「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

私の戦い

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匿名ユーザー

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戦場に舞い降りる、大天使。
実際に見るのは初めてだけど、よく知っている、白亜の艦
始まりの船、平和の守り手、自由の砦、アークエンジェル。

そして、声が流れ出す、美しい声が。
「―わたくしは、ラクス・クラインです。武器を捨て、ただちに戦闘を中止しなさい―」
幾度なく、聞いた美しく、優しく、それでいて力強い声。
「―なぜ、戦うのです?なぜ争うのです?やっと、手に入れた平和を、なぜ、壊そうとするのです?多くの血が流れ、やっと、手に入れた平和を奪おうというのなら、このラクスクラインが相手になります」

流れるその声に、私は罪悪感を覚えましした。
―ラクス様と戦うなんて、ああ、私はなんて、愚かで恐ろしいことをしているんだろう。今すぐ戦いを止めなければ。
いつの間にか、戦闘は止んでいました。
誰もが、流れる美しい声に耳を傾けていました。
私は、思わず、目の前にある通信機で、戦闘を中止するよう呼び掛けてしまいそうになりました。

でも、気付いたんです。
モニターの片隅に写る、争い合う、二体のMSに。
片方は、青い翼を持ち天を駆ける白いMS。片方は、元は白かったのかもしれないけど、薄汚れて、黒とも、灰色とも言えない色のMS。
「ポンコツ」あの人はそう呼んでいました。
誰もが、流れる美しい声に聴き入り、動きを止めた戦場。その片隅で一人、あの人は戦っている。
上空から、白いMSに狙い撃たれながら、時には地に伏せ、時には転がって、必死になって戦っている。

誰も気付いていない。コニールさんでさえ、流れる声の魅力に抗えないでいる。
私は震えながら、ゆっくりと息を吐いた。これから、私がやろうとしていることは、大それたことかもしれない。本来、私のすることではないのかもしれない。でも…。
モニターに目を落とす。―あの人は戦っている。

震える手で、通信機のスイッチを入れる流れだした声は、まるで、他人のような私の声。
「―ラクス様、いえ、ラクス・クライン、…私たちは戦います。あなたの言葉は優しくて、心地良い。ですが、その言葉が世界を壊した。…私たちは、あなたたちが、壊した、本当の世界を取り戻すため、あなたたちと、…戦います」
…この時、私は初めて、自分の戦いを始めたのです。

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