「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

ラクス=クラインの思想とその軌跡(暫定)

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ラクス・クラインという世界に影響を与えるカリスマはどうやって生まれたのだろうか。

戦時中、評議会議長シーゲル・クラインの娘。その美声、やわらかな微笑み 戦争中でありながら、平和への道を歌声に乗せて届ける、平和の歌姫。
父シーゲルが唱える、ナチュラルへの回帰、今は亡き母親の世界を愛しなさいという 言葉(←このへんはちょっと脚色:本来は「世界はあなたの物、あなたは世界の物」)
最初のナチュラル、コーディネーターの戦争は、プラント側の独立を求め、また コーディネーターという種を認知してもらうための戦いだった。
戦争の相手をいたずらに憎むのではなく、一緒に生きていこうという理想、 その美貌は、プラント内部で圧倒的な人気を得る。

半生をいわゆる上流階級以外の世界を知らずに過ごしていた。
彼女に敵意を向けるものは存在せず、彼女の周囲はつらい
現実もない、 穏やかな世界であった。
父親の薫陶を受け、平和の歌姫として活動するラクス。箱庭の中で理想を掲げ 活動する彼女。

そしてある時、ラクスは箱庭、やさしい隣人たちの世界から
本当の、ナチュラル、コーディネーターとの摩擦を体験する。(←AAにいるときな)
そして運命的に、自分の世界の理想と出会いを果たす。

コーディネーターだから、ナチュラルだからという枠組みではなく 一人の人間として、やさしさゆえに苦悩するキラ・ヤマト。
能力的な優越がナチュラルに対する驕りへとつながりがちな
コーディネーターの中で、稀有な存在だったと言える。
ラクスを庇うだけでなく、自らを盾にして彼女をザフトに戻した
キラ。
彼女にとってキラという存在は、人生観を変えるほどの相当のインパクトを与え その姿はラクスの胸に深く刻まれたる。

自己犠牲という志を持ち、身分・境遇を超えても相手に底無しの優しさを与える少年、キラ。
ラクスにとってはキラは神々しくも思えたかもしれない。
しかし悲しくもそれは「箱庭の世界」で生きてきたゆえの、貧しい人生体験がもたらした錯覚なのだが、本人は気づかない。

時は進みプラント議会は強硬派のパトリック・ザラを議長とし、よりいっそう戦争へと傾いてゆく。
権利をかちとる独立戦争のはずが、ナチュ・コーディの種としての排斥戦争へと変貌してゆく。父シーゲルらクライン派が望んだ世界はそんなものでは決してなかった。
自分達の志したものが無に帰してしまう、そう危惧を抱いていたクライン親子。
しかし父は議長の座を追われ、自分は無力な娘にすぎない。
父の部下にカリスマと持ち上げられても、どうしていいか分からない。

そこにかつて会った少年、キラが担ぎこまれる。
優しさゆえに、親友を討ったことに悩み苦しみ、それでもなお平和を求め、自分に出来ることをしようとするキラ。
彼女はこう考える
「そうだ。キラに大きな力を与えれば戦争を収めてくれるだろう。何故ならキラは自己犠牲という志を持ち、底抜けに優しいのだから。世界のために力を使ってくれるに違いない」
悲しいかなラクスは、これまた「世界」が何のか考えずに、キラにフリーダムを与えてしまう。
彼女の求める世界が唯一絶対のものではないのはずなのに。

その後は自らもキラと同じような行動原理「自己犠牲という志を持ち、身分・境遇を超えても相手に 底無しの優しさを与える」の元、プラント政府を裏切る。世界に無差別の優しさを巻き、戦争に狂う人々の目を覚まさせるために。
だが裏切りは報復を呼び、反逆者として父シーゲルが死亡。
涙をこらえ父の理想、ラクスがいた平和な世界を求め、
彼女は行動する。
パトリック=ザラ及びそれに従う者たちを切り捨てたこの時、彼女の視点は既に 絶対者のものに近かったのかもしれない。
ラクスの価値観・世界観に影響を与え、修正できる唯一の人間が亡くなってしまったために 世界を導こうとする意思と幼児的な価値観という相反する属性が固まってしまった。
「世界」はそこまで単純で底が浅くないのだが、彼女には見えない。
しかし耳障りのよい理想は、人々を惹きつけるに十分であった。

高貴な理想にアスランもラクスに賛同することとなる。その理想への道がどんなに険しく 困難なものなのか、まだ若い彼には分かっていなかった。
そして、平和という理想、分かりやすく、万民が納得しそうな意思のもと三隻同盟が成立。
世界の破滅を願うクルーゼという決して相容れない相手がいたこともあり 何の因果か、戦争が終結してしまう。

ラクスはこう考えた。「キラと自分たちの行動原理は正しかった」と。 我々の平和への 理想は間違ってないと。
そして自分の気持ちが「そうだ」と思った時が正しいのだと。

「箱庭のお姫様」は世界を自分の「箱庭」と錯覚したまま、自分の手が世界の隅々まで回ると錯覚したまま、
自分の、世界を愛する理想は、皆の理想だと錯覚してしまう。

ラクスにとって、『平和の歌姫ラクス・クライン』は、父のシーゲルの理想への役割のひとつ。
彼女の意識の中では、プラントに対しての責任ではなく父(死亡後はその遺志)への責任で、動いていた。
世界はこれから自分の理想の世界へと向かうだろうと、戦争を終わらせたことで世界が動いていると 信じ込み、それをとりあえず果たしたということで、自身とキラの傷を癒すためもあってオーブで隠遁。
プラントはもうシーゲル(プラントと、ラクス両方にとっての『父』だった)のものでは無い以上、彼女に とって『歌姫』の幕はもうおりていた。
彼女の理想の体現者、運命の人、キラの心を癒すことがラクスにとっては大切だったのだ。

しかし突然に命を狙われ、キラを戦わせてしまうことに。彼の傷は癒されていないまま、ただやはり ラクスの理想の人キラは戦いを決意する。
その後オーブが戦いに巻き込まれ、アスランまでデュランダルに取り込まれラクス『個人』の世界が 侵食されていく。 そこで彼女も再び、密かに、戦うことを決意する。
シーゲルの理想を求めるターミナル、ファクトリーと連絡を繋ぎ、彼女の理想、そしてそれを体現してくれるキラのために準備をする。
平和のために戦う。その矛盾に彼女は気がつかない。

『歌姫』ラクスの存在を欲しがる、議長の真意を知るために、またターミナルとファクトリーの情報を密に するために宇宙へ。
(これは、ミーアラクスの言葉を『歌姫ラクスの言葉だから』と無条件で信じないで欲しい、という忠告に近い。 道を見つけていない・指導者に戻る決意をしていない以上、自分に味方しろ、では無い)
デュランダルの目指すものが少し見えてくる。
それが『プラント』の国益を考えた時に必ずしも一致しない・ヘタをすればシーゲルらが志し、せっかく獲得してきたものすら喪われるかもしれない、という危機感がつのる。
ラクスがもしデュランダルと対決するつもりならと、『プラント』を思うゆえに、秘密裏にラクスに剣を託す 勢力もあった。

デュランダルがオーブ(ラクス『個人』にとっての居場所)を抹消し、カガリ(ラクス『個人』の友人)の 声を塞ぐのにミーアラクス(『歌姫』の虚像を受け継いだ存在)を使った。これを受け、ラクスは『歌姫』 ラクス・クラインとしての自分を公の場で明らかにした。
少なくとも(自分にとっては過去のものであれ)『歌姫ラクス・クライン』を使って、自分の大事なものを 奪うことは許せなかった。
偽物疑惑で『歌姫』の看板を、 不明瞭なものとした。ミーアの理想が自分と同じものならば、 彼女にラクスを演じてもらうことは問題はなかった。ただ虚像だけを用いて 政治の道具して利用されるのは 自分の平和への理想と、反するものであった。

『反撃の声』ラストのラクスのセリフは、『歌姫』としての自分を一度は捨ててプラントを見捨てた自分がプラント市民の前に立って責任を負い非難を受ける覚悟ができた、という意味である。
そして表舞台へ返り咲き。
『真実の歌姫~』の暗号は、反デュランダルの決起&クーデターを呼びかけるためのもので、彼女はあくまで『プラントの』ラクス・クラインとして立った。

そして、ラクスのもとに数多くの支援者が集まり、彼女は自分が間違っていなかったと考える。
集まらなかった人々が何を考え、何を求め、どんな平和を求めていたかを考えないまま。
待っていただけでは世界は平和へと向かわない。ならば自分の愛する伴侶と共に 世界を変えていこうと、平和を望む。
自らの平和の理想への障害物は彼女の賛同者と共に、摘み取っていった。
ラクスの理想のもとに、彼女の小さな箱庭を求めるために、隣人を愛し、皆笑う世界へと

ラクス・クラインの目指す平和は、平和への理想は尊いものである。
しかし、それは表面的なものであることもまた事実である。
人の数だけ正義はあり、人の数だけ平和の理想は違うはずなのに。

彼女は、自分の平和と、理想と、想いが、何より大切だった。
母の言葉、世界を愛しなさいという言葉。(本来は「世界はあなたの物、あなたは世界の物」)
ラクスの理想の賛同者は多く、傍らに平和の具現者キラがいる。
最大多数の絶対幸福を重視し、そのためならば少数の不幸は見過ごす。
まさに神の思考なのだ。

平和を約束する勢力という利権のもとに、世界が歪み、それゆえ反撃の声があがる。
一方でラクスたちには、自分たちの決断がいかなる情報に基づいてなされたものなのかを、 検証する気がまったく無いし、しようという観念すらまるでない。
これは、彼女たちの為政者としての最大の欠点であるといえる。
箱庭の外の声は、自然と届き難くなるのだから。

ラクスの平和…それに対する答えとは…

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