【side:Chal】
「…っ……」
閉まってしまった扉に、喉まででかかった反論が行き場を無くす。
仕方なしにそれを溜息に変えて吐き出す。
仕方なしにそれを溜息に変えて吐き出す。
『シャリスって、無感情な奴かと思ってたらそうでもなかったんだな。
今みたいに感情出してくれる方が俺は好き』
今みたいに感情出してくれる方が俺は好き』
なんであんなことを言ったのだろう?からかう意図でもあったのか?
彼のことは考えれば考えるほど分からなくなる。
それほどまでに複雑な奴なのか、思考があまりに違いすぎるのか。
…後者の可能性のほうが高そうだが。
それほどまでに複雑な奴なのか、思考があまりに違いすぎるのか。
…後者の可能性のほうが高そうだが。
とりあえず気を取り直して資料探しの続きをしようと、釈然としない思考を振り切るように本棚に歩み寄った。
「……?」
不意に何かが引っかかるような感覚に周囲を見回す。
勿論、目に映るのは何ら変わりない書庫の風景だ。
変化があったのは恐らく上。
此処と屋敷との境目にある結界が何かに反応したらしい。
この部屋への見えない結界の役割は此処を隠す為だけではない。
この部屋へと近づいたものを結界を解いたり張りなおした術者に知らせる警報の役割も担っている。
…元はといえば、身を隠す為の部屋だ。防犯という意味で身を隠すのには最適な場所に作られて当然といえば当然かもしれない。
勿論、目に映るのは何ら変わりない書庫の風景だ。
変化があったのは恐らく上。
此処と屋敷との境目にある結界が何かに反応したらしい。
この部屋への見えない結界の役割は此処を隠す為だけではない。
この部屋へと近づいたものを結界を解いたり張りなおした術者に知らせる警報の役割も担っている。
…元はといえば、身を隠す為の部屋だ。防犯という意味で身を隠すのには最適な場所に作られて当然といえば当然かもしれない。
先程の感覚は、この場所に何かが近づいてきたことを知らせるものだろう。
…だとすれば上の屋敷の方に何者かが訪れていることなる。
多分フィリディア王が遣わせた国の兵士か、王から知らせを受けた叔母の関係者かもしれない。
この屋敷の場所は伯母も知っている。
僕が城から逃走したことが知れれば、あの伯母のことだ。
王への覚えにと僕を差し出すことを躊躇いはしないだろう。
…だとすれば上の屋敷の方に何者かが訪れていることなる。
多分フィリディア王が遣わせた国の兵士か、王から知らせを受けた叔母の関係者かもしれない。
この屋敷の場所は伯母も知っている。
僕が城から逃走したことが知れれば、あの伯母のことだ。
王への覚えにと僕を差し出すことを躊躇いはしないだろう。
しかし此処は父と母で作った結界だ。
魔術の名家でも特出した魔力を持っていた母と、悪知恵や悪戯を好んでいた王族でもある父の。
並みのものではそう安々と結界を破れはしないだろうけど…。
魔術の名家でも特出した魔力を持っていた母と、悪知恵や悪戯を好んでいた王族でもある父の。
並みのものではそう安々と結界を破れはしないだろうけど…。
「…一応様子を見ておいた方が良いか…」
そう簡単に結界に気付くとも況してそれを破れるとも思えないけれど、囲まれでもしたら厄介なことになる。
誰にともなく呟くと、念の為にと机の引出しから適当にコアを取り出すと部屋を出た。
誰にともなく呟くと、念の為にと机の引出しから適当にコアを取り出すと部屋を出た。
「…シャリス?」
ソファに座って持ち物の整理をしているらしいアッシュの前を通り過ぎ、置きっぱなしにしていたポーチを身に付けていると、その行動に気付いたアッシュは訝しげに首を傾げた。
僕はそちらに視線をやることなくローブのフードを被る。
僕はそちらに視線をやることなくローブのフードを被る。
「……ちょっと出て来る。」
そう簡潔に告げると階段へと続く扉に手をかける。
その僕の腕を慌てたようにアッシュが掴んだ。
その僕の腕を慌てたようにアッシュが掴んだ。
「ちょっと待てよ、出るって何処に…?」
「上。」
「上。」
簡潔に答えると更に分からないという表情になるアッシュに視線をやりながら、足らなかった言葉を補足する。
「……上の屋敷に誰か来たらしい。結界に干渉があった。
念のため上の様子をうかがってくる。」
念のため上の様子をうかがってくる。」
「誰か?」
僕の言葉に緊張を含んだようにアッシュの声が低くなる。
「…ここは見つからないだろうから、差し迫った危険ではないけど一応。
これからの行動を決めるのはそれからだ」
これからの行動を決めるのはそれからだ」
そう一方的に告げて掴まれていた腕から逃れる。
そのままノブを掴んだままだった扉を開き、アッシュを部屋に残したまま階段へ向かった。
そのままノブを掴んだままだった扉を開き、アッシュを部屋に残したまま階段へ向かった。
結界の扉の前まで来て、結界の魔力で向こう側の様子を伺う。
部屋の中では距離があってはっきりとはわからなかったが、こうして直に結界に触れれば外の様子は容易にわかる。
とは言っても、結界のある場所から見える場所に限られはするが。
部屋の中では距離があってはっきりとはわからなかったが、こうして直に結界に触れれば外の様子は容易にわかる。
とは言っても、結界のある場所から見える場所に限られはするが。
こちらで見て取れるだけで二人。
たった二人で行動するとは思えないから、もしかしたら他にも数人いるのかもしれないがそう多くはないだろう。
中庭で屋敷の中を見ながら歩いているらしい二人はどうやら兵のようだ。
見覚えのありすぎる鎧に身を包んでいる。
人数から見て偵察や斥候だろうか?
魔力が感知しにくいことから魔術師でなくただの兵だと思われた。
ならば、この結界に気付かれることもないだろう。
けれど力の強い魔術師がくれば単にそうとも言い切れないかもしれない。
僕の素性を向こうが知っている以上、ここに魔術師が派遣されるのも時間の問題かもしれない。
本格的な捜索が行われる前に此処を出るべきか……。
たった二人で行動するとは思えないから、もしかしたら他にも数人いるのかもしれないがそう多くはないだろう。
中庭で屋敷の中を見ながら歩いているらしい二人はどうやら兵のようだ。
見覚えのありすぎる鎧に身を包んでいる。
人数から見て偵察や斥候だろうか?
魔力が感知しにくいことから魔術師でなくただの兵だと思われた。
ならば、この結界に気付かれることもないだろう。
けれど力の強い魔術師がくれば単にそうとも言い切れないかもしれない。
僕の素性を向こうが知っている以上、ここに魔術師が派遣されるのも時間の問題かもしれない。
本格的な捜索が行われる前に此処を出るべきか……。
……アッシュの言うように今夜のうちに少ない偵察の目を掻い潜る方がいいかもしれない。
関所越えについては問題は多々あるし、此処が見つかる可能性は高くはないだろうが、ゼロではない。
万一囲まれ動きが取れなくなってしまえば待つのは餓死か凍死か。
関所越えについては問題は多々あるし、此処が見つかる可能性は高くはないだろうが、ゼロではない。
万一囲まれ動きが取れなくなってしまえば待つのは餓死か凍死か。
とりあえず、一応アッシュにも報告しておいた方がいいかもしれない。
念の為内側からもう一重薄い結界を張って僕は再び階段を降りた。
念の為内側からもう一重薄い結界を張って僕は再び階段を降りた。