「機動戦士GUNDAM SEED―Revival―」@Wiki

シャム猫

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東ユーラシアにおけるモルゲンレーテ秘密施設の一室。
(これが噂のシャム猫か・・・・)
フェダーラインは目の前の少女将校を興味深げに眺める。
 そんな鋭い視線を知ってか知らずか、治安警察上級幹部エルスティン・ライヒ少佐は先ほどから応接室に飾ってある大きな絵画を無表情にじっと凝視していた。
「7年前のヤキンドゥーエ会戦を描いた物です、お気に召しましたかな少佐?」
フェダーラインが作り笑いで尋ねる。
「そうじゃありません。」
ポツリとエルスティンが呟いた。
「ただ私の知る無数のヤキンと比較していただけ。」
「は?」
わけのわからぬことをいう娘である。
「今日は伯父様からの使いで来ました。」
 ようやくフェダーラインの方に向き直り、本題を切り出すエルスティン。
「例の実験データの回収でしたな、無論お渡しできますとも。」
「よろしくです。」
「新型機の方もかなりの段階まで完成しておりますぞ、ごらんになりますかな?」
「いいえ。」
相変わらずの無愛想。
 どうやらエルスティンは長官から命じられた任務以外には一切興味がないようである。
「それは残念、ですが今度の地熱プラント攻略戦では大活躍が見込める素晴らしい機体ですぞ。」
「そうですか。」
 あまりの愛想の無さに肩透かしを食らうフェダーラインではあったが、彼にはまだこの少女に十分な興味がある。
(ハーキューリーズ計画の成功作か・・・はたしてどれほどのものか見てみたい。)
 フェダーラインからすればセシル以上に科学的興味が湧き上がる人材ではある。
とはいえライヒ長官の実姪とあってはいかんともしがたい。
「少佐は今後、例のEP施設には戻られないのですかな?」
「いいえ、頭の中をいじられるのはもうたくさんです。」
エルスティンは言下に否定する。
「それに必要な能力は既に自分の物にしていますから。」
「して、その能力とは一体?」
フェダーラインは思わず身を乗り出した。
「・・・・真の空間認識能力。」
一言、エルスティンは呟く。
「はて、私には仰る意味が分かりかねますが?」
「では、ヒントです。」
エルスティンはもう一度ヤキンを描いた絵画に向き直った。
「空間認識能力があればこの絵の中の戦場の隅々まで認識し、全てを把握することができます。ですがそれで得られるのはこの一枚の絵の中の世界だけ。」
「はあ。」
「ところでフェンダーラインさん、ヤキンの会戦を描いた絵画は全部で何枚ありますか?」
「それは世界中に何十枚、いや何百枚とありましょうな。アマチュアの作品も含めればそれこそ無数に。」
「そうですね、画家の数だけヤキンはある。そして私は限りなく全てのヤキン会戦を認識しうるのです。それぞれの絵の中だけの英雄達とその戦闘技術、なによりライヒ家の戦士には一度見た技をかなりの精度で自分の物として体得する能力がある。」
エルスティンとしてはかなりの長台詞だが、フェンダーラインには彼女の言わんとしていることがいまひとつ理解しかねた。
「そ、それはたいしたものですな・・・。」
「お父様は私を評して軍神以外に・・・・・・ちょっと喋りすぎました。」
エルスティンは表情を変えぬまま、ちろっと舌を出す。
(よくわからん娘だ。)
 フェンダーラインはなんとか気を取り直すと、光学ディスクのケースを机の引き出しから取り出した。
「これが長官にお届けいただく品物です、オーブに着いたらよろしくお伝えください、こちらは全て順調だと。」
「そうですか。」
 ケースを受け取りエルスティンはふと、机の上に置かれた人物ファイルに目を落とす。
「・・・・カナード・パルス?」
「ああ、この男ですか?実に興味深い人材でしてね。スーパーコーディネイター、ただしあなたと違って失敗作だそうですがね。」
「この人の戦いは何度も見たことがあります、といっても肝心のこちらではまだ未見なのですが。」
またわけのわからないことをいうエルスティン。
「なんだかいずれ出会うことになるような気がするのです。」
そう言い残してシャム猫は去っていった。

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