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物凄いまともなフランちゃんが物凄い可愛い




「んぅー………」

その屋敷の地下らしき所で悪魔が目覚めた。
天使のような可愛さの外見に秘めた力は強大。
フランドール・スカーレット。悪魔の妹、恐ろしい波動。

そんな悪魔は、目を擦りながら周りを見る。
いつもの紅魔館に似た何処か。そう、"似た"
フランは直ぐに気が付いた。此処が紅魔館じゃないと。
地下からあまり出ていないフランだからこそ、紅魔館じゃないと分かった。
だって、地下にこんな所無いから。ボイラー室なんて無いから。
じゃあここは何処なんだろう?滅多に地下から出れないのに、今は出ている。
ここが紅魔館じゃないなら、外出を拒む者もいない。

「お外に出れるっ!」

今、フランは完全に自由。
首輪という謎の物体を除けば完全に自由。
外出しようが、全てが自分の思うがままに行動出来る。
一応、魔理沙とか霊夢に敗北してからは上に出る事も増えた。
それでもやっぱりお姉様、レミリアの監視下。中々好きにはさせてくれない。
でも今、フランを止めれる者は誰一人としていない。

「~♪」

ご機嫌でフランはその部屋から移動し始める。
殺し合いの事は、頭には入っていないよう。
聞いていたのだろうけど、正直どうでも良い。
それに自由に外に出れるというのは、嬉しい。
その嬉しさが原因で、尚更殺し合いなんて忘れていた。

階段を上っていくと、それなりに豪華な廊下が広がっていた。
紅魔館に比べれば紅が少ない。まあ名前的に当然だけど。
でもあの館に匹敵、もしかすればそれ以上にこの場所は豪華かもしれない。
たまにしか上に出ないフランはそう思った。
取り敢えず外に出よう。窓の外は真っ暗。
夜なら出ても支障無し。陽が出てなくて良かったと思う。
これで安心して外に出れる。ちゃんと、玄関から外に出る。
その玄関の大きな扉を、フランの小さな手が開く。

「出ても、いいの?」

だがフランは直ぐに外に出ようとはしなかった。
足りない。何かが足りない気がする。
外に出れる自由は嬉しい。嬉しいけど、足りない。
たまには勝手に外に出ようとしたけど……でも、その時は足りていた。
……そう、気分が乗らない。ここが紅魔館じゃないからだろうか?
別の館から出ても、意味なんてない。レミリアが主である紅魔館から出ないと。
紅魔館内で自由じゃないと、フランにとっては面白く無い。

「……私、何でこんな所にいるのかな?」

先ず第一に、紅魔館じゃない場所で何故起きたんだろう?
他の場所に行くなんて事、滅多に無い。行くとしても皆と一緒。
捨てられた?いや、そんな事ある訳が無い。皆、そんな事する訳無いから。
じゃあ、何で?此処は何処?何もわからない。

ひょっとしたら、この場所は紅魔館の地下よりも寂しい場所かもしれない。
紅魔館の地下でも、階段を上れば誰かが相手してくれる。
幽閉で孤独だった世界が、あの敗北で変わった。
ちょっとずつだけど変わっていった。そして、皆が色々な事を教えてくれた。
門に行けば、美鈴がいる。その美鈴に花を見せてもらって花の美しさを教わった。
図書館に行けば、パチュリーがいる。パチュリーは図書館にずっといる。
その中で、パチュリーは本の大切さや面白さなどを教えてくれた。
その使い魔からは、本を大切に扱ってくださいねと、言われた。
館内を歩けば、咲夜がいる。いつも大変そうな咲夜は、時間の事を教えてくれた。
一日の時間を上手く使う方法。地下にずっといた自分は時間の感覚には乏しかった。
でも咲夜に教わってから、昼と夜、食事などの時間が定着してきた。
お部屋にいけば、お姉様がいる。お姉様は、礼儀作法を教えてくれた。
スカーレット家として、誇り高き吸血鬼として、カリスマを保つのよ、と。
よくわかんないけど、こうやってお姉様と一緒にいて楽しかった。
最後は、二人で紅茶を飲みながら雑談していたような気がする………。

そう、こんな日々。紅魔館の日々。これはとても幸せな日々だった。
自由に外に出れなくても、皆がいるだけで満足。
足りなかったのは、周りにウジャウジャいる妖精メイド達も含めた紅魔館の皆。
勝手に出てはいけないと忠告してくれる皆が、足りなかった。
紅魔館じゃないここは、例え紅魔館より大きくて豪華だとしても、紅魔館には及ばない。
あの場所にはたくさんの仲間がいて、とっても楽しい場所。自由じゃなくても楽しい場所。
ここには無い楽しさがある紅魔館が、やっぱり自分のいるべき場所。

「帰らなくちゃ……」

皆、心配しているかもしれない。
自分もあの場所が恋しい。
やっぱり長く居た場所からは、中々離れることが出来ない。
喧嘩で家出したとしても、絶対に帰ってくる。
あの場所で過ごした楽しい思い出が家を恋しくさせるから。

その小さな手は、大きい扉を開いた。

やっぱり、止めてくれる人は誰もいない。
知らない館に用は無し。早く、紅魔館に帰ろう。
鮮やかな羽を広げて、フランは飛び立つ。


……………。


「………あれ?」


羽をパタパタさせて、その場に留まるフラン。
うぅ~んと、目を瞑りながら頑張っている。
羽はパタパタ、それ以外にフランには何も起きない。

「んぅぅぅ~………んっ!」

その場でぴょんぴょんしてみる。それでも羽は揺れるだけ。
そして確信した。これだけ頑張っても出来ない。
明らかな身の変化に、フランは気付いたのだ。

「飛べなくなっちゃった……」

羽がある癖に飛べないなんて、情けないかもしれない。
でも本当。本当に、今まで自由に飛べていたのに飛べなくなった。
こんな事に気付いてしまうと、流石に異常事態が起きてると分かる。
幻想郷じゃない別の場所なんじゃないかと、思う。
自身が異変に関わった事は無いものの、この事態は異変。
きっと、今までに無い特別な異変。それに巻き込まれている。

「……異変解決って、魔理沙達がやってた奴だよね?」

フランは考える。この異変は大きな異変。
幻想郷の住人の皆が突然、飛べなくなってしまったこの異変。
やっぱり、魔理沙や霊夢も直ぐに動いているのかもしれない。
もしかしたら、あのお姉様……レミリアも興味本意で動いてるかもしれない。
レミリアが動いてるなら、咲夜も動いている事になる。
咲夜はいつも傍にいるから。きっと、嫌といってもついてくる。
パチュリーと美鈴はおそらくお留守番。だから、紅魔館は無人じゃない。
………なら、直ぐ帰る必要も無いかもしれない。
お姉様達が動いているなら、私も動く!勿論、勝手!
異変解決は面白そう。なのに、お姉様達や霊夢、魔理沙が独占するのはズルイ。
意地でもさせてもらう。フランは、今そう決めた。

「……でも、誰が異変なんて起こしてるのかな?」

ただ問題は、何処の誰がこの異変を引き起こしたか。
異変は起こされるもの。勝手に発動なんてしない。
必ず犯人がいる。その犯人に心当たりは?
………一切無し。だって、紅魔館の地下からほとんど動いていないから。
情報が一つも無いと、気合が幾ら合っても中々前に進む事は出来ない。
敵の本拠地は何処にあるか分からない。それなら、こうすればいい。
虱潰し。端から端まで調べつくして、居場所を突き止める。
もしかしたら、霊夢達もまだ分からないかもしれない。
今回の異変、解決するのはこの私。フランは、そう意気込む。
その気合は十分にあった。異変解決という面白そうな遊び。
弾幕ごっこで戦いながら敵を倒せば解決する弾幕ごっこの連戦的なもの。
そこまでに先ず場所を探す。それもまた、楽しい。
絶対に誰よりも早く、この異変解決を達成する。そうしたら、見直してくれるかもしれない。
紅魔館内でも、完全に自由になっちゃうかもしれない。

「負けないよ、お姉様!霊夢!魔理沙!」

異変解決に動いてるであろう者達に、そう言い放つ。
尤も、そのメンツは全員この場にいないのだが………。
フランがそれに気付くのは、この異変解決への道中か、解決後か。
幻想郷じゃない事を理解するのか?

「外ってこんな感じだったのかな?」

理解していないことを理解した!
もうなにもかもがぐちゃどろー! \Hoo/
内面に眠る狂気は、しゃきしゃきどんどんぱふぱふべーん!なのか?
普通に残虐な姿か?じゅるじゅるじゅる吸い尽くすのか?
私は…私は…もう誰もきずつけたくないんべべぽーーー!

フランちゃんは、その館から遠ざかっていく。
周りに木々が生い茂っている。空は真っ黒。
今、陽が昇ればフランちゃんの身体は終了のお知らせか?!
尤も、陽が昇るまでまだまだ時間があるのだが。

「あまり綺麗じゃない星と月だなぁ~………作り物みたい」

フランは空を見ながらそう呟いた。
月の明りも、星の位置も、全てが適当。
尤も、フランは深くは考えなかった。
たまにはこんな事もあると、そう結論付けたのだ。

空といえば、お姉様と一緒に見たあの空。
踊る緋色月に輝く星々。この世界と比べ物にならないくらいあちらは綺麗。
幻想郷は変わっちゃったのかな?これも、異変のせい?
空の様子が変わった?なら、もしかすれば異変の犯人は空にいる?
飛行を不可能にした理由も分かる。空にいるなら飛べなくすればいい。
そうすることで絶対に異変は解決出来なくなる。誰も辿りつけなくなる。
フランは、凄い事に気付いちゃったんじゃないかと思った。

「それじゃあ、先ずは飛行能力を取り戻さなきゃ……」

犯人は空にいると踏むなら、大事になるのは空に飛ぶこと。
これが出来ないと、本拠地に入る事は不可能。
その能力を戻す方法………そんなの、全く思い浮かばない。
そんな事が起きた試しが無いから。多分、お姉様でも分からない。
パチュリーならどうだろう?本の中にヒントでもあるかもしれない。
聞いてみよう。フランはそう決めた。

「……で、紅魔館はどこにあるのかな?」

問題は積み重なる。此処が何処か分からないなら紅魔館の場所も分からない。
もっと外に出てれば、大丈夫だったかもしれないのに………。
仕方ない。そこら辺を歩き回って、見つけよう。
紅魔館ぐらいの大きさになれば、遠くからでも見つけれる筈。
時計塔がある紅い館こそが、紅魔館。それを見つけるだけのお仕事。

「異変解決も大変だなぁ~………」

順番に問題が重なる。改めて、異変解決の大変さを思い知る。
ただ突き進んで敵を倒すだけなら簡単だけど、道中がこんなに大変だなんて。
まだ心は折れないけど、道のりは長そう。
そう、フランドール・スカーレットの異変解決物語は始まったばかりである。

そして今、フランは橋の上にいた。
無駄に長い橋の上を、フランは考えながら歩く。
夜の闇に映るその綺麗な結晶のついた羽は他の者からどう見えるのだろうか?
その綺麗さに心を捕われて、その姿の幼さに捕われて、夢中になるのか。
そう、例えばこの私のようにフランを愛して生きるのが辛くなるのか?
それとも悪魔の妹と呼ばれる彼女の羽は、人間ではない存在を表している。
羽が、恐怖を与えて彼女の元から逃げてしまう。
相手次第だが、ともかくその羽は綺麗だ。
吸血鬼の白い肌、幼きその小さな姿、細い腕。
こんな外見で歩く少女は、とても愛しい姿。
異変解決へのやる気は本物。それほど、今少女は異変解決を面白いものと思っている。
殺し合いを理解して、尚且つフランの事を良く知っていればどんな行動をすると思うか?
その狂気っぷりに人を殺しまくっていると、そう推測するだろうか?
しかし違う。このフランは、違う。悪魔の妹は、異変解決に動いている。
誰がこんな事をすると予想したか。狂気を感じないフランちゃんは、元気。
殺し合いの中で元気な姿をしているのは、それはそれで狂っとるのかもしれない。


実際、殺し合いを完全に理解してもフランは動揺することはないだろうが………。
異変解決への興味が尽きるまでは簡単には心を動かさない。
フランはとても良い子なのだ。外見通りの素直さも備わっているのだ。
そして外見から予想出来ないぐらい、強いのだ。
参加者達の中で一番強い可能性もある。そう、可能性があるだけ。
森の妖精達は強い。外見通りの強さを彼等は備えている。

対してフランは外見からは分からない強さ。
その鬼畜弾幕は、簡単に避ける事は出来ない。
弾幕攻撃、スペルカードこそが幻想郷の者達の武器。
だがこの能力を主催者達が放置してる筈が無い。
本人は気付かずだが、弾幕の能力はかなり低めにおさえられている。
それにスペルカードも使用すれば代償が支払われる。
また、能力も封印。フランの持つ"ありとあらゆるものを破壊する程度の能力"は強力過ぎる。

フランはまだ気付かない。自身の弱体化に。
その弱体化は、人間相手でも簡単には壊せないレベル。
普段通りにすれば、フランは戸惑ってしまうかもしれない。
……だが、もしかすれば気付いているのかもしれない。
空が飛べない時点で、弾幕も抑えられてると予想しているかもしれない。


フランは、どう思って今、地を歩いているのだろうか?


今、橋を渡り終えた。


【B-4 橋付近・一日目/深夜】
【フランドール・スカーレット@東方Project】
【状態】健康
【服装】フランドールの服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:異変解決をする。その為に先ずは飛行能力を戻す。
1、紅魔館を探して、パチュリーに空を飛べるように戻せるか聞く。
2、犯人はきっと空の上!
※空が飛べない事に気付きましたが、弾幕やスペカ等に気付いてるかは不明です。
※殺し合いである事を理解していないかもしれません。


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最終更新:2012年05月13日 19:02