《大消失》

概要

世界最大の都市であったはずのニューヨークが一夜にして無人廃墟と化した1902年12月25日未明の事件。
公にはその原因は公表されていない。
ただ、個人的見解として当時のホワイトハウス報道官は「NYに数多あった大型蒸気機関の連鎖的暴走事故の可能性」を口にし、多くの新聞や人々がそれを信じた。
超大型蒸気機関の稼動実験の失敗であるとか、大規模火災であるとか、水害であるとか、局地型地震であるとか、新兵器の使用実験や事故であるとか、さまざまな原因が無責任に噂されはしたが、現在ではそれらを語る者も多くはない。
何かがあって、恐らく事故で、NYと数百万の人々は消えた。
その事実が、公文書館の記録と、子供たちの教科書とに記されているのみ。
欧州の社交界の片隅に蠢く先鋭的な一部のオカルティストたちは邪悪な宇宙的存在の関与を口にするものの、信じる者はいない。
生存者は存在しない、ということになっている。

その実態は、ロード・アヴァン・エジソンにより行われた現象数式実験

時刻、0時30分。ヴェラザノはひとりでに自壊した。
時刻、0時25分。ブロンクスは砕け散った。
時刻、0時27分。気体でもなく。振動でもなく、ロングアイランドにそれが満ちた。
時刻、0時31分。限定的な崩落がウォール・ストリートを襲った。
時刻、0時38分。人智を超えるものが出現していた。あらゆる命を敵視するかのように、あらゆる生を敵視するかのように、それはブロ ードウェイにも訪れた。
時刻、0時40分。セントラルパークを水が包んだ。
時刻、1時0分。セントラルパークの現象数式体は他地区の5体と融合を始めた。融合し、巨大な白きものとなった。
それはニューヨーク全土を覆い尽くし、生き残った人々をも呑み込んで、すべては消えた。
あらゆる命が都市から消え失せて、現象数式体ごと、地下へと消えた。

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最終更新:2013年08月03日 21:09
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