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第3話 魔物を統べる者




城を出る時、またモンスターが襲撃してきたという話を耳にした。
このまま何も対策を施さないと、被害は増えていくばかり…。

沙「モンスター達の襲撃を何とかしないと…。」

家に帰ると、佐紀とお母さんがフィフスになった事を祝ってくれた。
ベルが城に来てと言っていた事を佐紀に伝えると、大いに喜んでくれた。
謁見の間に連合王国の全ての王が居た事や、ティファリス様と二人だけで話した事。
私は今日あった事を話した。

後日、ベルの使用人が私の家に来た。

「それでは後程。」

使用人が扉の向こうに消えたのを確認し、佐紀を呼んだ。

沙「早く着替えておいで。ベルのお城に行くよ!」

佐「やったー!」

佐紀は急いで自分の部屋へと向かっていった。
佐紀が着替えている間に、私も準備をする事にした。
準備が終わると、佐紀も着替えが終わったのか私の部屋に来た。
シュリッツ城に行く前に、お母さんに一言言って家を出た。
家を出たと言っても、クリスタルを使っているので出てすぐがお城だった。
そして、来るのを予想していたかのようにベルがそこに居た。

べ「シュリッツ城へようこそ。」

ベルを見て驚いたのか、佐紀は私の後ろに隠れた。
それをベルは自分への恨みと思ったのか、顔が曇った。

沙「ほら佐紀、ベルはこの城の女王なんだから挨拶しなさい。」

そう言って、佐紀を私の前に行かせた。
佐紀は少し緊張しているのか、手をもじもじとさせている。
その手をベルが優しく握った。

べ「歓迎しますよ、佐紀さん。」

沙「は、はい。よ、よろしくお願いします。」

ベルが笑うと、佐紀も笑った。
それだけで、二人の間に蟠りが無い事が分かった様だ。

べ「お城を案内しますよ。」

沙「ベル。」

私はベルに、研究室の近くは案内しないでと言おうとした。
しかしベルもそれを分かっているのか、何も言わずに首を縦に振った。

べ「分かっていますよ。」

ベルの案内で、シュリッツ城を回った。
もちろん研究室跡地は避けて通った。
ベルの部屋に着くと、ベルが昔着ていた服を佐紀に着せてくれた。
まるでお姫様になったみたいと佐紀は喜んだ。
その日の佐紀は終始上機嫌だった。
帰り際、ベルに呼ばれた。
私とベルは、佐紀から少し距離を取った。

べ「実は明日、襲来してくるモンスター達を迎え撃つ作戦が計画されています。
  できれば、沙羅さんにも参加していただきたいのです。」

ついにカセドリアが動き出したんだね。

べ「それと、沙羅さん以外にも多くのフィフスが参加するらしいです。」

沙「分かった。足手まといにならないように頑張ってくるね。」

佐紀の所に戻ると何の話をしていたのと言われたので、私は別れの挨拶をしたと伝えた。



翌日、私は朝早くから準備をした。
しかし肝心な集合場所を聞き忘れていたことに気付いた。
私以外にもフィフスが参加するんだよね…。
という事は、アマテラスの人達も参加するって事だね。
私は宿舎に向かった。
宿舎前に着くと、既に数名の人達が集まっていた。
近づいてみると、その人達は張文遠さん達だった。

張「ん?こんな朝早くから…何かあったのか?」

青「隊長、沙羅ちゃんもフィフスになったので、この作戦に参加させられたのでしょう。」

シ「5年前までは駆け出しの新米だったのに…月日が経つのは早いものね。」

の「頑張ってね。無理しちゃだめよ!」

張「うむ。よし、そろそろ行くとするか。」

シ「私達は先に向かうからね!」

そう言ってシャーウッドさんは、私と青りんごさんの背中を押し始めた。
私は理由が分からなかったけども、そのまま歩き出した。
振り返ると、張文遠さんの背中にのーくんでぃさんが抱きついていた。

シ「沙羅ちゃんは無粋だねぇ。」

そう言って、シャーウッドさんは無理やり私を前に向かせた。
モンスターを討伐しに行って、生きて帰れる保障等無い。
だからこそ今は、二人っきりにするべきなんだね。
首都を出ると、シャーウッドさんは背中を押すのを辞めた。

青「隊長が来るまで待ちましょう。」

シ「そうね。」

少しすると、張文遠さんが来た。

張「行くぞ。」

言う声色はさっきまでと一緒だが、身に纏うオーラが違った。

シ・青「了解。」



張文遠さん達について行くと、ゴブリンフォークに着いた。
既に戦争は終戦しており、味方は撤退の準備をしていた。
何時、どのタイミングでモンスター達が襲い掛かって来るか分からない。
私は周囲を警戒した。
しかし、しばらく経ってもヴェノマス1匹すら出てこなかった。

沙「おかしいですね。」

結局、夜になってもモンスター達は現れなかった。

シ「こちらの動きが読まれたのかしら?」

張「いや、寝込みを襲ってくるのかもしれん。
  各員、警戒を怠らぬようにな。」

張文遠さんの言葉が終わるか終わらないか位の時だった。

「敵襲ッ!北、東、南からモンスター達の襲撃だーッ!!」

張「ついに来たか。シャーウッドと青りんごは北へ、沙羅殿は南を頼む。
  俺は東へ向かう。」

シ・青「「了解。」」

沙「分かりました。」

南へ向かうと、味方はもう戦闘を開始していた。
エフリシア、力を貸りるね。
ワカリマシタ。
まず最初に襲い掛かってきたのは、ホブリンだった。
それを真一文字に斬り、次いでその後ろに居たバロンオークを斬った。
さらに、次々と襲い掛かって来るモンスター達を斬って行った。
南にはそこまで強いモンスターは居ないようで、簡単に撃退することが出来た。
それにしても、様子がおかしい。
あのゲブランド帝国軍ですら多大な被害を出したというのに…。
コチラハオトリナノデハ?
いや、それは無いと思う。
確かに強いモンスターは居なかった。
しかしそれは私から見た強さであって、他の人にはそれなりに強く感じたはずだ。
南が粗方片付いたのを確認すると、私は北へと向かった。
北に着くと、どうやら苦戦しているようだった。
私を見つけたのか、シャーウッドさんが近づいてきた。

シ「沙羅ちゃん、何故こっちに来たの?!」

沙「南はほぼ撃退したので、援軍に来ました。」

シ「そう。こっちはスペクターロードが居て苦戦中よ。」

スペクターロード…骸骨系の中でも屈指の強さを誇るモンスターだね。

沙「分かりました。私がスペクターロードの相手をします。」

シ「沙羅ちゃんが?!悪い事は言わないから辞めなさい!」

シャーウッドさんの制止を振り切り、私はスペクターロードに向かった。

沙「来なさい、私が相手をするわ!」

スペクターロードは私を見ると、剣と盾を構えた。
それと同時に、スペクターロードから殺気が発せられた。
負けじと私も殺気を出した。
しかし私の殺気にスペクターロードは動じなかった。
それどころか、斬りかかってきた。
盾で防いだが、かなりの衝撃を受けた。
…強い。
これは、負けるかもしれない。
アナタハマケナイワ。
ワタシノチカラガ、アナタヲマモルカラ。
エフリシアの言う通り、これまで何度も死線を掻い潜って来たわ。
私は…負けない!
今度は私が斬りかかった。
スペクターロードは盾で防ごうとしたが、その盾ごとスペクターロードの体を両断した。
剣にエフリシアの力を加える事で、どんな硬い盾でも斬る事ができる。
しかしそれだけでスペクターロードは死ななかったようだ。
私は返し刃で再度斬り付けた。
すると、スペクターロードは雄叫びをあげながら崩れ落ちた。
それを見たモンスター達は浮き足立った。

沙「今こそモンスター達を撃退するチャンスです!」

北はそのまま勢いに乗ってモンスター達を撃退した。
しかし力を使い過ぎたのか、少し疲れを感じた。

シ「沙羅ちゃん…強くなったわね。」

沙「いえ、私はまだまだ未熟です。」

青「そんな事無いよ。まるで、スモーキーさんみたいでしたよ。」

沙「スモーキーさんだったら、スペクターロードくらい戦わずして退けたでしょう。」

シ「…そうね。スモーキーさんと沙羅ちゃんでは、まだまだ力の差があるわ。
  でも18でスペクターロードを倒せるなんて、自分の強さに自信を持って良いと思うわ。」

沙「そうですね。此処も片付きましたし、張文遠さんの所へ向かいましょう。」


東に近づくにつれ、味方の負傷兵が増えていくことに気付いた。
その内の一人が私達に向かって叫んだ。

「逃げろ、この先に魔物を統べる者が居る!」

前方からは強い殺気を感じた。
この殺気を出しているのが、魔物を統べる者みたいだね…。
これ程の殺気を出す魔物を統べる者とはいったい何者なのか、この目で確かめないと。

沙「シャーウッドさん達は負傷兵の人達をお願いします。」

シ「待って沙羅ちゃん、貴方はどうする気なの?
  まさか、このまま進む気じゃ…?」

青「この先に魔物達を統べる者が居るのなら、行かない方が賢明ですよ。」

二人がいう事はもっともだ。
しかし私は、二人が制止するのを振り切って走った。
進むにつれ、前方から感じる殺気は強くなっていった。
そして、張文遠さんの居るところに着いた。
張文遠さんは魔物を統べる者と戦っているようだった。

?「増援か。そろそろ雑魚の相手をするのにも飽きてきたぜ。」

張「この張文遠を雑魚と申すか?!」

?「雑魚を雑魚と言って何が悪い?」

魔物を統べる者は一度距離を取ったかと思うと、武器を構えた。
しかしその武器は…。

沙「あれは……フェンリル?!」

スモーキーさんが使っていたフェンリルだった。
あれは世界に一つしか無いと言われている。
しかもあの構えは…。

?「これで終わりにしてくれるわッ!」

張「その武器にその構え、やはり御主か!
  我盾となれ、スカフォード召還ッ!」

張文遠さんと魔物を統べる者の間に、瞬時にスカフォードが建築された。
しかし次の瞬間、張文遠さんが倒れた。

張「なん…と。」

スカフォードがあるのに何故?!
よく見ると、スカフォードにはまるで何かに刳り貫かれたかの様に穴が開いていた。

?「チッ…またつまらねえ雑魚を斬っちまったぜ。」

そう言って、魔物を統べる者は夜の闇に消えていった。
それを見て私は、倒れている張文遠さんに近づいた。

沙「大丈夫ですか?!」

張「うむ。スカフォードが無かったら死んでいただろう。
  それより沙羅殿、奴の正体は…。」

や「スモーキー…さん。」

何時の間にか、やふやふさんが私の隣に居た。
やふやふさんは魔物を統べる者が消えて行った方向をじっと見ていた。
ゴブリンフォークから首都へと帰還する間中、私の頭の中は魔物を統べる者でいっぱいだった。
世界に一つしか無いと言われているフェンリルとあの構え…。
あの構えは、間違いなく破槍だった。
魔物を統べる者の正体は……スモーキーさん?


狸復活&久しぶりのUP byスモーキー

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最終更新:2009年02月27日 23:12