に動けば危険性が高まるだけなのだが。
……まぁ、それはおいおい検討するとして。
どちらにせよ情報収集のため人手がいる、葛西との合流は必要だ、それに柳刑事も協力はしてくれるだろう。
だが、自ら動くのはハッキリいってあまり得意ではない。というか苦手だ。
襲われれば女子供にも負ける自信がある。
下手に動けば危険性が高まるだけなのだが。
ならばどうするか。
どこか適当な場所に籠城するか。
そこを誰も足を踏み入れることのできない罠の巣窟にすることも可能だ。
そして、静かになにもせず葛西が自分を見つけるのを待つか。
どこか適当な場所に籠城するか。
そこを誰も足を踏み入れることのできない罠の巣窟にすることも可能だ。
そして、静かになにもせず葛西が自分を見つけるのを待つか。
それこそ、まさかである。
人事を尽くさず天命を待つ愚か者など、暮葉が最も嫌う人種である。
もっとも、彼が嫌いな人間は他にも沢山いるのだけれども。
人事を尽くさず天命を待つ愚か者など、暮葉が最も嫌う人種である。
もっとも、彼が嫌いな人間は他にも沢山いるのだけれども。
それに個人の矜持か、あるいは首輪の強迫観念か、殺し合いに乗る人間は少なからず出るだろう。
動かずにいて、無駄に死者を出すのも寝覚めが悪い。
動かずにいて、無駄に死者を出すのも寝覚めが悪い。
「しかし…………」
ここに来て初めて暮葉は大きく溜息をついた。
名探偵の頭を悩ませるのは凶悪犯や、難解なトリックよりも度し難い難敵だ。
名探偵の頭を悩ませるのは凶悪犯や、難解なトリックよりも度し難い難敵だ。
「……またタダ働き、か」
当然のことながら、場当たり的に事件に巻き込まれても儲けは出ない。
まぁ警察から謝礼くらいは出る事を期待しよう。
まぁ警察から謝礼くらいは出る事を期待しよう。
最後に、自分がこの手紙を書いた張本人であるという可能性について考える。
もし自分がこの手紙の事実を何らかの方法で知ったのならばどうするのか?
もし自分がこの手紙の事実を何らかの方法で知ったのならばどうするのか?
決まってる。
自分がやるなら、こんな下手なやり方はしない。
もっとうまく世界を選別してやるさ。
自分がやるなら、こんな下手なやり方はしない。
もっとうまく世界を選別してやるさ。
【一日目・深夜/D-3 洞窟】
18:刑事(デカ)の靴 | 時系列順 | 20:教祖の代償 |
18:刑事(デカ)の靴 | 投下順 | 20:教祖の代償 |
桜井 暮葉 | :[[]] |