「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

シンVSキラ 第一ラウンド

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それは、突然の出来事でした。

作戦は、順調に進んでいました。
わたしたち解放軍部隊は、政府軍の基地を襲撃。わたしはいつも通り、後方の指揮車両で待機です。
オンボロの戦況モニターとにらめっこしていたコニールさんが、通信機に向かって何か怒鳴っています。
ちらりとモニターをのぞきましたが、どうやらわたしたちが勝ってるみたいです。シンさんと<ポンコツ>のおかげですね、きっと。
その時でした。
モニターに映っていた味方のマーク、その半分がいきなり消えたのです。
最初は故障かと思いました。でも、続いて通信機から流れてきたのは、紛れもない悲鳴でした。
『助けてくれ……俺は落ちる……』
『何で、こいつらが……』
『畜生、畜生!!』
呆然としたわたしの耳に、コニールさんのうめきが聞こえました。
「この反応――まさか!」
それだけ言うと、コニールさんは指揮車の外に駆け出しました。わたしも慌てて後を追います。
空を見上げたわたしたちの目に映ったのは、味方のMSを一方的に撃破していく5機のMSでした。
今まで戦ってきた政府軍のMSとは桁違いの敵だということは、わたしにさえ分かりました。
そして何より、隊長機らしい三対の青い翼を広げた白いMS。あれは――
「ピースガーディアン!! 何でこんな辺境に!?」
コニールさんの絶叫が響きます。
<ピースガーディアン>、それはラクスさま直属の親衛隊。
あらゆる戦いを圧倒的な力で鎮圧する『世界の守護者』であり、そしてわたしたちの最強の敵。
『コニール、状況は分かっているな。作戦は失敗だ』
通信機から流れてきたのは、いつも通り冷静なシンさんの声でした。
『お前達は急いで撤収しろ。俺が時間を稼ぐ』
「な、それじゃああんたは!?」
『みすみす俺達を見過ごしてくれるほど、甘い連中じゃない。それに、これは俺にとっても千載一遇のチャンスだ』
 チャンス? 一体どういう意味でしょう。
「分かった。死ぬんじゃないよ、シン!」
それだけ言うと、コニールさんは通信を切りました。
「分かったね、ソラ! 急いで撤収!」
血をにじませるほどきつく唇を噛み締め、コニールさんはそう言いました。

焼け付くように熱い戦場の中、シンのダストは仁王立ちになっていた。
満身創痍のその足元には撃破した2機の親衛隊機――フリーダムダガーの残骸が転がっている。
その時、今まで上空で戦況を見守っていたエターナルフリーダム――隊長機がゆっくりと降下してきた。
『キラさま?』
回線が混乱しているのか、コクピットのシンには親衛隊の驚いた声が聞こえてきた。
『後は僕が引き受ける。任せて』
間違いない、キラ=ヤマト本人。その声を耳にしたシンの内心に深刻な恐怖、そしてそれを上回る激烈な怒りと闘志が沸き上がる。
「この日を待っていたぞ、キラ=ヤマト!」
言うなり、シンはコクピット右脇のスイッチを入れる。ダスト背部のバックパックが唸り、継ぎ接ぎだらけの機体が空へと駆け上がった。
グフの残骸から移植されたフライトユニット。ダストの出力では精々10分間の飛行が限界だが、今はそれで充分だ。
「フリーダム、今日こそ地べたに叩き落してやる!!」
全身に刻まれた傷の疼きに駆り立てられるまま、シンは吼えた。


空中で斬り結ぶダストとフリーダム。機体の性能差はそれこそ獅子と雑種猫に等しいものの、シンは入神の操縦で喰い下がる。
『何でこんな事をするんだ、君達は! 2回の大戦を経てようやく訪れた平和を、どうして乱そうとする!?』
鍔迫り合いのさなかに接触回線が開かれ、キラの声がダストのコクピットに流れた。
「平和――平和だと!? 俺の妹を、両親を、仲間を殺しておいて、どの口でそれをほざく!!」
後先考えない打ち込みで、一時的にフリーダムを圧するダスト。
『この動き――まさか君は、デスティニーのパイロット?』
「そうだ!」
不意に間合いを取るフリーダム。シンも追撃には移らず、コクピットの中で荒い息をつく。
『止めるんだ。君はこれ以上、戦ってはいけない』
「な……に……」
何を言ってるんだ、こいつは? 懸命に息を整えるシンにキラは滔々と語りかける。
『君の言っている事は分かるけど、分かるけど君の家族や戦友は、本当にこんな事を望んでいたの?』
「…………」
『もう、君が戦う理由なんてどこにも無いんだ。穏やかに、今の平和な世界を生きて欲しい。それに僕はアスランの昔のなか――』
「黙れ」
一切の感情が削ぎ落とされた声で、シンはキラの言葉を遮った。
頭が熱い。眩暈がする。こんな狂信者達に、ルナやレイやミネルバの皆は殺されたのか!?
「その偽善の口を閉じろぉぉっ!!」
スロットル全開。振動で追加装甲を剥離させながら、ダストが翔る。その右腕が背部から切り札――アロンダイトを抜き放つ。
喪われた愛機の形見を、満身の力で振り下ろすシン。だがその必殺の一撃は、フリーダムのサーベルに易々と受け止められた。
『これだけ言っても分からないのか!! 君のような人間がいるから憎しみの連鎖が終わらないんだ!! それなら、僕が君を討つ!!』
「くっ!!」
咄嗟に離脱しようとするシン。だが、反応が鈍い。限界を超えて酷使されたダストはもう限界だったのだ。
フリーダムのサーベルが、ダストの機体を解体していく。激しい衝撃の中、シンの意識は途絶えた。
「ち……く……しょう……」

わたしはその戦いの一部始終を、近くの丘の上から見守っていました。
コニールさんに頼み込んで、偵察という名目で残してもらったのです。
『キラさま、ご無事ですか』
通信傍受様に設定していた通信機から、ピースガーディアンの人たちの声が聞こえます。
『ああ、大丈夫だよ。それにしても悲しいね。こんなに優秀な人が、こんな事にしか力を使えないなんて』
その間に、バラバラにされた<ポンコツ>から、ぐったりしたシンさんが引き摺り出されました。
『このパイロットはどういたしましょう?』
『本国に連れて帰るよ。アスランの知り合いみたいだし。それにしても、いつになったら本当の平和が来るんだろうね』
『そのための、我々ピースガーディアンです』
『そうだね。じゃあ、そろそろ帰投しよう』
ピースガーディアンが去ったのを確認してがら、わたしはコニールさんに通信を繋ぎました。
『ソラ、あいつはどうなった!?』
「ダストは撃墜されました。でも、シンさんは政府軍の捕虜になったけど、まだ生きてるみたいです」
『そうかい』
通信機越しでも、コニールさんが安心したのは分かりました。
『とにかく、あんたも急いで戻ってきな。シンの事は、あたし達に任せな』
「了解です」
そう答え、私は立ち上がりました。最後に、シンさんが連れ去られた東の空を見て、小さく誓いました。
わたし、シンさんを助けます、必ず助けます――

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