スカラー量

数学の用語だが、物理でも、物理量の扱いのため必要な概念。

いわゆる普通の量。"大きさ"のみで、原則として単一の数値で表され、算数の考え方のみでも扱える。
値の変化を見る場合には、増減を表すプラスやマイナスが付く事があるが、スカラー量自体にはプラスマイナスの概念は無い。
(プラスマイナスの概念が無いと見なせるものを、スカラー量として扱う。)
"大きさ"と"向き"の概念を併せ持つ量はベクトル量と呼び、全ての物理量はどちらかに分類できる。


スカラー量の例:リンゴの数
箱の中の~、テーブルの上の~、今までに食べた~、など、状況は色々あるが、必ず「何個」と数える。
箱の中に5個、テーブルの上に3個、両方合せていくつか問われれば、5+3=「8個」として良い。
箱の中に5個、そのうち3個食べたという場合は、今いくつか問われた時、5-3=「2個」となる。
食べたというのは減少であるため、計算中ではマイナスが付けて処理するが、「-3個のリンゴがある」とは言わない。
また、箱の中に5個あったが幾つか食べて2個になってしまった。幾つ食べたか…という場合も、答えは「-3個」では無く「3個」である。
  • 計算式中でマイナスとなる事は文章から読み取る必要があり、物理の問題を解く際に躓きやすい。
  • 上記例は小難しく言っているが、小学校レベルの算数の話と思ってもらって良い。ただ、物理の問題を考える際には、ベクトル量も併用するため、単純なはずのスカラー量の扱い部分も混乱しやすい。

物理量での例:質量
ある物体の質量という場合、例えば「3Kg」と言えばいい。この物体が2つあれば、合せて3+3=6Kgである。
増えた減ったという事を表すため-5kg等と書いてるものも散見されるが、-5Kgの物体があると言う意味ではない。

物理量での特殊な例:温度
ある物体の温度という場合、例えば「-5℃」と言った表現があるが、物理学的に温度はスカラー量である事が分かっている。
そのため、マイナスが出てくる「℃」という単位自体が物理学的に温度を扱うの際には適当でない。
温度にはこのためわざわざ、マイナスが出てない単位「K」が作られた経緯がある。
  • 「℃」という単位は、温度の正体がよくわかっていない時代に、「水の融点を0℃とし、物体の温度がそれとどれだけ違うか」という決め方をしたため、常時増減を表すプラスやマイナスが付いてしまうのである。

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最終更新:2015年04月08日 14:43