「なあ、何でこんなところで炊き出ししてるんだ?」
もきゅもきゅと握り飯を頬張りながら脇に控える吏族に問うが、返事はない。
目の前は一種馬鹿騒ぎの様相を呈していた。
目の前は一種馬鹿騒ぎの様相を呈していた。
先ほどなっこちゃん特製の食事をたべてぶったおれたことと、広島にいるはず、ということを除けばたいしたことはしていない。ただ、なんか面白そうということだけで、配下の名無し吏族をこき使いながら炊き出しの手伝いをしているだけだ。
無論、自らの手は下さず、だ。
「いーかげん手伝ってくださいよ、尚書」
「んー、めんどくさい」
にべもなかった。
にべもなかった。
そんなことをしている間にも大量の食材は料理へと変貌していく。これだけの量があれば、どんなに多くの人に食べさせることが出来るのだろう。この食糧危機の下、ここに集まれた幸運な者たちは満たされていく。
すべての餓えた人を救うことは出来なくとも、死なない程度に皆に食わせていけるぐらいの食事があればいいだろう。このイベントがその原動力になるなら、是非もない。
次の握り飯に手を伸ばすと、手を叩かれた。
すべての餓えた人を救うことは出来なくとも、死なない程度に皆に食わせていけるぐらいの食事があればいいだろう。このイベントがその原動力になるなら、是非もない。
次の握り飯に手を伸ばすと、手を叩かれた。
「采配だけでもいいから振るってください、皆働いてるんですから」
「……仕方ないな」
ほんとに仕方なさそうな声で答えたあと、こう宣言した。
「……仕方ないな」
ほんとに仕方なさそうな声で答えたあと、こう宣言した。
「今の状況を報告しろ!」
「食材が切れる? 馬鹿野郎、そんなもん、調達してこればいいだろ、たとえば、自国の奴らに頼るとか、な。
無理ならいい。……買出し部隊、そうだな、そこの不器用な奴ら、作るほうで貢献できないなら、足で稼いで来い。近隣の村々へいっても、この炊き出しは終らんだろう」
「食材が切れる? 馬鹿野郎、そんなもん、調達してこればいいだろ、たとえば、自国の奴らに頼るとか、な。
無理ならいい。……買出し部隊、そうだな、そこの不器用な奴ら、作るほうで貢献できないなら、足で稼いで来い。近隣の村々へいっても、この炊き出しは終らんだろう」
工部という組織は元来、財務・紋章とは違いさまざまな任務を行ってきた。とはいえ、炊き出しなんかを手伝った例は、見たことがない。きっと、この某尚書、自分がうまいものが食べれればそれで良かったに違いないのだ。
……矢継ぎ早に来る報告をあらかた片付けると、某尚書はまたどっかうまいもんでも食いに行くかなと思いつつその場をそーっと離れた。
新たなうまいものを求めて。