メイガスフェアリー
妖精とは、どういう存在か疑問に思う者も少ないだろう。
イメージとしては、羽の生えた小さな人間みたいな感じか?
その羽は虫のような羽、透き通った透明の羽。
身体部分は人間に類似した感じ。それこそが妖精か?
妖精は英語でFairy、またはelf。elfの場合は小妖精でもある。
その妖精とは、自然物の精霊。自然に生きる生物。
これは架空の存在。現実においては実在しない、物語だけの存在。
この殺し合いも云わば、一つの物語。ここに妖精がいてもおかしくない。
花畑というまさに自然の絶景の中に妖精がいたっておかしくない。
その妖精に、名前は無い。ただ、愛称はある。
周りの友達からは、その愛称で名を呼ばれている。
本人もその名前が嫌とは思わず、寧ろ呼んでくれるのが嬉しいぐらい。
名前が無かったから、呼んでくれるなんてことはほとんどなかった。
でも、愛称があれば皆がそう呼んでくれる。それは、非常に嬉しい事。
もう一人ではない。呼んでくれる仲間達がいる。
その仲間達は、この花畑には一匹も存在していなかった。
いるのはたった一匹。この自分だけ。
大妖精である自分だけ。大ちゃんだけ。
先ず花畑に見覚えが無い。こんな所、知らない。
幻想郷には向日葵畑とか鈴蘭畑とかあるけど、ここは違う。
様々な花が混ざった、正直に言えばあまり美しくない花畑だった。
人工物かのような花達。生気をまったく感じない。
大妖精といえども、所詮は妖精で頭は良くないがそれでも分かった。
今、この状況は確実に異変が起きていることを。
植物達に生気が無いということは、光合成や呼吸も行われない。
枯れてる訳じゃない。この外見だけ生きてる植物達は自然の一部じゃない。
これがここだけの異常なら、まだいい。
………でも、嫌な可能性がある。自分達の住処までこんな事になっていたら?
妖精は自然に住む。そこから植物に生気が無くなれば、住めなくなる可能性がある。
妖精だけじゃない。幻想郷の住人全員にも影響を及ぼす。
大妖精はそんな大きな事までには手は出せないと、思っている。
幾ら大とはいえども、妖精の力じゃ限界がある。
少しばかり周りの妖精より強いといえども、勝てない相手なんてわんさかいる。
戦う必要なんて無いかもしれないけど、これを解決する頭脳も持っていない。
つまりは何も出来ない。ただ、解決されるまで頑張って生活するだけ。
悔しい。妖精はこんなものなんだろうか?
………いや、まだ分からない。あの妖精なら……。
一番近しいあの妖精なら………いつも遊んでくれてるあの妖精なら………。
もしかしたら………この事態を解決してくれるかもしれない。
湖上の氷精、チルノ。彼女なら何とか出来るかもしれない。
あの強い力があれば、妖精の力を見せつけると共に自然を取り戻してくれる。
大妖精はチルノの力を知っている。最強であると名乗るぐらいの実力の持ち主。
本当に最強。何時も凍らされている蛙が少し可哀想にもなってくるけど………。
兎に角、最強であるチルノなら大妖精はこの事を何とか出来ると思った。
………そのチルノは、傍にはいない。つまりは、探す必要がある。
(でも……ここ何処か分からないですし……無闇に動いたら迷っちゃうよー……)
ただ動き過ぎると、自分が何処にいるか分からなくなる可能性がある。
居場所を見失えば移動も出来ない。目的地にたどり着けない。
どうしようかな、と考えたが直ぐに大妖精は気付く。
(そういえば、ここ何処か分からない!……なら、動いても大丈夫……?)
よくよく考えたらこの花畑が何処にあるのか不明。
初めから迷子状態、なら無闇に動いても平気そう。
大妖精は直ぐにこの場所から動いてみる事にしたその時。
立ちあがった時に、鞄のような物に触れた。
「あれ?何だろうこれ?」
見たことも無い鞄。大妖精は容易に開けようとはしない。
罠か何かか、とかそんな警戒して開けようとした訳ではない。
ただ単純に見知らぬ物を見るのが、触るのが怖いだけだった。
もしこの中から大きな蛇でも出たらとか、そんな可愛い恐怖を感じていた。
数秒間、大妖精は立ったまま鞄を見つめたまま考える。
この鞄みたいなものを開けても大丈夫か?本当に大丈夫なのか?
考えた末、大妖精は暫く経っても何も出てこない事から中に生物がいないと確信する。
そして、手に掴んだそれを取り出してみる。
「良かった……?あれ、これ見た事があるような………」
出て来たのは六角形の何か。これを大妖精は一度見たような見なかったような。
必死に記憶を絞って出て来たのは、交戦した相手の持ち主だったような気がするという事。
それは大正解。これは霧雨魔理沙の所有しているミニ八卦炉だ。
様々な機能がついたこのミニ八卦炉だが、当然大妖精はよく分からない。
誰の者か分かったら、これを返品する。大妖精は他の妖精と違っている。
他の妖精より力が強く、他の妖精より心優しい、天使みたいな存在。
律義な大妖精は大事にそれを鞄の中へ仕舞おうとして、そういえばまだ何かあるかなと思う。
そっと地上にミニ八卦炉を置くと、再び鞄の中に手を入れてみる。
「あっ、おにぎりだっ!結構大きい……」
出て来たのは、おにぎり。簡単に作れる料理の一つ。
ただそれは無駄に大きくて、普通じゃないような気がした。
直ぐ食べようかと思ったものの、少し異常な大きさだと少し怖い。
大妖精はこれを黙って鞄の中へと仕舞う。流石に地上に置く訳にはいかないから。
持っとけばいいかもしれないけど、ちょっと重たくて片手じゃ少し辛い。
ということがあって、鞄に仕舞うしかなかったのだ。
「これは何だろう?」
次に出したのは、紙みたいな何か。
そこに書いてある文字はよく分からないけど、気になる点はある。
チルノという名前がある。それだけじゃない。たまに遊ぶ
ルーミアの名前も。
何でだろう?と思いつつも、全部見ていく。自分はおそらく大妖精なんだろう。
愛称はあるが、ここでは愛称の元が使われた様だ。
他の名前は、誰なのかさっぱり分からなかった。見た事も無い。
これが何を意味してるのかも分からない。一体、これはどういうこと?
「うぅ~ん……うぅ~ん……」
妖精の頭だけど、必死に考える。
名前が書かれる需要は………意味は………。
考えた末の答えは、無かった。結局、分からなかったのだ。
諦めて、大妖精は他の物を取り出してみる。
食料や地図、コンパスが出れば一通り鞄の中身は全て出しきった。
今まで取り出した物を全て鞄の中に仕舞うと、大妖精はそれを肩にかける。
移動。動いてみなくちゃ何もかも分からない。
「しかし……不気味だよぅ……何でだろぅ……」
生気の無い植物に囲まれて歩く。それが怖い。
しかも夜。幽霊か何かが出るんじゃ?植物が襲ってくるんじゃ?
何も無い形だけの植物が全て自分を睨んでいるような気がする。
その生気をくれと、訴えてる気がする。
「怖い……怖いよぅ……!」
耐えられなくて、大妖精はその場を早く離れたいと思った。
この場所は何か良くない気がする。直ぐに移動しなくちゃ。
足早にこの花畑を去ろうとする最中、微かに聞こえてきた。
聞き覚えのある声が、遠くから聞こえてきた。
『お~い、大ちゃ~ん』
微か、本当に微かだけど大妖精はそれを聞き逃さなかった。
そして、これを誰が発してるか直ぐに理解した。
「チルノちゃん……?チルノちゃんの声だ!」
氷の妖精、チルノの声。
チルノが自分を呼ぶ声。
遊びに誘ってくれる時みたいな声。
逸れていたけど、直ぐに出会えそう。
大妖精は嬉しくて、足を緩める事も無くその方面へと向かう。
ちょっとの間だけでも見る事の出来なかった友達の顔が見たくて。
生気の無い花畑の中を、大妖精は駆けた。
【D-5 花畑・一日目/深夜】
【大妖精@東方Project】
【状態】健康 少し恐怖
【服装】大ちゃんの服
【装備】なし
【道具】基本支給品 ミニ八卦炉@東方Project マトリョーシカ・おにぎり@THE IDOLM@STER Dearly Stars
【思考】基本思考:自然に生気を取り戻す為に動く。
1、チルノちゃんに会う。
2、ここ、怖いよぅ………。
※殺し合いを理解していないかもしれません。
※【ミニ八卦炉@東方Project】
霧雨魔理沙が家を飛び出したとき、森近霖之助が作って渡したマジックアイテム。
魔力を原料に一晩煮込むようなトロ火から山火事を起こすような火まで調節できる。
霖之助による改造で外の道具の機能も付与されていて、
風で涼む機能や魔除けの機能がある。また、梅雨で錆びて霖之助が修理する際、
錆びることのない「緋々色金」製に改造した。また、空気がキレイになる機能も同時に追加された。
そんな多彩な機能の備わった魔理沙の持つマジックアイテム。
※【マトリョーシカ・おにぎり@THE IDOLM@STER Dearly Stars】
水谷絵理が作ったおにぎり。試作品らしい。
中々大きいサイズで、中身におにぎりが入っている。
そのおにぎりの中におにぎりが入っていて、
そのまたおにぎりの中におにぎりが入っていて―――
「ぱかっぱかっぱかっ、おにぎりおにぎりおにぎり」
最終更新:2012年05月13日 19:02