紅葉国の食の万国博覧会準備:モズク編
モズク。表面を覆う多糖類のため、ぬるりとした独特の食感が楽しい海の珍味。
食酢で和えた「もずく酢」や、塩に漬け込んだ塩辛などが一般的である。
三杯酢などと合わせて、そのまま食べられるように加工した食品が稀に流通する。
紅葉国の隠れた特産品である。
食酢で和えた「もずく酢」や、塩に漬け込んだ塩辛などが一般的である。
三杯酢などと合わせて、そのまま食べられるように加工した食品が稀に流通する。
紅葉国の隠れた特産品である。
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神室想真(かむろ・そうま)から、紅葉国のモズクを、リワマヒ国で行われる「食の万国博覧会」に出品すると聞いたとき、アルバート・ヴィンセント・ログマンは耳を疑った。
「モズクでございますか…。確かに三杯酢と和えて頂くとあのぬめりがなんとも言えず、大変美味しいものですし、確かに本来は今が旬と聞いておりますが……」
と、ひとしきり無難な言葉を連ねた後、ログマンはキッパリと言った。
「おやめになった方が宜しいかと存じます」
かなり真剣な執事(ログマン)の様子に、苦笑いをする神室。
「私もそう思うよ。でも、うちのモズクを、他の藩国の人にも知って欲しいんだ。それには今回はいい機会だし。I=Dの使用許可も藩王様から貰ったしね」
「なるほど、すでにもう覚悟はなさったのですね」
「なるほど、すでにもう覚悟はなさったのですね」
執事の言葉に、神室はうなずく。
「ならばもうお止め致しません。後武運を祈っております」
そうして、深々とお辞儀をして見送る執事を後にして、神室想真はモズク漁に出かけたのであった。
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他の世界には、同じく「モズク」という海藻が存在し、似たような料理の仕方をされると聞くが、紅葉国の「モズク」は、れっきとした魚介類である。
参考:設定文より http://koyo.sevenspirals.net/65.html
「~モズク等、豊富な食用魚介類の生息が確認されており~」
「~モズク等、豊富な食用魚介類の生息が確認されており~」
そして、本来の最も美味しくなるとされる旬。その時期モズクは繁殖を控えて最も巨大に、最も美味しく、そして最も気が荒くなる。
外皮を覆うぬめりは身を守る盾であり、巨大な体長と強靭なアゴを持って紅葉国最強の海洋生物として君臨するモズク。
過去にはこのモズクを1人で狩る事が星人の証になったというが、大昔に起きた痛ましい事故を契機に、この時期のモズク漁は自粛されていた。
外皮を覆うぬめりは身を守る盾であり、巨大な体長と強靭なアゴを持って紅葉国最強の海洋生物として君臨するモズク。
過去にはこのモズクを1人で狩る事が星人の証になったというが、大昔に起きた痛ましい事故を契機に、この時期のモズク漁は自粛されていた。
神室が挑む紅葉国の特産品「モズク」とは、そうした相手であった。
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翌朝、神室は帰って来た。傷だらけのI=Dに、かつてないほどの大物のモズクを抱えて。
こうして、「食の万国博覧会」の紅葉国の出品目録の末席にひっそりと加えられたモズク。
これは我が国の神室が死闘の果てに得た、まさに武勲でございます。
これは我が国の神室が死闘の果てに得た、まさに武勲でございます。
どうか存分にご賞味あれ。