【side:聖夜】
部屋の片付けをしたときに見つけた古いアルバム。
手伝わせていた弟に強請られるままに、この街に来てから一度も開いたことのないソレを開いた。
手伝わせていた弟に強請られるままに、この街に来てから一度も開いたことのないソレを開いた。
どうせ見ることもないのに、捨てることも置いてくることも出来なかったアルバム。
実際、自分1人だったなら目に留まっても開くことはなかった。
実際、自分1人だったなら目に留まっても開くことはなかった。
俺の心情などお構い無しに、弟は何が楽しいのか機嫌よさそうにページを捲っていく。
少しずつ成長していく俺や家族の姿は懐かしいといえば懐かしい。
大抵仏頂面か気だるげな表情をしている俺の横では妹や弟が楽しそうに笑っている。
その様子が今と全く変わらないのはお互い成長していない所為だろうか。
少しずつ成長していく俺や家族の姿は懐かしいといえば懐かしい。
大抵仏頂面か気だるげな表情をしている俺の横では妹や弟が楽しそうに笑っている。
その様子が今と全く変わらないのはお互い成長していない所為だろうか。
捲られていくページにつられて既に忘れかけていた記憶が浮かび上がっては消えていく。
楽しかったと素直に思える記憶だ。
こんなことがあったよな、と話しかけてくるのに相槌を打ってやる気になる程度に。
楽しかったと素直に思える記憶だ。
こんなことがあったよな、と話しかけてくるのに相槌を打ってやる気になる程度に。
それまで軽快に動いていた手が、不意に止まった。
そのページにはアルバムに挟んであるだけで張ってすらない写真が一枚。
それ以降は何も貼られていない。
そのページにはアルバムに挟んであるだけで張ってすらない写真が一枚。
それ以降は何も貼られていない。
切り取られた時の中では、同じ制服を着た俺と1人の少年が笑っている。
何も知らずにとても幸せそうに。
…実際、この頃は幸せだった。
今までの人生の中で一番幸せを感じていたように思う。
何も知らずにとても幸せそうに。
…実際、この頃は幸せだった。
今までの人生の中で一番幸せを感じていたように思う。
大切な相手が傍に居たのだから。
今では滅多に思い出すこともない記憶。
もうすっかり忘れたと思っていたのに、控えめな微笑と柔らかな声を未だに鮮明に思い出せる。
俺の傍から居なくなって何年も経つというのに。
もうすっかり忘れたと思っていたのに、控えめな微笑と柔らかな声を未だに鮮明に思い出せる。
俺の傍から居なくなって何年も経つというのに。
そっと、忌々しく、けれど懐かしくもある写真を手に取った。
彼は幸せで居るんだろうか。
今でもこの写真のような笑みを浮かべているんだろうか。
わざわざ調べる気にはならないけれど。
幸せを願う気持ちと不幸を願う気持ちは同じくらいだ。
それに、どうせすぐに忘れてしまう。
今でもこの写真のような笑みを浮かべているんだろうか。
わざわざ調べる気にはならないけれど。
幸せを願う気持ちと不幸を願う気持ちは同じくらいだ。
それに、どうせすぐに忘れてしまう。
再び写真を挟んで、アルバムを閉じた。
…次にコレを開くときにも俺はまだ覚えているんだろうか?
そんなことを考えながら。
…次にコレを開くときにも俺はまだ覚えているんだろうか?
そんなことを考えながら。
そんな俺の様子を弟がじっと見つめていたことには気付かなかった。
これが何気ない日常の中に隠れた、ある意味大きな切欠だということにも。
これが何気ない日常の中に隠れた、ある意味大きな切欠だということにも。