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「結構派手にやったねえ〜」

戦場となった校庭に戻ってきたさやかはしみじみと呟いた。
切断されて倒れた木、粉々になって散らばる立木の残骸、荒れ狂う剣風により抉られた地面と飛び散った砂礫。
こんな戦いに巻き込まれたら流石に死んでいただろう。もう一緒に戦うというのは諦めた方が良いのかも知れない。

「マミさんみたいに銃でも使えたらな」

当たるかどうかは別として、さやかはそう思う。

「この程度の被害で済んで幸いでした」

ラゼィルが本心からの言葉を言う。
校庭にかなりの損害が出て、校舎にも穴が空いたが授業が行われなくなるような損害では無い。
学校が閉鎖されるような事態になることは無く、明日も生命に満ちた学生達で溢れかえるだろう。
“狩場”は贄となる生命で満ちていなければ意味が無い。
ラゼィルは折角整えた“狩場”を使わぬままに終わらせたくはなく、校舎に損害が出なかったことを心から安堵していたのだ。
この校舎から人が絶える時とは、“神楽”の時に他ならない。
龍骸装で斬り裂かれ。我が麗しき神楽の舞い手(バイラリナ)の振るう嘆きの鉈で肉塊へと変えられ。そして凄煉の業火で校舎ごと生きながらに火葬される。
これこそが、此の地に命が満ちる意味。畑一面に実る麦穂の如くに刈り取られよ。
ラゼィルはこの学び舎と、此処に通う生徒達に、“神楽”の贄として以外の終わりを認めない。
その為ならば如何なる敵も打ち倒す。
さやかとは全く異なる動機だが、ラゼィルもまた、この校舎護る決意を持っていた。

「それでさ、さっきランサーが言っていたことなんだれど」

ラゼィルの心中を知らず、さやかがラゼィルに訊ねる。さやかとしては同盟には賛成なのだが、自分よりも経験も思慮もあるこのキャスターの意見の方が、
自分の考えよりも正しいだろう。
そう考えて、ラゼィルに同盟の件について訊いてみたのだ。

「受けるべきでしょうな。あのセイバー紛いの女は、まずこの申し出に乗るでしょうから」


あのセイバー紛いのキャスターとランサーは、確実にこの聖杯戦争に於いて宝具抜きの正面戦闘なら最上位に位置する強者であり、ラゼィルでは正面から戦っては勝ち目が殆ど無い。
ラゼィルはダークエルフ族の英雄譚に語られる大英雄であり、その武勲は闇の世界に於いて比類無いが、それでもあの二人は荷が重い。
その証拠に、キャスターはスキル効果と陣地効果で最大限に強化され、複数の武器を用いて奇襲を掛けたラゼィルを相手に無傷で済ませ、あまつさえラゼィルを負傷させた。
そしてランサーはそのキャスターと真っ向から渡り合って引けを取らない冠絶した武練を持つ。
だが、ランサーにしたところで、あの女が最初から全開だったのならば話は異なる。
ラゼィルに手傷を負わせたあの暴威。ランサーを弾き飛ばしたあの剣威。
要所要所でしか用いなかったが、アレを最初からずっと振るわれていれば、ラゼィルはこの聖杯戦争に於いての隠し札、我が麗しき神楽の舞い手(バイラリナ)の使用に追い込まれていただろう。
キャスターがそうしなかったのは、初日であるということもあるだろうが、膨大な魔力を消費するあの一撃を連発する訳にはいかなかった理由があるに違いなかった。
ラゼィルはその理由をマスターの魔力量が少なく、それを気遣って使用を控えたものだと推測していた。
あのキャスターは絶大な戦闘能力を持つが、それを支える持久力がおそらく欠けている。
ならば敵を減らし、数の利を得るという、キャスターにとっての有益な条件を齎す同盟という申し出を断るわけが無い。
それに呼び掛けたのはあのランサーだ。格好と言動は巫山戯ているが、あれだけの戦士と手を組む機会を棒に振る愚を犯すほど、キャスターは愚かではあるまい。
無論。ランサーが仕掛けた罠という可能性を考慮してはいるだろうが。


こうなるとラゼィルとしては組むより他に手はない。
聖杯戦争に於いての屈指の強者二人が手を組むとなれば、それに乗らなかったラゼィルが袋叩きにされる可能性がある。
一対一でも勝機が薄い者を二人同時には相手にできない。
尤もこれは消極的な理由であって、もっと積極的な理由もある。

─────同盟に乗れば、不意を突き易くなる。

ラゼィルには正々堂々。正面から戦って雌雄を決する。等という思考も思想も存在しない。混沌の民であるダークエルフ族にその様なものは無い。
だが、ただ単に勝てば良かろうというものでは無い。
生前に偉業を成し、死して後に人間共の信仰と憧憬を集めた人間共の祈りの結晶。
そんな極上の贄が此の地には複数存在する。其れ等全てをラゼィルはグルガイアの信徒の務めとして屠り尽くす。
無論只殺すだけでは済まさない。英霊共を汚辱の泥に沈め、悲嘆に慟哭し、憎悪に狂い、怨嗟の呪詛を吐き、
その盛名を自らの行為で穢し尽くす様に殺してこそ、グルガイアへの至高の贄となるだろう。
無論この殺し方ができればl理想だが、英霊共が望む正々堂々の一騎打ち。等をやるつもりは無い。
先刻の戦いにしたところで、真っ当に戦うつもりも無く、さやかがキャスターのマスターを見つければ、それを元にキャスターの動揺を煽り、
キャスターが動揺すれば、隙に乗じて斬り刻んで殺すつもりだったのだ。
キャスターの強さが予想以上だったことと、ランサーという望外の贄の出現で頭に血が上った為に正面から戦ってしまったが。
まあこの事はラゼィルの持つダークエルフ族の性状を偽る上で役に立つだろう。
それにしても今日は危うい処だった。バイラリナをもう少しで使う処だった。
最強の龍骸装である凄煉(セイレン)は、街や森ごと人間共やエルフ共を焼き殺す為に用いる。戦闘で使うのならば巨体を持つ神獣や魔獣を相手にした時位のものだ。
この聖杯戦争の様な超絶の個が集う場所に於いては、発動までに時間が掛かり過ぎる凄煉よりも、小回りが効いて不意打ちが可能なバイラリナの方が有用だ。
バイラリナを使う時は、マスターの暗殺か後ろからの騙し討ち。
そう、方針を決めているラゼィルにとって、先刻の戦闘は基幹となる方針を崩しかねない一戦だった。

─────今後は冷静に立ち回るか。

そんな事を思いつつ。ラゼィルは同盟を組む理由を、ラゼィル自身の思惑を伏せてさやかに説明した。

「成る程。あのサンタにはそんな事情があったんだ」

「あくまでも推測ですが。それと、ランサーがの提案は何らかの策に基づいてのものかもしれません。御注意を」

「了解」

力強く頷いたさやかに、ラゼィルも頷き返す。

「じゃあ、同盟を組むことにするね。キャスターは何かしてこないか警戒をお願い」

「承知しました」

言って,深々と頭を下げるラゼィル。別段マスターへの礼守った訳で無く、吹き出しそうになった顔を隠す為だ。
同盟の呼びかけを聞いた瞬間から裏切る算段をしている自分が、裏切りを警戒しろなどと言われては、笑わずには済ませられない。

「そろそろご帰宅なさるべきかと。私は霊体化して付いております」

そう言ってラゼィルは頭を下げたまま霊体化する事で、邪悪に歪んだ表情をさやかから隠したのだった。



【C-6/学校/1日目 夜(23:50)】

【美樹さやか@魔法少女まどか⭐︎マギカ 】
[状態] 健康
[令呪]残り3画
[装備] ソウルジェム(濁り無し)
[道具] 姿隠しのマント×2。一枚は効果切れ
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:主催者をゆるさない。聖杯を破壊して二度とこんな事が出来ない様にする。恭介やまどかの居る世界に帰還する。
1. ランサーからの同盟の申し出を受ける。
[備考]
1.キャスター(ナーサリー・ライム)を直接、ランサー(クー・フーリン)をラゼィルの目を通して認識。ステータスを確認しました。
2.サーヴァント同士の戦闘がどの様なものかを知りました。
3.現在、帰宅途中です


【キャスター(ラゼィル・ラファルガー)@白貌の伝道師】
[状態] ダメージ(小)
[装備] 龍骸装一式。神の眼。白貌(ホワイトフェイス)
[道具] 姿隠しのマント(効果切れ )
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。 この地に集められたマスターと英霊共を皆グルガイアの供物とする。最後の供物は……
1. あのランサー(クー・フーリン)は絶対にグルガイアの供物とする。
2. サーヴァントもマスターも貶め辱めて殺す。
4.宝具・我が麗しき神楽の舞い手(バイラリナ)は隠し札として伏せておく。
[備考]
1.キャスター(ナーサリー・ライム)、ランサー(クー・フーリン)を認識。ステータスを確認、戦ってある程度手の内を知りました。
2.学校に布陣したことで、敷地内では全ステータスに+が付きます。
3.ランサー(クー・フーリン)から聖杯戦争の主催者に対抗しようとしているマスターの存在を知らされ、同盟の申し出をされました。

※姿隠しのマント
炭で染め抜いた布に黒光りするタール上の粘液で、魔術的な紋様を描いたもの。
闇夜の陰影に身を隠す効果があり、建物の影に寄り添ったり、地面に這いつくばっていると、カンテラの明かりで照らされても気付かない。効果は十五分
呪術的な編み方した縄で括っておくことで、魔力の発散を封じられる。

ラゼィルが道具作成スキルで製作。布は現地調達。塗料は魔力で生成。


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12.網も丸まれば繭となる



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キャスター(ラゼィル・ラファルガー)
最終更新:2016年11月10日 19:42