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ELE_LOAD

電子負荷装置の製作

モチベーション

  • スイッチング電源のレギュレーション評価
  • タカチのケース加工サービスの試用

仕様

項目
入力電力 200W
入力電圧 1-60V
入力電流 10A
制御モード CC/CR/CP
精度 目指せ0.1%
制御方式 アナログCC+デジタル制御
保護機能 過電流/過電圧/過熱/逆接続
冷却方式 強制空冷
H.I/F 20文字4行LCD,ロータリエンコーダ,タクトスイッチ
外部I/F 絶縁USB+PC上アプリ

スタンドアロンで動作できるように,インターフェースを設ける.
直流のみサポートする
逆極性の誤接続は,ダイオードで逆電流が流れないようにすることで保護する.
安全のため,ヒューズを内蔵する.ユーザによる交換は考慮しない.


web上の情報

電子負荷の自作はポピュラなジャンルであり,先輩諸氏が作例をアップしてくれている.
本件はほとんど,くろのす氏の作例の焼きましである.感謝.

設計

電力消費部

最大のポイントは200Wの放熱をどうやって実現するかである.
FETを能動領域で動作させることで負荷とする.
ごっついTO-247 TK31N60W>http://akizukidenshi.com/download/ds/toshiba/TK31N60W_datasheet_ja_20131226.pdf
でPdMAx230Wである.

周囲温度を30度,ドレイン損失200W,ジャンクション温度120度を前提にざっくり設計する.
ジャンクション-ケース熱抵抗はデータシートより0.543℃/Wなので,200Wを通すと,ジャンクション-ケース間温度差⊿T=108℃となる.この時点で成り立たないことがわかる.
成り立たせるには,損失を分散させることで,一石あたりの発熱を減らすことが必要である.

2パラで100Wずつ消費させる場合は,半分の⊿T=54℃となる.ジャンクション温度120℃制限のためには,ケース温度を66℃以下にしてやればよい.

ケース-放熱板間は放熱グリスを介すとして,0.4℃/Wとする.
ここに100W通すと⊿T=40℃となる.非常に大きな温度差が,ケースと放熱板表面間に生じる.

ケース温度66℃以下,放熱グリス間温度差40℃とすると,放熱板入り口温度は26℃となる.
周囲温度30℃としたので成り立たない(熱は高いところから低い方に向けてしか流れない).

成り立たせるには,更に並列数を増やす必要がある.
現実的には4パラが最低限必要である.
電子負荷_放熱設計.xls
4パラのFETを取り付け可能で,かつ,0.21℃/Wの放熱器を選定することにする.
□80の強制空冷ファン>https://www.micforg.co.jp/jp/c_fs80.html
の熱抵抗は0.21℃/Wである.
うーんちょっと余裕がない.ファンを使うと,経年による風量減少を考慮する必要がある.
□100以上は欲しいところ.

AliExpreeで良いサイズを発見
140x97x48 $9.5> https://ja.aliexpress.com/store/product/2pcs-heat-sink-6063-aluminum-radiator-97-48-140mm-LED-power-controller-heat-sink-Aluminum-radiator/837012_32815948601.html
これに□100程度のファンを付ければよさそうである.(Aliらしく,熱抵抗のグラフが無い)
□80ヒートシンク+強制空冷で0.21℃/Wなので,これより大きいこのヒートシンク+強制空冷なら,マージンを確保できそうである.
また,このヒートシンクはL字型なのがポイント.
ケースに取り付けしやすい.



検出部

電流FSを10Aとした.この電流をセンシングする方法を考える.
オーソドックスには
  • 電流検出抵抗の両端電圧を拾う方法
が考えられる.

抵抗を使う方法は10Aという大電流になると発熱がネック.電流の二乗が効いてくる.
10mΩという低抵抗であっても,10A時の損失は,1Wにもなる.
1Wもチップ抵抗に食わせると,部品温度の上昇が大きい.ケアしなければ50℃ぐらいはすぐだろう.
具体的なデータを見つけた>http://industrial.panasonic.com/cdbs/www-data/pdf/RDN0000/AOA0000C320.pdf


温度が上がると,抵抗値の温度ドリフトが気になる
金属薄膜タイプの温度係数は50ppm/℃程度なので,仮に50℃上がると,2500ppmアップとなる.つまり0.25%ドリフトする.この時点で8bit程度の精度しか期待できないことがわかる.
逆に考えると,0.1%精度を期待するなら,温度上昇を20度以下に抑える必要がある.これは簡単ではない.
10Aオーダーになってくると,チップ抵抗による高精度な電流検出は簡単にはできない.

温度ドリフトを下げるには,
  • 温度係数が小さいものを使う
  • 損失を減らす
  • 放熱性を上げる
ことが肝要.
これらを満たすため,SMTの抵抗を選定の上,オンボードタイプの放熱器を組み合わせることにする.
組み合わせる放熱器の熱抵抗は13度/W程度(https://www.micforg.co.jp/jp/c_lpdr35.html).
サーマルインターフェースの熱抵抗が7度/Wを超えないことを期待して,合計の熱抵抗は20度/W.
これで,FS10Aを流したときの発熱10Wによる温度上昇を,20度以下に抑える.


抵抗の引き出しはケルビン接続にする.

制御部

くろのす氏の回路を元に設計する.

DAC出力をFS4.5Vとする.GNDバイアスは0.5Vにする.電圧振れ幅は4.0Vとなる.
電流検出抵抗10mΩのため,10A時の両端電圧は0.1Vである.
電圧振れ幅4.0Vに対応するためには,差動アンプの抵抗比率を40にしてやれば良い.

両端電圧が小さいため,差動アンプのDCオフセットが問題になる(と考えた).
静的なオフセット電圧はCPU側での演算でキャンセルできるので,問題になるのはドリフトである.
普通の低オフセットのオペアンプLMV722だとオフセットドリフトは0.6uV/℃(typ)である.
卓上測定器だとウォームアップしてから使用するので,温度変化は10℃も見ておけばよかろう.
このとき,オフセット電圧のドリフト量は6uV(typ)である.

6uVの電圧ドリフトが電流に及ぼす影響を考える.
ノイズゲインは1+1/40なので,ほとんど1である.
出力に現れるオフセット電圧は,入力オフセット電圧×ノイズゲインである.
よって,出力に現れるオフセット電圧は,入力オフセット電圧に等しい.
このオフセット電圧が,電流検出抵抗の両端電圧に誤差として乗る.
I=E/Rより,電流誤差は,6uV/10mΩ=0.6mAである.
10Aを10bit精度で検出する場合,1カウント10mAである.
十分小さい.普通のオペアンプで十分そうである.

電流モニタ
最初,くろのす氏の電子負荷の回路を見て疑問に思ったことがある.
  • 制御部は普通のオペアンプであるのに対し,なぜ電流モニタのアンプはゼロドリフト計装アンプという豪勢さなのか
これは入力オフセット電圧の影響がまるで違うからである.

電流モニタを普通のアンプで構成すると,ゲイン40倍の差動アンプとなる.
このとき,ノイズゲインは41倍である.
これすなわち,入力オフセット電圧が41倍されて出力に乗るということである.
制御アンプのノイズゲインはほぼ1であったので,これと比較すると,41倍も条件が悪い.
同一水準の精度を期待するなら,オフセットドリフトを1/41に抑える必要がある.
普通のオペアンプでこのオフセットの安定性を確保することは困難
→高精度な計装アンプを使う理由

具体的には,オフセットドリフトが3uV/deg以下のものが必要.
温度変化10℃で30uVの変化量,ゲイン40倍で1200uVの変化量.
FS4Vで10bit精度だと,1カウント4mVであるから,これのだいたい半分以下となる.
AD8223を選定.2uV/degでありちょうどよい.加えて,この石の入力電圧範囲は,V-の150mV下まで許容されている.ローサイド電流検知にはピッタリである.
安価なのもポイント.

電流検出抵抗を小さくすると,電流検出抵抗そのものの温度ドリフトは改善されるが,そのほかの要素にとっては悪影響となってくる.トレードオフである.

電圧モニタ
FS60Vとしたので,これを4Vに減衰させる.
GNDが浮いていた方が使いやすいので差動アンプにする.
ゲインは4/60=1/15=0.067倍.制御アンプと同様に,ノイズゲインはほぼ1なので,普通のオペアンプが使える.

AD変換器
アンプ類は10bit精度で設計したので,ADCにも同程度の精度が要求される.
ADCそのものの誤差が1bit程度あるのが普通なので,12bitADCを選定すればおおかた問題ない.
ADS1247を選定.

基準電圧
これもドリフトが重要.絶対精度はそれほど重要ではない.
基準電圧のドリフトはAD変換ゲインドリフトとして現れる.
12bit精度だと,4096分解能であるから,割合にして1/4096=0.00024,すなわち244ppmずれるとコードが変わる.
厳しい要求である.10℃の温度変化を許容するとすると,温度係数は24ppm/degである.
LM4120IM5-5.0/NOPBでお茶を濁す.5V50ppm/degのシリーズタイプ.これで11bit精度となる.
熱源からなるべく離れたところに配置し,温度ドリフトを小さくすることに努める.

過電流保護:
バラック試作して気づいたのだが,制御アンプの応答が遅い場合,負荷側の電圧を急峻に起ち上げると,電流がダダ漏れになる.
負荷側の電圧がゼロのとき,制御アンプは,電流を流そうとするので,アンプ出力はH側に張り付き,FETは完全ON状態になっている.この状態で負荷側の電圧を起ち上げると,完全ON状態のFETに電流がなだれ込む.制御アンプは電流を絞ろうとするが,応答が間に合うまで(制御帯域とスルーレートに依存),大電流が流れ続けることになる.

これで破損していてはたまらない.そのため,高速に動作する過電流保護系統を別途設けることにする.
遮断電流は15Aを狙い値とする(フルスケール150%).
電流検出抵抗の両端電圧を電圧コンパレータに直結し,コンパレータONでFETゲートをGNDに短絡することで,高速な保護を実現する.
電流検出抵抗を10mΩとしたので,保護しきい値15A時の電圧は0.15V.これをコンパレータに入れる.

負荷オープン検出:
入力電圧を監視し,しきい値(0.9V)以下の場合は,負荷オープン状態とする.
負荷オープンの場合は,電流司令をゼロに保つ.これにより,突入電流を防ぐことが可能.

逆接続保護:
ショットキーバリアダイオードをドレイン側に入れることで,逆接続時に電流が流れないようにする.
これが無い場合,FETのボディダイオード経由で電流が流れ,電流を制限することができないため,素子が破損する.
STPS20SM120ST を選定.120V20Aというスペック.If=10AのときのVfは0.75Vである.損失は7.5Wにもなるため,これも放熱器に取り付ける必要がある.
MOSFETを用いた逆接続保護回路にすることで,
  • 電圧降下が少ないため,最低入力電圧を下げられる
  • 損失が減るため放熱レスにできる
というメリットがえられるが,回路が面倒なので,安直にダイオードを使うことにする.

回路ブロック


機構設計

ケース

タカチのMBシリーズのケースを使う.
ケース加工はタカチさんにお願いする.
ファン用の大きな四角穴やスリットが必要で,自分で加工するには辛い.
設計要件は以下の通り
  • ヒートシンク+ファンが収まること
  • 発熱源と制御部の距離を離すことができること(熱の影響を下げる)
タカチ MB-23を選定 W150XH120xD200と手頃なサイズ
http://www.takachi-el.co.jp/data/pdf/07-19.pdf

ターミナル端子

入力電流を最大10Aとしたので,これに耐える端子が必要.
かつ,あまり特殊な形状にはしたくない.
素直に端子台を使う.配線もしたくないので,基板実装型とする.
操作性を考慮し,フェニックスコンタクトのネジレス端子台を使う.
https://www.digikey.jp/product-detail/ja/phoenix-contact/1792229/277-9886-ND/4357164

信号端子

電圧センス入力2極,および,外部トリガ用に2極,合計4極のターミナルが必要.
これらは大電流は流さないので,小型で良い.
フェニックスコンタクトの4極タイプのネジレス端子台を使う.
https://www.digikey.jp/product-detail/ja/phoenix-contact/1862437/277-12171-ND/6605421

さて,これらをパネルからアクセス可能なように配置しなければならない.
機構設計で一工夫する.
ターミナル裏面の絶縁処理が必要.また,レバー操作には結構力が必要なため,これに耐える固定が必要.

ユーザIF

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最終更新:2018年09月25日 15:01