不思議な人 - たぶん素敵妄想集（爆@ ウィキ

「ねぇねぇ」
　後ろから肩を叩かれて、振り向いたらよっちゃんがなんか微妙な顔してる。
「ん？　どうしたの？」
「…どうもしないよ」
「えー。どうもしなかったら、何で？」
「なんでだろ」
　明後日の方に目なんか逸らして、今日のよっちゃん、やっぱりなんかおかしい。

「へん」

　さて？　どうでる？

「梨華ちゃんこそ」

　ふーん。
　相変わらず素直じゃないね。
　まっ。そこがかわいいんだけどね。

「なんだよぉ。あんまりじっとみんなよぉ」
「何で？　あーあー。真っ赤だよ」
「うっさいなぁ」
「ふふっ。恥ずかしがっちゃってぇ。かっわいいっ」
「んだよぉ。きしょいってば」

　こんなやりとりもなんか久しぶりかも。
　よっちゃん、いつも一人だったりすることが多いから。

「ね。ひとみちゃん」

　ちょっと背伸びして…。

「…！」

　やっぱり女の子だよね。
　重ねた唇はやわらかくって、甘かった。

「ふふっ。だーいすき」
　きゅうって抱きついたら、おずおずと背中に回された手。
「…すき…だから」
「うん。…知ってる」

　不思議な人。
　大胆かと思ったら、ホントはすっごく繊細で。

「ねえ。もっと甘えて？」
　そしたら、
「…ん」
　小さくうなずいた。

　ちゃーんと、気づいてるよ。
　アナタがいつもやさしい目であたしを見てくれているのを。
　だから、もっともっとあたしにも甘えてほしいな。

　そんな願いを込めて見上げたら、降ってきたのはやさしいキス。
　はにかむアナタ。

（2004/5/27）