たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
写真とゆかいな4人組
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かったるい授業も終わって、うきうき気分な放課後。
だってね、だってね。今日もこれから梨華ちゃんとお茶しにいくの。
えへっ。
ゆっくりのんびりケーキタイム。
うーん。なんか女子高生みたい。…って、女子高生なんだけどね。
だってね、だってね。今日もこれから梨華ちゃんとお茶しにいくの。
えへっ。
ゆっくりのんびりケーキタイム。
うーん。なんか女子高生みたい。…って、女子高生なんだけどね。
今日は“ナンパ”もなかったし…と思ったら、梨華ちゃんが下駄箱を開けたまま、えっとマユゲをしかめてる。
「どうしたの?」
覗き込んだら、靴の上に一通の封筒。
「どうしたの?」
覗き込んだら、靴の上に一通の封筒。
『 果たし状 』
「…美貴ちゃん、“ラブレター”」
ピンクのかわいらし~い封筒に丸文字で…。
ピンクのかわいらし~い封筒に丸文字で…。
はぁ…。
梨華ちゃんから零れたため息。
「ったく…。かったりぃなぁ…」
「もぉ。そんな言葉遣いしないの」
女の子なんだから。
めっ…ってしかられて、てへっと舌を出す。
ガサガサと開いて、場所を確認。
梨華ちゃんから零れたため息。
「ったく…。かったりぃなぁ…」
「もぉ。そんな言葉遣いしないの」
女の子なんだから。
めっ…ってしかられて、てへっと舌を出す。
ガサガサと開いて、場所を確認。
ふむふむ。
「どうする?」
って梨華ちゃん。
「やっぱさぁ……」
うん。ってうなずきあう。
パタンと下駄箱の戸を閉めて鍵をかけなおすと、梨華ちゃんと手を繋いで校舎の中に戻った。
って梨華ちゃん。
「やっぱさぁ……」
うん。ってうなずきあう。
パタンと下駄箱の戸を閉めて鍵をかけなおすと、梨華ちゃんと手を繋いで校舎の中に戻った。
―――
――
――
目指すところは第一格技場。
「どっちだと思う?」
「第一だから柔道部か空手部か…だよねぇ」
「第二だと剣道となぎなただっけ」
「うん」
まぁ、なぎなた以外はどっちとも戦ったこと、あるけどね。
「しっかしさぁ、部総出でやる? ふつー。さゆを見習ってほしいよね」
「ホントだよぉ…」
梨華ちゃんがやれやれとため息をついた。
「せっかくさぁ、これからお茶して帰ろうってトコだったのにさぁ」
「ねぇ。そこの火曜限定ケーキ、楽しみだったんだけどなぁ」
美貴と梨華ちゃんのデートタイムの邪魔をした罪は重いぞっ。
「第一だから柔道部か空手部か…だよねぇ」
「第二だと剣道となぎなただっけ」
「うん」
まぁ、なぎなた以外はどっちとも戦ったこと、あるけどね。
「しっかしさぁ、部総出でやる? ふつー。さゆを見習ってほしいよね」
「ホントだよぉ…」
梨華ちゃんがやれやれとため息をついた。
「せっかくさぁ、これからお茶して帰ろうってトコだったのにさぁ」
「ねぇ。そこの火曜限定ケーキ、楽しみだったんだけどなぁ」
美貴と梨華ちゃんのデートタイムの邪魔をした罪は重いぞっ。
そんなこんなで格技場に到着。
戸を開ける前に大きく深呼吸。
そのとき、ふと何かを感じた。
「美貴ちゃん」
「梨華ちゃん」
同時に二人できょろきょろと辺りを見回す。
…。
何もない。
というか、静かな廊下。
お互いに顔を見合って首をかしげた。
「なんかいたよね?」
「うん…」
確かに気配感じたんだけど…。
しかもたぶん知ってる気配。
「ま、いっか」
「うん。じゃあ、開けるよ?」
梨華ちゃんが戸に手を掛けてゆっくりと引く。
戸を開ける前に大きく深呼吸。
そのとき、ふと何かを感じた。
「美貴ちゃん」
「梨華ちゃん」
同時に二人できょろきょろと辺りを見回す。
…。
何もない。
というか、静かな廊下。
お互いに顔を見合って首をかしげた。
「なんかいたよね?」
「うん…」
確かに気配感じたんだけど…。
しかもたぶん知ってる気配。
「ま、いっか」
「うん。じゃあ、開けるよ?」
梨華ちゃんが戸に手を掛けてゆっくりと引く。
と、その時…。
「「…!」」
ひゅっ!
手を離してぱっと左右に分かれて後ろに下がる。
美貴と梨華ちゃんの目の前を過ぎていった一筋の線。
ちっ…って舌打ちが聞こえて、すたっと後ろに下がった足音。
「美貴ちゃん…」
「うん」
鬼人モードに突入した梨華ちゃんの鋭いまなざしにうなずいて返すと、中に入った。
美貴と梨華ちゃんの目の前を過ぎていった一筋の線。
ちっ…って舌打ちが聞こえて、すたっと後ろに下がった足音。
「美貴ちゃん…」
「うん」
鬼人モードに突入した梨華ちゃんの鋭いまなざしにうなずいて返すと、中に入った。
入って、びっくり…。
「え…?」
「なんで…?」
「なんで…?」
板敷きと畳の半々の道場のど真ん中。
腰に手を当ててなぎなたをどんと床に突き立てたおっきな目の子が美貴と梨華ちゃんを睨みつけてる。
腰に手を当ててなぎなたをどんと床に突き立てたおっきな目の子が美貴と梨華ちゃんを睨みつけてる。
ドン!
なぎなたの柄の部分、石突を床に叩きつけてすっごい音が響き渡る。
驚いていた梨華ちゃんの表情がすっと元の鬼人モードに戻って、なんかわけわかんないけど伝わってくる気迫に美貴の中にもぐわっと緊張感と気合が沸きあがる。
驚いていた梨華ちゃんの表情がすっと元の鬼人モードに戻って、なんかわけわかんないけど伝わってくる気迫に美貴の中にもぐわっと緊張感と気合が沸きあがる。
「なぁぎなたぶ、たかーしあいっ! いざっ! しょーぶっ!」
って…合唱部じゃなかったの?
中等部の合唱部部長の高橋愛。
無類の宝塚ヲタでオトナっぽい見た目とは裏腹の無邪気なコドモっぽさが高等部でもひそかに大人気の愛ちゃん…だよね。
中等部の合唱部部長の高橋愛。
無類の宝塚ヲタでオトナっぽい見た目とは裏腹の無邪気なコドモっぽさが高等部でもひそかに大人気の愛ちゃん…だよね。
そんな美貴と梨華ちゃんに、愛ちゃんの後ろの方でなにやらハラハラしてるせっかちそうなコが、
「あの、愛ちゃん、掛け持ちしてるんです」
って教えてくれた。
そのコは愛ちゃんに、
「ねぇさ、やっぱおっかしいって。やめようよ」
って諭してるんだけど、
「ヤダ。許せん」
どうも聞く気配なし。
困った様子で愛ちゃんの後ろでなんかぽーっとしてる丸顔のコに助けを求めると、
「そうだよ。あぶないよ?」
でもこれも全く聞く気なし。
「あの、愛ちゃん、掛け持ちしてるんです」
って教えてくれた。
そのコは愛ちゃんに、
「ねぇさ、やっぱおっかしいって。やめようよ」
って諭してるんだけど、
「ヤダ。許せん」
どうも聞く気配なし。
困った様子で愛ちゃんの後ろでなんかぽーっとしてる丸顔のコに助けを求めると、
「そうだよ。あぶないよ?」
でもこれも全く聞く気なし。
すっと愛ちゃん…いや、たかーしさんがなぎなたを構える。
「覚悟…」
ギラッと目が光って、どうやら噂のかわいらしさが凛々しさに変わってる。
「どうする? 梨華ちゃん」
「うん…」
1対2。それはやっぱまずいでしょ。
「どうしても…ヤル気みたいだよね…」
梨華ちゃんは顎に手をやって少し考えると、すっと一歩進み出た。
「あたしが行く」
「おっけー」
戸を警戒しながら下がる。
「覚悟…」
ギラッと目が光って、どうやら噂のかわいらしさが凛々しさに変わってる。
「どうする? 梨華ちゃん」
「うん…」
1対2。それはやっぱまずいでしょ。
「どうしても…ヤル気みたいだよね…」
梨華ちゃんは顎に手をやって少し考えると、すっと一歩進み出た。
「あたしが行く」
「おっけー」
戸を警戒しながら下がる。
梨華ちゃんはブレザーの胸ポケットから“ラブレター”を出すと、愛ちゃんに見せた。
「これ、あなたが書いたの?」
「はぁ? なんのことかわからん?」
眉をしかめる愛ちゃん。
梨華ちゃんはポケットに“ラブレター”をしまいながらちらりと美貴を見てうなずいた。
うん。
美貴もうなずき返す。なるほど…ね。
梨華ちゃんはくすっと笑った。鬼人モードで。
「よーくわかったよ。でも、その気なら…容赦しないよ」
「それはこっちのセリフやっ!!」
「これ、あなたが書いたの?」
「はぁ? なんのことかわからん?」
眉をしかめる愛ちゃん。
梨華ちゃんはポケットに“ラブレター”をしまいながらちらりと美貴を見てうなずいた。
うん。
美貴もうなずき返す。なるほど…ね。
梨華ちゃんはくすっと笑った。鬼人モードで。
「よーくわかったよ。でも、その気なら…容赦しないよ」
「それはこっちのセリフやっ!!」
ダンッ!
力強く床を蹴ってひゅっと木製のなぎなたの刃が梨華ちゃんに襲い掛かる。
ひらりと身を翻すと、いったん大きく下がって間合いを取った梨華ちゃん。
どうしたって向こうの方がなぎなたの分だけリーチがあるから飛び込みにくい。
ひらりと身を翻すと、いったん大きく下がって間合いを取った梨華ちゃん。
どうしたって向こうの方がなぎなたの分だけリーチがあるから飛び込みにくい。
「りゃぁっ! めんっ!」
一つ、二つ、三つ…。
ひゅっひゅっと風を切るなぎなた。
ひゅっひゅっと風を切るなぎなた。
梨華ちゃんはそれを最小限のステップで交わしながら、懐に飛び込む機会を窺う。
「くっ…!」
先端が梨華ちゃんの腕をかすめて。わずかにバランスを失った梨華ちゃんがよろめいた。
「もらったぁっ!」
ぶんっと唸りあげて振り下ろされたなぎなた。
梨華ちゃんの目がぎらったと光ったの、美貴は見逃さなかった。
ぐっと踏みとどまって、大振りになったところを一気につめた梨華ちゃん。
顔のぎりぎりのところを過ぎていった刃の風圧が染め直したばかりの少し明るめの髪を舞い上げた。
「くっ…!」
先端が梨華ちゃんの腕をかすめて。わずかにバランスを失った梨華ちゃんがよろめいた。
「もらったぁっ!」
ぶんっと唸りあげて振り下ろされたなぎなた。
梨華ちゃんの目がぎらったと光ったの、美貴は見逃さなかった。
ぐっと踏みとどまって、大振りになったところを一気につめた梨華ちゃん。
顔のぎりぎりのところを過ぎていった刃の風圧が染め直したばかりの少し明るめの髪を舞い上げた。
ドンッ!
思い切り床に叩きつけられた木の刃。
「甘いっ!」
「しまっ…!?」
「甘いっ!」
「しまっ…!?」
カラン!
たかーしさんの手首に手刀を打ち込んでなぎなたを叩き落とした。
そして、すばやく美貴の方になぎなたを払うと、後ろに回りこんで首に腕を回してホールド。
「くっ…放せっ!」
「やーだ。少しわかってもらわないとね」
「な…なんっ…くそっ!」
もがくたかーしさんと、ぎりぎりと本気で締めにかかる梨華ちゃん。
いやー惚れ惚れするくらいオトコマエ…。
そして、すばやく美貴の方になぎなたを払うと、後ろに回りこんで首に腕を回してホールド。
「くっ…放せっ!」
「やーだ。少しわかってもらわないとね」
「な…なんっ…くそっ!」
もがくたかーしさんと、ぎりぎりと本気で締めにかかる梨華ちゃん。
いやー惚れ惚れするくらいオトコマエ…。
かなりいつも以上にマジで戦ってる梨華ちゃん。
でも、そこはやっぱり今までの相手とはどうやらちょっと違う。
でも、そこはやっぱり今までの相手とはどうやらちょっと違う。
「うがー!」
がぶっ!
「きゃっ!」
思いきり梨華ちゃんの腕に噛み付いて逃れると、げほげほとむせ返りながらも間合いとる。
なぎなたは美貴の足元。
取りに来ればぶっ飛ばす。
そんな美貴の意図を感じたのか、両手に前に突き出して組むような構え。
梨華ちゃんも上目遣いに見据えて、両手は下ろしてるけど半身に開いた。
思いきり梨華ちゃんの腕に噛み付いて逃れると、げほげほとむせ返りながらも間合いとる。
なぎなたは美貴の足元。
取りに来ればぶっ飛ばす。
そんな美貴の意図を感じたのか、両手に前に突き出して組むような構え。
梨華ちゃんも上目遣いに見据えて、両手は下ろしてるけど半身に開いた。
しばらくにらみ合いが続く。
たかーしさんの後ろにいる二人も固唾を呑んで二人の様子を伺っている。
たかーしさんの後ろにいる二人も固唾を呑んで二人の様子を伺っている。
先に動いたのはたかーしさんだった。
「でやぁっ!」
たっと床を蹴ってハイキック。
それを体を回転させる勢いで左腕で払い落とすと、そのまま上段、こめかみ辺りを狙った梨華ちゃんの右回し蹴り。
「でやぁっ!」
たっと床を蹴ってハイキック。
それを体を回転させる勢いで左腕で払い落とすと、そのまま上段、こめかみ辺りを狙った梨華ちゃんの右回し蹴り。
ひゅっ!
それをしゃがんでよけるたかーしさん。
そこにもう一回体を回転させて突くように中段蹴り。
「ちっ!」
たかーしさんは後ろに下がると、
「でやっ!」
今度はぶんっと正拳を繰り出す。
すっと首をかしげて交わす梨華ちゃん。
「あぁぁぁりゃぁっ!」
今度は左。
「おりゃっ!」
また右。ぶんっと唸るようなフック。
それも軽やかにステップを踏んで交わした梨華ちゃんの右腕がすっと上がる。
「くそぉっ!」
振り下ろした右フックの勢いそのままに回し蹴りを放って牽制すると、一度後ろに跳び下がったたかーしさん。
梨華ちゃんが笑った。
「やるじゃん。なぎなたなくても強いんだね」
「んなぁっ!?」
ダンと右足で強く床に踏みつけると、堅く拳を握り締めてたかーしさんが梨華ちゃんに飛び掛った。
そこにもう一回体を回転させて突くように中段蹴り。
「ちっ!」
たかーしさんは後ろに下がると、
「でやっ!」
今度はぶんっと正拳を繰り出す。
すっと首をかしげて交わす梨華ちゃん。
「あぁぁぁりゃぁっ!」
今度は左。
「おりゃっ!」
また右。ぶんっと唸るようなフック。
それも軽やかにステップを踏んで交わした梨華ちゃんの右腕がすっと上がる。
「くそぉっ!」
振り下ろした右フックの勢いそのままに回し蹴りを放って牽制すると、一度後ろに跳び下がったたかーしさん。
梨華ちゃんが笑った。
「やるじゃん。なぎなたなくても強いんだね」
「んなぁっ!?」
ダンと右足で強く床に踏みつけると、堅く拳を握り締めてたかーしさんが梨華ちゃんに飛び掛った。
ドンッ!
「あっ!」
「愛ちゃんっ!」
「愛ちゃんっ!」
たかーしさんが踏み出したとほぼ同時。
梨華ちゃんが腹にひじを入れるように体勢を低くして肩からぶちかまして吹っ飛ばした。
梨華ちゃんが腹にひじを入れるように体勢を低くして肩からぶちかまして吹っ飛ばした。
「うぁっ…」
ぺたんと尻餅をついて、お腹をおさえるたかーしさん。
それでもなんとかよろっと立ち上がって掴みかかろうと伸ばした右腕を梨華ちゃんがすかさず捕まえた。
「ぐうっ…くっ…」
たかーしさんの顔が苦悶にゆがむ。
がっちりと腕をキメる梨華ちゃん。
ぎりぎりとひねりあげるけど、たかーしさんはそれでも負けじと睨みつける。
「くそっ…。あんたたち……みんなを潰したくせに…」
そんな呟きに梨華ちゃんが微かに不思議そうな顔する。
そして、美貴の方を見るんだけど、美貴にもよくわかんないから『さぁ?』って両手を開いて肩をすくめた。
やれやれ。
そんなため息が梨華ちゃんから零れた。
「うぁぁっ!」
ぐいっとわざと更に強くひねりあげると、ぱっと手を放した。
だらんと下がった右腕。
それでも噛みつかんばかりに振り返るたかーしさん。
梨華ちゃんはたかーしさんの襟をぐっと掴むと、
「もう、それくらいにしようね」
にっこりと笑った。
「…っ」
がくっとうなだれるたかーしさん。
梨華ちゃんは襟から手を放すと、よしよしと頭を撫でた。
「ふふっ。楽しかったよ」
むうっと口をへの字に曲げるたかーしさんにもう一度くすりと微笑みかけて梨華ちゃんが美貴のところに戻ってくる。
ぺたんと尻餅をついて、お腹をおさえるたかーしさん。
それでもなんとかよろっと立ち上がって掴みかかろうと伸ばした右腕を梨華ちゃんがすかさず捕まえた。
「ぐうっ…くっ…」
たかーしさんの顔が苦悶にゆがむ。
がっちりと腕をキメる梨華ちゃん。
ぎりぎりとひねりあげるけど、たかーしさんはそれでも負けじと睨みつける。
「くそっ…。あんたたち……みんなを潰したくせに…」
そんな呟きに梨華ちゃんが微かに不思議そうな顔する。
そして、美貴の方を見るんだけど、美貴にもよくわかんないから『さぁ?』って両手を開いて肩をすくめた。
やれやれ。
そんなため息が梨華ちゃんから零れた。
「うぁぁっ!」
ぐいっとわざと更に強くひねりあげると、ぱっと手を放した。
だらんと下がった右腕。
それでも噛みつかんばかりに振り返るたかーしさん。
梨華ちゃんはたかーしさんの襟をぐっと掴むと、
「もう、それくらいにしようね」
にっこりと笑った。
「…っ」
がくっとうなだれるたかーしさん。
梨華ちゃんは襟から手を放すと、よしよしと頭を撫でた。
「ふふっ。楽しかったよ」
むうっと口をへの字に曲げるたかーしさんにもう一度くすりと微笑みかけて梨華ちゃんが美貴のところに戻ってくる。
パンッ!
ハイタッチでお出迎え。
「お疲れ。梨華ちゃん」
「ありがと」
「お疲れ。梨華ちゃん」
「ありがと」
ぱたぱたとせっかちさんと丸顔さんが愛ちゃんのところに駆け寄る。
「だっ…大丈夫!? 愛ちゃん!」
「あぁ…うん。ちょっと……痺れてる…」
肩の辺りを押さえる愛ちゃんの悔しそうな顔。
なんかちょっとかわいそうな気もする。
でも、挑んできたのは向こう。
梨華ちゃんもぎりぎりの手加減はしてたみたいだし、美貴もやっぱ同じことをする。
「ほら! だから言ったじゃん!」
「……けど…」
「もぉ! …ってコンコン?」
顔を上げたせっかちさんの声に愛ちゃんも顔を上げる。
「だっ…大丈夫!? 愛ちゃん!」
「あぁ…うん。ちょっと……痺れてる…」
肩の辺りを押さえる愛ちゃんの悔しそうな顔。
なんかちょっとかわいそうな気もする。
でも、挑んできたのは向こう。
梨華ちゃんもぎりぎりの手加減はしてたみたいだし、美貴もやっぱ同じことをする。
「ほら! だから言ったじゃん!」
「……けど…」
「もぉ! …ってコンコン?」
顔を上げたせっかちさんの声に愛ちゃんも顔を上げる。
丸顔さんがじっとこっちを…………にらんでる。たぶん。
梨華ちゃんとアイコンタクト。
一つうなずきあって、今度は美貴が前に出た。
「何? なんかモンクある?」
「あります」
小さな声だけど、でも強い口調できっぱり。
「愛ちゃんの敵討ちです」
「仕掛けてきたのはそっちなのに?」
揚げ足取るつもりはないんだけどね。でもホントのことだから。
きゅっと唇を噛んで、でもすごく強い目が美貴を見据えてる。
「友達があんなふうにされて、黙って見てられないです」
ふーん。
パキパキと指を鳴らした。
「いいね。そういうの、美貴すきだよ。わかった」
コキコキと首を鳴らして、また一歩前に出る。
一つうなずきあって、今度は美貴が前に出た。
「何? なんかモンクある?」
「あります」
小さな声だけど、でも強い口調できっぱり。
「愛ちゃんの敵討ちです」
「仕掛けてきたのはそっちなのに?」
揚げ足取るつもりはないんだけどね。でもホントのことだから。
きゅっと唇を噛んで、でもすごく強い目が美貴を見据えてる。
「友達があんなふうにされて、黙って見てられないです」
ふーん。
パキパキと指を鳴らした。
「いいね。そういうの、美貴すきだよ。わかった」
コキコキと首を鳴らして、また一歩前に出る。
「ちょっ…ちょっと…コンコン!?」
「あさ美ちゃん…」
ちょっと泣きそうな愛ちゃんとおろおろしてるせっかちさん。
「あさ美ちゃん…」
ちょっと泣きそうな愛ちゃんとおろおろしてるせっかちさん。
コンコンさんはすうっと右手を引くと、左手を前に出して構えた。
「紺野あさ美、行きます」
どっしりした構え。
ふーん。なるほど…。
さっきの愛ちゃんといい、コンコンさんといい、なかなかできそうじゃん。
「OK。かかっておいで」
「紺野あさ美、行きます」
どっしりした構え。
ふーん。なるほど…。
さっきの愛ちゃんといい、コンコンさんといい、なかなかできそうじゃん。
「OK。かかっておいで」
「はっ!」
見た目以上に鋭い動き。
正確に美貴の左頬を狙った拳。
後ろに少し体をスウェーさせて避けたところに、
「ふんっ!」
今度は起そうとした上体を狙った右足。
だから後ろに下がると、その追撃と左の後ろ回し蹴り。
間髪入れない連続攻撃にまた後ろに下がって交わす。
「やっ!」
そしてもう一回右足がぶんっと目の前を唸って通り過ぎる。
見た目以上に鋭い動き。
正確に美貴の左頬を狙った拳。
後ろに少し体をスウェーさせて避けたところに、
「ふんっ!」
今度は起そうとした上体を狙った右足。
だから後ろに下がると、その追撃と左の後ろ回し蹴り。
間髪入れない連続攻撃にまた後ろに下がって交わす。
「やっ!」
そしてもう一回右足がぶんっと目の前を唸って通り過ぎる。
「美貴ちゃん! 後ろっ!」
「えっ!?」
「えっ!?」
ドン!
背中に硬くて冷たい感触。
壁!?
「あっ!?」
いつのまに追い詰められてたんだろ。やっべ。ミスった。
「やあっ!」
ぐっと溜めを作ってコンコンさんの拳が唸りをあげて迫る!
「ちっ」
壁!?
「あっ!?」
いつのまに追い詰められてたんだろ。やっべ。ミスった。
「やあっ!」
ぐっと溜めを作ってコンコンさんの拳が唸りをあげて迫る!
「ちっ」
ガツン!
とっさにしゃがんでよけた美貴の頭の上で拳が壁を痛打する。
「やるじゃん」
しゃがんで低い体勢から一歩踏み出すと、下から右の拳を突き上げた。
「はっ!?」
「やるじゃん」
しゃがんで低い体勢から一歩踏み出すと、下から右の拳を突き上げた。
「はっ!?」
ぶんっ!
拳が空を切って、とっさに勘付いたコンコンさんが大きく後ろに下がった。
「ふん。おもしろいじゃん」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
そしてしばらくにらみ合いが続く。
とろそうに見えるけど、意外に反応がいい。
そして頭を使ってくる。
ちょっと面倒そうだけど、まぁ、いいじゃん。おもしろくて。
そして頭を使ってくる。
ちょっと面倒そうだけど、まぁ、いいじゃん。おもしろくて。
くすっと笑った美貴にコンコンさんがむっと眉を上げて、きゅっと唇を尖らせた。
「余裕ですね」
「まぁね」
「…はっ!」
ダンッと床を踏み鳴らして飛び込むように振り上げた右足。
迎え撃つように右腕で払いのけると、回転を利用して裏拳を放つ。
「…っ!」
その手を上半身を軽く逸らして避けたコンコンさんの右が唸る。
「おっと」
流すように左肩を開いて避けると、すかさず後ろ襟を掴んで引き寄せて、思い切り叩き上げるように両足を払って背中から落とした。
「余裕ですね」
「まぁね」
「…はっ!」
ダンッと床を踏み鳴らして飛び込むように振り上げた右足。
迎え撃つように右腕で払いのけると、回転を利用して裏拳を放つ。
「…っ!」
その手を上半身を軽く逸らして避けたコンコンさんの右が唸る。
「おっと」
流すように左肩を開いて避けると、すかさず後ろ襟を掴んで引き寄せて、思い切り叩き上げるように両足を払って背中から落とした。
ドン!
「くぅっ…」
「「あさ美ちゃんっ!」」
背中から叩きつけられて床に転がるコンコンさん。
やっば…。
思った以上に強い。
とりあえず、とどめ…と思っていたところに…。
やっば…。
思った以上に強い。
とりあえず、とどめ…と思っていたところに…。
ガッ!
「うわっ!」
ヘッド・スプリングっぽく起き上がる反動を利用した蹴りが美貴の肩にヒット。
ブレザーに上履きの跡がうっすら。
ブレザーに上履きの跡がうっすら。
「油断大敵です」
涼しい表情でひゅっと右回し蹴り。
「うっさいなぁ」
一歩下がって避ける。
続けざま後ろ回し蹴りも軽く体をそらして交わした。
「でも、楽しいです」
なんだコイツ。
「はっ!」
コンコンさんの渾身の右の拳。
涼しい表情でひゅっと右回し蹴り。
「うっさいなぁ」
一歩下がって避ける。
続けざま後ろ回し蹴りも軽く体をそらして交わした。
「でも、楽しいです」
なんだコイツ。
「はっ!」
コンコンさんの渾身の右の拳。
ガツッ!
「きゃぁっ!」
のどの下辺りを目掛けて張り手をカウンターで一発。
吹っ飛んだコンコンさん。
吹っ飛んだコンコンさん。
「美貴も、楽しかったよ」
なみだ目でのどの辺りを押さえるコンコンににっこり。キュートなミキティスマイル。
「美貴ちゃん、お疲れ」
「うん」
なみだ目でのどの辺りを押さえるコンコンににっこり。キュートなミキティスマイル。
「美貴ちゃん、お疲れ」
「うん」
パンッ。
本日2度目のハイタッチ。
と、その時……。
ドドドドドドドドドドドドドドドトド!
戸の向こうからすっごい音。
っていうか、何? 足音?
「何?」
「ちょっと揺れてない?」
っていうか、何? 足音?
「何?」
「ちょっと揺れてない?」
ガラッ!
「こんこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!」
飛び込んできたのはなんか、ムダに元気よさそうなちょっとたれ目な感じのショートの女の子。
「「「マコト!?」」」
3人が目を丸くしていっせいに叫んで、マコトって呼ばれた子ががばっとコンコンに飛びついた。
「だっ! 大丈夫!? ケガッ! ケガッは!? 痛いトコない!?」
何? この慌てっぷり。
言われた本人はほけーっとしてるし。
がくがくと肩を揺さぶって。
それじゃさぁ…。
「あぁ…もぉ! まこっちゃん! そんなしちゃったらあさ美ちゃんしゃべれないって」
だよね。
せっかちさんの的確なツッコミ。
「だあってぇさぁっ! あいつらにいじめられたんだよねっ!?」
美貴と梨華ちゃん指差すまこっちゃん。
で、梨華ちゃんと顔を見合って、
「いじめた?」
「どっちかっていうと向こうからだよね」
こんこんが「あの…」って言いかけてるけど聞こえてないし。
3人が目を丸くしていっせいに叫んで、マコトって呼ばれた子ががばっとコンコンに飛びついた。
「だっ! 大丈夫!? ケガッ! ケガッは!? 痛いトコない!?」
何? この慌てっぷり。
言われた本人はほけーっとしてるし。
がくがくと肩を揺さぶって。
それじゃさぁ…。
「あぁ…もぉ! まこっちゃん! そんなしちゃったらあさ美ちゃんしゃべれないって」
だよね。
せっかちさんの的確なツッコミ。
「だあってぇさぁっ! あいつらにいじめられたんだよねっ!?」
美貴と梨華ちゃん指差すまこっちゃん。
で、梨華ちゃんと顔を見合って、
「いじめた?」
「どっちかっていうと向こうからだよね」
こんこんが「あの…」って言いかけてるけど聞こえてないし。
ダンッと立ち上がると、
「コンコンをいじめるなぁ!」
まこっちゃんがかばっと拳を振り上げて向かってきた。
「コンコンをいじめるなぁ!」
まこっちゃんがかばっと拳を振り上げて向かってきた。
っていうか…愛ちゃんは?
自分を指差してちょっとせつなそうな愛ちゃんをよしよしと撫でてあげるせっかちさん。
梨華ちゃんとちらっと目線を交わして、
「うりゃぁぁぁぁっ!」
「うりゃぁぁぁぁっ!」
ぶんっ!
「あれっ!?」
拳をあっさりと避けると、勢いあまってつんのめって、お約束のように転がったまこっちゃん。
「あたたた…」
頭を押さえて起き上がるまこっちゃん。
ぽかーん。
みんなそんな感じ。
「っく…うはっ…うははははっ…」
ごめん。笑い止まんない。
梨華ちゃんとどうしよう…と思ってたら、また誰かが入ってきた。
頭を押さえて起き上がるまこっちゃん。
ぽかーん。
みんなそんな感じ。
「っく…うはっ…うははははっ…」
ごめん。笑い止まんない。
梨華ちゃんとどうしよう…と思ってたら、また誰かが入ってきた。
「ダメだったようね」
あー。聞き覚えのあるその声。
梨華ちゃんとやれやれと顔を見合わせる。
声の主の周りにはお約束のように子分どもがぞろぞろと。ざっと7人くらい。
愛ちゃんは申し訳なさそうな顔をして、せっかちさんが一瞬『えっ!?』っていう顔をした。冷静なこんこんに、わけがわかんなくって口を開けてきょろきょろしてるまこっちゃん。
梨華ちゃんは胸ポケットから手紙を出すと、その声の主…女王様リトル(高等部の女王様の妹だから)に見せた。
「これ、あなた?」
「そーよ」
悪びれる様子もなく即答。
ふーんと梨華ちゃんと顔を見合って笑った。
「なるほどね」
梨華ちゃんはぐしゃっと“ラブレター”を握りつぶすと、とりあえずポケットにしまった。
「愛ちゃんを騙して、あたしたちに仕向けたってことでいいのかな?」
にっこりと微笑む梨華ちゃん。
「えっ!?」
愛ちゃんがまだ痛む肩を抑えながら更に目を丸くして身を乗り出す。
梨華ちゃんは愛ちゃんにはやさしく微笑みかけると、続けた。
「だって、あたしと美貴ちゃん、なぎなた部とは高等部とも中等部とも戦ったことないもん。ね。美貴ちゃん」
「うん。それに、愛ちゃんはさっきの手紙に見覚えないって言ってたしね」
「ぬぅ……」
強く唇を噛んで、さっきよりも悔しそうな愛ちゃん。
せっかちさんがやっぱりっていう顔をすると愛ちゃんの背中を撫でて慰める。
あー。聞き覚えのあるその声。
梨華ちゃんとやれやれと顔を見合わせる。
声の主の周りにはお約束のように子分どもがぞろぞろと。ざっと7人くらい。
愛ちゃんは申し訳なさそうな顔をして、せっかちさんが一瞬『えっ!?』っていう顔をした。冷静なこんこんに、わけがわかんなくって口を開けてきょろきょろしてるまこっちゃん。
梨華ちゃんは胸ポケットから手紙を出すと、その声の主…女王様リトル(高等部の女王様の妹だから)に見せた。
「これ、あなた?」
「そーよ」
悪びれる様子もなく即答。
ふーんと梨華ちゃんと顔を見合って笑った。
「なるほどね」
梨華ちゃんはぐしゃっと“ラブレター”を握りつぶすと、とりあえずポケットにしまった。
「愛ちゃんを騙して、あたしたちに仕向けたってことでいいのかな?」
にっこりと微笑む梨華ちゃん。
「えっ!?」
愛ちゃんがまだ痛む肩を抑えながら更に目を丸くして身を乗り出す。
梨華ちゃんは愛ちゃんにはやさしく微笑みかけると、続けた。
「だって、あたしと美貴ちゃん、なぎなた部とは高等部とも中等部とも戦ったことないもん。ね。美貴ちゃん」
「うん。それに、愛ちゃんはさっきの手紙に見覚えないって言ってたしね」
「ぬぅ……」
強く唇を噛んで、さっきよりも悔しそうな愛ちゃん。
せっかちさんがやっぱりっていう顔をすると愛ちゃんの背中を撫でて慰める。
「で、今度はそっちが相手なの?」
「悪いけど、今日は手加減しないよ?」
「悪いけど、今日は手加減しないよ?」
あんたのねーちゃんもそこまではしなかった。
まぁ、ガキの考えることだからいちいち怒るつもりはないけど、こういうのさぁ、美貴も梨華ちゃんも大っ嫌いなんだよねぇ。
まぁ、ガキの考えることだからいちいち怒るつもりはないけど、こういうのさぁ、美貴も梨華ちゃんも大っ嫌いなんだよねぇ。
「ふんっ」
女王様リトルの前にぞろぞろと並ぶ子分たち。
「いっ…いしかー先輩、フジモト先輩っ、あたしもっ!」
「私も大丈夫ですっ!」
「はいはいはーいっ!」
一緒に戦おうとする愛ちゃん、こんこん、まこっちゃんの申し出を笑顔で断る。
「大丈夫。こんなの運動にもならないから」
って、とびきりのチャーミースマイルの梨華ちゃん。
「そうそう。ちょちょいのちょいだから。まぁ、休んでなって」
と、美貴もプリティミキティなスマイル。
「じゃぁ、行っちゃう? 梨華ちゃん」
「そうだね。ガツンとやっちゃう?」
女王様リトルの前にぞろぞろと並ぶ子分たち。
「いっ…いしかー先輩、フジモト先輩っ、あたしもっ!」
「私も大丈夫ですっ!」
「はいはいはーいっ!」
一緒に戦おうとする愛ちゃん、こんこん、まこっちゃんの申し出を笑顔で断る。
「大丈夫。こんなの運動にもならないから」
って、とびきりのチャーミースマイルの梨華ちゃん。
「そうそう。ちょちょいのちょいだから。まぁ、休んでなって」
と、美貴もプリティミキティなスマイル。
「じゃぁ、行っちゃう? 梨華ちゃん」
「そうだね。ガツンとやっちゃう?」
「ちょおーっと待ったぁ!」
後ろからせっかちさんの声。
「「「ガキさんっ!?」」」
「石川先輩、藤本先輩、ちょっと待ってください!」
そう言って、タッタッタっと美貴と梨華ちゃんの前に立ったガキさん。
「何よ。アンタ」
女王様リトルが怪訝そーな顔する。
まぁまぁまぁ…と笑って、ガキさんは何やらポケットを探ってる。
「えぇ…っと…。あれ、どこだ? ここか? あれ? あれ?」
あっちこっち叩きながら、一人慌てるガキさん。
「大丈夫?」
梨華ちゃんが心配そうにたずねると、
「だいじょーぶでーす」
と、返ってきて、
「あ、あった! じゃん!」
聖書サイズくらいのシステム手帳を取り出すと、女王様リトル前に1枚の写真を突き出した。
そう言って、タッタッタっと美貴と梨華ちゃんの前に立ったガキさん。
「何よ。アンタ」
女王様リトルが怪訝そーな顔する。
まぁまぁまぁ…と笑って、ガキさんは何やらポケットを探ってる。
「えぇ…っと…。あれ、どこだ? ここか? あれ? あれ?」
あっちこっち叩きながら、一人慌てるガキさん。
「大丈夫?」
梨華ちゃんが心配そうにたずねると、
「だいじょーぶでーす」
と、返ってきて、
「あ、あった! じゃん!」
聖書サイズくらいのシステム手帳を取り出すと、女王様リトル前に1枚の写真を突き出した。
「あっ!?」
写真は美貴たちからは見えなかったけど、女王様リトルの表情がたちまち真っ青に凍りつく。
ざわめく子分たち。
「な…なんでこれ…」
「ほーほーほー。思い当たることがあるんだぁ」
「うっぐっ…」
ばつが悪そうに口を噤んだ女王様リトル。
ガキさんはにっこりと笑った。
「もし、次にこーゆーことをしたら、いい? これ、この学校の人みんなが知っちゃうよ」
「えっ!?」
「うん。中等部だけじゃなく、高等部の人も、もちろん先生も、ね」
「そっ…そんなことッ!」
「できるんだなぁ。これが。まぁ、1年生じゃ、わかんないか」
ぐぅと歯軋りする女王様リトル。
子分どもが写真を奪おうとするのを美貴と梨華ちゃんで牽制すると、女王様リトルはふんっと一言、格技場を立ち去った。
ざわめく子分たち。
「な…なんでこれ…」
「ほーほーほー。思い当たることがあるんだぁ」
「うっぐっ…」
ばつが悪そうに口を噤んだ女王様リトル。
ガキさんはにっこりと笑った。
「もし、次にこーゆーことをしたら、いい? これ、この学校の人みんなが知っちゃうよ」
「えっ!?」
「うん。中等部だけじゃなく、高等部の人も、もちろん先生も、ね」
「そっ…そんなことッ!」
「できるんだなぁ。これが。まぁ、1年生じゃ、わかんないか」
ぐぅと歯軋りする女王様リトル。
子分どもが写真を奪おうとするのを美貴と梨華ちゃんで牽制すると、女王様リトルはふんっと一言、格技場を立ち去った。
とりあえず、終わったらしいね。
梨華ちゃんとうなすぎあうと、写真をしまったガキさんがぺこりと頭を下げた。
「すいませんでした」
「なんで? 助かったよ」
「うん。美貴もさぁ、またかぁって思ってたし。ありがとね」
そしたら、きらきらした笑顔で、
「はいっ!」
って。
なんかかわいいね。
ちょっと照れてるし。
「本当はこういうことしたくないんですけどね。でも、頭くるじゃないですか」
そうだそうだそうだまったく。そのとーりっ。
梨華ちゃんはうんうんとうなずくと、
「でも、そうしてくれなかったら、あたしと美貴ちゃん、本気出してやっちゃうところだったから、ね、よかったよ」
「うん。こっちもやばくなりそうだったし」
病院送りとかにしちゃったらマジ停学じゃすまないだろうし。
そんな美貴と梨華ちゃんになんか引きつった笑顔の4人。
ガキさんはあっと思い出したように手を叩くと、
「あっ! えっと3年の新垣里沙です」
と手を差し出すから、がっちりと美貴と梨華ちゃんで握手。
「新聞部の中等部部長やってます」
なるほどね…と梨華ちゃん。
だから…か。
梨華ちゃんとうなすぎあうと、写真をしまったガキさんがぺこりと頭を下げた。
「すいませんでした」
「なんで? 助かったよ」
「うん。美貴もさぁ、またかぁって思ってたし。ありがとね」
そしたら、きらきらした笑顔で、
「はいっ!」
って。
なんかかわいいね。
ちょっと照れてるし。
「本当はこういうことしたくないんですけどね。でも、頭くるじゃないですか」
そうだそうだそうだまったく。そのとーりっ。
梨華ちゃんはうんうんとうなずくと、
「でも、そうしてくれなかったら、あたしと美貴ちゃん、本気出してやっちゃうところだったから、ね、よかったよ」
「うん。こっちもやばくなりそうだったし」
病院送りとかにしちゃったらマジ停学じゃすまないだろうし。
そんな美貴と梨華ちゃんになんか引きつった笑顔の4人。
ガキさんはあっと思い出したように手を叩くと、
「あっ! えっと3年の新垣里沙です」
と手を差し出すから、がっちりと美貴と梨華ちゃんで握手。
「新聞部の中等部部長やってます」
なるほどね…と梨華ちゃん。
だから…か。
朝比奈学園新聞部。
学園内のありとあらゆる事件やスキャンダルを日夜追い続ける新聞部。
当然、学園内のありとあらゆる情報やうわさに精通してるわけで…。
学園内のありとあらゆる事件やスキャンダルを日夜追い続ける新聞部。
当然、学園内のありとあらゆる情報やうわさに精通してるわけで…。
しっかし、この学園は放送研究部といい…なんか…ちょっとこわっ。
そんな美貴の考えがわかったのか梨華ちゃんもちょっと困った顔でくすくす笑ってた。
そんな美貴の考えがわかったのか梨華ちゃんもちょっと困った顔でくすくす笑ってた。
そして、その隣にいたこんこんがふわっと笑った。
「同じく3年の紺野あさ美です。先輩、今日はありがとうございました」
なんか一人だけ時間の流れが違う子だよね。
戦ってる時とはぜんぜん違う…。
「一戦交えさせていただいて、たいへん勉強になりました」
「あぁ…はい。こちらこそ」
笑顔でそんな言われても…。
また梨華ちゃんと苦笑い。
うふふと笑ってるこんこんの手を繋いで、なんかうれしそうにシッポ振ってる大型犬のようにはしゃいでるまこっちゃん。
「同じ3年の小川麻琴でっす。なんかよくわかんないけどありがとうございましたっ」
「ふふっ。よーくわかったよね。ね、美貴ちゃん」
「うん。ね、梨華ちゃん」
こんこん大好きってことがね。
当の本人は「なになになに?」って。
おもしろいこだねー。
「同じく3年の紺野あさ美です。先輩、今日はありがとうございました」
なんか一人だけ時間の流れが違う子だよね。
戦ってる時とはぜんぜん違う…。
「一戦交えさせていただいて、たいへん勉強になりました」
「あぁ…はい。こちらこそ」
笑顔でそんな言われても…。
また梨華ちゃんと苦笑い。
うふふと笑ってるこんこんの手を繋いで、なんかうれしそうにシッポ振ってる大型犬のようにはしゃいでるまこっちゃん。
「同じ3年の小川麻琴でっす。なんかよくわかんないけどありがとうございましたっ」
「ふふっ。よーくわかったよね。ね、美貴ちゃん」
「うん。ね、梨華ちゃん」
こんこん大好きってことがね。
当の本人は「なになになに?」って。
おもしろいこだねー。
そして、ガキさんの横でしゅんとしている愛ちゃん。
こんこんとまこっちゃんのやさしい視線に促され、とんってガキさんに背中を押された。
「3年高橋愛です。あの…すいませんでしたっ!」
なんかちょっと訛ったイントネーションでぶんっとすごい勢いで頭を下げる愛ちゃん。
「いいよ。気にしてないから。それより腕、大丈夫? ごめんね?」
「あっ! あ、だいじょーぶですっ! って!」
勢いよく右腕を上げようとして、また痛そう肩を抑える愛ちゃん。
「あぁ! ごめんね? 強いから、ちょっと本気になっちゃったよ」
「えへっ。へーきです。そんなことより、あたし先輩の腕…」
「ふふっ。ちょっと赤くなってるけど、大丈夫だよ」
まだ春先だけど小麦色な梨華ちゃんの腕に少し赤く残ってる歯形。
「でも愛ちゃんはちゃんと保健室寄って、湿布貼ってもらってね」
「はーい」
くしゃっと笑った愛ちゃん。
「楽しかったよ」
梨華ちゃんが手を差し出して、しっかりと握手。
こんこんとまこっちゃんのやさしい視線に促され、とんってガキさんに背中を押された。
「3年高橋愛です。あの…すいませんでしたっ!」
なんかちょっと訛ったイントネーションでぶんっとすごい勢いで頭を下げる愛ちゃん。
「いいよ。気にしてないから。それより腕、大丈夫? ごめんね?」
「あっ! あ、だいじょーぶですっ! って!」
勢いよく右腕を上げようとして、また痛そう肩を抑える愛ちゃん。
「あぁ! ごめんね? 強いから、ちょっと本気になっちゃったよ」
「えへっ。へーきです。そんなことより、あたし先輩の腕…」
「ふふっ。ちょっと赤くなってるけど、大丈夫だよ」
まだ春先だけど小麦色な梨華ちゃんの腕に少し赤く残ってる歯形。
「でも愛ちゃんはちゃんと保健室寄って、湿布貼ってもらってね」
「はーい」
くしゃっと笑った愛ちゃん。
「楽しかったよ」
梨華ちゃんが手を差し出して、しっかりと握手。
外を見たらなんかすっかり夕焼け色。
4人は手を繋いで保健室へ。
そのの後姿を見送って、
「梨華ちゃん。これからどうする?」
「んー。なんかさ、運動したからおなか空かない?」
「空いてる」
「ちょっと時間ずれちゃったけどお茶して帰ろうよ」
「うん。やっぱなんかさぁ、甘いもの食べたいしね。限定ケーキは残念だけど」
「ねぇ。今度午前授業の時に行こう」
「じゃあ…どこのお店行こっか」
なんて話しながら手を繋いで、二人を待ってる甘いあまーいコイビトの元へ。なんてね。
「梨華ちゃん。これからどうする?」
「んー。なんかさ、運動したからおなか空かない?」
「空いてる」
「ちょっと時間ずれちゃったけどお茶して帰ろうよ」
「うん。やっぱなんかさぁ、甘いもの食べたいしね。限定ケーキは残念だけど」
「ねぇ。今度午前授業の時に行こう」
「じゃあ…どこのお店行こっか」
なんて話しながら手を繋いで、二人を待ってる甘いあまーいコイビトの元へ。なんてね。
かぁってカラスが遠くで鳴いてて、
「「ん?」」
またなんか気配感じたけど、とりあえず、ケーキの元へとレッツゴー!
「「ん?」」
またなんか気配感じたけど、とりあえず、ケーキの元へとレッツゴー!
校舎を出たら、真っ赤な夕日がきれいだった。
*
ざわざわと教室の生徒達がどよめている。
まぁ、それもそのはずで、中等部の1年の教室の前にいるわけだし。美貴と梨華ちゃん。
んーでも、なんか…ちょっと妙な視線ではあるけど…。
まぁ、それもそのはずで、中等部の1年の教室の前にいるわけだし。美貴と梨華ちゃん。
んーでも、なんか…ちょっと妙な視線ではあるけど…。
「れいな」
教室の外から声をかけたら、
「いしかー先輩! フジモト先輩!」
いつもの3人組パタパタと走ってくる。
教室の外から声をかけたら、
「いしかー先輩! フジモト先輩!」
いつもの3人組パタパタと走ってくる。
あの日。
あのときに感じた気配の正体はほどなくしてわかったわけで…。
あのときに感じた気配の正体はほどなくしてわかったわけで…。
「なんですか?」
おーおー。なんかすっごいうれしそうだな。れいな。
梨華ちゃんはポケットから手帳を出すと、2枚の写真を見せた。
「これ何?」
「あっ!」
れいなが声を上げて、さゆみとエリがはっと顔を見あった。
おーおー。なんかすっごいうれしそうだな。れいな。
梨華ちゃんはポケットから手帳を出すと、2枚の写真を見せた。
「これ何?」
「あっ!」
れいなが声を上げて、さゆみとエリがはっと顔を見あった。
写真。
1枚は豪快にかかと落しをキメた梨華ちゃん。もう1枚は美貴ラリアットを炸裂させた美貴。
なんかすっごくよく撮れてて、うん。ちょっと…いやいやかーなりカッコイイ。
1枚は豪快にかかと落しをキメた梨華ちゃん。もう1枚は美貴ラリアットを炸裂させた美貴。
なんかすっごくよく撮れてて、うん。ちょっと…いやいやかーなりカッコイイ。
「え…ぁの、石川先輩これ…どうしたんですか?」
さゆが写真を指差す。
「これ。うん。ちょっとね。ある筋から。ね。美貴ちゃん」
「うん」
さゆが写真を指差す。
「これ。うん。ちょっとね。ある筋から。ね。美貴ちゃん」
「うん」
そもそもは、あの後、じゃあって格技場を出ようとしたら、パンッて手を叩いたガキさん。
『先輩! あのっ、サインくださいっ!』
って差し出したのがその写真。
もっとも美貴も梨華ちゃんもそんなことぜんぜん知らなくって、
『何これ』
『え? 知らないんですか? これは…あっ!』
言ってからたぶん、言っちゃいけないことだと気づいたガキさんなんだけど、もう遅い。
『んー。なにかなぁ。ガキさん』
『教えて。ね? じゃないと。うふっ』
二人で両わきを囲んでがっちりと肩を抱く。
あーあーって。まこっちゃん、愛ちゃん、こんこん。
『先輩! あのっ、サインくださいっ!』
って差し出したのがその写真。
もっとも美貴も梨華ちゃんもそんなことぜんぜん知らなくって、
『何これ』
『え? 知らないんですか? これは…あっ!』
言ってからたぶん、言っちゃいけないことだと気づいたガキさんなんだけど、もう遅い。
『んー。なにかなぁ。ガキさん』
『教えて。ね? じゃないと。うふっ』
二人で両わきを囲んでがっちりと肩を抱く。
あーあーって。まこっちゃん、愛ちゃん、こんこん。
それから出てくる出てくる。
全部で20枚。
『帰ればまだ200枚くらいあります』
全部で20枚。
『帰ればまだ200枚くらいあります』
まぁ、もちろん写真にサイン…みたいなものはしてあげたけどね。
朝比奈学園放送研究部内、“Fighting Girs Fanclub”
ちなみにガキさんの会員番号は4で、名誉会長がよっちゃんさんで名誉顧問がヤグチ先輩らしい。
基本的な仕事は、写真や会員管理とかDVD販売とかって、 まぁ放送部…っていうかよっちゃんさんとヤグチ先輩の手伝いらしいんだけどね。
ちなみにガキさんの会員番号は4で、名誉会長がよっちゃんさんで名誉顧問がヤグチ先輩らしい。
基本的な仕事は、写真や会員管理とかDVD販売とかって、 まぁ放送部…っていうかよっちゃんさんとヤグチ先輩の手伝いらしいんだけどね。
で、このファンクラブの会長って言うのが…。
「れいななんだってね」
「ええっと…その…はぃ…」
あっさり認めるれいな。
「だって、いしかー先輩、フジモト先輩…かっこいいっちゃもん」
なんか怒ってるっていうか、しめに来たみたいだなぁ。
梨華ちゃんはぽんとれいなの頭に手を乗っけると、よしよしと撫でた。
「別に怒ってるんじゃないんだよ。どーせあの二人のことだし。ね」
「れいななんだってね」
「ええっと…その…はぃ…」
あっさり認めるれいな。
「だって、いしかー先輩、フジモト先輩…かっこいいっちゃもん」
なんか怒ってるっていうか、しめに来たみたいだなぁ。
梨華ちゃんはぽんとれいなの頭に手を乗っけると、よしよしと撫でた。
「別に怒ってるんじゃないんだよ。どーせあの二人のことだし。ね」
まぁ、ガキさんが写真をあれだけで持ってるってことは、もう今更止めたって無駄なわけでしょ。
1枚150円。
下には『Fighting Girs Fanclub』だって。こってるねぇ
やっぱりこれも放送部の貴重な活動資源らしい。
「喧嘩の時限定で、プライベートは撮ってません!」
それが会長としてのプライドと仕事です!
って、ドンと胸を叩いたレイナ。
1枚150円。
下には『Fighting Girs Fanclub』だって。こってるねぇ
やっぱりこれも放送部の貴重な活動資源らしい。
「喧嘩の時限定で、プライベートは撮ってません!」
それが会長としてのプライドと仕事です!
って、ドンと胸を叩いたレイナ。
「うん。怒ってはいないんだけどさ、そんなこそこそしなくっていいから」
ね、って梨華ちゃんと微笑みあう。
「だからさ、どーせこういうことするんなら、かわいいのも撮ってほしいなぁ」
「うん。それにね。この間もいたわけでしょ? 入る前とか出るときになんか…ねぇ」
美貴がうなずいて返すと、
「あの…気づいてたんですか?」
「うっそぉ…」
「ホントですかぁ…」
って、レイナ、さゆ、エリ。
コクリとうなずいて返す。
よしよしって、もう一回梨華ちゃんと一緒に3人をいいこいいこしてあげると、
「だからさ、そういうときは、ちゃんと言ってよね。後でよっちゃんさんとヤグチ先輩にも話しつけとくから」
なんかいろいろと交換条件吹っかけてきそうだけどね。
「うん。それに、ヘンに巻き込まれたら危ないからね」
って梨華ちゃん。
そしたら「「「はいっ」」」て素直なお返事。
ね、って梨華ちゃんと微笑みあう。
「だからさ、どーせこういうことするんなら、かわいいのも撮ってほしいなぁ」
「うん。それにね。この間もいたわけでしょ? 入る前とか出るときになんか…ねぇ」
美貴がうなずいて返すと、
「あの…気づいてたんですか?」
「うっそぉ…」
「ホントですかぁ…」
って、レイナ、さゆ、エリ。
コクリとうなずいて返す。
よしよしって、もう一回梨華ちゃんと一緒に3人をいいこいいこしてあげると、
「だからさ、そういうときは、ちゃんと言ってよね。後でよっちゃんさんとヤグチ先輩にも話しつけとくから」
なんかいろいろと交換条件吹っかけてきそうだけどね。
「うん。それに、ヘンに巻き込まれたら危ないからね」
って梨華ちゃん。
そしたら「「「はいっ」」」て素直なお返事。
高等部の校舎に戻る道すがら、
「なんかさぁ、ただケンカしてるだけなのにね」
って梨華ちゃん。
「まぁねぇ。しっかしファンクラブかぁ…」
なんかさぁ…どんどん知らないところでおっきくなってるよ。
「不思議」
「うん」
繋いでる手にきゅって力が入って、なんかなぁ…。
立ち止まったら、不思議そうな梨華ちゃん。
周りに人がいないことを確認してキスした。
そしたら、ぽかって梨華ちゃんのかわいらしいグー。
「美貴ちゃん…」
真っ赤な顔ですっと後ろの曲がり角を指差すから、振り向いたら…。
「あっ!」
レイナ、さゆ、エリが真っ赤になってた。
レイナの手にはなんか高そうな1眼レフカメラ。
むっと睨みつけたら、
「とっ…撮ってないっちゃ!」
ってばたばたと走っていった。
「なんかさぁ、ただケンカしてるだけなのにね」
って梨華ちゃん。
「まぁねぇ。しっかしファンクラブかぁ…」
なんかさぁ…どんどん知らないところでおっきくなってるよ。
「不思議」
「うん」
繋いでる手にきゅって力が入って、なんかなぁ…。
立ち止まったら、不思議そうな梨華ちゃん。
周りに人がいないことを確認してキスした。
そしたら、ぽかって梨華ちゃんのかわいらしいグー。
「美貴ちゃん…」
真っ赤な顔ですっと後ろの曲がり角を指差すから、振り向いたら…。
「あっ!」
レイナ、さゆ、エリが真っ赤になってた。
レイナの手にはなんか高そうな1眼レフカメラ。
むっと睨みつけたら、
「とっ…撮ってないっちゃ!」
ってばたばたと走っていった。
やれやれって笑って、
「困ったもんだね」
「ホント」
そしてまた歩き出す。
「困ったもんだね」
「ホント」
そしてまた歩き出す。
今日も放課後はデート。
ついてきたら、おしおきだかんね。
ついてきたら、おしおきだかんね。
(2005/6/10)