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第5話 獣と呼ばれた戦士





翌日、私は朝食後に宿舎に向かった。
昨日の事を説明してもらう為だ。
やふやふさんの部屋の扉をノックすると、すぐにやふやふさんは出てきた。

や「…中へどうぞ。」

中へ通されると、やふやふさんが座る机の前に椅子が置いてあった。

や「どうぞ、お掛けになってください。」

私とやふやふさんがそれぞれ椅子に座ると、私は質問した。

沙「やふやふさん、昨日の事を説明してください!」

や「そう焦らなくても、ちゃんとお話しますよ。
  ……私達が城に着いた時、すぐ近くに賊が倒れていました。
  賊はもう息を引き取っていたみたいで、私達は最初何があったのか分かりませんでした。
  しかしその体には、まるで猛獣か何かにでも引っ掻かれたかの様な傷がありました。
  私はその傷痕に見覚えがありました。
  そう、あんな傷をつけられるのは私が知る限りではスモーキーさんだけです。
  そして城中を探し回り、残るは謁見の間だけという事で、謁見の間に向かいました。
  私達が謁見の間に着くと、ベルクちゃんが出てきました。
  そして、驚くべき事にスモーキーさんがシュリッツ城に居たらしいのです。
  だから私は、あの傷痕はスモーキーさんがつけたものだと確信しました。
  ただ、拘束されて居る筈なのに何故シュリッツ城に居たのかは謎ですけどね。
  …そして、帰還して今に至ります。」

沙「……スモーキーさんが、シュリッツ城に?」

や「そうだと私は確信しています。しかし、真実はスモーキーさんしか知りません。
  ……え?」

不意にやふやふさんが何かに反応したかと思うと、椅子から立ち上がった。

沙「どうかしたんですか?!」

や「あ、いえ、別にたいした事じゃありません。
  私は用事ができましたので、この話はここまでということで。」

やふやふさんはそう言って、急いで部屋を出て行った。
何かが怪しい。
そう思った私は、こっそり後をつけることにした。
やふやふさんの後を付けていくと、スモーキーさんの部屋に着いた。
そして、やふやふさんが部屋の扉をノックした。

や「私です。」

そして、部屋の中へ入って行った。
用事ってもしかして、スモーキーさん?!
もう戻ってきたのかな?
私は部屋の前に移動すると、扉をノックした。

沙「沙羅です、開けてください。」

暫くの静寂の後、扉が開いた。
すると、目の前にスモーキーさんが立っていた。
部屋の中に入ると、やふやふさんの他にも数名の人が居た。

や「それでは、説明して頂きましょうか。
  シュリッツ城でいったい何があったのか。
  そもそもスモーキーさんはどうしてシュリッツ城に居たのか。」

なるほど、スモーキーさんからシュリッツ城で何があったか説明してもらうんだね。

ス「あの日、俺は賊の一味と疑われて拘束されていた。
  そして、その日の夜だ。突然ゲイル王が俺の所に現れた。
  何でも自分の城が賊に襲われた、城の中にはベルクが居るっと言って来た。
  だから何だと言いたかったが、これは賊の一味の疑いを晴らすチャンスだと思ってな。
  しかも、転送用クリスタルは一人分しか無かったらしい。
  兵士を一人送ったところで意味は無いが、俺なら何とかなると思ったらしい。
  だから単身シュリッツ城に行き、賊を全滅させた。
  まあ、あれを全滅と言っていいのか分からんがな。」

張「それはどうゆう事だスモー、城中を探したが賊は一人も生きては居なかったぞ?
  しかも、まるで怪物か何かにでも引っ掻かれた様な傷だった。
  それとも、倒し損ねた賊が居たと言うのか?!」

ス「化け物…か。」

スモーキーさんは苦笑した。

や「あの傷は、3年前のアンバーステップ平原でも見ましたよ。」

アンバーステップ平原……。
私を助けた後にスモーキーさん達が向かった場所だね。

や「…あれからもう、3年も経つんですね。」

ス「隊長!」

や「…すみません。」

それから少しの間、皆黙っていた。
…あれから?
私は気になったので聞いてみた。

沙「あれからって、何があったんですか?」

すると、スモーキーさんが溜息をついた。
やっぱり聞いちゃいけない事だったのかな…。
私がそう思っていると、スモーキーさんが語りだした。

ス「あれは、お前を助けた後だったな。
  俺たちは救援要請を受けて、アンバーステップ平原に向かった。
  戦場に着くと、すでに戦闘は開始していた。
  序盤はカセドリアが押していたが、時間が経つにつれてゲブランドの逆襲にあった。
  そして、俺達は自軍の城の前まで押し込まれた。」

や「私は撤退する事を決断しました。
  他の兵士達も撤退を始めていましたからね。
  しかし、敵がそれを黙って見ているはずがありません。
  撤退する私達に対し、総攻撃をかけて来ました。
  そして…、部隊員の一人が重傷を負ってしまいました。
  すぐに撤退し、然るべき処置を施さないといけませんでした。
  スモーキーさんは私達に撤退するよう言いました。
  その後、スモーキーさんは何も無いところを手で掻きました。
  すると、敵兵の体に何かで抉られたかの様な傷ができました。
  何度も攻撃を仕掛けてきましたが、一人もスモーキーさんを突破できませんでした。
  その為私達は素早く、しかも安全に撤退する事が出来ました。
  しかし聞いた所によると、侵略してきたゲブランド兵士も撤退したらしいのです。」

ス「あの後俺は、化け物やら猛獣やら色々言われたぜ。」

張「…あれほどの力を持ちながら、普通の兵士の様に振舞っている。
  御主はまさしく、アマテラスの狸だな。」

すると、皆が一斉に笑い出した。

ス「さてと、まともに寝てないから俺は寝るぜ。」

や「分かりました。」

沙「スモーキーさん。」

ス「ん?」

沙「おかえりなさい。」

すると、スモーキーさんが笑った。

ス「…おう。」




宿舎を出ると、近くの花壇に人が隠れていた。
近づいてみると、ルーメン姿のゼノ君だった。
またヌアージュさんに遊ばれているようだ。

沙「今回は、ルーメンなんだね。」

ゼ「……できれば、そっとしておいてくれないかな。」

不意に後ろの方から気配がした。
振り返ってみると、ヌアージュさんが手をワキワキさせていた。

ヌ「見ーつけた。」

すると、ゼノ君が全速力で逃げていった。

ヌ「逃がさないわよッ!」

その後をヌアージュさんが追っていった。
ゼノ君が無事に逃げ切れれば良いけど……無理だね。




私は特に用事も無かったので、まっすぐ家に帰った。
家の中に入ると、母が昼食の準備をしていた。

母「おかえりなさい。お友達が部屋で待ってるわよ。」

沙「え?誰が来てるの?」

母「いいから早く行きなさい、朝からずっと待ってるのよ!」

…誰だろう?
私は急いで自分の部屋に向かった。
部屋の扉を開けると、ベルクさんが居た。

沙「ベルクさん?!」

べ「はい、お城はつまらないので遊びに来ました。」

沙「そうなんだ。もうすぐお昼ができるみたいだから、台所に行こうよ。」

べ「沙羅さん、お話したい事があります。」

沙「何?」

振り返ると、ベルクさんは何時に無く真剣な顔をしていた。

べ「……もうすぐ、戦争が起きます。」

沙「何処で?!」

いきなりの事で私は驚いた。
すると、ベルクさんがゆっくりと近づいてきた。
そして……言った。






「このカセドリア内部でです。」



奇跡の目覚めで無事UP成功 byスモーキー

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最終更新:2008年10月11日 10:22