トレーラー
アトラタン大陸最北の地ノルド。独特な習俗の発展したこの地も、人類と投影体、あるいは人類同士の戦いは続いていた。そんな地にある二人がいた。
一人は伝統を守るべくして育てられた。彼は今、それを継ぐ間際にいる。しかし、それは正しい選択だろうか。
もう一人はかつて、己の力で民を守れなかった。彼は今、ふたたび守るべき民を目前にした。彼は、いかにして彼らを守るべきか。
彼らの選び取る道は如何なるものか。その道を彩る魔法師や邪紋使いの選択は何であるか。
グランクレストRPG 極北の地の君主 混沌(カオス)を治め、聖印(クレスト)に至れ
ハンドアウト
PC1 (推奨・ロード)
因縁:エイ・ノルス(滞在先の領主) 推奨感情 メイン尊敬/サブ任意
君はノルドの辺境シュルドの領主デネ(名字の設定は自由、思いつかなければシュルディング)の長子で、次期領主として独立聖印を与えられたシュルドの伝統を継ぐべき君主だ。一方で君は、「戦いの作法」により厳格に戦闘法が定められるシェデランド一帯の戦いが本当にこの地に良い影響をもたらしているか悩んでいる。君はPC2とともに武者修行の一環のため、異氏族の治める地であるフレーゼルに近いPC3の守る村ウェトを訪れる。
PC2(推奨・メイジ(プロフェット・アルケミスト除く))
因縁:エルゼ・シュルヴィング(上司)推奨感情 メイン感服/サブ任意
君はエーラムから来た、PC1の契約魔法師として彼に付き添い、君主の武名を支えることを期待されている魔法師だ。PC1とともに今は、シュルドの統治者として十分な経験を得るために各地を回っている。ただ君は、プロフェットかつアルケミストとしてデネに仕える魔法師「エルゼ・シュルヴィング」からPC1がシェデランドの君主としてふさわしい振る舞いをするように指導することを言い含められている。
PC3(推奨・ロード)
因縁:PC1 (たどり着いた村一帯の領主) 推奨感情 メイン感服/サブ任意
君はかつてノルドより南のある村を治めていた君主だったが、大工房と幻想詩の戦いの中で多くの村人を失い、村は維持できなくなり崩壊した。その後君は、ウェトによそ者の客人(領主ならざる君主)として迎えられた。君主のエゴを見てきた君にとって、この地の「戦いの作法」と、それに忠実な君主デネとその臣下のエイは感服する存在だ。君は数週間前から、ウェトに一人で滞在している。
PC3は「流れ者」かつ「この地の流儀に感服している」のであれば別に君主以外のクラスで構わない。
PC4(推奨・アーティスト)
因縁:PC1 推奨感情 メイン任意/サブ猜疑心
君はウェトを守るアーティストである。この地の形式に縛られた戦いにより、この地域一帯で君主同士の戦いは村落にあまり影響を与えない。ただ異氏族との境にあるが君主のいないこの村はおろそかにされがちであるため、君はPC3をまだ信用していないし、今回視察に来たPC1の父デネには、厄介ごとが起きたとき放置されるのではないかと疑念を抱いている。そんな中、君の村は野盗が襲ってくる。
PC5(推奨 プロジェクション)
因縁:任意のPC 推奨感情も任意
君はこのうちの誰かに拾われた投影体だ。彼(女)はこの世界で生きていく上でのよき相棒であり、彼(女)が何かに悩んでいるなら何か言ってやろうと思うくらいには愛着を持っている。
尚、任意のPCの相方としてなら、こちらのクラスも任意で良い。参加者が四人なら使用しない。
オリジナル設定
今回の地域(地図は当日に。なんせ何もないので特にあげる必要が感じられないのです。)
ウンフェルス:フレーゼルの支配下の地、時としてシュルドを襲うというが、しばらくはそうしたこともない。尚、北にはまだフレーゼルの村落があるというが、ここ数年ウンフェルスから北に誰一人シュルドの民が訪れたことはないという。 ウェトから一日くらいのところにあるが、魔境が存在するためもう少しかかるかもしれない。
ウェト:PC3の守るシュルドに属す極北の寒村、まともな産業と言えるものはなく、男手を総動員した漁業を行ってウェデルと交易をすることで、何とか村を維持している。
ウェデル:割と裕福な村、PC1,2はここに滞在していた、それでもウェトを支えるのに十分な力があるわけではない、領主はデネの従属君主エイ・ノルス。ウェトからは三日くらいにあり、道中に村はない。なのでウェデルからウェトに交易に行こうとする人も少ない。
国家(に近い領域)
シュルド:PC1の父デネの治める地域一帯のこと。フレーゼルとは敵対している。デネはシェデランドにおける「戦いの作法」に忠実であることを領内の君主に求めている。
フレーゼル:シェデランドの外からやってきた君主が数代前にシュルドから切り取った領域。外様なのでシェデランドの「戦いの作法」を無視することもしばしば。
用語とか人名とか
デネ:PC1の父親で、外道ダメ絶対が信条。フレーゼルに負けるわけにもいかないので、我が子(PC1)に投影体狩りながら地盤固めして来いと言って、ほとんどクレストの力を分けず首都から放り出した。
エイ・ノルス:シュルド北方をまとめてる人。最前線なので堅実策でフレーゼルに対抗したいと考えているが、「戦いの作法」は絶対だと思っている。
エルゼ・シュルヴィング:シュルドの筆頭魔法師(自然魔法師のプロフェット)。デネの提案したPC1の武者修行に反対しなかった。但し二人とも、PC2がいるから大丈夫だろうと思っての判断である。決して無策なわけではない。
シェデランド:今回の舞台一帯のこと。ノルドの西の方にある。
「戦いの作法」:ノルド式君主道の総称。シェデランドなら
1.君主同士の戦いは、己の身のみを用いること。
2.君主同士で命を奪い合うことは、作法に反した者に対しても行ってはならない。
3.敗れた君主は従属聖印を以て勝者に仕え、民の半分を超す男を勝者に派遣すること。
となっている。結果、この地の君主は脳筋の割合が高めになった。
プレイログ
シーン0-A 極北の大地
アトラタンの最北の地、ノルド。その中でもシェデランドと呼ばれる領域は戦いの中にあった。シェデランドはもともと、ファーストロードの盟友シェーフの血を引くシュルディング子爵家によって治められていた小さな島嶼の領域であったが、ノルドを構成する有力な氏族の一つ≪オンゲンセーオウ≫の侵攻を受け成立した国家≪フレーゼル≫により、子爵家は南北に分断され、数十年もの間戦いが続いていた。
アームズの邪紋使い(アーティスト)「ヨルゲン・ビョルケル」はオンゲンセーオウより送られたアーティストとして、シェデランド南部子爵家≪シュルド≫の侵攻に加わっていた。彼は仲間たちとともに快進撃を続けていた。古びた習慣にとらわれた君主たちも、投影体との戦いばかりをしていた邪紋使いも、有効な対軍戦術を持たないメイジも彼らの敵ではなかった。
しかし、そんな彼らの勢いは一人の男によって打ち砕かれた。男の名はデネ・シュルディング。シュルドの統領たる剣王(セイバー)の彼は、襲い来るフレーゼルの軍勢を前にしてまさしく獅子奮迅の活躍を見せた。いや、それどころかたった一人のロードによりフレーゼルは敗れ去ったのだ。【誰一人として殺されることなく】して。
ヨルゲンは敗北の後、あるオルガノンに出会う。その名は紅毛の撃龍石鎚、或はクイ・グィバット。彼の提案を受けた彼は二人はフレーゼルの兵であることを止め、流れ者となった。彼らが着いたのはある寒村。それはかつての敵シュルドの村であったが、二人は村の守護者となり、自分たちの身一つで村の脅威と戦い続けた。その村の名をウェトという。
シーン0-Bある君主の亡国
彼は夢を見ていた。彼の身に起こった、現実に起きた惨劇の夢を。
泣き叫ぶ村人たちの声、音を立て崩れる家と突き刺さる火矢。村の外に逃げようとする男は弩に穿たれ、農具を使って抵抗しようとした男は切伏せられる。この世の地獄のような、しかし確かに、過去にある村で起こった惨劇。男は君主であり、過去の自分を見ていた。守ろうとした者たちが、次々と倒れていく姿を。
君主の名を、ルーネイト・ルクラムという。落ち延びた村の名は、ウェトという。
その村は、魔法師がいてようやく続けることができていた。彼が死んだ今、村は滅びの道を進むほかないかもしれない。けれど、村に住まう誰もが前を向いていた。村全員が、いつ、どんな苦境の中にだって必ず希望があると確信しているかのように。彼は今この村のため、自分にできることは何でもやろうと決心していた。
シーン0-C剣姫の視察
クーシャ・シュルディングはシュルドの次期聖印継承者である。父と同じセイバーのスタイルを選んだ彼女は、一心に剣技を鍛え続けた。彼女の剣技はまだ父のように一軍に匹敵するほどの力はないが、彼女は若くして、一般の君主と十分に渡り合うことのできる力を身に着けていた。
彼女はある時、シノンというメイジに引き合わされる。彼はシュルドの孤児として、首都ヘオロットの貧民街でスリをしていたが、ある時発覚し捕えられた。そのまま実刑に処されるかと思われたが、デネによりメイジとしての才を見出され、大陸南部エーラムに送られ魔法師としての教育を受けついにはエーラムを卒業した。生きていくための技能を得る機会を得たことに感謝した彼はシュルドに戻り子爵家に尽くすことを望み、その結果彼はクーシャの契約魔法師となるよう命じられる。方角に弱くよく道に迷い、昼行燈のような態度をよくとる彼女に対しシノンは辛口な「指導」をしていたが、彼はいつも彼女を見捨てることなく付き添っていた。
そんな中で、二人に対しデネからの命が下された。彼はクーシャに最低限の独立聖印を渡し旅立つよう言ったのである。二人はそれを了承しシュルド各地を巡り、有力な君主のもとを訪れた。そしてその途中いくつかの戦いを乗り越えたことで、クーシャの聖印は従騎士級から騎士級に成長し、二人が訪れていない地域は残すところ北部、すなわちフレーゼルとの国境付近のみとなった。
彼女たちはその地の君主エイ・ノルスに丁重に迎えられ、しばらくの間エイの治める街ウェデルに滞在していた。そしてある日、彼から二人に「申し出」があった。国境近くの村の視察である。二人はその申し出を快諾し、護衛と共にこの国の次代を担う二人は北の荒野へと歩き出していった。
最終更新:2015年01月12日 00:12