「シンーっ!」
背の高い、髪をポニーテールにした女の人が駆け寄ってくる。
「また、派手にやったわねー。まあ、あんたが絡んで、派手にならないわけないって、思ってたけど……ところで、その子誰?」
ふと、私に気付いたのか、シンさんに尋ねる。なんとなく、私はシンさんの後ろにかくれた。
「…知らん…」
―ちょ、ちょっとー
私も慌てたけど、その人も慌てたようです。
「!?ちょっ、シン!」
気にせず、シンさんはスタスタと歩いて奥に行ってしまいました。
仕方なく、その人は私を見ました。
私も、なにを言ったらいいのか分からず、黙っていました。
『…シンが接触してしまった、オーブの民間人だ』
バイクに積まれた、スーツケースから、レイさんの声が流れてきました。
―この人、どこにいるんだろう?
「民間人―!?」
女の人は悲鳴のような声をあげて、頭を抱えました。
「な、なんで、連れてきちゃたの!?」
『…そのまま、戦闘に巻き込んでしまって、置いてくる暇がなかった。それだけだ…』
あくまで、冷静なレイさん。
「それだけって…」
そう、確かにそれだけ、なんだけど…。
女の人は、深呼吸をしてから、レイさんに尋ねました。
背の高い、髪をポニーテールにした女の人が駆け寄ってくる。
「また、派手にやったわねー。まあ、あんたが絡んで、派手にならないわけないって、思ってたけど……ところで、その子誰?」
ふと、私に気付いたのか、シンさんに尋ねる。なんとなく、私はシンさんの後ろにかくれた。
「…知らん…」
―ちょ、ちょっとー
私も慌てたけど、その人も慌てたようです。
「!?ちょっ、シン!」
気にせず、シンさんはスタスタと歩いて奥に行ってしまいました。
仕方なく、その人は私を見ました。
私も、なにを言ったらいいのか分からず、黙っていました。
『…シンが接触してしまった、オーブの民間人だ』
バイクに積まれた、スーツケースから、レイさんの声が流れてきました。
―この人、どこにいるんだろう?
「民間人―!?」
女の人は悲鳴のような声をあげて、頭を抱えました。
「な、なんで、連れてきちゃたの!?」
『…そのまま、戦闘に巻き込んでしまって、置いてくる暇がなかった。それだけだ…』
あくまで、冷静なレイさん。
「それだけって…」
そう、確かにそれだけ、なんだけど…。
女の人は、深呼吸をしてから、レイさんに尋ねました。
「それで、どうするの?今更、オーブには戻れないわよ」
オーブに戻れない。
その言葉はなんだか、物凄く、現実味がなく、夢の中で聞いている言葉のようでした。
『…連れて行くしかあるまい。…それとも、途中で降ろすか?』
「そんなこと、出来るわけないでしょ!」
そんな言葉を聞きながら、私は考えていました。
―オーブに戻れない。
「…えーと、あなた、名前は?私は、コニール、コニール・アルメタ」
気が付くと、女の人が目の前にいた。その人、コニールさんはしゃがんで私に目線を合わせてくれた。
「…ソラ、ソラ・ヒダカ。……あの…」
応えてから、おずおずと私は尋ねました。
「?なあに?」
「…オーブに戻れない、てどういうことですか?」
「!そ、それは…」
コニールさんは苦しそうな顔をした。
それでも、私は続けました。
「…困るんです。明日はテストがあるし、明後日は、チーちゃんとハーちゃんと買い物の約束があるし、土曜日は、映画を見る約束があるし、日曜日は……」
いつの間にか、私は肩に手を掛けて、コニールさんを揺すっていました。
「………」
コニールさんはなにも言わずに、なすがままになっていました。
「私、困るんです…」
オーブに戻れない。
その言葉はなんだか、物凄く、現実味がなく、夢の中で聞いている言葉のようでした。
『…連れて行くしかあるまい。…それとも、途中で降ろすか?』
「そんなこと、出来るわけないでしょ!」
そんな言葉を聞きながら、私は考えていました。
―オーブに戻れない。
「…えーと、あなた、名前は?私は、コニール、コニール・アルメタ」
気が付くと、女の人が目の前にいた。その人、コニールさんはしゃがんで私に目線を合わせてくれた。
「…ソラ、ソラ・ヒダカ。……あの…」
応えてから、おずおずと私は尋ねました。
「?なあに?」
「…オーブに戻れない、てどういうことですか?」
「!そ、それは…」
コニールさんは苦しそうな顔をした。
それでも、私は続けました。
「…困るんです。明日はテストがあるし、明後日は、チーちゃんとハーちゃんと買い物の約束があるし、土曜日は、映画を見る約束があるし、日曜日は……」
いつの間にか、私は肩に手を掛けて、コニールさんを揺すっていました。
「………」
コニールさんはなにも言わずに、なすがままになっていました。
「私、困るんです…」
「ほーらよ!」
場違いな声と共に、なにかが、飛んできた。
わたしは、奇跡的にそれを受け止めることに成功した。
「!!…なにこれ?」
茶色いパックに入ったもの。…食べ物?
「戦闘用のレーション、非常食みたいなもんだ」
シンさんがやって来る。手には同じ物をもっている。
「シン!!」
振り返ったコニールさんが、声を荒げる。
が、それを無視して、私に声を掛けてくる。
「食えよ、腹減ってんだろう?見た目は悪いが、結構イケるぜ」
言いながら、自分の分を開けて、食べ始める。
言われてみれば、お腹が空いているような気がする。
「そうね、お食べなさい。…あんまり、美味しくないかもしれないけど」
苦笑しながら、コニールさんも勧めてくれたので、開けて、パクついた。
食べながら、だんだん視界が滲んできたのに、気付いた。
―オーブには戻れない。
「…泣くのにも、体力がいるしな…」
「………」
コニールさんがなにも言わずに、抱きしめてくれる。
泣きながら、私はレーションを食べた。しょっぱい味がした。
場違いな声と共に、なにかが、飛んできた。
わたしは、奇跡的にそれを受け止めることに成功した。
「!!…なにこれ?」
茶色いパックに入ったもの。…食べ物?
「戦闘用のレーション、非常食みたいなもんだ」
シンさんがやって来る。手には同じ物をもっている。
「シン!!」
振り返ったコニールさんが、声を荒げる。
が、それを無視して、私に声を掛けてくる。
「食えよ、腹減ってんだろう?見た目は悪いが、結構イケるぜ」
言いながら、自分の分を開けて、食べ始める。
言われてみれば、お腹が空いているような気がする。
「そうね、お食べなさい。…あんまり、美味しくないかもしれないけど」
苦笑しながら、コニールさんも勧めてくれたので、開けて、パクついた。
食べながら、だんだん視界が滲んできたのに、気付いた。
―オーブには戻れない。
「…泣くのにも、体力がいるしな…」
「………」
コニールさんがなにも言わずに、抱きしめてくれる。
泣きながら、私はレーションを食べた。しょっぱい味がした。