300話:凶姫乱舞 作:◆CDh8kojB1Q
「ヴァーミリオン、俺はエドゲイン君を探す。そいつの相手は任せた!」
叫んで森の奥へ走り去る。
だが逃走ではない。
なぜなら自分とヴァーミリオンは魔術と論理回路の同時発動が出来ず、
援護攻撃できる武器が無い現状では近接戦は不利だからだ。
ギギナと戦い腕を斬られた事が頭を過ぎる。
ならば相手の行動予測が可能がヴァーミリオンが相手を足止めしている間に
自分が武器を探して同時攻撃を仕掛けた方が効率が良い。
叫んで森の奥へ走り去る。
だが逃走ではない。
なぜなら自分とヴァーミリオンは魔術と論理回路の同時発動が出来ず、
援護攻撃できる武器が無い現状では近接戦は不利だからだ。
ギギナと戦い腕を斬られた事が頭を過ぎる。
ならば相手の行動予測が可能がヴァーミリオンが相手を足止めしている間に
自分が武器を探して同時攻撃を仕掛けた方が効率が良い。
「エドゲイン君は確実にここら辺にあるはずだ」
ギギナは剣を持っていた。
両手持ちのエドゲイン君を持っていくとは思えないし、
あの男の戦闘スタイルからして、わざわざ飛び道具を使用するとも思えなかった。
ギギナは剣を持っていた。
両手持ちのエドゲイン君を持っていくとは思えないし、
あの男の戦闘スタイルからして、わざわざ飛び道具を使用するとも思えなかった。
森の奥に向かって疾走を始めたコミクロンを確認し、
ヘイズはドレスの女へ向き直った。
(何でバンダナが逃げてコイツがここに残ってるんだよ…!)
最初は囮かとも思ったが、バンダナが戻ってくる気配は無い。
「ま、向こうから見りゃこっちも同じようなもんか」
肩を落としつつ接近戦に備える。
<I-ブレインの動作効率を85%から95%に再設定。未来予測開始>
「そんじゃまあ、威嚇攻撃といきますか」
<予測演算成功。『破砕の領域』展開準備完了>
こちらに向かって突撃してくる女の剣を狙って指を鳴らす。
パチンッ
論理回路が形成され、女が剣を落と――さなかった。
「なんだと! 情報解体が効かねえのかよ! まさか…騎士剣か!」
ヘイズはドレスの女へ向き直った。
(何でバンダナが逃げてコイツがここに残ってるんだよ…!)
最初は囮かとも思ったが、バンダナが戻ってくる気配は無い。
「ま、向こうから見りゃこっちも同じようなもんか」
肩を落としつつ接近戦に備える。
<I-ブレインの動作効率を85%から95%に再設定。未来予測開始>
「そんじゃまあ、威嚇攻撃といきますか」
<予測演算成功。『破砕の領域』展開準備完了>
こちらに向かって突撃してくる女の剣を狙って指を鳴らす。
パチンッ
論理回路が形成され、女が剣を落と――さなかった。
「なんだと! 情報解体が効かねえのかよ! まさか…騎士剣か!」
現時点で自分が捜索し、しかし自分と最も相性の悪い武器――騎士剣。
情報的にも物理的にも強固なこの剣は、
能力低下中の『破砕の領域』では傷一つ付ける事はできないだろう。
「やばい…銃さえあれば…」
後悔先に立たず、もう女は5メートル程手前まで接近してきている。
砂袋を探すためデイパックに手を入れたヘイズは、ある物に気づいた。
「こんな物でも、一回くらいなら…」
意を決してヘイズは女の行動を予測し始めた。
情報的にも物理的にも強固なこの剣は、
能力低下中の『破砕の領域』では傷一つ付ける事はできないだろう。
「やばい…銃さえあれば…」
後悔先に立たず、もう女は5メートル程手前まで接近してきている。
砂袋を探すためデイパックに手を入れたヘイズは、ある物に気づいた。
「こんな物でも、一回くらいなら…」
意を決してヘイズは女の行動を予測し始めた。
3メートル手前で女は更に加速。
寸分違わずヘイズの頚動脈を狙って超高速の一撃を放つ。
常人なら反応すらできない速度の斬撃、しかしそれは目標を大きく外れ、虚しく空を切る。
ヘイズは足を軸にして背中から回転し女の側面へ回り込む。
対して女は更に素早い回転でヘイズを正面に捕らえ払い切りを叩き込む。
それすら予測しているヘイズは既に射程の一歩手前に後退している。
それは戦闘を超越していた。
近づき、離れて、回転し、しかし決してぶつからず。
それは舞踏。
赤いふたりは森で華麗に舞っていた。
寸分違わずヘイズの頚動脈を狙って超高速の一撃を放つ。
常人なら反応すらできない速度の斬撃、しかしそれは目標を大きく外れ、虚しく空を切る。
ヘイズは足を軸にして背中から回転し女の側面へ回り込む。
対して女は更に素早い回転でヘイズを正面に捕らえ払い切りを叩き込む。
それすら予測しているヘイズは既に射程の一歩手前に後退している。
それは戦闘を超越していた。
近づき、離れて、回転し、しかし決してぶつからず。
それは舞踏。
赤いふたりは森で華麗に舞っていた。
だが舞踏は唐突に終わりを告げる。
赤い男、ヘイズは消臭剤を投擲する。
赤い女は右手の剣でそれを打ち落とした。
ヘイズは更に砂袋を投擲。
反射的に女はそれを左手の剣で打ち落とす。
袋が破け、砂が女の視界を潰す。
さらには両手で防御に回ったために斬撃の嵐が一瞬途切れる。
<予測演算成功。『破砕の領域』展開準備完了>
「悪いな、我慢してくれ。アンタは隙が無さ過ぎるんだ」
パチンッ
ヘイズが狙ったのは騎士剣ではなく右手首だった。
血管と共に腱が切れ、出血と共に剣が落ちる。
女の脇に飛び込み剣を掴む。
(は~、やっと目標の一つをクリアか…先が思いやられるぜ)
赤い男、ヘイズは消臭剤を投擲する。
赤い女は右手の剣でそれを打ち落とした。
ヘイズは更に砂袋を投擲。
反射的に女はそれを左手の剣で打ち落とす。
袋が破け、砂が女の視界を潰す。
さらには両手で防御に回ったために斬撃の嵐が一瞬途切れる。
<予測演算成功。『破砕の領域』展開準備完了>
「悪いな、我慢してくれ。アンタは隙が無さ過ぎるんだ」
パチンッ
ヘイズが狙ったのは騎士剣ではなく右手首だった。
血管と共に腱が切れ、出血と共に剣が落ちる。
女の脇に飛び込み剣を掴む。
(は~、やっと目標の一つをクリアか…先が思いやられるぜ)
しかしそれを思うのもつかの間だった。
女はドレスを切って止血をすると、先ほどの倍の早さで斬撃を繰り出す。
「おいおい舞踏の再開かよ」
しかも今度は二倍速だ。
予測可能で今度は防御可能とはいえこちらに女を殺す気が無いので、
どうしても押され続けることになる。
剣戟音が響く中ヘイズはぼやく。
「今度は流石にヤバイな…コミクロン、マジで急げよ」
白衣のおさげからの答えは返ってくるはずも無く、目の前の女は常に無言のままだった。
女はドレスを切って止血をすると、先ほどの倍の早さで斬撃を繰り出す。
「おいおい舞踏の再開かよ」
しかも今度は二倍速だ。
予測可能で今度は防御可能とはいえこちらに女を殺す気が無いので、
どうしても押され続けることになる。
剣戟音が響く中ヘイズはぼやく。
「今度は流石にヤバイな…コミクロン、マジで急げよ」
白衣のおさげからの答えは返ってくるはずも無く、目の前の女は常に無言のままだった。
突然、女が木の枝を切り飛ばしてきた。
先ほどの自分の攻撃同様、次が来るかとヘイズは構える。
しかし、女が取った行動はヘイズを驚愕させた。
「斬るのは木その物かよ…」
細木だったので女の剣速と騎士剣の硬度なら不可能ではない。
破砕音と共にヘイズめがけて倒れてくる。
「発想のスケールで…負けただと、くそっ」
ヘイズは横っ飛びで木を回避するがそこには女が立っている。
死神に見えるのは気のせいではあるまい。
先ほどの自分の攻撃同様、次が来るかとヘイズは構える。
しかし、女が取った行動はヘイズを驚愕させた。
「斬るのは木その物かよ…」
細木だったので女の剣速と騎士剣の硬度なら不可能ではない。
破砕音と共にヘイズめがけて倒れてくる。
「発想のスケールで…負けただと、くそっ」
ヘイズは横っ飛びで木を回避するがそこには女が立っている。
死神に見えるのは気のせいではあるまい。
死神はその左手で必死の一撃を繰り出した。
ヘイズに高度演算能力が無ければそれは確かに必死だった。
しかしヘイズは軌道を予測し、僅かに体を逸らした。
結果、剣は心臓を逸れ、しかしヘイズの左肩に突き刺さった。
「ぐああああああぁぁぁぁぁ!!」
絶叫が森にこだました。
ヘイズに高度演算能力が無ければそれは確かに必死だった。
しかしヘイズは軌道を予測し、僅かに体を逸らした。
結果、剣は心臓を逸れ、しかしヘイズの左肩に突き刺さった。
「ぐああああああぁぁぁぁぁ!!」
絶叫が森にこだました。
【F-5/北東境界付近/1日目・11:06】(火乃香が戻り始める直前)
【シャーネ・ラフォレット】
[状態]:右手首負傷、疲労
[装備]:騎士剣・陽
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:1、赤髪・三つ編みを攻撃 2、クレアを捜す
[状態]:右手首負傷、疲労
[装備]:騎士剣・陽
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:1、赤髪・三つ編みを攻撃 2、クレアを捜す
【凸凹魔術師】
【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】
[状態]:左肩負傷、疲労
[装備]:騎士剣・陰
[道具]:支給品一式 ・有機コード
[思考]:1、オレ、死にそうだ。火乃香らと交渉に失敗? 2、刻印解除構成式の完成。
[備考]:刻印の性能に気付いています。
【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】
[状態]:左肩負傷、疲労
[装備]:騎士剣・陰
[道具]:支給品一式 ・有機コード
[思考]:1、オレ、死にそうだ。火乃香らと交渉に失敗? 2、刻印解除構成式の完成。
[備考]:刻印の性能に気付いています。
【コミクロン】
[状態]:軽傷(傷自体は塞いだが、右腕が動かない)
[装備]:未完成の刻印解除構成式(頭の中)
[道具]:無し
[思考]:1、エドゲイン君回収。戦闘が終わったから相手との平和交渉、情報交換
2、刻印解除構成式の完成。3、クレア、いーちゃん、しずくを探す。
[備考]:服が赤く染まっています。
[状態]:軽傷(傷自体は塞いだが、右腕が動かない)
[装備]:未完成の刻印解除構成式(頭の中)
[道具]:無し
[思考]:1、エドゲイン君回収。戦闘が終わったから相手との平和交渉、情報交換
2、刻印解除構成式の完成。3、クレア、いーちゃん、しずくを探す。
[備考]:服が赤く染まっています。
【備考】シャーネ大暴れ中。火乃香が接近中。両チームとも海上遊園地へ向かう。
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