14年度 後期卓 エリュシオン

GM:助動詞にいてんろく


第7話


before

霊剣“時風”を借り受けたのち、木曜日には修学旅行も終えて久遠ヶ原に返ってきた撃退士達。
週末には“時風”を使ってのルノの天使化の解除を試みることに。
彩羽や高良(兄)の協力もあり、ルノの天使化は拍子抜けするほど簡単に解除され、ルノも来週から学園に復帰することに。
かれこれ1か月弱振り回されてきたルノの天使化事件もこれで終息し、撃退士達は日常を取り戻したかのように見えた…

だが、まだ根本の解決には達していなかった。
それが引き起こす次なる事件の最初の予告は、意外な人物からもたらされる…

月曜朝~授業 ~意外な来客~

週明け、月曜の朝、アプリコットは先週の時風探索の報酬として、何を思ったか釣竿を所望し(これは他メンバーもなのだが…)、
早速久遠ヶ原学園の建つ人工島のはずれにある海に釣りに来ていた。
そこに後ろから声をかけてくる人影が一人。

「らしくないことをするんだな。 貴様にアウトドアな趣味があるとは知らなかった。」

以前、アプリコットに「天界に帰れ」と伝えに来た天使、クロミエルである。
相変わらずアプリコットが学園で好き勝手やっていること、あまつさえ悪魔を弟子にしたことに苦言を呈するクロミエルを、
適当にあしらおうとするアプリコット。
クロミエルは、これ以上雑談をしたくないとばかりに本題に入る。
曰く、「この学園には、まだ良からぬことを企む輩がいる。 せいぜい気を付けておけ。」とのことだが、
アプリコットに「何故わざわざそれを天界側の天使であるクロミエルが伝えに来たのか」と聞かれると、
彼は「その件を放っておくと天界も巻き込まれそうだから」と答えるが、
その様子はどこか歯切れが悪そうであった。

アプリコットはその様子に違和感を覚えるが、次の瞬間にはクロミエルなどどうでもいいとばかりに釣りを再開していた。

月曜放課後 ~太公望たちの午後~

月曜の午後は、皆アプリコットと同じく報酬として貰っていた釣り竿を使って、時間を釣りに費やすことに。
アプリコットは特段変なものを釣り上げることはなく、弟子である花鏡・月鏡と一緒に釣りに興じる。
渚は何故か、撃退士用の防具であるインナーを釣り上げ、これは後にそれを使えそうな、また、釣りについてきていない
アリカに渡される(押し付けられる)こととなる。
アイは、使い捨てカメラを釣り上げ(何故か使える)、釣竿を持っていないのに釣りについてきた燕に渡す。
燕は貰った使い捨てカメラで、写真を撮って回り、同じく背景で遊んでいた双子悪魔との交友を深める。

撃退士達のカオスな釣りは魚ではないものも釣り上げながらも、平和な午後が過ぎていく。

一方、唯一釣りについてきていないアリカは、お気に入りの場所、屋上でゆっくりしていたが、
そこに、天使化が解けて学園に復帰したルノが現れる。

「アリカ先輩。ここにいたんですね。改めてお礼が言いたくて。
 私のあれを治すためにわざわざ京都まで行っていただいたと聞いて。」
「それにしても、随分と早く時が過ぎたような気がします。
 なにぶん、その間のことはあまり覚えていないものでして…」

どうやら、ルノは天使化中、半ばヤンデレ化していたことは記憶に薄いようである。
アリカはようやくこれにて少しばかり安堵したのである。

月曜真夜中 ~天使と悪魔~

夕刻、釣りを終えて、研究室に帰る途中のアイに話しかけてくる人影が…
天使クロミエルである。
アプリコット同様に、話の通じにくい相手であるアイ相手にも、クロミエルは同様のことを伝える。
曰く、2日後ぐらいに何かが起きる予兆があるとのこと。
「警戒しておくことをお勧めする。」
そう言い残して、クロミエルは疲れた顔で帰っていった。

火曜朝~授業 ~それぞれの思惑~

月曜朝、夜中に温泉に出かけていて調子を崩した渚のもとに彩羽から電話が掛かってくる。
なんでも、「ちょっと調べたいことがあるの。申し訳ないけど、手伝ってくれない?」とのこと。
天使絡みのことかと問う渚に、肯定の意を示す彩羽だが、それ以上の詳細は語らず、水曜昼に、ということで
待ち合わせ場所を伝えて電話を切る。

こちらは寮から校舎に向かうアリカであるが、彼は偶然ルノと遭遇していた。
「そういえば、緋沙さんやアリスも、会話でアリカ先輩の話が出るたびに、気まずそうに目をそらすんですけど、
私が天使化している間に何かあったんですか?」
そう聞くルノに、アリカも苦笑いを浮かべてごまかすしかなかった…

アプリコットは、昨日のクロミエルの態度が気になったか、彼について調べてみることに。
彼は、現在、堕天を企てて柚原さんと接触を試みているらしい。
何ゆえ彼がそう思ったかは不明だが、多少なりとも気になる話ではある。
そう思うと同時に、昨日の天界の利になりそうもない話も一応の得心はいくのであった。

一方、燕は昨日の釣りで仲良くなった花鏡・月鏡と共に、かねてより気になっていた三つ子寮の七不思議について調べ始める。
どうやら、その中でも特に、「ひかり寮の501号室はかつて天使に襲われて亡くなった少女の亡霊が住んでいる」との話が、
話題にのぼっているようである。
最近、そこ近辺で寮生ではない人を見ることがあり、それが噂に繋がっているらしい。

そんなことを調べていると、偶然柚原さんと遭遇する。
柚原さんは、燕がひかり寮の501号室の話について調べていると聞くと、少し顔を曇らせ、
「興味本位でなら、あまり首を突っ込むのはお勧めしないぞ。」「俺もそうだし、黒瀧も今さら6年前のことを
掘り返されてほしくもないだろう。」と、伝えて去っていく。
どうやら、柚原さんと黒瀧さんは何らかの形でこの噂話に関わっているらしい。
燕はこの件に関してさらに疑念を深めることとなった…

火曜放課後 ~6年前の事件~

昼過ぎ、燕から午前中のことを聞いたアリカと渚は、6年前に何が起こったのかが気にかかり、調べてみることに。
久遠ヶ原の公式新聞のバックナンバーには6年前の日付で以下のような記事が見つかった。

【久遠ヶ原新聞】(日付は6年前)
昨日、高等部地区三つ子寮付近にて、天使による襲撃事件が発生した。
天使は駆けつけた風紀委員支部長、黒瀧辰馬氏(24)の指揮のもと全て撃退されたが、
付近に偶然居合わせた初等部生徒、文月彩羽くん(11)が重傷を負ったほか、
同じく偶然居合わせた生徒、天使との戦闘を行った風紀委員若干名が軽傷を負った。
また、この件について目撃者より、「天使は見たこともない技を使っていた」
「天使が久遠ヶ原の制服を着ていた」などの情報が寄せられており、
風紀委員会が調査を行っている。

どうやら、過去にひかり寮で起きた天使の襲撃事件というのはこれのことであるらしい。
ここに彩羽の名前があるのを見て、朝の電話をふと思い出す渚であった。

一方、いつものように研究室に向かうアイだが、今日は来客を一人連れてきていた。
燕である。
だが、ラボに入るといつぞやの先輩研究員が…
「おはよう、アイくん。 そちらの方は? 我が同士か?」
そう問う先輩に、アイが面白半分で「そうです。」と答えたあたりから全力で誤解開始。

結果、燕が同士であると勘違いした先輩が、幼い女の子への愛をエネルギーとする武器の強化に燕のメリケンサックを使い、
うっかり破壊してしまって、燕に炸裂掌を叩き込まれることとなる。

火曜真夜中 ~深夜の来客~

火曜の夜、寮にて就寝しようとした燕は窓をたたく音に気付く。
窓を叩いていたのはいつもの占い師である。
部屋に招き入れた燕に対し、占い師は「明日の午後にひかり寮の501号室に言って欲しい」という。
礼として特製ポーションを渡す占い師に、そのポーションの価値を良く知る燕は、それを引き受ける旨を答える。

水曜朝~授業 ~久遠ヶ原ではよくある事~

水曜の午前は、皆それぞれに授業、買い物などで過ごす。

性懲りもなく屋上に行ったアリカのすぐそばにハンマー投げのハンマーが降ってくるというアクシデントが
あったもののこの程度、久遠ヶ原ではよくある事である。

水曜放課後 ~ひかり寮の封印~

昼、彩羽に呼び出された渚は連れだってひかり寮に向かう。
曰く、ここの501号室には、人工の天使が封印されているらしい。
6年前、ここに住んでいた世界征服同好会所属の生徒、ウィルによって作られた人工天使は暴走を起こし、
近くを偶然通りかかった彩羽を巻き込んで重傷を負わせ、その後風紀委員によりこの部屋に封印されたという。
彩羽は、渚の持つ霊剣“時風”があれば、封印中で無防備な件の人工天使を完全に倒せると考えたとのこと。
そんな話を聞きつつ、501号室に到着し、彩羽がカギを使って扉を開けるとそこには…

部屋の中はガランとしていて、真ん中に封印用だろうと思われる魔法陣が。
だが、その上に件の天使らしき姿はない。
彩羽が「うそ…そんな…」と驚いていると、柚原さんが扉を開けて入ってる。

「最近、この件の蒸し返してる輩がいると思ったら、やっぱりか。」
「おい、奴がいないじゃないか!? これはどういうことだ!?」

そこでゲートを開き、部屋の中に現れる天使が一人。
見たことない顔であるが、翼や頭の輪といった天使的な部位は天使化したルノに似ている。

「あはっ、いやですねー、そこに私がいないのはもう封印が解けたからにきまってるじゃないですかー」
「そこのおねーさん(渚)も物騒なもの持ち込んじゃってー。 わたし、そんなんで消されたくなんかないなー」
「まったく、何もしてこなければこっちから手を出すこともなかったのにー」

そう言って襲い掛かってくる瞬間、クロミエルからの警告を受けていたアイ、アプリコットと、占い師から依頼されていた燕、
燕から状況を伝えられたアリカが救援に入る。
ここじゃ狭いし表に出ろとの声に、天使はその場にいる全員を巻き込むゲートで屋上に皆を転移させる。
全員を巻き込むゲートを作り上げるほどの力に驚きつつも、彼らはどうにかその天使を撃退し、撤退させることに成功する。
だが、撤退した後も屋上に渦巻く力場は、敵の強大さを物語っていた…

after

屋上での戦いが終わった後、撃退士達は6年前の事件について柚原さん、彩羽から話を聞くこととなる。
6年前の新聞に載っていたこと、先程彩羽が渚に語ったこととほぼ同じであるが、
先程の天使の存在、天使のセリフから推察される事実が1つ。

恐らく、人工天使の制作者であるウィルが、6年前は出来なかった人工天使の制御法を編み出し、
天使を封印から解き放つのにタッチの差で間に合わなかったのだろう。

かくして、彼ら撃退士は、人造撃退士、さらにはその背後にいるであろう製作者、ウィルとの戦いに巻き込まれていくこととなる。



GMコメント

第7話終了ですー
前回でルノの天使化のお話が一応終了。
今回からはいよいよ最終盤、黒幕が動き始めます。

あと3話、撃退士達はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。

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最終更新:2014年11月23日 17:31