「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

機動アイドル・ソラ

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「ほーしーのー♪」
 ブラウン管の中で可憐にさえずる歌姫ラクス・クライン。
 だがそれを見つめる視聴者の一人、情報省大臣アンディ・バルトフェルドはため息をついた。
「どーもねー、好きな歌だけどマンネリ化はいなめないよねー。」
 ラクスの歌は統一連合兵士達の士気高揚のため、毎日のように流されている。だが5年前から新曲が殆どリリースされないため、少しずつだが視聴者に飽きられつつあった。
「しかし、ラクス様は政務に忙しくとても新曲にかかる時間の余裕があるとは思えません。」
 副官のダコスタが心底残念そうに答える。
「そこでだよダコスタ君、我が情報省の総力を結集した一大プロジェクト案があるんだが。」
 にまーと笑顔を浮かべ、バルトフェルドがダコスタへとにじりよった。
 嫌な予感を感じつつ、ダコスタは一応聞いてみることにする。
「そのプロジェクト案とは一体?」
「よくぞ聞いてくれたっ、まずはこれを見てくれたまえ!」
 そう言いつつバルトフェルドは一冊の大衆雑誌を取り出し、ある少女が一面を飾るページを指し示した。
「いま話題の奇跡の少女、ソラ・ヒダカですか?」
「その通りっ!僕はねダコスタ君、彼女こそ多忙なラクス・クラインに代わり、統一連合の新たなるアイドルになりうる金の卵じゃないかと考えているんだよ。」
「またあなたはムチャクチャなことを・・・・・・」
 上司のとんでもない思いつきに呆れた声をあげるダコスタだったが、それに異を唱える声が背後から上がった。
「いいえっ無茶やあらしまへん!」
 声の主は関西弁の冴えない中年男。
「あんたは確かミーア・キャンベルの!?」
「どーもー、元ミーアのマネージャーでがす。」
「元々、今回の計画を持ち込んできたのは彼なんだよ。」
 バルトフェルドがそう紹介した。
「ワイはソラ・ヒダカをとあるTVの討論番組で初めて見たとき、ピーンときたんですわっ、この娘ならミーアにも負けないスーパーアイドルになれると!」
 両こぶしを握って、強く力説する元マネージャー。
「だそうだよ、どうだろうダコスタ君。我が情報省のバックアップでソラ・ヒダカを新人アイドルとしてデビューさせてみるというのは?」
 面白そうにバルトフェルドはいってのけた。
「ですが、いくらソラ・ヒダカに話題性があるといっても彼女はごく普通の民間人です。ラクス様のようなカリスマ性が期待できるでしょうか?」
「それについては僕に考えがある、我が統一連合の女性兵士の中から何人か精鋭を選抜して彼女とユニットを組んでもらうんだよ。そうすれば我が軍の兵士達には最高の受けが期待できる。」
「いや、しかし軍人がいきなりアイドルというのは色々と厳しいものがありますし・・・」
「正規軍ならそうだろうがね、しかし私兵的な要素の強い組織ならそれなりの融通は利く、実は既に治安警察とピースガーディアンには話を持ちかけて良い返事をもらってある。成功すれば連合内で発言力アップ間違いなしのプロジェクトだからね。」
「また相談もなしに勝手なことを・・・」
「マネージャー君、これが各組織の人員リストだ。目を通して使えると思った人材を2名ほど選抜しておいてくれたまえ。」
「ガッテン!」
 渡された分厚いファイルを受け取ると、マネージャーは嬉しそうに喜びの叫びをあげた。

 それから一週間後、情報省所有のスポーツ施設にバラバラの制服を身につけた一団が集った。
「いやあ、よく来てくれたねえ諸君!」
 開口一番、バルトフェルドがそう発言する。
「あの・・・・ここは情報省の建物ですよね?どうしてあたしここに連れて来られたんでしょうか?」
 不安げな表情でそう発言するのは女子高の制服を着た奇跡の少女、ソラ・ヒダカである。
「なんでってラクス様の後継者としてアイドルデビューに決まってんじゃない、ア・イ・ド・ル・デ・ビュー!キャホー!!」
 能天気な声でそうソラに返したのは、PG制服のレイラ・ウィンだ。背後にはつきそいでシラヒとウノも来ていた。
「しっかしレイラ、お前がミーハーなのは知ってるがなんでそこまで乗り気なんだ?」
 シラヒの問いにレイラはこう答える。
「だって面白そうじゃないっ歌って踊れて戦うアイドル!最近ピースガーディアンの出番もなくて退屈でしょうがなかったしね♪」
「まあ、また不機嫌になられるよりいいでしょうシラヒ。レイラの機嫌が悪くなると世界の危機ですから。」
 冗談めかしてその場を収めるのはウノだ。
「それはいいんだが、・・・意外な面子が混じってるな。」
 そう三人目の娘を見つめ呟くシラヒ。
「・・・・・・伯父様からの任務・・・拝命。」
 無表情にボソリと返答するのは治安警察の制服、エルスティン・ライヒであった。治安警察随一の無愛想娘で知られる彼女がこの場にいることはシラヒにとって想定外だったのである。
「そんなっ・・アイドルなんてあたし絶対ムリです!!」
 早くも涙目で弱音を吐くソラ。
「何言ってんのよっ、あなたがやる気出さなきゃあたしもデビューできないじゃない!」
 ソラに食って掛かるレイラ。
「このあたしが言ってんのよ?あなたは今日からアイドルデビュー決定なのよ、いいわねっハイ確定!」
「ひぃぃぃぃん!!」
「だぁーっ、よさんかっレイラッ、すいませんソラさん!」
 慌ててソラをレイラから、かばい立てするシラヒ。
「ほな話もまとまったようやし、そろそろアイドルとしての特訓始めさせてもろてもええでっか?」
 マネージャーの中年男が揉み手をしながら、話に割り込んだ。
「皆さんに用意させてもろたデビュー曲は反戦をテーマにしたダンスソングなんや。歌は勿論やけど踊りが非常に重要なビジュアル要素が強い曲や、デビューまで時間もあんまりないよってきばって特訓してもらいまっせっ。」
「くっくっく、まっかせなさぁーい!」
「ふひぃぃんっ、ダンスなんてあたし運動会ぐらいでしか経験ないれすぅぅっ!」
「・・・・・・・・・拝命。」
 マネージャーに対し三人それぞれなんだかんだ言いつつも、了解の返答をするのであった。

 だが、10分後・・・・・・
「アカンッアカンッ、もっと腕を振って!そこはもっと腰の角度のキレを意識して!!」
「ひゃぁぁんっ、痛いですぅぅ!」
「レイラッソラさんの足を踏むなっ。」
「うっさいわねシラヒッ、覚えた振り付け忘れそうだから話かけないでよっ。て、エルあんたなんで一発で完璧に覚えてんのよ!」
「・・・・・・・・・一度見た技は覚える。」
「いけませんねシラヒ、レイラの機嫌が悪くなりすぎると危険です。」
 喧々諤々たるそれらの様子をコーヒー片手に、不安そうな面持ちで眺めるバルトフェルドとダコスタ。
「本当にこのメンバーで大丈夫なんでしょうか?」
「うーむ、僕もだんだん不安になってきたぞ。はたしてこれで歌姫の許可が下りるかどうか。」
「!?・・・ラクス様の許可を取ってないんですか!?」
「うん、準備万端整ってから歌姫を驚かせてやろうと思ってね♪」
「そりゃまずいですよ!バルトフェルド大臣!!」
 ダコスタの悲鳴じみた叫びは建物全体を揺るがす程に響き渡ったのであった。

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