居場所




いきなりじゃ、理解することは難しい。
一般人が殺し合いというフィールドに呼ばれる。
そうなると、錯乱して落ち着きがなくなって―――死ぬ。
……いや、殺される方が正しいのだろう。
現にこうやって―――意味不明な状態にある訳だ。
直前にやっていた事なんて無視――本当に突然ここにいる。
何故?誘拐?誰がこんなことをする?
分からない。このフィールドの目的が分からない。
殺し合いという見た目からじゃ理解は出来ない。
では、どうすれば理解出来るというのだろう?
………それが分かる前に、殺害されてしまうのか?
自分も……皆も……そうなってしまうのか?

絶望、それだけしかないこの空間で………。
日常を奪ったこの空間で………死んでしまう?

………そんなのは、嫌だ。

………作ってくれた、あの場所が無くなるなんて。

………あの場所を無くさせなんかさせない。

………させる訳にはいかない。

………あの場所が自分の居場所―――あれを失ったら。

………もう自分の居る所なんて、価値が無くなる。

だから、自分は死ぬ訳にはいかない。
勿論――皆の所に帰らなくちゃ駄目。
………でも、殺害するなんてことはもっと駄目。
……いや、今の自分はそんな発想なんてしなかった。
ただ一つの恐怖心に支配されて、動くことも出来ない。
泣いて――震えて――こんなことしてる間にも………。

でも今の自分は怖いという感情しか芽生えない。
目の前で人の首が飛んだ――あれが忘れたくても忘れる事が出来ない。
思い出す度にビクッとなって―――また震えが強まる。
それをさっきから続けるだけの、そんな状態にいた。
自分だけ――それが過去を思い出させる。
転校前のあの思い出―――それも忘れる事は出来ない。
勝ちに拘ってしまった結果が孤独を呼んだ。
練習も一生懸命にやった、でも勝ちに拘って孤立――そして転校した。
……転校後も孤独で―――自分の居場所はいつも独りだった。
………だがある日の体育――そこで行われたのはやめたバスケ。
孤独を生み出してしまったバスケ。でも練習したバスケ。
気付けば男女対抗になって―――そこで先生に言われた。


『本気出していいよ』


又、勝ちに拘ってしまって――また孤立すると思った。
でも……ある一人の女の子が目を輝かせてかっこいいと言った。
そしてその子は提案した。その学校に女バスはないから―――
―――女バスは作ろうと、そう提案した。
5人は自分とその子――そして後の3人はその子が連れてくれた。
………そうやって、女バスは作られた。そして、そこが自分の居場所。
皆が笑顔で待ってくれている場所―――そこから何故……。
何故、殺し合いという場所に来てしまったんだろう?

何も分からない、ただ怖くて、帰りたいという感情しか芽生えない。

皆が待ってるあの場所に戻らなくては……。
直ぐに戻るよ、自分の居場所へと―――。
いつまでも泣いてちゃ駄目、行動を起こさないと。
一点でも多く―――試合じゃないけど、勝負に近い何か。
………本気を出してでも、この事態をどうにかしないと。

そうやって、一人の少女は暗い部屋の中――立ち上がった。
暗い一室―――でもその少女は何処か輝きがあったように思える。
彼女こそは、私立慧心学園、6年C組、女バス所属。


―――湊智花(シャイニー・ギフト)


「………もしかして、そこにいるのって―――」
「っ!!!」

立ち上がった時の物音で気付いたのか、そんな声がそこに聞こえた。
智花は驚いた、でも不思議とその次は落ち着いた。
………ようで、そうではなかった。

「とも……か……?ともか、智花だよなっ!?」
「す………昴さん……?」

智花の居場所を、女バスを助けてくれた人がそこにいてくれた。
長谷川昴―――そこにいたのは彼だった。
とても嬉しそうに昴は智花に近付いて行って―――。

「ふぃひゃぁ、す、すばるふぁん……?」

抱き締めた、良かったと何度も言いながら。
本当に無事で良かった、昴は涙を流しそうにもなった。
……いや、流したかもしれない。

「あ、ご、ごめん!つい安心して………はいられない、か」

昴は直ぐに冷静になって現状を見た。
殺し合い、その中で一番に会えたのは智花で良かった。
……だがその殺し合いに智花がいるというのは良くない。
何故、小学生にまでも殺し合いをさせるというのか?
昴も智花と同じく、何も理解出来なかった。
殺し合いを何とかしたい、そこまでも智花と同じだ。

「智花、なるべく人との接触を控えながら行動しよう」
「え、ええっ!」

智花はびっくりしてしまった。
同時に顔も少し赤くなる。完全に見方が違う。
人と接触しないということは、ほとんどずっと二人。
昴と二人―――考えるだけでドキドキしてしまう。
……だがそんな場合じゃない、そんな場面ではない。

「智花が嫌なら別の方針にでも「い、いえっ!そうしましょうっ!」あ、ああ……
 じゃあ暫くはここにいよう。多分だけど中の方が遭遇しないだろうし。
 後になってここから出れば上手くすれ違える筈だ。しばらくは我慢してくれ、智花」
「は、はいっ!いくらでも待ちますよ!」

智花の様子を見て、昴は少し笑顔になる。
殺し合い―――でも智花に暗い顔はして欲しくない。
ずっと笑顔でいるのも無理だろう。精神的にこれは来る。
智花ならまだ大丈夫かもしれないが……真帆達がいるならば?

紗季の判断力は頼れる存在、大丈夫なのかもしれない。
真帆は暗い所が苦手、こんな時間だが大丈夫なんだろうか……。
愛莉は精神的にキツイだろう。早く会ってやらないと。
ひなたちゃんは逆に身体的に耐えれないかもしれない。
全員がいるかは分からない、だが絶対に失ってはいけない。

俺は約束した。智花に約束した。
智花の居場所もバスケも、俺が守ってやると。
そして―――俺は女バスを守る為に皆に特訓をさせた。
結果―――男バスに勝利を得て廃部を逃れた。
………だが、今度は居場所が危ない。
一人でも死亡したら―――智花の居場所はもう………。


だから、絶対に俺は守ってやる。


智花の居場所も、バスケも。


………そして、命も。


【G-5 - 図書館二階】
【湊智花@ロウきゅーぶ!】
【状態】健康 少し顔赤い
【服装】慧心学園初等部制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:殺し合いをどうにかする
1、昴さんと一緒~♪
2、しばらくは図書館内で待つ


【G-5 - 図書館二階】
【長谷川昴@ロウきゅーぶ!】
【状態】健康
【服装】七芝高等学校制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:智花を守りつつ、殺し合いをどうにかする
1、しばらくは図書館内で待機
2、女バスの皆は死なせない。必ず全員……。
3、絶対に智花は守る。




―――そして、居場所を失った少女は暗闇へと消える。



(皆……殺してやる……)



【H-5 - 図書館周辺】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】健康 変身後 黒さやか
【服装】変身後の姿
【装備】???
【道具】基本支給品 不明支給品1~3 ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
【思考】基本思考:皆、殺してやる……。
1、殺す………。

※おそらくほぼ魔女化寸前ですが魔女化はしないらしいです。


sm058:目前の悪夢 投下順 sm060:もう何も見えない
START 湊智花 sm064:すばるん困惑っ?!中の人同一人物説浮上!
START 長谷川昴 sm064:すばるん困惑っ?!中の人同一人物説浮上!
START 美樹さやか sm063:偶然の出会いは真っ黒


最終更新:2011年10月06日 00:27