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第10話 カセドリアの再興




数日後、問題を起こした上層部の人達は処罰され、反乱軍とカセドリア軍の和解が成立した。
同時に、各国との講和にも成功した。
これにより、カセドリア連合王国は生まれ変わったのである。
首都アズルウッドでは、カセドリアの再興を祝う祭りがあっている。

アマテラスが首都に戻ったという事で、私は宿舎に戻る事にした。
部屋に着くと、ベルクさんが居た。

べ「今日からまた、同じ部屋ですね。」

沙「そうですね。」

荷物を置いて、ベットに腰掛けた。
その時、ふとスモーキーさんの言葉が気になった。
…人の命を何とも思っていない。
あの言い方…まるで、過去に何かあったかの様な声色だった。
スモーキーさんの過去に、一体何が……。
スモーキーさんの言葉が気になってぼーっとしていると、ベルクさんが話しかけてきた。

べ「どうかしましたか?」

沙「……ねえ、ベルクさん。昔のカセドリアはどうだったんだろう?」

突然私が質問してきたので、ベルクさんは驚いた様だった。

べ「突然どうしたんですか?」

沙「シェルン緑地で、スモーキーさんに言われました。
  カセドリアは、人の命を何とも思って無いって。」

べ「それは…今のカセドリアですか?」

沙「分かりません。でも、スモーキーさんの過去に何かあったとしか思えません。
  それで、あんな事を言ったのかもしれません。」

べ「なるほど。それなら、直接教官に聞いてみては如何ですか?
  私達が考えるよりも、聞いた方が早そうですし。」

沙「嫌な思い出だと思いますから、簡単に話してくれるかどうか…。」

すると、ベルクさんは痺れを切らしたのか、私の手をとった。

べ「悩んでも仕方ありませんし、聞きに行きましょう!」

手をひっぱられながら、ベルクさんとスモーキーさんの部屋まで向かった。
部屋に着き、ノックをすると、スモーキーさんが出てきた。

ス「どうした、何か用か?」

べ「教官に是非お聞きしたい事があります。」

スモーキーさんは私とベルクさんの顔を見ると、そのまま部屋の奥に行った。
私達がついて行くと、やふやふさんとヌアージュさんが居た。

や「お二人とも珍しいですね。何かあったのですか?」

ス「俺に聞きたい事があるらしい。」

べ「はい。先日のシェルン緑地での事です。」

すると、スモーキーさんは嫌そうな顔をした。
確かに、あの戦争でスモーキーさんはやふやふさんに怒られてるからね。
しかしそんな事等お構い無しに、ベルクさんは話し続けた。

べ「沙羅さんとの戦いの中で、教官が口にした言葉が気になりました。」

ス「ほう、どれが気になったんだ沙羅?」

沙「…スモーキーさんは言いましたよね、この国は人の命なんて何とも思って無いって。
  それが、どうゆう意味なのかなっと……。」

スモーキーさんはやふやふさんの顔をチラっと見た後に、話すべきなのか悩んだ。

や「貴方達はまだ…、知らない方が良いです。」

べ「何故ですか?!」

ヌ「特に沙羅ちゃん、貴方は知らない方が良い。」

私が知らない方が良い?

沙「…どうしてですか?」

私の言葉に、やふやふさんもヌアージュさんも黙ってしまった。
すると、スモーキーさんが話し出した。

ス「昔話してやろうか?」

昔話?
何の昔話だろう?

沙「それは、この話と関係するんですか?」

べ「沙羅さん、黙って聞きましょう。」

私達が黙ると、スモーキーさんが語りだした。

ス「昔、ある国に動物の研究をする研究所があった。
  そこには、何百匹という動物達が居た。
  動物達は研究の材料とされ、毎日何匹もの動物が死んでいった。
  研究がもう少しで完成と言うところで、異変が起きた。
  一匹の犬が、研究員を噛み殺してしまった。
  元々研究員達に恨みを抱いていた動物達は、その時一斉に決起した。
  そして、研究員と動物達の戦いがあり、戦いは動物達の勝利で終わった。
  動物達は研究所に居た研究員達を皆殺しにした。」

沙「皆殺しにするなんて、相等恨んでいたんですね。」

私の言葉を聞くと、突然スモーキーさんが笑い出した。

沙「何が可笑しいんですか?」

スモーキーさんは一頻り笑うと、また話し出した。

ス「まあ、お前達には理解できないだろうな。
  あの状況が理解できるなら、アトラクナクアの事も理解できる。
  しかし、俺はああなる前に隊長に拾われたからな。
  もしもあの時、隊長に声を掛けてもらえなかったら俺は……。」

沙「アトラクナクアの事も理解できるという事は、あの人も同じ境遇だったんですか?」

アト「そのとおりよ。でも、賊を操ったからってずいぶん酷い言われ様ね。」

不意に声がしたかと思うと、部屋に置いてあった椅子にアトラクナクアが腰掛けていた。
私とベルクさんは驚いたが、スモーキーさん達は眉一つ動かさなかった。

沙「何時から其処に?!」


驚く私を他所に、スモーキーさんとアトラクナクアは、楽しげに話しだした。

アト「さっきから居たじゃない。
   それにしても、ブルーがあの話をするなんて驚きだわ。
   しかしあの事件のおかげで、私達は今生きていられるんだからね。」

ス「しかし研究所を脱出したは良いが、何処に行けば良いのか分からなかったからな。
  しかも、追っ手は全員俺に向かって来たしな。」

アト「良いんじゃない?どうせちょっと引っ掻いたくらいで死ぬんだし。」

ス「だからって、あの頃の俺には多勢に無勢だったぞ。」

楽しげに話す二人を他所に、ヌアージュさんだけがアトラクナクアに敵意を抱いていた。
それに気付いたのか、アトラクナクアが横目で睨んだ。
二人の不穏な空気を感じたのか、やふやふさんが咳きをした。
すると、二人とも目をそらした。
それを見て、スモーキーさんが笑った。

ス「さすがのお前も、隊長の前ではただの猫だな。」

アト「…そうね。ブルーが人間側に居る事が、少しだけ理解できたわ。」

ス「…そうか。」

話は終わったのか、そのままスモーキーさんは黙り込んでしまった。
動物というのを人に置き換えれば、昔のカセドリアがどんな国だったのか分かる気がした。
しかしこの昔話を、何故私は知らない方が良いんだろう?
不思議に思い、スモーキーさんに聞いてみた。

沙「あの、この昔話を…どうして私は知らない方が良いんですか?」

すると、スモーキーさんは苦笑いをした。

ス「それが知りたかったら、今夜一人で俺の部屋に来るんだな。」

アト「その時にするつもりなの?」

アトラクナクアがにやりと笑った。
しかしスモーキーさんは顔を横に振った。

ス「いや、その時に全てを話すつもりだ。
  あの事件も、俺達の事も含めてな。」

その言葉を聞くと、アトラクナクアはそっぽを向いた。

アト「あっそ、勝手にすれば?でもねブルー、私達の憎しみが消えることは無いわ。」

そう言うと、アトラクナクアは姿を消した。

沙「今夜一人でここに来れば、全てを話してくれるんですね?」

ス「ああ、約束しよう。だが、そうもいかんだろうな。」

最後の言葉が気になったが、私達はそのまま部屋を後にした。



夜になり、スモーキーさんの部屋に向かおうとした時だった。

べ「行かない方が良いでしょう。」

ベルクさんが囁いた。

沙「どうしてですか?」

べ「教官が話すことは、沙羅さんにとっては最悪の事でしょう。
  後になって聞かなかった方が良かったと思わない為にも、行かない方が良いでしょう。

確かにさっきの話の内容からすると、聞かない方が良いのかもしれない。
しかし、スモーキーさんは話したいようだった。
例え後で後悔したとしても、聞かない方が良かったと思う話ではないはず。

沙「ありがとう、ベルクさん。でも私は、スモーキーさんの部屋に行きます。」

アト「例えそれが、自分の父親を殺された話だとしても?」

後ろから声が聞こえた為振り返ると、アトラクナクアが立っていた。
目には憎悪のような物を感じた。

沙「父親をって…どうゆう意味ですか?!」

アト「ブルーに聞けば良いじゃない、そして驚愕すればいいわ!
   あんたの父親がどんな惨い殺され方をしたかってねッ!」

憎悪の目を向けながら、アトラクナクアが笑い出した。
私は脇目も振らずにスモーキーさんの部屋に向かった。
どうゆう事なのか知りたかったからだ。
扉をノックしても、返事は帰ってこなかった。
しかし鍵はかかっていなかった為、部屋の中に入っていった。
すると、シャワーを浴びていたのか浴室からスモーキーさんが出てきた。

ス「ん?ずいぶん早かったな。」

スモーキーさんはタオルで頭を拭きながら、ベッドに腰掛けた。

沙「あの事件で殺された研究員の中に、私のお父さんが居たと言うのは本当ですか?!」

私の言葉を聞くと、スモーキーさんは溜息をついた。

ス「アトラクナクアから聞いたのか?」

沙「答えてください!」

スモーキーさんは私の顔を見ながら、また溜息をついた。

ス「ああ、居たぞ。あの事件の一番最初の犠牲者は…、お前の父親だ!」

沙「最初の犠牲者って…、犬に噛み殺されたっていう。」

ス「その通りだ。そしてその噛み殺した犬ってのは…。」

そこでスモーキーさんの言葉が止まった。
頭を拭いていたタオルを外したかと思うと、頭の上に二つの山のような物が出来ていた。
髪の毛の色と似ていたが、髪の毛とは違う材質の物の様だった。
よく見ると、それは犬の耳のような形をしていた。

ス「気付いたか?お前の父親を殺した犯人を。」

沙「ま、まさか……。」

スモーキーさんがにやりと笑ったかと思うと、叫んだ。



「お前の父親を殺したのは、この俺だッ!」





今回は何時にもまして急展開だな(=w= byスモーキー

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最終更新:2008年11月23日 12:42