数日後、問題を起こした上層部の人達は処罰され、反乱軍とカセドリア軍の和解が成立した。
同時に、各国との講和にも成功した。
これにより、カセドリア連合王国は生まれ変わったのである。
首都アズルウッドでは、カセドリアの再興を祝う祭りがあっている。
アマテラスが首都に戻ったという事で、私は宿舎に戻る事にした。
部屋に着くと、ベルクさんが居た。
べ「今日からまた、同じ部屋ですね。」
沙「そうですね。」
荷物を置いて、ベットに腰掛けた。
その時、ふとスモーキーさんの言葉が気になった。
…人の命を何とも思っていない。
あの言い方…まるで、過去に何かあったかの様な声色だった。
スモーキーさんの過去に、一体何が……。
スモーキーさんの言葉が気になってぼーっとしていると、ベルクさんが話しかけてきた。
べ「どうかしましたか?」
沙「……ねえ、ベルクさん。昔のカセドリアはどうだったんだろう?」
突然私が質問してきたので、ベルクさんは驚いた様だった。
べ「突然どうしたんですか?」
沙「シェルン緑地で、スモーキーさんに言われました。
カセドリアは、人の命を何とも思って無いって。」
べ「それは…今のカセドリアですか?」
沙「分かりません。でも、スモーキーさんの過去に何かあったとしか思えません。
それで、あんな事を言ったのかもしれません。」
べ「なるほど。それなら、直接教官に聞いてみては如何ですか?
私達が考えるよりも、聞いた方が早そうですし。」
沙「嫌な思い出だと思いますから、簡単に話してくれるかどうか…。」
すると、ベルクさんは痺れを切らしたのか、私の手をとった。
べ「悩んでも仕方ありませんし、聞きに行きましょう!」
手をひっぱられながら、ベルクさんとスモーキーさんの部屋まで向かった。
部屋に着き、ノックをすると、スモーキーさんが出てきた。
ス「どうした、何か用か?」
べ「教官に是非お聞きしたい事があります。」
スモーキーさんは私とベルクさんの顔を見ると、そのまま部屋の奥に行った。
私達がついて行くと、やふやふさんとヌアージュさんが居た。
や「お二人とも珍しいですね。何かあったのですか?」
ス「俺に聞きたい事があるらしい。」
べ「はい。先日のシェルン緑地での事です。」
すると、スモーキーさんは嫌そうな顔をした。
確かに、あの戦争でスモーキーさんはやふやふさんに怒られてるからね。
しかしそんな事等お構い無しに、ベルクさんは話し続けた。
べ「沙羅さんとの戦いの中で、教官が口にした言葉が気になりました。」
ス「ほう、どれが気になったんだ沙羅?」
沙「…スモーキーさんは言いましたよね、この国は人の命なんて何とも思って無いって。
それが、どうゆう意味なのかなっと……。」
スモーキーさんはやふやふさんの顔をチラっと見た後に、話すべきなのか悩んだ。
や「貴方達はまだ…、知らない方が良いです。」
べ「何故ですか?!」
ヌ「特に沙羅ちゃん、貴方は知らない方が良い。」
私が知らない方が良い?
沙「…どうしてですか?」
私の言葉に、やふやふさんもヌアージュさんも黙ってしまった。
すると、スモーキーさんが話し出した。
ス「昔話してやろうか?」
昔話?
何の昔話だろう?
沙「それは、この話と関係するんですか?」
べ「沙羅さん、黙って聞きましょう。」
私達が黙ると、スモーキーさんが語りだした。
ス「昔、ある国に動物の研究をする研究所があった。
そこには、何百匹という動物達が居た。
動物達は研究の材料とされ、毎日何匹もの動物が死んでいった。
研究がもう少しで完成と言うところで、異変が起きた。
一匹の犬が、研究員を噛み殺してしまった。
元々研究員達に恨みを抱いていた動物達は、その時一斉に決起した。
そして、研究員と動物達の戦いがあり、戦いは動物達の勝利で終わった。
動物達は研究所に居た研究員達を皆殺しにした。」
沙「皆殺しにするなんて、相等恨んでいたんですね。」
私の言葉を聞くと、突然スモーキーさんが笑い出した。
沙「何が可笑しいんですか?」
スモーキーさんは一頻り笑うと、また話し出した。
ス「まあ、お前達には理解できないだろうな。
あの状況が理解できるなら、アトラクナクアの事も理解できる。
しかし、俺はああなる前に隊長に拾われたからな。
もしもあの時、隊長に声を掛けてもらえなかったら俺は……。」
沙「アトラクナクアの事も理解できるという事は、あの人も同じ境遇だったんですか?」
アト「そのとおりよ。でも、賊を操ったからってずいぶん酷い言われ様ね。」
不意に声がしたかと思うと、部屋に置いてあった椅子にアトラクナクアが腰掛けていた。
私とベルクさんは驚いたが、スモーキーさん達は眉一つ動かさなかった。
沙「何時から其処に?!」
驚く私を他所に、スモーキーさんとアトラクナクアは、楽しげに話しだした。
アト「さっきから居たじゃない。
それにしても、ブルーがあの話をするなんて驚きだわ。
しかしあの事件のおかげで、私達は今生きていられるんだからね。」
ス「しかし研究所を脱出したは良いが、何処に行けば良いのか分からなかったからな。
しかも、追っ手は全員俺に向かって来たしな。」
アト「良いんじゃない?どうせちょっと引っ掻いたくらいで死ぬんだし。」
ス「だからって、あの頃の俺には多勢に無勢だったぞ。」
楽しげに話す二人を他所に、ヌアージュさんだけがアトラクナクアに敵意を抱いていた。
それに気付いたのか、アトラクナクアが横目で睨んだ。
二人の不穏な空気を感じたのか、やふやふさんが咳きをした。
すると、二人とも目をそらした。
それを見て、スモーキーさんが笑った。
ス「さすがのお前も、隊長の前ではただの猫だな。」
アト「…そうね。ブルーが人間側に居る事が、少しだけ理解できたわ。」
ス「…そうか。」
話は終わったのか、そのままスモーキーさんは黙り込んでしまった。
動物というのを人に置き換えれば、昔のカセドリアがどんな国だったのか分かる気がした。
しかしこの昔話を、何故私は知らない方が良いんだろう?
不思議に思い、スモーキーさんに聞いてみた。
沙「あの、この昔話を…どうして私は知らない方が良いんですか?」
すると、スモーキーさんは苦笑いをした。
ス「それが知りたかったら、今夜一人で俺の部屋に来るんだな。」
アト「その時にするつもりなの?」
アトラクナクアがにやりと笑った。
しかしスモーキーさんは顔を横に振った。
ス「いや、その時に全てを話すつもりだ。
あの事件も、俺達の事も含めてな。」
その言葉を聞くと、アトラクナクアはそっぽを向いた。
アト「あっそ、勝手にすれば?でもねブルー、私達の憎しみが消えることは無いわ。」
そう言うと、アトラクナクアは姿を消した。
沙「今夜一人でここに来れば、全てを話してくれるんですね?」
ス「ああ、約束しよう。だが、そうもいかんだろうな。」
最後の言葉が気になったが、私達はそのまま部屋を後にした。
夜になり、スモーキーさんの部屋に向かおうとした時だった。
べ「行かない方が良いでしょう。」
ベルクさんが囁いた。
沙「どうしてですか?」
べ「教官が話すことは、沙羅さんにとっては最悪の事でしょう。
後になって聞かなかった方が良かったと思わない為にも、行かない方が良いでしょう。
確かにさっきの話の内容からすると、聞かない方が良いのかもしれない。
しかし、スモーキーさんは話したいようだった。
例え後で後悔したとしても、聞かない方が良かったと思う話ではないはず。
沙「ありがとう、ベルクさん。でも私は、スモーキーさんの部屋に行きます。」
アト「例えそれが、自分の父親を殺された話だとしても?」
後ろから声が聞こえた為振り返ると、アトラクナクアが立っていた。
目には憎悪のような物を感じた。
沙「父親をって…どうゆう意味ですか?!」
アト「ブルーに聞けば良いじゃない、そして驚愕すればいいわ!
あんたの父親がどんな惨い殺され方をしたかってねッ!」
憎悪の目を向けながら、アトラクナクアが笑い出した。
私は脇目も振らずにスモーキーさんの部屋に向かった。
どうゆう事なのか知りたかったからだ。
扉をノックしても、返事は帰ってこなかった。
しかし鍵はかかっていなかった為、部屋の中に入っていった。
すると、シャワーを浴びていたのか浴室からスモーキーさんが出てきた。
ス「ん?ずいぶん早かったな。」
スモーキーさんはタオルで頭を拭きながら、ベッドに腰掛けた。
沙「あの事件で殺された研究員の中に、私のお父さんが居たと言うのは本当ですか?!」
私の言葉を聞くと、スモーキーさんは溜息をついた。
ス「アトラクナクアから聞いたのか?」
沙「答えてください!」
スモーキーさんは私の顔を見ながら、また溜息をついた。
ス「ああ、居たぞ。あの事件の一番最初の犠牲者は…、お前の父親だ!」
沙「最初の犠牲者って…、犬に噛み殺されたっていう。」
ス「その通りだ。そしてその噛み殺した犬ってのは…。」
そこでスモーキーさんの言葉が止まった。
頭を拭いていたタオルを外したかと思うと、頭の上に二つの山のような物が出来ていた。
髪の毛の色と似ていたが、髪の毛とは違う材質の物の様だった。
よく見ると、それは犬の耳のような形をしていた。
ス「気付いたか?お前の父親を殺した犯人を。」
沙「ま、まさか……。」
スモーキーさんがにやりと笑ったかと思うと、叫んだ。
「お前の父親を殺したのは、この俺だッ!」
今回は何時にもまして急展開だな(=w= byスモーキー
最終更新:2008年11月23日 12:42