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「ああ、俺、最近だらしねぇなぁ……」

 A-1の飛び出ている陸地の先。
 一人のかいパンやろうが海を眺めながら、ぼやく。
 自分の不甲斐なさを悔い、一回溜息を吐く。
 男の名はビリー。孤高のスイマーであり、ガチムチ系男子だ。

「まっ、どうにかなるだろう」

 支給されたポケモンを確認する。
 とりあえず、戦える程度には調整する。
 そこらへんの塾帰りに勝つくらいにはバトルにそこそこの自信がある。
 自分好みのポケモンはいなかったが、戦えなくはない。

「さぁて、行くか」

 彼が志すのは脱出。
 その為には協力者が必要だ。
 もしかしたら、首輪を外す手がかり等が見つかるかもしれない。
 僅かな希望を信じて、ビリーは歩き出した。

「んっ……これは砂? ……アウチ!」

 突如として、ビリーの周囲に砂嵐が巻き起こる。
 視界が急激に悪くなり、ビリーも目を細めなけらば前すら見えない。
 そんな時であった。

「先手必勝だーーーっ!!!!」
「!?」

 飛び蹴り。
 ポケモンではなく生身の人間が使う。
 その飛び蹴りの直撃をくらい、ビリーの身体は吹っ飛ぶ。

 ビリーの前には片目を鉢巻で隠し、隻眼で高々と叫ぶ男がいた。
 ビリーの肉体もそうだが、この男の肉体もかなり鍛えられていることが分かる。

「シャバババ! 貴様ァ! この『からておうのガンマ』を前に図が高いわーーっ!!」
「わからん、お前が何を言いたいか? しかし……面白い奴……よし倒すぞ」
「黙れ! 思い上がるな! このド下等トレーナーがーーっ!!」
「な!? ド…ド下等トレーナー!?」

 傲慢としか言いようのない態度の男。
 しかし、その男――ガンマの姿を見て、ビリーはさらに驚愕する。

(宙に浮いている……?)

 目の前の男は空手王であるはずだ。
 しかし、その男の身体が宙に浮いている異様な光景だった。
 まるでマジシャンのマジックかなにかのように。

「とうに戦いは始まっておるわーーーっ!!」
「…………どういうことなの?」
「こういうことだーーっ! シャバババーーーっ!!」
「ガハッ……!?」

 再びガンマは空中を移動して、鋭い蹴りをビリーに食らわす。
 脳内がパニックの状態であまりにも痛烈すぎる一撃。さらに……

(ステルスロック!? いつの間に!?)

 ビリーの身体中に尖った岩が突き刺さる。
 ビリーの肉体からは夥しいほどの血が噴き出す。

 砂嵐で視界が悪くなっており、周りも確認できない。
 心を落ち着けようにも砂嵐が酷く非常に息苦しい。 
 だが、それは相手も同じはずだが、ガンマは何事も無いように立っている。

(彼はポケモンを出しているようではなかった……
 もしかすると、このステルスロックも砂嵐も彼が―――?
 カラテとはこのようなことが出来るのか!?)

 ビリーの脳内はさらにパニックに陥る。
 そして、そこで再びガンマは叫びながら告げる。

「私はこの殺し合いに最後まで勝ち残るーーっ!!
 何故ならば、それほどに私は己の実力に絶対的な自信を持っているからだーーっ!」
「なっ!?」
「確かにポケモンは育てれば強くなる! だが、人間だってそうだ! 
 ポケモンと同じ環境に身を置いていれば、自然と身体は鍛えられるーーーっ!
 故に私自身は砂嵐状況下でもダメージを受けることはないのだーーーっ!!」

 ガンマは高々に勝利宣言。

「くっ、だったら……うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ほう、そう来るか……」  

 ビリーは体勢を低くして、タックルを狙う。
 これはビリーが泳ぎの次に得意とするレスリングのタックルだ。
 ビリーは凄まじい勢いでガンマに迫っていく。

「だが、ポケモンを出さずにこちらにくるとは……下等トレーナーがーーっ!!
「!?」
「コイル、マグネット・パワー全開だ!」

 意外! それはコイルッ!
 そう、今までガンマは隠し持っていたコイルで宙に浮きあがった!
 これがガンマの人体空中浮遊の正体『コイルの磁力』である。
 ガンマはコイルが放っている電磁力でさらに上昇して、ビリーのタックルを躱した。
 そして―――ガンマはさらに指示を叫ぶ!



「今だ! カバルドン、じわれーーーっ!!!」



 ビリーがいる地面に亀裂が入ったが、ギリギリで避けることは出来た。
 いくら一撃必殺といえど当たらなければどうということはない。
 だが、ビリーは直感する「砂嵐もステルスロックを使ったのはコイツ」だと。
 しかし、時すでに遅し。  


「私の狙いはこっちだーーーっ! シャババーーーーっ!!」


 ガンマはその出来た亀裂を足で思いっ切り踏み込む。
 武術で言うところの所謂【踏鳴】や【震脚】などと呼ばれる行為である。すると!

「……地面が、崩れ――――?」

 崖が一気に崩れ始めた。
 狙いは地割れで地面にひびを入れて、地面を砕き易くするためだ。
 その崩落に巻き込まれて、ビリーの身体は沈んでいく。
 落ちてくる大地と石礫が次々とビリーの身体を押しつぶしていく。

 そして、A-1の一部の陸と海の境界線が崩れさり……

 ―――新しい崖が生まれた。

(……ちくしょう…………本当、だらしねぇ、な――――)

【かいパンやろうのビリー 死亡確認】
【残り37人】



「シャバババ! 実践不足だ! 地獄からやり直して来い!! 
 準備運動にもならなかったぞ!!」


 『空手王』。
 そう呼ばれ出したのは、何十年前になっただろうか?
 もう自分に向かってくるものもいなくなった。
 そのうち、あまりにも危険にも過ぎるその力が問題視された。
 社会的に抹殺されたのほぼ同様の扱いを受けたこともあった。

「さて!」

 ならば、いい。
 自分は何も間違っていない。
 間違っているのは周りの方だ。
 だから…………

「殺しに行くぜーーっ!! 粛清だーーーーっ!!」

 全て倒す。

【A-1/崖/一日目/日中】

【からておうのガンマ 生存確認】
[ステータス]:良好
[バッグ]:基本支給品一式、タウリン
[行動方針]基本:パロロワ団諸共ド下等トレーナー共の粛清
1:一先ず、人が集まりそうなところに向かう

▽手持ちポケモン
◆【コイル/Lv1】
とくせい:がんじょう
もちもの:きのみジュース
能力値:無振り
《もっているわざ》
どくどく
まもる
リサイクル
でんじふゆう

◆【カバルドン/Lv50】
とくせい:すなおこし
もちもの:ゴツゴツメット
能力値:HP、防御振り
《もっているわざ》
あくび
ステルスロック
じしん
じわれ

【かいパンやろうのビリー 死亡確認】
[ステータス]:--
[バッグ]:基本支給品一式
[行動方針]:--
※A-1の海にビリーのバッグ、モンスターボール×2、不明支給品×3があります

◆【????/Lv?】
とくせい:
もちもの:
能力値:
《もっているわざ》
????

◆【????/Lv?】
とくせい:
もちもの:
能力値:
《もっているわざ》
????


第8話 それでも なお お前の目に あの夢が 何よりも眩しいのなら 第9話 実践空手とポケモンを組み合わせた全く新しい格闘技とは! 第10話 ブレイズフレンズ!

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最終更新:2014年11月19日 00:33