「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

REVIVAL版最終回SS

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匿名ユーザー

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「お前はジャスティスを、今度こそあいつを討つんだ」
レイの言葉がシンの脳裏にこだまする。
「ああ、わかった」
シンのディスティニーはフリーダムとレジェンドを残しAAへと向かう。
「そうだ、それでいい。キラ・ヤマト、お前だけは許さない」
もう何回呟いただろう。
だが、それはもうすぐ現実となる。
自らの手によって、現実となるのだ。

「ジャスティス?アスランなの?」
ルナマリアのインパルスの目前に赤いガンダムが現れる。
「インパルス・・・?ルナマリアか?いや、違う」
ジャスティスの蹴りが空を切る。
「あの二人に匹敵するパイロット!」
そうそうアスランの攻撃を避けられるパイロット等いない。
インパルスはルナマリナの感性に絶妙にマッチングしていた。
さらにデストロイとの戦闘経験、シンへの愛情、メイリンへの思い。
アスラン・ザラへの怒りが彼女の技術をアスランの知るそれとは別次元まで高めていた。
「巧い、だがっ」
ジャスティスの三回目の蹴りを受け止めたインパルスの右腕が吹き飛んだ。
「あんな所にビームサーベルが」
衝撃と慣性に耐え、姿勢を立て直そうとするインパルスの右足が吹き飛ばされる。
「邪魔をするなっ!」
止めを刺すべく距離を詰め寄るジャスティスと満身創痍のインパルスの間を光が遮断する。
「ルナァァァァァァァァァァッ!!」
「シン!?」
「ディステニー、シンか!」
二体の間に割ってはいるディスティニー。
ディスティニーはジャスティスに組み付いた。
「この裏切り者・・・、よくもよくもよくもっ!!」
ディスティニーが何度もジャスティスを殴りつける。
「俺はあんたが嫌いだっ!尊敬してた、憧れてた・・・。なのに、あんたって人はぁっ!!」
「やめろ、シン、もうお前も過去にとらわれたまま戦うのは止めろ!」
「え・・・」

「そんな事をしても、何も戻りはしない」
戻りはしないんだ、シン。
ニコルも、ハイネも、父上も・・・取り返しがつかないんだ、シン・・・。
衝撃とともにディスティニーが弾き飛ばされる。
シンは隙無く体勢を立て直す。
ジャスティスは接近戦に特化した機体。
逆上して相手の得意分野に踏み込むべきではなかった。
(そうだよな、レイ)
あんな奴に負ける気はしないけど、な。
ディスティニーは左腕のビームライフル(名前がわかりません)を構えた。
「う、腕が・・・ない」
ジャスティスが弾き飛す瞬間に、左腕も持っていったのだ。
「こんな、こんな・・・こんなっ!あんたなんかにぃぃぃぃぃぃぃ!」
残った右腕で両肩のブーメラン(・・・)をジャスティスに向けて投げつける。
ジャスティスは難なくそれを叩き落した。
「なのに未来まで殺すつもりか?お前は。お前の欲しかったのはそんな力か?」
ステラ・・・マユ・・・俺は、何をしているんだ・・・。
(それは弱さだ、シン)
「アスラン・ザラ、俺はお前を超える。力を、力を手に入れるんだ」
ディスティニーのスラスターが美しい桃色の光を纏う。
「この馬鹿野郎!!!」

『いけません、アスラン』

「あ・・・」
ジャスティスのビームサーベルが胸部を貫いていた。
「・・・ルナ・・・」
「ルナマリア・・・、だったのか・・・?」
何も答えは無い。
二体の間でジャスティスのビームサーベルに胸部を貫かれたインパルスがゆっくりと月面に落ちて行く。
「ルナ、ルナ・・・」
後を追うようにディスティニーも落ちて行く。
「俺は・・・止められなかった・・・止められなかったんだ・・・ラクス・・・」
アスランの呟きは誰にも届かない。

『負けちゃったね』
「ああ、隊長は強かったよ」
『だめだよー。ジャスティスに接近戦で勝負かけたら』
クスクスとルナマリアが笑った。
「ルナのひざは柔らかいな・・・」
ボロボロになったインパルスとディスティニーの下で、シンはルナマリアの膝に頭を預けたまま、宙を仰いでいる。
目のくらむ閃光が二人を何度も包み込む。
「レイに怒られるかな?」
『うーん、庇いきれないと思います』
「そうだ、ミネルバは?みんなの下に帰らなきゃ・・・」
シンは身を起こした。
ルナマリアだったものが、ふわりと無重力に浮かぶ。
「・・・帰らなきゃ・・・」
ゆっくりとシンはディスティニーへ歩きだす。
「また・・・守れなかった・・・」
『ミネルバの皆が待ってるよ』
ルナマリアの声が聞こえたような気がした。

「ミネルバが・・・あんな姿に・・・」
シンは愕然とした。
幾多の戦場を切り抜けてきた女神は、両翼をもぎ取られ、無残な屍をさらしている。
「艦長は・・・ヨウラン達は・・・」
全滅。
シンはその言葉を飲み込んだ。
恐ろしい想像を大仰に首を振って払拭する。
「あ・・・あのランチ・・・」
ミネルバと同じ、黒く塗られたランチ。
大勢の人があふれんばかりに乗っている。
陽気な顔が大きくディスティニーに向けて手を振った。
「副艦長・・・、皆!」
いち早く気づいたランチのアーサーが、機体の中のメンバーに声を掛けたらしい。
「ヨウラン、マリク・・・マッドのおっさん・・・皆無事だったんだ・・・」
駆けつけようとディスティニーのスラスターをONにする。
モニターに「ENPTEY」の表示が数回力なく点滅すると、それすらも消えた。
「あはは、こいつこ空っぽか」
シンは苦笑いをした。
ガイン、と何かに背中を激しく叩かれる音がした。
「な、何だ」
飛び去っていく三機のドムが見えた。
残骸だと思われたのだろう。
「・・・何をする・・・」
残骸と間違われた事に腹を立てたわけではなかった。
一瞬の出来事だった。
ランチを認識したドムがバズーカの照準を合わせるのが見えた。
「嘘だろ?やっとみつけたんだ。俺の、俺の・・・」
ガチャガチャとレバーを動かす。
「動け、動け・・・あんな連中俺の敵じゃないだろ?動いて、動いて」
シンの涙声にディスティニーは答えない。
ビスケットが割れるようにランチが四散した。
「何で・・・なんでなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
シンが叫ぶ。
そして、この声も誰にも届かない。

「任務完了」
「あまり気分のいいもんじゃないねぇ」
「仕方ねぇだろ?『ミネルバを排除しろ』ってあの方に言われたんだから」
「そうだねぇ、仕方ないねぇ。『あの方』のためだからさ」
ヒルダが微笑んだ。
信じる者へ忠誠を誓う、あどけない少女のような微笑だった。

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