【side:Chal】
この地は、何処までも、何処までも白い。
…その白さに紅が落ちる。
次第に広がっていく紅だけが忘れられない過去…。
次第に広がっていく紅だけが忘れられない過去…。
「…っ」
息苦しくて、ベッドから跳ね起きる。
布団の外は寒いのに、僕は嫌な汗をかいていた。
布団の外は寒いのに、僕は嫌な汗をかいていた。
…こうして時折見る夢。
それはいつも突然、眠りの世界から、僕を現実の世界に放り出す。
それはいつも突然、眠りの世界から、僕を現実の世界に放り出す。
深く息を吐いてから、ふと窓の外を見る。
いつもどおりの白に覆われた景色。
ここは永遠に降り続く雪に閉ざされた国。
ここでは月も星も…太陽でさえ厚い雲に覆われて見る事が出来ない。
いつもどおりの白に覆われた景色。
ここは永遠に降り続く雪に閉ざされた国。
ここでは月も星も…太陽でさえ厚い雲に覆われて見る事が出来ない。
…僕の生まれ育った国。
僕はこの国から一度も出たことがない。
僕はこの国から一度も出たことがない。
そうして空を見上げているとふと思い出した。
……一度だけ。
昔、一度だけ月を見た。
あれは…多分6年前のある日。
降り続くはずの雪が…止んだ日。
あれは…多分6年前のある日。
降り続くはずの雪が…止んだ日。
あの夜も今日と同じように目を覚ましこうして窓の外を見上げ…始めてみた月に誘われるように外に出たんだ。
叔母にばれないようにローブを羽織り、屋敷を抜け出す。
いつもどおり厚く積もった雪の上を歩いた。
しかし空に見えるのは雪の白や雲の灰色ではなく…濃紺の空と輝く星、そして静かに佇む月。
いつもどおり厚く積もった雪の上を歩いた。
しかし空に見えるのは雪の白や雲の灰色ではなく…濃紺の空と輝く星、そして静かに佇む月。
「……綺麗…」
ぽつりと、感想が漏れる。
こんなに明るい夜は初めてだった。
こんなに明るい夜は初めてだった。
歩きなれた林道を歩く。
歩きなれた道なのに、月に照らされ明るくなった道は、いつもと違う場所のように思えた。
歩きなれた道なのに、月に照らされ明るくなった道は、いつもと違う場所のように思えた。
その先の教会。
それが掲げる十字架も、月の光に照らされてとても神秘的に見えた。
それが掲げる十字架も、月の光に照らされてとても神秘的に見えた。
「……?」
不意にその光が強くなって、反射的に目を眇める。
目が眩むような眩しい光ではないけれど、直視することの出来ない柔らかな白い光。
そして不意に強まった光は、唐突に収縮した。
驚いた僕は言葉も出せずに、それを見上げる。
目が眩むような眩しい光ではないけれど、直視することの出来ない柔らかな白い光。
そして不意に強まった光は、唐突に収縮した。
驚いた僕は言葉も出せずに、それを見上げる。
その視線を遡るように降りてくる光。
…僕は何故か考えることもなく、誘われるままに手を伸ばした。
…僕は何故か考えることもなく、誘われるままに手を伸ばした。
光に手に触れた…そう思った瞬間、光が霧散した。
「……白い、石…?」
自分の手に微かに重みを与えるそれを改めてじっくり見てみる。
いつのまにか伸ばした手の先、掌の上にはとても綺麗な白乳色の石が乗っている。
まるで雪のように白い、とても綺麗な石だった。
まるで雪のように白い、とても綺麗な石だった。
魔石だろうか…?
瞬間。
石が透けるようにして消えた。
まるで……僕の手の中に沈みこむように。
石が透けるようにして消えた。
まるで……僕の手の中に沈みこむように。
光も石も消え失せ何事もなくなった中、僕はしばらく呆然と立ち尽くしたままでいた。
空では、再び月が隠れ、静かに雪が降り出した。