今から遡ること3週間前…
アイスキングと彼と戦っていた
フィンと
ジェイクは、アイス王国領内で消息を断ったという。
プリンセス・バブルガムは持ち前の科学機器を駆使し、ようやく彼らが“
氷の洞窟”にいることを突き止めた。フィンたちを救出する目途が立ち余裕すら見せるバブルガムに対し、お供の
レディ・レイニコーンは「ジェイクが心配…」「最近悪い夢ばかり見る」と不安を隠せないでいる。「私たちには科学の力がついているわ」となんとかレディを安心させたバブルガムは、レディに跨り氷の洞窟へと向かった。
洞窟開口部を通る途中、フィンから発信されているGPS信号の受信機の電波障害に気付いたバブルガムは、
心拍モニターによる探査に切り替えた。なぜか小さな5つの生命反応が出たため、誤作動と思ったバブルガムは軽くモニターを叩いて修正。その先にある開閉する門…妙に有機的な動きをしている…を通過すると、視界の悪い暗い空間が広がっていた。細い柱のような管のようなものが密集している中を注意深く進む二人。すると突然、手に触られるような感触を感じたかと思うと、無数の“手”に取り囲まれてしまっているのに気付いた…管の正体はこの触手だったのだ。
動きを封じられ、助けを求めるレディ。バブルガムはすかさず科学兵器“
ボールブラム・バーグラーバー”を発射。弾丸の広域爆発で触手の一部は吹き飛んだが、死角から這い出してきた触手に武器の入った荷物を奪われてしまった。交戦を断念した二人は急いで後退、触手に追いつめられる寸前でレディが壁をすり抜け、なんとか難を逃れたのだった…。逃れた先の空間を進む二人は、排気口からアイスキングの声を聞きつけた。3つの生命反応を示すモニターの状況から察するに、声のする方に行けばフィンたちがいるはず。声を頼りに排気ダクトの中へ。
バブルガムとレディ、キングの声がする排気口の奥へ…
モニターに従い、分岐を迷わず進もうとしたその時…巨大な“舌”状のものが別方向から襲ってきた。間一髪で回避した二人は逃げるようにダクトを進んでいき、下に開いた穴を抜ける。すると、大きく開けた奇妙な空間。その中央に差し掛かった二人を待っていたのは、壁に浮かんだ無数の“目”によるレーザー攻撃。レディは懸命に避けようとしたがレーザーを受けてしまい、バブルガムを放り出して倒れてしまった。無数の目は閉じ、訪問者を招き入れるかのように奥の扉が開いた。
「私に構わず、先へ…。」力尽きつつバブルガムに語りかけるレディ。バブルガムはレディを背負い、扉の向こう側へと進む。モニターの反応は確実にフィンたちに近づいている…と思った瞬間、何かに足をつまづいたバブルガム。見るとそこには…胸部に穴があいたアイスキングが倒れていたのだった。それに気付いたと同時に「ようこそ、プリンセス」という聞き覚えのある声。その主はかつて
バブルガムのハートを奪おうとした男、
リカルディオ。昏睡する毒物・
ザノイツで眠らせたフィンたちを放り投げ、「貴方の全てをいただく」とバブルガムに詰め寄るリカルディオ。明るみになったそのボディには、有機的に結合された大きな“腕”と“足”。……洞窟の途中度々遭遇した生き物の部位は、彼がアイスキングから採取した細胞から持ち前の科学知識を駆使して作り出した“生物兵器”だったのである。
「私たちはようやく結ばれるのだ…!」気持ち悪さに怯むバブルガムを肉の壁に追いつめるリカルディオ。だが、バブルガムは冷静に彼を観察した後、「貴方の妻になります…私を素手で倒せたら!」と言い放ち、一か八かの格闘勝負に持ち込もうとした。先制の顔面パンチを食らわせ距離をとったバブルガムは、リカルディオの大振りの攻撃を避けつつスキを見て腕を取り、接合管の露出した関節部を引きちぎった。たちまちバランスを崩し倒れるリカルディオの顔を足蹴にし、今度は足の関節部を引きちぎった。「あんたを喜ばせたかったんだ…」などと言い訳がましくつぶやくリカルディオ、その声に無慈悲な捨て台詞で応えたバブルガムに、もがれた足を顔面に食らわされ、残った手足で力なく立ち去っていくのだった……。
……それから数日後の
キャンディ王国の病棟で、フィンたちは目を覚ました。フィンは、自分がザノイツで昏睡してからの出来事全てをバブルガムから聞いた。ついでにハートを修復され、ハートのマラカスをシャカシャカさせるいつものしょうもないアイスキングの姿も…。探索で傷ついたレディが目を覚まし、「もっと早く気付くべきだった」と謝るバブルガムに何やら言葉を返した後、ジェイクの元へ。そして…涙ぐむレディの口から発せられたのは、なんと「赤ちゃんが出来たの」という言葉。「俺が…パパ…」突然の告白に、びっくり仰天のジェイクだった…。