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在特会徳島県教職員組合威力業務妨害事件公判傍聴記(続)

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在特会徳島県教職員組合威力業務妨害事件公判傍聴記(続)



contents
  • 在特会徳島県教職員組合威力業務妨害事件公判傍聴記
    • 1 ~明白となった主権回復を目指す会と在日特権を許さない市民の会の対立~
    • 2 ~併合審理される意外な事件と被告人の前科前歴~
    • 3 ~なかそちづ子(中曾千鶴子)元川西市議会議員選挙候補者はなぜ逮捕されなかったのか~
    • 4 ~供述調書で被告人らはどのように心境を述べたか~
    • 5 ~世間から隔離しているとしか思えない在日特権を許さない市民の会~
    • 6 ~EH被告人の父親は活動をどう考えていたか~




2010年11月23日13:25

7 ~一瞬にして瓦解したRN被告人の主張~


 EH被告人の父親の証人尋問の後は、YO被告人の母親の証人尋問である。

弁護人「証人はYO被告人の母か。」
母「そうだ。」
弁護人「YO被告人は事件当時未成年だったが、どのような仕事をしていたか。」
母「高校をやめて12月頃鮮魚店に勤めていた。4月の事件の後6月に鮮魚店を退職した。」
弁護人「在特会の活動についてはいつ知ったか。」
母「本人から聞いた。警察から事情聴取される可能性があると。そこで初めて知った。」
弁護人「YO被告人は16歳の平成19年2月に在特会のメール会員となったそうだが知っていたか。」
母「知らなかった。」
弁護人「YO被告人は昨年の10月10日頃から抗議活動に参加したそうだが、知っていたか。」
母「いつかはわからないが、行ったのは知っていた。」
弁護人「4月14日の抗議活動を見たか。」
母「見た。」
弁護人「どう思ったか。」
母「やり方などまずい。やりすぎだと思った。」
弁護人「OY被告人は熱くなりやすい性格のように思えるが。」
母「あまり人前に出ない性格が、強い人に憧れるところもある。」
弁護人「OY被告人と活動について話したことはあるか。」
母「話した。やり方がまずいと反省していた。」
弁護人「事件のことについては悪かったと反省していたということか。」
母「そうだ。」
弁護人「OY被告人は在特会の活動を続けてみたいと述べていたか。」
母「私はやめて欲しいと行ったが、はっきり答えず考えてみると言っていた。」
弁護人「あなたはやめて欲しいと思っているのか。」
母「そうだ。」
弁護人「OY被告人を今後しっかり指導することができるか。」
母「できる。」

 検察官の証人尋問はなかった。

 引き続きRN被告人の被告人質問である。

弁護人「2つの事件について反省しているか。」
RN被告人「事務所に入ったこと、騒音で業務を妨害したことなどご迷惑をかけて反省している。」
弁護人「2つとも反省しているということか。」
RN被告人「そうだ。」
弁護人「書記長を取り囲んで述べたとされる発言は事実か。」
RN被告人「事実である。」
弁護人「受話器を書記長から取り上げるという事実はあったか。」
RN被告人「あった。」
弁護人「間違いないか。」
RN被告人「間違いない。」
弁護人「在特会に参加したのはいつか。」
RN被告人「昨年の5月ころと思う。」
弁護人「抗議活動などは行ったか。」
RN被告人「行った。」
弁護人「抗議活動は激しく過激であるとは思わなかったか。」
RN被告人「行き過ぎであると思った。」
弁護人「そのような活動が悪いと他のメンバーに言ったことはあるか。」
RN被告人「HN被告人に言った。」 
弁護人「いつ言ったのか。」
RN被告人「懇親会の席で言った。若い人たちも参加するのだからそのような過激な活動はやめた方がいいと言った。」
弁護人「取り上げられたか。」
RN被告人「女だからということで取り上げられなかった。」
弁護人「4月14日の活動だが、建造物の中に入ることは想定していたか。」
RN被告人「想定していなかった。」
弁護人「道路で行う予定だったか。」
RN被告人「建物の前で行う予定だった。」
弁護人「先頭の方で入ったのか。」
RN被告人「そうだ。」
弁護人「受付はあったか。」
RN被告人「あった。」
弁護人「受付で『入ってくるな』と言われたか。」
RN被告人「言われていない。」
弁護人「受付では『県教組は2階』だと答えたり、指差したりしたのか。」
RN被告人「わからない。」
弁護人「2階の事務所で行った活動をインターネットで見てどうだったか。」
RN被告人「行き過ぎだと思った。反省している。」
弁護人「在特会の活動についてはどうか。」
RN被告人「このような暴力性には同意しない。やめようと思っている。」
弁護人「傷害事件については反省しているか。」
RN被告人「反省している。」
弁護人「警察へは事件直後に行ったのか。」
RN被告人「行った。」
弁護人「示談交渉については被害者があなたと話をしないと言ったので母親と被害者との間で話をしたのは事実か。」
RN被告人「事実である。」
弁護人「被害者が要求している300万円は支払うことができるか。」
RN被告人「できない。」
弁護人「治療費として5万円支払ったのは事実か。」
RN被告人「事実である。」
弁護人「今後慰謝料などについてはどうするつもりか。」
RN被告人「誠意をもって対応する。」
弁護人「ネイリストとしての収入で生活することは可能か。」
RN被告人「可能だ。生活が苦しくなると水商売で凌ぐ。」

 引き続き検察官の被告人質問が行われた。

検察官「冒頭で被害者をめがけて皿を投げたわけではないと述べたが、皿を投げれば被害者が怪我をすることはわかっていたのか。」
RN被告人「わかっていた。」

 この質問と回答は重要である。RN被告人は被害者をめがけて皿を投げたわけではないと公訴事実に反論した。これはRN被告人の故意を否定するものであるとも言える。それに対して検察官は、RN被告人が皿を投げるという行為により被害者が怪我をするということを認識し受容していたのではないかと質問したわけである。少し解説してみよう。

 例えば歩道を自動車で走らせて歩行者を負傷させたという事件があったとする。犯人に故意が認められれば傷害であるし、認められなければ過失致傷である。その場合の犯人の意思は次のように分類されるであろう。

1 歩行者を負傷させるため自動車で歩道を走らせた
2 歩行者が負傷するかもしれないが、それでも構わないと思い自動車で歩道を走らせた
3 自分の運転技術なら歩行者を回避して走行することができると思い自動車で歩道を走らせた

 1において故意が成立するのは疑問がないところであろう。問題は2以下である。刑法において故意の要件は自らが行った行為と結果に対する因果関係と、その結果に対する受容であるとされている。つまり、自らが歩道を自動車で走らせるということによって歩行者が負傷するという因果関係と、運転する犯人が歩行者の負傷という結果を受容していることによって故意が成立するのである。

 これを前提においてうえで検察官の質問を聞くと、検察官がRN被告人の故意を法廷で証明しようとしたのがわかる。RN被告人が公訴事実の認否において述べた内容はこの被告人質問において完全に否定されたのである。

検察官「在特会のメンバーと最後に連絡したのはいつか。」
RN被告人「4月後半が最後だ。」
検察官「傷害事件で5万円支払ったということだが、女性の顔だから傷跡が残ればそれを治すことも必要となる。5万円だけで終わらないことは知っていたか。」
RN被告人「知っていた。」
検察官「あなたは徳島の事件の前にはHN被告人に対して活動が過激になっていることについて進言したと述べたが、徳島県教職員組合の事務所に入ったのは2番目だ。書記長に対して受話器を取り上げるなど手を出している。活動が過激であると憂慮していたことと、この行動はどう考えても結びつかないと思うがどうか。」

 弁護人による被告人質問の内容について検察官が大きな疑問を抱き、それを裁判官に強調しようとしていることがわかる。検察官はRN被告人が在特会内で過激な活動を慎むように進言していたという事実そのものの有無、情状酌量においてそれらの発言証拠としての価値がないことを印象付けようとしたのが検察官の質問の趣旨であろう。

RN被告人「調子に乗っていた。」

 RN被告人が回答に窮したことがわかるものである。

検察官「あなたは頭に血が上ると見境がなくなることを自覚しているのか。」
RN被告人「自覚している。」
検察官「徳島県教職員組合の記事についてどこまで知っていたか。」
RN被告人「産経新聞の記事のみである。」
検察官「徳島県教職員組合が街頭募金をしていなかったことは知っていたか。」
RN被告人「知らなかった。」
検察官「在特会の活動については今後どうするのか。」
RN被告人「会からは離れる。新たな団体を立ち上げることも考えている。」
検察官「今後在特会の活動には参加しないのか。」
RN被告人「そうだ。」
検察官「今後は法に触れるようなことはしないのか。」
RN被告人「そうだ。」

 最後に裁判長が質問した。

裁判長「HN被告人に女だから黙れと言われて黙ったのか。」
RN被告人「話にならないと思いそれからは言わないようにした。」
裁判長「保釈金150万円はどのようにして工面したか。」
RN被告人「カンパだ。」
裁判長「頼んだのか。」
RN被告人「頼んでいない。」


2010年11月24日06:32

8 ~徳島県教職員組合への抗議自体は正しいと述べたEH被告人~


 次にEH被告人の被告人質問が行われた。

弁護人「今回の事件について反省しているか。」
EH被告人「やりすぎたと思っている。」
弁護人「在特会に関心を持ったのはアメリカ留学の時か。」
EH被告人「そうだ。」
弁護人「帰国後すぐに活動したのか。」
EH被告人「すぐではない。政権交代があった8月30日から危機感を感じるようになり、沼津から実家に帰った9月頃から活動するようになった。」
弁護人「外国人参政権には前から関心があったのか。」
EH被告人「あった。」
弁護人「在特会に入会したのは今年の3月か。」
EH被告人「そうだ。」
弁護人「在特会に共鳴して抗議したということか。」
EH被告人「そうだ。」
弁護人「3月に入会してすぐに4月14日の活動に参加したということか。」
EH被告人「そうだ。」
弁護人「父親や母親とは話したか。」
EH被告人「言論の自由はあるがやり方が法に触れると話があった。」
弁護人「今後在特会の活動を行うのか。」
EH被告人「行かない。今回の活動では在特会にも迷惑をかけた。在特会に戻ることはない。必要があれば抗議活動を行うことはあると思う。」
弁護人「ご両親が在特会をやめて欲しいということはわかっているか。」
EH被告人「わかっている。」
弁護人「植木屋をやっていた会社で今後は勤めるのか。」
EH被告人「そうだ。」
弁護人「会社は戻れと言っているのか。」
EH被告人「そうだ。」
弁護人「今後在特会の活動には参加しないのか。」
EH被告人「そうだ。」
弁護人「家族に迷惑をかけないことを肝に銘ずるか。」
EH被告人「肝に銘ずる。」

 前述したが、EH被告人が植木屋をしていた会社からEH被告人を受け入れて更生に支援することを誓った書面もなければ、会社の者が証人として法廷で述べることもないことに疑問を感じた。

 引き続き検察官の被告人質問である。

検察官「保守系の団体は数多くあると思うが、なぜ在特会だったのか。」
EH被告人「関西は在日が多く、在日特権などがあって有利に取り扱われている。在日の犯罪も多く入りやすかったからだ。」
検察官「自らの思想信条にあったということか。」
EH被告人「そうだ。」
検察官「3月には京都朝鮮総連で騒動が発生している。過激で大丈夫かとは思わなかったか。」
EH被告人「ここまでやらないとメディアに取り上げられないのではないかと思った。当時は正しいと思っていた。」
検察官「はじめは過激な活動でいいと思っていたのが転換したのはいつか。」
EH被告人「4月14日の徳島県教組の活動からだ。感覚が麻痺しており、女性二人を取り囲むなど悪質だった。」
検察官「その直後に転換したということか。」
EH被告人「そうだ。」
検察官「動画を見てからか。」
EH被告人「そうだ。」
検察官「今回はやりすぎと思って動画を見て思ったのか。」
EH被告人「そうだ。」
検察官「4月14日の活動についてどれだけの知識を得ていたのか。」
EH被告人「日教組については詳しくない。懇親会で募金詐欺を行っていると聞いた。街頭募金を朝鮮学校に寄付していると。詳しくは調べていないが、他のメンバーの投稿などで知識を仕入れた。」
検察官「徳島県教職員組合は街頭募金をしていないことは知っていたか。」
EH被告人「知らなかった。他のメンバーの話を聞いただけだ。冷静さを欠いていたのかもしれないが、朝鮮学校と朝鮮総連が同じ住所なのがグーグルで調べればわかる。朝鮮学校に金を渡すこと自体問題がある。抗議をしたことはよかったと思う。」
検察官「あなたにも言論の自由があるように徳島県教職員組合にも言論の自由がある。反論をさせなかったのか。」
EH被告人「させなかった。」
検察官「今後在特会の活動には参加しないのか。」
EH被告人「参加しない。」


2010年11月25日21:41

最終回 ~事実をまともに確認しなかった被告人たち~


 被告人質問の最後はYO被告人である。

弁護人「拡声器を用いたのは事実か。」
YO被告人「そうだ。」
弁護人「いきすぎだと思うか。」
YO被告人「そう思う。」
弁護人「してはいけないと認識していたか。」
YO被告人「そうだ。」
弁護人「在特会との関わりは平成19年からか。」
YO被告人「共感してメール会員になった。」
弁護人「すぐに活動しなかったのか。」
YO被告人「しなかった。」
弁護人「抗議活動を行うようになったきっかけは。」
YO被告人「民主党政権となって外国人参政権が成立するのではないかと危機感をもってからだ。」
弁護人「そして10月10日の抗議活動から参加したのか。」
YO被告人「そうだ。」
弁護人「それが徳島での活動までつながったのか。」
YO被告人「そうだ。」
弁護人「事務所へ入るということは想定していたか。」
YO被告人「想定していなかった。」
弁護人「どのような活動を行うつもりだったのか。」
YO被告人「建物の前で抗議活動を行うものと思っていた。」
弁護人「事務所に入ったきっかけは。」
YO被告人「その場の流れだ。」
弁護人「街宣で誰も聞いている人間がおらず、対外的に訴える方法がなかったからか。」
YO被告人「自分の意思で行った。」
弁護人「あなたは事件当時未成年か。」
YO被告人「そうだ。」
弁護人「『腹切れ』と言ったのはどんな気持ちからか。」
YO被告人「日教組が嫌いだからだ。」
弁護人「事務所内で13分いたわけだが、警察が来たのには気がついたか。」
YO被告人「気がついたら警察がいた。」
弁護人「警察は何を止めていたか。」
YO被告人「いったん落ち着けと言っていた。」
弁護人「サイレン鳴らすなとは言っていなかったか。」
YO被告人「わからない。」
弁護人「あなたは熱くなる性格ではないか。」
YO被告人「気が短いことは自覚している。」
弁護人「反省しているか。」
YO被告人「自分を抑えるようにする。」
弁護人「抗議活動は去年くらいから激しくなったと感じていたか。」
YO被告人「今年から激しくなった。」
弁護人「いきすぎだと思っていなかったか。」
YO被告人「3月まではそう思わなかった。徳島はやりすぎだった。」
弁護人「家族に話したか。」
YO被告人「話した。」
弁護人「在特会は今後どうするのか。」
YO被告人「決めかねている。政治運動は続ける。」
弁護人「在特会の幹部が変わったのは知っているか。」
YO被告人「知らない。」
弁護人「HN被告人やDK被告人は調書で活動が間違っていたと言っているが。」
YO「私もそう思う。」

 ここからはメモの都合で抜粋となる。

 検察官からYO被告人への被告人質問においては、YO被告人が抗議活動が間違っていなかったと述べ、日教組が嫌いであるという言葉も弁護人の被告人質問と同様に出てきた。徳島県教職員組合が街頭募金を行っていなかったことについてはYO被告人は調べておらず、RN被告人、EH被告人とこの点においては同様であった。

 裁判官からYO被告人に対しての被告人質問においては、YO被告人は今後の活動においては裏方に回るという言葉を述べた。

 検察官は論告求刑で被告人らの行為が悪質であると述べRN被告人に懲役2年、EH、YO被告人に懲役6月を求刑した。

 弁護士は被告人らの行為に情状酌量の余地があるとして、執行猶予を求めた。

 判決の宣告は12月1日15:00から行われ、傍聴券が発行されることがすでに決定されている。


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