その傾向 | 職業としての『騎士』の自覚が薄い彼は、まずなにより、自分と仲の良い党首に仕えることを望む。 次いで王道を重視するが、そのような細かいことは考慮に入れずとも、幼い頃からの遊び友達に誘われれば、ついていってしまうであろう。 |
得意な領地 | 彼が得意とする領地は、宰相に引き取られ育ったアルジャンである。 もし宰相に対し、何か行動をさせるなら、有効な手駒となってくれることだろう。 逆に、宰相に雇用されている場合は、最後の難関として、前に立ちふさがるかもしれない。 |
いかに戦うか1 | なんと彼は、『試練』に臨むまで、決闘を行ったことがなく、誰かを傷つけたことがない。そのため、練習時点での未確定情報でしかないことを、あらかじめお断りさせていただく。 彼の剣の師匠はヴァルターであり、よって、ヴァルターの剣筋を見切れば、彼の剣筋も見切れることになるはずだ。 |
いかに戦うか2 | 決闘を行ってからの情報が乏しいので、あくまで推測ではあるが、ほぼ間違いなく、彼は突撃と反撃を繰り返す戦術を採るだろう。 この法則さえ見切ってしまえば、さほどおそろしい相手ではないはずだ。 とはいえ実力は未知数、もしかすると決闘をこなすうちに化ける可能性も否定できない。 |
過去の経歴 | 宰相ディクトールの遠縁に当る。 王女と同年齢で幼馴染だったため、彼女の一番の遊び相手であった。 12歳の頃、宰相領のアルジャンに引き取られ、騎士としての剣術や作法を身につける。そのことから、ディクトールは彼を後継者として考えているのではないかと噂されている。 |
騎士道 | 各地を冒険し、偉大な主君に仕え、弱者を助け、凶漢や闇の者を撃退し、決闘に勝利する。 礼節にこそ欠けるものの、アストラッドは若手騎士の中で、最も騎士道を体現する少年である。 「天然って言いますのよ、ああいうのは」 とは、とある侍女の言葉であるが。 |
走り出したら | アストラッドは、一箇所にじっとしていることができない。走りまわり、花壇を荒らし、女官たちはきりきり舞い。しかし城の人々は、彼を暖かく迎え入れる……。 「あの騎士様のせいで洗濯物がめちゃくちゃよ!」 「まーたつまみ食い!」 「走るなー!」 そうでもないようだ。 |
ハチマン | 「ゲイシャ、ハラキリ、イトイヤマ」の3つの単語で知られる極東の国、ハチマン。聖騎士シュウの出身国とも言われている。 冒険者グイードによれば、「すべてが黄金でできていて、子供は黄金のボールを蹴り飛ばして遊んでいる」とのこと。 我々には、時折流入する極東の産品から、黄金の国に思いを馳せるしかできない。 |
聖騎士シュウ | 独特の曲刀を使ったという戦士。最近の研究により、ハチマンの名刀『悲しみの歌』である可能性が高まってきている。 剣技ではかの剣聖アンリに劣るが、持ち前の熱情で悪に立ち向かい、騎士王を助けた。 晩年の彼は、協会員のひとりとなり、仮面をかぶって姿を消したと伝えられる。 |
その傾向 | 『闇の者』とは、人間以外の複数の種族の総称であり、複数種族を抱合するマインハイムの執政であったディトリッシュは、強い規律で民衆を押さえ込むことこそが支配者の絶対条件であると信じている。 故に彼は社会を最も評価する。逆に、『闇』を否定する協会を忌み嫌っており、協会に依存する領主には仕えようとはしない。 |
得意な領地 | ディトリッシュは、執政だっただけあって、マンハイムでの人気が非常に高く、彼を世話する民衆に事欠かない。 しかし、マンハイムでの相手といえば、やはりマンハイムの支配者たる黒貴族である。決してディトリッシュに有利となる条件ではない。 |
いかに戦うか1 | 『闇の者』の血を受け継ぐディトリッシュは、他の『闇』と同様、強力な戦士である。 彼の戦い方は黒貴族の戦い方と共通するところがある。 しばらく相手の出方をうかがった後、鋭い一撃を相手に喰らわせるのである。 |
いかに戦うか2 | 彼は、最初の2手は反撃態勢をとり、相手がひるんだところで突撃、強力な一撃を与える戦術を得意とする。 なお、この戦い方は、黒曜城の番人のひとり、悠久のリードが用いる『オグル戦闘術』が元となっているという。 名前の通り、本来はオグル鬼の用いる捨て身の戦法であるが、ディトリッシュはその才能を活かし、自分なりにアレンジして用いる。 |
過去の経歴 | 物心ついた頃から、彼は侍女兼家庭教師のシーナから、黒貴族の跡継ぎとなるべく、あらゆる学問を叩き込まれた。 12歳の頃には、すでにマンハイムの執政として、複数の種族が住む彼の地の政治を執り行っていたことが確認されている。 |
最果てのマンハイム | 『闇の者』と一口に言っても、実質上は多種族から成る。 彼らが押し込められているマンハイムの地は、故に大小の抗争が頻発しやすい、極めて政情の不安定な地域だ。 黒貴族の後ろ盾があるとはいえ、彼の地を何事もなく統治していたディトリッシュの政治的手腕は、評価されていいものだろう。 |
『闇の者』 | 協会によれば、『闇の者』は、堕落した始原の人間たちが変異したものとしている。 だが、当の『闇の者』たちは、自分達が『贖罪の使徒テラリン』の眷属であると信じている。 種族はさまざまであるが、彼らに共通する弱点として、コーバル水晶が挙げられる。 |
カナリアの歌 | カナリアは歌をうたう いつまでも歌をうたう もしうたえなくなったなら カナリアはパパに捨てられる ディトリッシュが6歳の頃、ノートの切れ端に書き留めたという詩である。 |
父親の手 | 吸血鬼である父親の手には、ぬくもりがなく、とてもひんやりと冷たい。 彼は、その手に触れられることを恐れもする一方で、触れられたいと感じる。 父は、彼に遺された、唯一の肉親なのだから。 |
母親の顔 | 黒貴族と人間の女との間に生まれた、と教えられているものの、実際には、彼は母親の顔を知らない。 彼にとっての母親は、家庭教師のシーナである。 ディトリッシュの母親は、どこかに生きているのだろうか……? |
聖騎士アンリ | 剣匠アルエから剣を学び、『剣聖』とまで呼ばれた聖騎士。魔剣『アルマンス』を振るい、黒貴族の部下を虐殺したという。 その面貌は女よりも美しいと評された。 刹那的かつ享楽的な性格で、何人もの女をとっかえひっかえした。 彼は年若くして、愛人のベッドの中で殺されることになる。 |
その傾向 | 騎士ヴァルターは、見た目のきらびやかさよりも、平民がどれだけ楽な暮らしをしているかを重んじる。これは彼が、平民と酒の席を囲むことが多いからであろう。 よって、彼に党首として好かれたければ、社会と経済を重視すべきである。 |
得意な領地 | ヴァルターが得意とする領地は、西のレメディオスである。 彼の出身地であり、親族も多いため、彼を助ける者も多く、身を休めるに適した場所も心得ているらしい。 |
いかに戦うか1 | 『紅の獅子』の実力をいまさらどうこう言うのは、それこそ野暮というものであろう。 彼は、少なくとも決闘においては、ターブルロンド最強の実力と誇る。彼と槍を交えること自体が、一種の名誉と思われるほどである。 戦術などお構いなしに、誰とぶつけても勝利を得ることができよう。 |
いかに戦うか2 | 彼の戦術はいてってシンプル、突撃と反撃を繰り返すだけである。 とはいえ、この戦術は、馬上槍の腕に対する絶対な自信があってこそ。彼の戦術を見切ったところで、打ち勝つのは相当難しいと考えていいだろう。 |
過去の経歴 | シルヴェストル将軍の下、『紅の獅子』の名で山賊に恐れられた彼は、その異名の通りに獅子奮迅の働きを以って敵に対峙した。 先王レーギス陛下の配下の中では、シルヴェストル将軍、闇討ちされたキュヴィエを除けば、彼が最も腕の立つ騎士であり、若い兵士たちに慕われている。 |
酒場で豪遊 | 王都イシュメールの酒場『首吊り亭』からは、昼夜問わず騎士ヴァルターの声が聞こえてくる。 うれしい時、悲しい時、生きていけばいろいろある。楽しいことは共有し、悲しいことはみんなで分割する。それができるのは、酒があるからだ。ヴァルターの持論である。 今日も酒場から、彼を慕う兵士たちの喧騒が聞こえてくる。 |
頬の傷 | 彼が妻を娶っていたことは、意外と知られていない。 誰もが幸せな結婚生活を送っているように考えていたのだが、ある日を境に妻は失踪。ヴァルターの頬には、大きな傷が残されていた。 以来、彼は異性を寄せつけなくなる。 彼は、その傷について、何も語ろうとしない。 |
レメディオスの騎士 | ヴァルターはレメディオス領主家の遠縁であり、先領主夫妻とも、それぞれ血縁があった。 レメディオスの人間はどこかしら血気盛んな部分があり、今のヴァルターにもそれが垣間見える。 もっとも若い頃の彼は、比べ物にならないほどすごかった、という話も聞かれる。 |
その傾向 | 聖騎士ウラジミールの血を継ぎ、かつては自身も芸術家として身を立てようとしていた彼は、やはり芸術に投資する党首を好む。 しかし、芸術を捨てて騎士を目指した彼は、栄華だけでなく、民衆を守る社会に関しても重視する。 とはいえ、美しい貴婦人に贈物をされれば、雇用の申し出を断れないであろう。 |
得意な領地 | 現在彼はロザーンジュに居を構えているが、出身はベルジュロネットであるという。 領主一族と縁威関係にあるだけでなく、オベルジーヌ個人と深い親交があるとも噂されている。 工作するにも休むにも、慣れた土地である事に間違いないだろう。 |
いかに戦うか1 | 彼には、利き手に傷を負っているという噂が流れている。そのため、彼の一番の武器は、剣よりも弁舌であると考えるべきだろう。 とはいえ、彼も名のある騎士、決闘に出場させれば、オベルジーヌほどではないにせよ、それなりの試合をみせてくれることだろう。 |
いかに戦うか2 | 彼は、お遊びではあるが、幼少期にオベルジーヌと何回か剣を交えている。 そのせいか、エヴァンジルとオベルジーヌの戦術には、似たところがある。 最初は陽動で敵を引きつけ、舞うように相手に突撃するのである。 |
過去の経歴 | 聖騎士ウラジミールの直系……の分家の出。 本家の騎士オベルジーヌと共に育つ。少年時代は、オベルジーヌの従士をして禄を食んだ。 やがて年頃になると、遍歴騎士として自立、王国の各地を旅してまわる。 彼の一番の武器は、剣ではなく、弁論術である。 |
本家と分家 | エヴァンジルの祖父マルタンは、放蕩三昧のあまり、財産を館ごと売り払ってしまった。 本家は、分家を援助すると申し出たが、分家はこれを拒否、困窮にあえぎながらも、騎士の家系としての面目を保ち続けた。 少年時代のエヴァンジルの一番の悩みは、自由になるカネがなかったことだった。 |
少年時代 | 少年時代のエヴァンジルは、オベルジーヌを実の兄弟のように愛していた。が、養ってもらうことだけは、騎士の家系の自尊心が許さなかった。 オベルジーヌは、エヴァンジルに対し、自分の従士になるように提案した。従士ならば、労働の対価として給金を渡していることになる。提案は快く受け入れられ、ふたりは仲良く暮らした。 |
オクタヴィア | 騎士王の妻である聖女オクタヴィアは、すべての淑女の手本とされる。美しく、貞淑で、慈悲の心にあふれている。我が国の人間で、『乙女の祈り』の説話を知らぬものはいない。 とはいえ、その資料は、騎士王のものと比べると、あまりに矛盾点が多い。学会での最新の意見では、複数の女性像の寄せ集めだという説が大半を占めている。 |
宮廷画家シアーズ | 第5代国王ロベルトの宮廷画家シアーズが描いたオクタヴィアの3枚の肖像は、極めて高値で取引されているが、そのうちの2枚が国境を越え、ブエンディアに流出している。 エヴァンジルは、祖父の遺した最後の1枚を見て、あまりの美しさに衝撃を受けた。 絵を通し、シアーズの心を向き合っているような錯覚を覚えた。 |
絵描きになるには | オクタヴィアの肖像に胸を打たれたエヴァンジルは、余暇を利用して絵を描き始める。 彼は心の中をキャンバスにぶちまけた。理解してくれたのはオベルジーヌくらいのものだったが、それでも絵を描くのは楽しかった。 やがて、二束三文ではあったが、絵も売れるようになった。人生は順風満帆であるかのように思えた。 |
優秀な生徒 | 彼は、とある領主の息子の家庭教師を一時期勤めていたことがある。 生徒の物覚えは早く、給金も十分で、趣味の絵を描く余裕も十分にあった。 しかし、生徒を襲った暗殺者を撃退した時、利き手に傷を負ってしまう。 剣を握ることはできても、繊細な作業を拒む傷。 いつしか、彼は絵を描かなくなっていた。 |
その傾向 | 名誉ある『朱盾』の家系に生まれ、家に誇りを持つエリオットは、党首に必要なものすべてを満遍なく評価する。 とはいえ、まだまだ子供、彼に個人的好意を寄せてくれる党首に、彼も好意を寄せる傾向にある。 |
得意な領地 | 『朱盾』の家はロクス・ウィリデスの郊外に建っている。 エリオットもそこで生まれ育ったのだ。 かの地は、『朱盾』の一門の庭とも言える。 領主一族をはじめとして、エリオットの力になってくれる者には事欠かない地なのだ。 |
いかに戦うか1 | 彼の戦い方は、騎士王の時代より『朱盾』に伝わる『薔薇のつぼみ』という闘法である。 その剣先を見ているうちに、相手は催眠状態に陥り、気がつけば、相手騎士の胸に、真っ赤な血の薔薇が咲いていることから名づけられた。 この、陽動を中心とした変幻自在の剣技が、わずか12歳の少年を、侮りがたい戦士へと変えている。 |
いかに戦うか2 | 『薔薇のつぼみ』闘法は、その名の通り、開花しない薔薇をイメージしている。 秘伝の闘法故に数少ない情報からの類推でしかないが、すなわち、最初の2手は陽動で相手をじらし、時折突撃で、触れる者に棘を刺すのである。 しかし、彼はまだ少年、体力に乏しいことには注意を払わねばならないだろう。 |
過去の経歴 | ロクス・ウィリデスの、聖騎士の直系たる『朱盾』の家に生まれる。 聖騎士の家系に誇りを持ち、聖騎士のような騎士になるため修行した。 今回の試練に参加したのは、自分の実力を国中に示す絶好の機会だと考えたということもあるが、それ以上に、年若き王女へ憧れているためである。 |
『朱盾』の家系 | 聖騎士の末裔と称する『朱盾』の家系だが、祖たる聖騎士は不明とされている。 いくら家系が錯綜しているこの国でも、少々不自然であり、ゆえに『朱盾』の正当性を疑うものもある。 だが、『朱盾』が名家たる理由は、その血筋ではなく、門下の者達の優秀さだ。 二百年間で積み上げた実績の前に、多少の疑念は消えるのだ。 |
『朱盾』の過去 | 『朱盾』の歴史で、功績を数え上げれば限りがない。 戦場での功績は星の数ほどもあり、二度目の黒貴族復活を一門総出で食い止めたこともある。 『朱盾』の遠縁だった名も無き娘でさえ、王を狙う暗殺者の矢を、我が身を盾とする事で受け止めたという、壮絶な記録が残る。 |
血塗られた盾 | 勝ち取った手柄により、多大な財産を有する『朱盾』の家系だが、幸福とは言いがたい。 手柄を得に行く代償に、多くの者が早死にし、老いては体を壊す者も多いらしい。 現当主エリオットが幼いのも、先代が早く引退したからである。 『朱盾』の栄華はその色のままに、家人の血で購われているのだ。 |
聖騎士フョードル | 魔法の剣『白夜』を愛用した聖騎士。 彼は心優しい聖騎士であり、殺される『闇』にも同情してしまった。聖騎士たちによる『闇』の殺害を論理化するため、「一つの微細な罪悪は百の善行に償われる」と考えるに至る。 しかし、その心の隙を黒貴族につけ入られ、黒貴族の虜となってしまった。 |
その傾向 | 小国グラニの王子である彼は、まず支配者である条件として、「力強いというイメージ」、つまり覇道と栄華を重んじている。この考え方は、彼が革命によって国を追放されたことに由来している。 また、彼は、自分が我が国と完全に同化できていないことに不安を感じている。個人的に仲良くすることが、彼に好かれる一番の近道だろう。 |
得意な領地 | 幼い頃、外国グラニからやってきた彼は、人生の大半をロザーンジュで過ごしている。 というよりも王城の外には殆ど出ていない。 ゆえにロザーンジュを得意としているが、これはむしろ他の土地では不案内で、本来の力を発揮できない……と考えるべきだろう。 |
いかに戦うか1 | すぐ誰とも友達になれるアストラッドと、誰にも本心を打ち明けられないイリヤ。 意外なことに、彼らの戦い方はそっくりである。 もしかしたら、イリヤの本心が、戦い方に表れているのかもしれない。 彼自身は、武力が高く、かなり腕の立つ騎士である。 |
いかに戦うか2 | 彼は、その性格と裏腹に、突撃と反撃を繰り返すという、わかりやすい戦術を好む。 実を言うと彼は、『試練』が始まるまでに、誰かに剣を習ったことがなく、我流のものである。 故に彼は、込み入った戦い方ができないのである。 |
過去の経歴 | 十年以上前のこと。 ターブルロンドの東、諸国連合の一国グラニで革命が起きた。 イリヤは、革命の嵐吹き荒れるグラニから亡命してきた王子である。現在、グラニは協会により統治されている。 革命の日以来、イリヤは、グラニを取り戻すため、遍歴騎士としてターブルロンドの各地を旅し、修行に明け暮れている。 |
イリヤの家族 | イリヤの家族は、祖国の争乱の際にバラバラになった。 父や母、一番上の兄は殺されたが、弟妹達は別の異国に亡命していたり、行方不明のままの者もいる。 もっともイリヤは、彼らとの再会を半ばあきらめているようだ。 |
従士ハウゼン | ゲルツェンの智将ルドルフがグラニへ侵攻した時、「この小国に竜が住んでいようとは」とうめくと、退却の命令を下した。竜とは、グラニの烈将ハウゼンである。 智将ルドルフを退却せしめた男も、いまや亡国の王子イリヤの世話役に過ぎない。 時間の流れとは、かくも無常なものなのか。 |
弟と兄 | 祖国にいた頃のイリヤには兄弟が多く、互いの仲は良好だったようだ。その頃のイリヤは、素直な子供だったとも言われている。 特にすぐ下の弟であるキリル王子とは仲が良かったようだが、現在キリル王子は行方不明である。 |
その傾向 | 王子の親衛騎士であったヴァンは、主従間において、個人的な信頼関係こそが重要であると考えている。 よって、彼は親睦を最も重視する。 他には、社会と王道を高く評価する。 彼にとって騎士の一番の務めは、騎士道の遵守であるからだ。 |
得意な領地 | 王子の身を守ることを第一に考えてきた彼は、王子がよく出歩いたロザーンジュ各地の土地柄を、よく調べ上げ、理解している。 その知識は王の試練においても役立つだろう。本人にその意識があるかどうかはともかくとして。 |
いかに戦うか1 | 彼のあだ名は『牛』。 彼の戦術に関しては、このあだ名が如実に表しているので、割愛する。 彼は、並の人狼を上回るほどの体力を備えてはいるものの、剣の腕に長けているわけではなく、決闘において優れた騎士とは言いきれない。 彼の職務はあくまで、王子の護衛なのである。 |
いかに戦うか2 | 彼の戦術書にはただひとつの言葉しか刻まれていない。 「突撃」である。 とにかく突撃する。 ただひたすらに突撃する。 相手が練習用の木人であろうと突撃する。 「牛」と呼ばれる理由がおわかりいただけたであろうか? |
過去の経歴 | フィーリウス王子に剣を捧げ、彼の親衛騎士として勤めてきた。 『試練』開始の一ヶ月前、ヴァンの非番の日に、王子は突如として姿を消す。 ヴァンは『王子の騎士』という立場にこだわり、王家の騎士になろうとせず、遍歴騎士の身に甘んじている。 |
猛牛 | 騎士ヴァルターが『紅の獅子』ならば、ヴァンは『猛牛』と呼び習わされる。 とはいえ、ヴァルターほど名誉ある称号ではなく、単にヴァンが、牛のように視野が狭く、物事の裏を読み取る頭がないためである。 ヴァン自身は、自分が魔獣ゴルゴンゾーラの如く強いから『猛牛』と呼ばれているのだろう、と考えている。 |
魔獣ゴルゴンゾーラ | 深き水に潜む闇 吼えたける牙 人類以前、否、黒貴族以前に栄えたとされる、伝説の古代種。 それが、青銅の雄牛、ゴルゴンゾーラである。 角の一突きで人狼をも貫き、吐き出される猛毒の息は、相手を石にしてしまうという。 滅びたと言われるが、それを見たという噂は後を絶たない。 |
アルギースの翼 | 東方から戻ってきた旅人たちの間で、囁かれている噂がある。 ――新たな魔王が、誕生した。 そして、超越者に選ばれたひとりの勇者が、魔王を倒す冒険の旅に出ているのだという。 噂が本当ならば、30年前の黒貴族の復活は、魔王降臨の予兆でしかなかったのだろうか。 |
その傾向 | 人狼である彼は、『闇』を否定する教会に対し、いい感情を抱いておらず、よって教会に依存する党首への評価は厳しい。 それを除けば、覇道を編重するきらいはあるものの、満遍なく評価する。 |
得意な領地 | 人狼である彼は、人工的な都市よりも、緑の多い土地を好むようである。 グリューネベルクは、その名の通り、鬱蒼と茂るペレリンの森に囲まれており、オーロフの好みと合致する土地である。 なお、彼が遍歴騎士の時は、グリューネベルク近辺で目撃されることが多い。北部領主に挑む際は注意することである。 |
いかに戦うか1 | 人狼の本領は、一対多の白兵戦である。 対して馬上槍試合では、最大の武器である爪と牙が使えないため、彼の本領を発揮できない。 とはいえ、並外れた人狼のタフネスや筋力だけでも財産と言える。 彼は、偏りなく、どの戦法も満遍なく使用する。これは、彼の師である亡父が、優秀な騎士であり教師である証明といえよう。 |
いかに戦うか2 | 槍の腕だけ見れば一流とは言えないものの、そのありあまる体力で武力を補っている。 体力に自信がある彼はまず、突撃で相手に激しく突きかかる。 相手が守勢にまわった次手では、彼の外見に似合わぬ陽動戦法を用い、相手を撹乱するのである。 |
過去の経歴 | 地図にも載らない小さな領地アガシの、領主の家に生まれる。 両親が強盗によって殺害されてからは、領地を教会に預け、彼自身は遍歴の騎士となる。 ゆくゆくは、父親のように立派な騎士となるのが夢であるそうだ。 |
母親 | 人狼として生まれたが故に、周囲の子供たちとはそりが合わなかった。 彼を忍耐強く導いたのは、母親だった。母はオーロフに、草花を愛で、隣人を愛せと教えた。 おかげでオーロフは、立派な騎士として育った。 とはいえ、人づき合いが苦手なのは相変わらずであるが。 |
吸血ニンジンの恐怖 | オーロフのニンジン嫌いには、理由がある。 母親が、近所の八百屋の大安売りで大量に買い込んできたニンジン。その中に、吸血ニンジンが紛れ込んでいたのだ。 吸血ニンジンは野菜怪物の一種であり、牙で噛みつくと、血を吸い取る。父キュヴィエが駆けつけなければ、子供のオーロフは危うくニンジンに殺されるところであったのだ。 |
ウサギ大好き? | ニンジン嫌いのオーロフは、宿舎でニンジン料理が出ると、当然残す。が、寮長がそれを許さない。 オーロフは一計を講じた。残したニンジンを袋に詰め、郊外のウサギに食べさせよう、と。 作戦を実行するうちに、オーロフはウサギになつかれてしまった。多い日では、10羽以上のウサギに取り囲まれるという。 |
人狼の末路 | 彼の両親は、館を襲撃した強盗たちによって殺されてしまった。 金銀財宝は奪い尽くされ、館には火が放たれ、人狼もならず者も区別がつかないくらいに焼け焦げていたという。 『闇』を嫌った宰相ディクトールが、差別主義者たちをけしかけたとも言われているが、真相は不明。 |
騎士キュヴィエ | オーロフの父キュヴィエは、先王レーギスの懐刀として重用された。 忌み嫌われている『闇』の彼が、騎士叙勲を得られたことからも、彼がいかに有能であったかが推察できよう。 武器や状況を問わず、彼に勝てる騎士はいなかったというが、さすがの彼も、火に囲まれた館で、大量の強盗をひとりで倒すことはできなかったようだ。 |
その傾向 | 広大な異国で生まれた母の影響を多分に受けている彼は、騎士とは、各地を冒険してまわるものだと考えている。 よって、政治全般に関しては、興味がないのか、満遍なく評価する傾向にある。 その中で、彼が最も重要視するのは、主従間の親睦である。なぜなら、冒険とは主人に捧げられるものだからである。 |
得意な領地 | 彼が最も工作を得意とする土地は、ミルトンである。 ターブルロンドの海の玄関口はサンミリオンだが、陸の玄関口は、その隣のミルトン及びアルジャンである。 彼の両親の、ターブルロンドでの家はミルトンにあり、一年のうち半分をミルトンで過ごすのである。 |
いかに戦うか1 | ザカートは、バランスの取れた騎士である。 弁舌にもそれなりに長けるし、決闘を行わせれば、やはりそれなりの結果を収める。暴動の鎮圧にも使いやすいし、探索させればそれなりの物を発見してくれるだろう。 とはいえ、決闘に自信のある相手には勝てないし、工作もそれほど効果を挙げるというわけではない。 |
いかに戦うか2 | イスティグファールの剣士は気性が荒く、ナイフを持てばまっすぐ突っかかってくるような男が多い。 そうした相手に対処するためだろうか、初手はまず反撃体勢を採って、相手の突撃をいなそうとする。 相手が尻込みして陽動戦法を採ると、改めて突撃し、敵を粉砕するのである。 |
過去の経歴 | 冒険家として知られる騎士シオの息子。母に、イスティグファールの貴族の娘ファーティマを持つ。 父に伴われ、我が国とイスティグファールを往復、両国の言語と文化を身につける。 自身も大変な冒険家であり、イスティグファールの広大なタルケン砂漠を一人で踏破した実績を持つ。 |
イスティグファール | グラニなどの集まる諸国連合よりさらに東、砂漠の真っ只中にイスティグファールは存在する。 砂漠の国というと、いかにも不毛であるようだが、実情はまったく違う。 東西を結ぶ、行商による交易の中心地であり、この国から見れば、ターブルロンドは辺境の一王国でしかないのである。 |
憤怒のオズワルド | 見た目は愛くるしいウサギだが、その正体は、鋭くとがった犬歯を持ち、相手の首を刎ねる『闇』、ヴォーパル兎である。 憤怒のオズワルトは、60年前、人間の強盗に両親を殺されており、欲深な人間を一人でも多く殺すことを望んでいる。 |
香水 | イスティグファールの人間は、きれい好きである。我が国の人間が、3日に一度水浴びをすればいい方であるのに対し、彼らは「体を清める」という行為を、日常における神聖な儀式の一環として考えている。 彼の国では、男女問わず香水が好まれる。 『清め』の思想と少なからず関係があるのだろう。 |
ザネ・カナート | 『水の巫女』という意味を持つ杖。聖騎士ガルシアが、荒涼とした山地にこの杖を突き立てると、水がこんこんと湧き出した。 水は西へと流れ出し、以来、西の地方はベルジュロネット(鶺鴒の意)と呼ばれるようになったのである。 水だけでなく、さまざまな宝を見つけ出す力を備えている。 |
エレンディラ | 魔術師と呼ばれた聖騎士ガルシアが作り出した、意志のある槍(伝承によっては剣とも)。 女の人格を備えているらしいが、ガルシアの恋人の霊魂がこの槍に備わっている、という説もある。 戦いの際はひとりでに動き、戦いを苦手としたガルシアをサポートしたと言われている。 |
アナランドの王冠 | 海の彼方アナランドから渡ってきたという王冠。着用者に深い叡智とカリスマを与えるといわれ、騎士王の戴冠式に使われた。 だが、騎士王は、この冠の力を使用しなかったと言われている。 力に頼った統治をすれば、冠がなくなった時、国は自ずと崩壊するであろうからだ。 |
ラピスエクシリス | 騎士王の血を受けた聖杯であると伝えられており、この杯で水を飲めば、永遠の若さを手にすることが可能といわれる。 聖騎士ガルシアは、この聖杯を『最も信頼できる相手』に預けたあと、一筋の光条となり、生きたままシジェルの園へ消えていったという。 |
セミラミス | 空中庭園の主、女帝セミラミスは、夫を殺し、国を我が物とした。 彼女は見目麗しい隣国の将軍を婿にしようとするが、実はその将軍、彼女の生き別れの息子であった……。 『セミラミス』は古い戯曲であるが、そのモデルは、イスティグファールに実在した女王セミラーミデである。 ただし、彼女の空中庭園が実在した証拠はない。 |
ルフ鳥 | ルフが空飛び 街が吹き飛ぶ イスティグファールの古謡である。ルフ鳥は、翼を広げれば王宮3件分もある怪鳥として知られており、イスティグファールの首都マナートには、1枚でオグルの背丈ほどもあるルフの羽が飾られている。 ここ百年間、ルフの目撃例はない。 |
その傾向 | 肺病をわずらい、体力的に脆弱な彼は、当然と言うべきか、党首に福祉政策を望む。 すなわち、安定した社会と、協会の技術を重視する。 その他に関しては、満遍なく評価する。 とはいえ彼は、自分の居場所というものに、特に拘りがないようで、雇用は比較的容易である。 |
得意な領地 | 病弱な彼は、協会の技術に頼らないと明言していながらも、心のどこかでは協会に依存しているらしい。 よって、彼の最も好む領地は、ターブルロンドにおける協会直轄領ブラッドベリーである。 だが、ご存知の通り、ブラッドベリーで工作が行われる可能性はないと断言してよく、ユークレースに安住の地はないのかもしれない。 |
いかに戦うか1 | かの『紅の獅子』が、自分を上回る腕を持つ騎士として、ユークレースの名を挙げている。 確かにユークレースは、剣の腕だけ見ても、また弁舌においても最高クラスの実力を持ち、圧倒的な武力の差で勝てる相手ならば、無傷で勝利することも可能である。 彼は自身の脆弱さを隠すため、さまざまな戦法を複雑に用いる。 |
いかに戦うか2 | 自分の傷を恐れる彼は、まず反撃態勢で相手の突撃を確実にかわし、ひるんだ相手を陽動、確実に相手に勝とうとする。 この2手で勝てなければ、考えられる限りの戦法を複雑に用い、相手の攻撃をかわそうとする。 芸達者な彼の弱点は体力。武力は元より、体力で上回っていなければ、勝つのは難しいだろう。 |
過去の経歴 | ロクス・ウィリデスの領主一族の第二子として生まれる。 聡明で剣術にも優れ、当初は領主の地位を継ぐはずであったが、難病を患い、辞退。 現在は遍歴騎士として、病を癒す手段を求め、旅を続ける。 しかし何かあてがあるわけではないようだ。 |
天賦の才 | ロクス・ウィリデスの領主一族は、聖騎士ヘルマンの分家筋と言われ、皆武芸に優れる。 しかしユークレースはごく幼い頃からその腕前を発揮し、年上の兄をもやすやすと倒す天才であった。 病を得なければ、文句無く、国内最強となったであろう。 |
多芸の騎士 | 武芸の名手として知られる彼だが、彼自身の趣味はもっと広い。 絵や彫刻についても、自ら作りはしないが、ちょっとした見識があるようだ。 というよりも、そちらの趣味が本来の趣味であり、武芸の腕は彼が望まずして手にしてしまったに過ぎないのだろう。 |
料理の腕前 | 見ての通り食の細い彼だが、ロクス・ウィリデスの食事は大味で、量が無闇に多いため、幼少時の食事には苦労したらしい。 そのためいつしか彼は、自分の食事を自分で作りはじめ、いまや料理人顔負けの腕前らしい。 |