ヤマキンとレイちゃんの優しい?におくま講座
<八巻 勇(以下、八巻)>「というわけで、麗朱。はじめるか」
<来部 麗朱(以下、麗朱)>「な、なにがですか、先生? 唐突に?」
<八巻>「何って、きたるべき団子サミットに向けて、みんなのために用語解説を」
<麗朱>「―――で、それを何故私たちが?」
<八巻>「んー? 強いて言うなら、コラムの練習用?」
<麗朱>「一応言い訳はあるんですね」
<八巻>「まぁ、ぶっちゃけ思いつき。あと皆が読みやすかろうと思ったり思ってなかったり」
<麗朱>「ぶっちゃけないでください!」
<八巻>「というわけで、解説スタート」
<麗朱>「どういうわけですかー!!」
あらゆる種族が存在する『におくま』の世界観において、すべての種族が共存する上で必要とされた精神のひとつ。
あるがままのものを受け入れ、否定しないという精神。
言ってみれば、突然変異としてあらわれた北斗も、その精神によって生存を許され、存在を否定されなかった。
<八巻>「それでは、サブタイトルでもある≪ノーブラッド・ノークライ≫から行きます」
<麗朱>「そもそも、≪けっして否定しない≫の和訳じゃないですよね、絶対」
<八巻>「まずそれだが、英訳……というか、ルビに関してはフィーリングだ。誰かを傷つけず、泣かせないためには、否定しなきゃいいんでねーの? というところからライターが持ってきたそうな」
<麗朱>「モテナイ男の痛い妄想ですわね」
<八巻>「言ってやるな」
<麗朱>「それと先生。この精神って子供の考えですよね? うまく行くはずないでしょ」
<八巻>「ところがうまく行くんだなぁ、この世界では」
<麗朱>「どうしてです? 戦争も紛争も無い世界なんてあるわけないじゃないですか」
<八巻>「だってファンタジーげふんげふん……その戦争が無い世界観ってのは、完全に他SF作品からのオマージュだな。詳しく知りたい人はライターに聞いてみましょう。きっと本棚からとある本を出してきます」
<麗朱>「ひょっとして、それをあまり全面に出さないために?」
<八巻>「その通り。オマージュだとばれないために、あえて精神がどーたらとかいちゃもんつけて、戦争のない世界観を作り出したってこと」
<麗朱>「それと、この精神はもちろん本編にからんでくるんですよね?」
<八巻>「んー。読者へのテーマ的な問いかけと提示。その象徴としてはこういう単純な方が分かりやすいと思ったらしい」
<麗朱>「なるほど。それに関しては次の≪ゴー・バイ・ウェイ≫も?」
<八巻>「その通り。んじゃ、次行ってみましょう」
≪けっして否定しない≫だけでは覆い切れないところをカバーするための精神。
種族間の差異を受け入れ、認め、それでも異種族であれなんであれ、仲良くやっていきましょうという精神。
<八巻>「≪ゴー・バイ・ウェイ≫。これもルビに関しては、超てきとー。口当たりのよさで選んでます」
<麗朱>「そんな料理じゃないんだから。でも、これはまぁ、分かりやすいですね」
<八巻>「まぁねぇ。≪けっして否定しない≫が『誰も泣かすなよー』だったら、≪道筋に沿って≫は『仲良くしろよー』ってだけだし」
地底人が掲げた精神。過去に向かって邁進せよという大号令をもとに行われています。
用は先人(設定上でいう荒人、要するに地球人)たちの残した知識を掘り起こして、再利用してますよーということっす。
<八巻>「≪ネクスト・フォーミュラ≫。これもルビに関しては上と同じです」
<麗朱>「作品自体を現代風味にしたかったがために作り上げた設定ですね」
<八巻>「限りなく現代に近いSFっぽいけど、詰めが甘いのでファンタジーだからな、この話」
希少種の中で、最後の一人になってしまった者が無条件に選出される制度。
理由として、希少種は同種族間でしか子孫を残せないため、最終的には滅んでしまう種族もあるから。
その滅ぶことが確定した種族に与えられる温情。社会的に有利にもなったり、資金援助もでたり、結構ウハウハな制度。
<八巻>「≪ロスト・ワン≫。ルビに関しては以下略」
<麗朱>「ウハウハですけど、子供もできませんしねー」
<八巻>「まだ説明してないけど、養子を取る権利ももらえるぞ。この制度」
<麗朱>「へぇ」
<八巻>「あと、本編でこの制度に選ばれてるのは、“田村 麻耶”と“増木 里”の二名な」
<麗朱>「そこらへんのことも絡んで、麻耶さんは……」
<八巻>「紆余曲折を経ての、ゆがみですから」
<八巻>「ミミズ。これは現代でいう地下鉄だ。それがおんぼろになって土がむき出しになっちゃってんの」
<麗朱>「でも、なんでそこにテレビやらなんやら文明の利器が埋まってるんですか?」
<八巻>「裏事情を説明すると、そもそもこの世界にどうして地球人がいないのかってことになるんだが、彼らは地球に住めなくなったから逃げたんだ。宇宙に」
<麗朱>「へぇ」
<八巻>「まぁ、俺たちがその地球に新たに誕生した理由はさておき、宇宙に逃げる前の地球人たちは限りなく住みにくくなった地上を離れ、地下で生活してたのさ」
<麗朱>「えーと、じゃあ、そこら中に埋まってる文明の利器や書物とかは」
<八巻>「そのときの名残」
<麗朱>「それを掘り返して再利用するから」
<八巻>「≪来たるべき軌跡≫ってわけだ」
<八巻>「左から、ネズミ・ヘビ・ネコ。別段、地下に埋まってるものばっかりを再生させたわけでもないんですよね」
<麗朱>「名前が違うのはどうしてですか? 車はくるまでしょ?」
<八巻>「現実でも歴史掘り返して解明したー! ってなるけど、ソレって大抵憶測でしょ? だからこれは、その食い違いのあらわれ」
<麗朱>「で、あとは見た目ですか」
<八巻>「インスピ的にはそうかな? 車はちょろちょろ走るからネズミ。電車は細長いからヘビ」
<麗朱>「バスがネコなのは?」
<八巻>「ジブリ」
<八巻>「コモン。いっぱいいる種族のこと。地底人・水人・空人の三種類」
<麗朱>「多存種は異種族間の交配でも、子孫を残せるんですよね?」
<八巻>「残せるよー。生態系が近いから。ヨークシャーテリアとミニチュア・ダックスフントの違いって感じ?」
<麗朱>「それって生まれてきたとき、雑種になっちゃうんじゃ……?」
<八巻>「DNAの励起配列がどーたらこーたらして、染色体に影響することなく、偏りが大きいほうの種族に固定されます」
<麗朱>「専門っぽく書いてるようですごい逃げだ」
<八巻>「ファンタジーですから」
<八巻>「アンコモン。少ししかいない種族のこと。軟泥人種・形状記憶人種・半粒子人種・恐竜人種とか色々」
<麗朱>「本編にでてくる希少種はこの四つですか」
<八巻>「希少種が何故希少かは≪最後の人≫参照ということで」
<麗朱>「じゃあ、どうして異種族間の交配が不可能なんですか?」
<八巻>「生態系が違いすぎるから。犬と人の間に子供できないでしょ」
<麗朱>「神話の世界でならありです」
<八巻>「ミノタウロス(※1)のことかー!」
(※1)―――牛と人から生まれた子供、半牛半人。頭が牛で、体は人。すげぇ凶暴。神話に置いては迷宮ラビュリントスに閉じ込められる。勘違いする人が多いがヘラクレスではなく、英雄テセウスに倒される。
<八巻>「レア。ご存知、喜多 北斗くんのこと」
<麗朱>「でも、どうして北斗くんはレアなんですか? 種族を切り替えられたりとかの原理の説明は?」
<八巻>「ぶっちゃけ考えてないらしい。テーマ的に主人公はそれっぽい位置にしたほうがいいと思ったからしただけ」
<麗朱>「……………」
<八巻>「まー、ファンタジーですから」
最終更新:2008年03月29日 23:13