”Walking With Heroes” 第1章第6話「"Goddamn"~Fist of Fury~」

PL:極貧戦士による二次創作はこちら


Prologue


また、環境が破壊される。
そのことに静かに怒る、一頭のゴリラがいた。

ある日、彼は弱った同胞を目にしてしまう。
そこで怒りは遂に爆発した。
もはやその炎は止まることは知らない。思う存分激情を撒き散らすのだ。

その怒れるゴリラを人はこう呼ぶ。
神の呪いの代弁者、「ガッデム」と

英雄武装RPG「コード:レイヤード」
「”Goddamn”~Fist of Fury~」
――――その力で、伝説を超えろ。


Opening1 "ガッデム"、キレた!!


 “ガッデム“はクレイドル周辺のジャングルに生息する体長2.6mほどもあるゴリラであり、妖艶な踊り子「カルメン」のコードを所持するレイヤード、所謂インテレクトである。


 彼は何よりも「環境破壊」を忌み嫌っており、レイヤードとなって得た力を存分にジャングルの環境を守護するために発揮している。その通常のゴリラと比べても遥かに大きいと言える肉体から放たれる迫力とコードフォルダの拡声器を用いた「破滅の魅惑」から逃れられた者は稀でおり、半ばレイヤード達の間で怪奇現象としてしばしば話題に上っていた。



 そんな“ガッデム”だったが、ジャングルの守護者は彼だけというわけではない。それが錦鯉のインテレクトである“ドラゴン”だ。
 “ガッデム”を陸の守護神と言うならば、古代日本の女王であり太古の鬼道を操ったとされる「卑弥呼」のコードを所持する“ドラゴン”は水辺の守護神であり、彼らが良き友となるのも必然と言えただろう。
 なお、このジャングルには“ジーザス”という名の空の守護神がおり、この3体のインテレクトを中心に「JUNGLE環境同盟」(Jungler's Union of Natural Guardians and Leader of Environment)という謎の団体が結成されているのだが、それはまた別の話。

 しかし、何故か最近”ガッデム”の前に“ドラゴン”がめっきり姿を見せなくなっていた。川で水分補給をする際にはよく顔を見せていたのだが・・・。

「最近、“ドラゴン”見ないなぁ……。」

 そんなことを思いながらいつも通り水分を補給しに川へ向かう。すると川の上流から見覚えのある美しい魚が流れてきた。
 そして、ガッデムは一瞬絶句する。
 流れてきたものの正体は、弱り切って口をパクパクさせている“ドラゴン”の姿だった。

「どうした!?どうした“ドラゴン”!?」
「お主は……“ガッデム”か……」

 彼は驚き弱った同胞の身体を観察するも目立った外傷は見つからなかった。そもそも彼は水の守護神である以前に“ガッデム”同様レイヤードとしても一流であり、そんな彼が負ける姿などあまり容易に想像できるものではなかった。

「どうした“ドラゴン”、こんなに弱って」
「情けない姿を見せてしまったのう……この水はダメじゃ…… 」
「ペロ、これは… 」

 彼が水をひと舐めすると僅かに舌が痺れる。そこから判断するに上流から流れてきた水に工場廃液か何かの類が混じっているのだろう。それもかなり強烈なものが。

 “ガッデム”の得心したといった顔を見て“ドラゴン”も水の中から続ける。

「得体の知れんもんが……混じっておる……」
「なんだって!!!そいつは許せねえ!!!! 」

 彼は遂に怒りの咆哮をあげる。いくら水中は彼の管轄外といっても目の前で弱る同胞の力にならない理由など無い。それに、水と陸は密接な関係にある。命の源たる水がやられたと言うことは遅かれ早かれ陸地の環境も激しく破壊されるだろう。

「すまん…………儂の代わりに調べて……環境を……守……… 」
「まかせておけ !」

 彼が水底へ沈んでいくのを見届けた“ガッデム“は川の上流へと全力で走っていった……が、途中でクレイドルにて情報収集することを思いつき、踵を返してムサシ・クレイドル方面へと走っていった。
 ゴリラは非常に賢い動物として知られているのである。




Opening2 ファーヴニルの飛翔
 とあるシェルターの路地裏、2人の兄妹が肩を寄せ合って生きていた。
 兄の名は餓龍。本名は別に存在するのだが、彼は自分達を捨てた親を激しく憎んでいる。その親が自らに付けた名も同様だった。

 そんな彼がたった1人守ると誓った人物こそが妹の美幸だ。

 実の妹でこそないが、彼にとって血の繋がりの有無など些末なことであった。
 自分だけはどうなっても良い。彼女だけはせめてまともな食事を、という思いからかいつしか彼は裏社会に身を投じるようになり、殺した人を喰うことさえ厭わなくなった。六道会の敵対組織から「人喰い餓龍」として恐れられるようになるのにはさして時間がかからなかったのは当然の結果だろう。
 幸か不幸か、彼がレイヤードになったのも人喰いの結果だった。彼が喰らった人物の1人が体内に北欧神話の邪竜「ファーヴニル」のコードフォルダを所持していたらしく、それが体内に入った時にファーヴニルと適合してしまったのだった。

 そんな彼は現在六道会の構成員としてその邪竜の力を振るっている。餓龍の持つ端末に仕事の指令が届き、彼はいつもの様に事務所へ出勤する準備を始めた。

「それじゃあ兄ちゃん仕事いってくるよ。 」
「うん、頑張ってね、お兄ちゃん。だけど無理だけはしないでね。 」
「まあ、また必ずちゃんとしたご飯持って帰るから。あと、でかい怪物とか出たらちゃんと逃げるんだぞ、いいな 」
「うん、分かった。ありがとう。じゃあ待ってるね。」
「じゃあ」

 妹と何気ない会話を交わすそこには人喰い餓龍の姿は無く、1人の心優しき兄の姿があった。

 ◆ ◆ ◆ ◆

事務所へ到着した餓龍を普段通り上司が出迎え、仕事について話し始める。

「よく来たな餓龍、ああ今回だがな、電話でも軽く 」「とりあえず報酬を聞かせろ 」

 上司の話を間髪入れずに報酬の確認で上書きする。かなり高額な金額を提示した餓龍だったが、その上司はニヤリと笑ってそれを受け入れた。

「ああ。それぐらいなら全然払ってやる」

 そうして彼は仕事の具体的な内容を語り始める。

「今回だが、連絡した通り、どうやらうちのシマでヤクを売り散らすバカがいるようだ。お前にはそのヤクを生産する工場を叩きに行ってもらう。」
「ただな、一人ってわけじゃない。さすがに一人だといろいろと都合も悪いだろう。戦いは数とも言うし、こちらでもいろいろと戦力になりそうな奴らを集める手はずは整えておく。」

複数人での仕事と聞き餓龍は少し不満そうな顔を見せた。それを察してか上司がフォローを入れる。

「ああ、安心しろ。それによって報酬が減るなんてことは無いからな。これはお前だけに払われる報酬だ。」
「まあ、その辺は助かる」
「無事に完遂したら、の話だがな。まぁお前なら出来るだろう」
「金がかかっている以上、俺は必ずやり遂げる」

 彼の邪竜を彷彿とさせる貪欲さを目の当たりにし、彼は満足そうに頷いた。

「同行者が決まったらそいつから連絡は送るようにいっておくから、その連絡を待て。 期待してるぞ、人喰い。」
「ああ 」

 こうして、一頭の餓えた邪竜は獲物を探して巣穴から飛び立った。

鋭意執筆中・・・・・・。

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最終更新:2021年03月23日 05:18