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Place to stay

ash

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やっぱり剣があるとないだと大違いだな。
奪った剣は量産品で、あまり良いものじゃなかったけど。
まぁないよりは断然マシ。

シャリスが頷いたのを確認して、休憩室を通り過ぎた先の階段へ向かう。
此処を駆け上がった先に兵がいるかいないか。
それは一種賭けみたいなものだ。
せめて城から出るまで知られずに居たいんだけど。


階段を上がり、廊下の気配を伺えば殆ど人は居ない。
地下牢の傍なんかには来たくないのかもしれないな。
連れてこられたときの感じだと奥まった方にあったから、牢に用が無い限り近寄らないのかもしれない。
俺たちにとってはラッキーだ。

「…で、倉庫ってアレ?」
「ああ」

少し大きめの、普通のより頑丈そうな鉄の扉。
傍に兵士が2人退屈そうに立っている。

危険物も多いだろうから警戒してるんだろう、普通に見るなら偉いって思うところだ。
…自分が奪還って状況じゃないなら、そう感心出来ただろうに。
本当に其処に剣があるのかはわからないけど、行ってみるしかない。
シャリスに目配せしてから走り出すと、豪奢な絨毯が微かな足音をしっかり吸収してくれた。

「…なっ!?」

何か言いかける兵士が条件反射のように剣に手をかけた。
遅い、って!
構えられた剣を薙ぎ払う要領で一気に弾き飛ばし、続けざまに柄で兜を痛打する。
頭を抱えたソイツは、脳みそがぐるぐる回る感覚を味わってることだろう。

「……安らかなる愚眠を」

続けざまに、最後しか聞き取れなかったが小声で詠唱してたシャリスが兵士に触れた。
声を上げる間も無く、倒れ込んで来た兵士から身体を逃がす。
ヤローにうつかかられても嬉しくない。

床に崩れ落ちた兵士を横目に倉庫の扉に手を書けると、しっかり鍵がかかっていた。
今しがた倒した見張りの兵が持ってるだろうと、探ってみたけど………鍵らしいものは持っていなかった。

何で見張ってる先の鍵持ってないんだよ!?
隠しポケットでもついてるのか?
けどそんなもの、探してる暇なんて無い。
くそ、分かるところに持っておけっての!

「無いの?」
「ああ」

覗き込んできたシャリスに溜息混じりに頷き返した。

もう1度扉を見直す。
見直したところで頑丈そうな鉄の扉にかわりは無い。
流石にこれは蹴破れそうにないし、仕方ないか。

「開けてみるから、ちょっと見張っててくれ」

シャリスに頼んでからブーツに仕込んである針金を使って中を探ってみる。
鍵開けは備えあれば憂いなしってことで親に仕込まれた無駄スキル。
まさか役に立つ日がくるとはね。

しかし何かややこしそうな鍵だな…。
焦る気持ちを何とか静めながら慎重に針金を動かしていく。
動揺してたら開けれるものも開けれない。


「…まだかかる?」

手応えを感じ始めた頃、シャリスが囁き声で尋ねてきた。
集中してたら確実に聞き逃していた声量は、逃亡中ってこと以上に邪魔しないか気遣った、とか?
って、良く見すぎか。

「もう少し……よし、開いた!」

ガチャッと重い音と同時に感じた確かな手応え。
ドアを押せばキィッという高い音と共に開いた。
本当、備えあれば憂い無かったよ。

中に入ると棚や床に、雑然としつつもある程度の規則性を持って武器やら道具が並べられていた。
…押収されたまま持ち主に返されなかった武器なんだろう。
掘り出し物とかあったら欲しいけど…そういう場合でもないよな。

とりあえず、今日運ばれたばかりならきっと手近なところにあるはずだ。
入り口付近に目安をつけて探ると俺のナイフと剣を見つけた。
両方不具合がある様子は無い。
兵士から奪った剣を傍に置いて、ベルトに剣とナイフを通す。
やっぱり使い慣れたものの方が安心できる。

「ほら、これシャリスのだろ?」

俺の武器が置かれていたところのすぐ近くに置かれていた投剣。
さっきシャリスが取り上げられていたのと同じものを見つけたので投げ渡す。

「アンタ、泥棒の方がむいてるんじゃないか?」

どういう意味だよ、それは。
感心の混じった言葉に内心拗ねながら心の中だけで言い返した。
シャリスの顔に呆れが出たからひょっとすると表情に出てたのかもしれないけど。

「…もう此処に用は無いし、後は脱出するだけだな」

逃亡劇は、これからが本番だ。





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