光り輝け勇気の力 - (2008/06/17 (火) 10:42:31) の1つ前との変更点
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**光り輝け勇気の力 ◆c92qFeyVpE
「くっ、重いな……!」
「平気か?」
「ああ、その手で運ぶよりは現実的だ」
気絶したままの凱を、チンクが苦労しながらもサイクロン号へと運んでいく。
……体格差のせいで運ぶというより引きずっている形になっているが、それを指摘しても彼女の機嫌を損ねるだけであろう。
「カザミ、支給品はどうだった?」
「ああ、剣とナイフのようだ……」
「……カザミ?」
PDAを確認しながら応える風見の様子に違和感を持ち、再度呼びかけるがPDAに視線を向けたまま応えない。
風見は電磁ナイフ――ZXの物であるそれを見ながら思考を巡らせる。
ZXは自分と違い、多彩な武器による変幻自在な戦法を得意とする。
もしもその武器の大半が奪われたとしたら、彼の戦闘力は半減すると言っても大袈裟ではないだろう。
無論それだけで負けるほどの男ではない、純粋な格闘戦でも自分たちに負けないほどの力を持っていることもわかっているが、それでも万が一の事を考えてしまう。
「おい、カザミ!?」
「っ! すまない……修理工場へ急ぐとしよう」
「……大丈夫か?」
初めてチンクから素直に気遣うような言葉をかけられ、大丈夫だと力強く頷く。
ここで心配していても村雨と合流できるわけではない、一刻も早く体を癒し、この殺戮を止めることが先決だ。
なんとか凱をサイクロンに乗せ、風見が落ちないようにそれを抑える形を取る。
「気をつけろ、バランスが取りづらいぞ」
「わかっている。その男を落とすなよ」
近づいてくるバイクの音に、メガトロンは視線を向け――慌てて考えていた相手を騙すプランを放棄する。
メインの方針はチンクやアラレへの扇動だ、その本人が相手では計画そのものを変える必要がある。
無論本人と対峙した場合の事も考えてはいたが、それは一対一の場面、複数人の名前さえ知らない仲間と一緒の場合などいくら彼でも考えきれない。
――だがしかし、不測の事態こそビースト戦士の真骨頂!
まずは自分の上に乗せている人形を転送する。正体を偽りながらのアドリブは危険が大きい。
転送が終わった直後、チンク達はメガトロンを補足する。
「あれは……恐竜というやつか?」
「シグマの話ならあいつもロボット……怪人の一種かもしれない」
何度も死闘を演じたデストロン怪人たちを思い出しながら、慎重に近づいていく。
「一つ聞きたい、ノーヴェという、恐らく私と同じ服装の赤髪の女か、青い髪のスバルという女、同じく長髪のギンガという女、後仮面ライダーという変身する男たちを知らないか」
待て、後半は大雑把すぎやしないか。
風見が突っ込むより先にメガトロンは口を開く。
「女の方は知らないが、ライダーならば会ったぞ」
「本当か!?」
「仮面……かどうかは知らんがな、メカ沢という随分と好戦的な男だった。黄色いロボットを従えて襲い掛かってきたぞ」
目的の人物とは違うことに風見は軽く肩を落とす、チンクに至っては「女の方は知らない」の時点で「ハズレか」などと小さく呟いていた。
「お前たち、この壊し合いには乗っていないのか?」
「ああ、そう聞いてくる、ということはお前も乗っていないんだな」
「無論だ、俺様があんな奴の思い通りに動いてやる義理はない」
「そのメカ沢という奴はどうした? 破壊したのか」
「壊し合いには乗っていないと言っただろう、何とか撒いてやった」
風見とメガトロンが話している最中、チンクは何とも言えぬ不快感をメガトロンに感じていた。
壊し合いに乗っているかいないかは別として、こちらの腹を一方的に探られているような感覚はどこかで――ああ、クァットロと話してる時と同じ感じがするのか。
風見も相手の本心を探ろうとしているようだが、話術では向こうに分があるようだ、一向にペースが掴めない。
一方、メガトロンの方もこの二人に苦戦を強いられていた。
この男は思った以上に用心深く頭も切れる、迂闊な発言をしようものなら一気に畳み掛けられてしまうだろう。
最初の問いかけ以降喋っていないチンクの方も、明らかに疑っている表情でこちらから目線を放そうとしない。
今までの単純そうな連中とは違う、下手な扇動を仕掛けるのは逆効果になりかねない。
かといって無理に会話を切り上げるのも、また不自然になってしまう。
ならば――取る手段は一つ。
「今さらなんだがな、このまま道端で話しているのは危険じゃないか?」
「……確かにな」
「すぐ近くに修理工場がある、お前のその手も直せるかもしれんぞ」
言われるまでもない、元々目指していた場所はそこなのだ。
だが――やはり気にかかる。罠でも仕掛けられているのではないかと勘ぐってしまう。
「どうする、カザミ」
「はっきり言って信用できん、だが、修理工場に行きたいのは確かだ」
風見の手だけではない、今だ気絶したままの凱の様子も気がかりだった。
見ただけではわからなくとも、もし患者をスキャンする機器等があればそれを使って無事かどうかを確かめられるかもしれないうえ、
体内に仕掛けられているという爆弾についても調べられる可能性はある。
「……わかった、とりあえずは着いていくとしよう」
警戒は解かないまま、それでもメガトロンの後についてサイクロン号を押しながらついていく。
罠にだけは注意を払い、工場へと入って辺りを見渡す。
「広いな……」
「工具が並んでいるだけ、なんて状況も想定していたが……」
二階は後回しにして、いくつもある部屋の内の一つを適当に選んで入る。サイクロンはチンクのPDAに転送しておいた。
最初に入ったその部屋にはいくつかの大きなポッドがあるだけで、他の物は何も置かれていなかった。
「このポッドで、何かを直せるのか?」
「その通りだ、これは俺様の宇宙船にあった回復ポッドと同じもののようだからな」
実際はメガトロンと敵対していた宇宙船の物なのだが、伏せておく。
「中に入ってちょちょいっと操作してやるだけで破損箇所が修理されるはずだ」
「……俺にも効果があるのか?」
「……むぅ」
そう尋ねられてもメガトロンは唸るしかない。
元よりサイバトロンの作ったシステムだ、デストロンである彼には仕組みさえ解っていない。
何とも言えない空気を打ち破ったのは、何か使えそうな金属はないかと探索していたチンクだった。
「……問題無いようだ、ご丁寧にこんなものがあった」
呆れたようにチンクが差し出したのは一枚のメモ用紙。
ポッドの操作方法が書かれた横に、
『どんな者でも治癒効果がるように設定し直している。傷つくことなど恐れず破壊しつくすがいい』
などと書かれていた。
「妙だな……」
「まったくだ」
「同感だな」
その場の全員がそのメモを疑惑の眼差しで見つめる。
これだけを見るなら、壊し合いに乗っている者が傷ついてしまうことを防止しているようにも取れる。
だが、はっきり言ってそれはナンセンスだろう、使用法を見る限り、ポッドに入っている間は軽い睡眠状態になり無防備だ、
仲間がいるならともかく、その方針から単独行動になるであろう壊し合いに乗った者がこんなポッドを使うはずがない。
「逆に破壊されたりしかねんな」
「流石にそれはないだろうが……どうするカザミ、この男で試してみるという手もあるが」
部屋の隅に寝かせたままの凱を見ながら言うチンクに、風見は首を振りながらポッドを操作していく。
「外傷がないんだ、放っておいても目覚めるかも知れないんじゃ効果は確かめられない」
「だが……無防備になるぞ」
「ああ、その間はチンク、任せるぞ」
「……甘いな、私が裏切る可能性は考えないのか」
少し呆れたように見るチンクに対し、風見は僅かに笑みを浮かべながら言葉を返す。
「裏切る奴は、そんなことは言わないさ……信用している」
「――っ」
思わず言葉を失っている間に、風見はさっさとポッドに入ってしまう。
妙な苛立ちを覚え、八つ当たり気味に操作パネルを強く叩きつけてポッドを起動させた。
「あ~、俺様はちょっと他の部屋を見て回ってくる。ごゆっくり~」
「ま、待て! なんだその最後の言葉の意味は!」
チンクの言葉を聞き流しながらメガトロンは部屋を出る。
扉が閉まり、何だかんだでチンクが追ってこないのを確認し……
「メガトロン、変身!」
恐竜の姿から人型の姿へと変形する。
そのまま恐竜時の頭部の形をした右手を、たった今出てきたばかりの部屋へと向ける。
「ふん、思ったより早かったが……三人纏めてさよならだ」
その右手、丁度口にあたる部分からレーザーとミサイルが次々と放たれ、部屋を破壊していく。
「片手で撃つべし! 撃つべし! って、これは違うキャラのセリフだな」
扇動が難しいならば、とっとと片付けてしまうに限る。
そう考えたメガトロンは三人の仲間として行動を共にすることを選んだ。
仲間から撃たれるということは例え予想していても防ぎにくい、少しでも警戒を解いてしまえば、この通りだ。
「レーザーの出力も連射速度も低下しているな……壊し合うだけが目的ではないのか?」
自身の性能に不満を感じながら、破壊された部屋を確認し――
「お前も甘いな」
「何!?」
聞こえてきたチンクの声に目を凝らす。
ミサイルによる煙が晴れていき、風見が眠っているポッドの前で防御障壁を展開しているチンクの姿が現れる。
「私がお前への警戒を少しでも解いたと思ったのか? それがお前の戦闘形体というわけか」
「おのれぇ、ラブコメをしながら死んでいっていれば幸せだったものを!」
「誰がしたかそんなもの!」
わずかに顔が赤くなっているあたりは自覚があるのかもしれない。
再びメガトロンが右手を構えるより先に、ナイフを両手に構えて斬りかかる。
「ぬぅ!」
「その巨体では!」
自らの小柄な体を生かし、メガトロンの懐に入り込んでナイフを振るい続ける。
それを何とか回避してはいるが、チンクの言う通り、小回りの利かないメガトロンはこの間合いでは反撃できない。
「――などと言うと思ったか! ビーストモード!」
「くっ!?」
一瞬の隙をついて恐竜の姿へと戻り、尻尾によってなぎ払おうとする。
咄嗟に障壁を張って防ぐが、力任せのその衝撃に耐えきれず壁に叩きつけられてしまう。
「もういっちょ変身! これで終わりだな!」
「く、まだ……しまった!?」
レーザーかミサイルか、追撃を防ぐため三度障壁を展開しようとするが、狙いが自分でないことに気づき慌てて駆け出す。
「死ねぇ!」
「カザミィィィィ!!」
風見が眠っているポッドへミサイルが放たれる。
チンクが駆け出すがとても間に合わない、放ったナイフは無情にもミサイルから離れた宙を切る。
ミサイルの進行を隔てる物は何もなく、そのままポッドへと――届く直前で斬り落とされた。
「ウィル! ナイフ!」
「なんですとぉ!?」
電磁ナイフによって飛来するミサイルを斬り落とす、などという芸当をしたのは金色の鎧に包まれた勇者、獅子王凱。
度重なる爆発音によって目覚めた彼の目にまず入ってきたのは、紫の恐竜に吹き飛ばされる少女の姿だった。
――助けなくては!
勇者としての彼の思考が、ここはどこだとか今どういう状況なのかとか重要な箇所をすっ飛ばして一つの答えに到達する。
すぐに立ち上がろうとするが、目が覚めたばかりのせいか体が重い。
そう感じてる間にも状況は変わり、少女が自分を――自分の後ろを見て、名前のような言葉を叫ぶ。
その叫びを自分は知っている、自分と親しい者、失いたくない者の命が失われそうになっている時の叫び方。
そう、その声は自分が探していた人物、チンクと同じもの。
チンクはまた大切な者を失おうとしているのか、自分はまたそれを見ているしかできないのか。
――そんなこと……させるかぁ!!
凱の気持ちが、勇気が彼に埋め込まれているGストーンを活性化させる。
体の重さなど吹き飛ばし、その右腕に収納していた電磁ナイフを取り出して飛来して来たミサイルを斬り落とす。
「ウィル! ナイフ!」
「なんですとぉ!?」
突然の増援にメガトロンは焦りを隠せない。
――大体なんだこの狙ったようなタイミングの登場は!? こいつは特撮ヒーローか!?
そんなことを思いながら、速攻で新たな脅威を排除しなくてはと右手で噛みつかせるように殴りかかる。
凱は上顎と下顎をそれぞれ受け止めるが、メガトロンは『計 画 通 り』とでも言うかのような笑みを浮かべ、
そのほぼ0距離の状態でレーザーを発射する。
「はぁ!」
だが、それは凱に右腕を蹴りあげられ失敗に終わる。
レーザーが天井を砕き、メガトロンはその瓦礫に紛れて撤退することを選んだ。
即座にそれを追おうとするが、視界の端にチンクが入り、慌ててその足を止める。
「君! 大丈夫だったか!」
「あ、ああ……カザミ、そのポッドにいる男は無事か?」
突然の出来事によって窮地を脱したことにより多少放心しているが、大きな怪我はないようだ。
ポッドと言われてその中を確認するが、中に居た男は眠ったままで何か起きているようには見えない。
「大丈夫のようだ、それより、君はチンクで間違いないか?」
チンクは凱の問いに頷いて応える。
自分を轢いた者をここまで気にかけるとは、とんでもないお人好しらしい。
メガトロンの追撃は後回しにするしかないだろう、今の状態で追っても仕留め切る自信はない。
ノーヴェがあの狡猾な殺戮者と出会わないことを願いながら、チンクは凱に対して口を開く。
【G-3 修理工場 一日目早朝】
【風見志郎@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:約一時間V3に変身不能、疲労大、両拳に重症、頭部と胸部と左肩に中程度のダメージ、右肘に重大な負傷。
左腰から出血、全身に僅かな火傷、固い決意、やるせない思い 、回復ポッドにて睡眠中、ダメージ・怪我は全て回復中
[装備]:なし
[道具]: PDA紛失(支給品一式、不明支給品0~2)
[思考・状況]
基本:殺し合いを破壊し、シグマを倒す
0:…………
1:チンクと共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する
2:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない
3:可能ならば、ボイルドを仮面ライダーにしたい。そのためには、危険は辞さない覚悟
4:シグマの真の目的を探る。そのためにエックスと呼ばれた男、赤い男(ゼロ)と接触する
5:生きているなら、男(凱)が起きたら話を聞く。
6:弱者の保護
7:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い)
[備考]
※参戦時期は大首領の門に火柱キックを仕掛ける直前です(原作13巻)。また身体とダブルタイフーンは元通り修復されています
※チンクと情報交換をしました
※なんとなくチンクを村雨、そして昔の自分に重ねている節があります
※回復ポッドで完治するのか、またどれだけ時間が掛かるのかは他の書き手さんにお任せします。
【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:小程度の疲労、全身に小ダメージ、固い決意
[装備]:ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス(3/30)
[道具]: 支給品一式、不明支給品0~2、サイクロン号(1号)@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本:ノーヴェを守り、シグマを破壊する
1:凱と話をする。
2:志郎と共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する。
またノーヴェを最優先にする。
3:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない
4:スティンガー、シェルコートを手に入れる
5:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い)
[備考]
※参戦時期は本編終了後です
※優勝者の褒美とやらには興味がなく、信用していません
※志郎と情報交換をしました、また完全には志郎の事を信用していません
【獅子王凱@勇者王ガオガイガー】
[状態]:強い怒り、疲労(小) 全身を強打
[装備]:グランドリオン@クロノトリガー、電磁ナイフ@仮面ライダーSPIRITS(右腕に収納)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒しこの殺し合いを止める。
戦う力を持たぬ者、傷ついている達を保護し、守り抜く。
1:チンクと話をする
2:メガトロン(名前は知らない)を止めたい
3:同じ目的を持った仲間を探す。
4:パーマの男(村雨)と彼を殺した人物の情報を集め、その人物を倒す。
[備考]
※Zマスター撃破直後からの参戦です。
※村雨の名前は知りません。
※制限の影響により、グランとリオンは出現する事が出来ません
※凱が見た村雨の写真は原作五巻に出てきたものです
※修理工場一階の回復ポッドがある部屋がポッド一つ残して破壊されています。
※回復ポッドの操作方法が書かれたメモは燃えてしまったようです
メガトロンは修理工場から離れながら忌々しげに舌打ちをする。
今までうまくいっていたため油断した、どんな贔屓目に見ても今回は失敗だ。
あの三人に自分に対する情報を与えてしまったのはまずい、チンクが仲間といる以上、アラレによる扇動も効果が薄くなってしまうかもしれない。
だが、この程度で挫けるようでは曲者揃いのデストロンを率いることなどできはしない。
「ノーヴェ、それに仮面ライダーか……」
新たに得た情報を整理し、どう活かすのがベストかを考えていく。
自分の悪評が広まる前に動かなくては、逆にあの三人を陥れる策を考えろ。
「覚えていろ、悪役のしつこさは時に正義にも勝つということをなぁ!」
【G-3 修理工場外 一日目深夜】
【メガトロン@ビーストウォーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、草薙素子のスペア義体@攻殻機動隊S.A.C、ランダム支給品0~2(確認済)
[思考・状況]
基本思考:優勝しサイバトロンの抹殺。その後シグマも倒す。
0:一旦修理工場から離れる
1:己の正体を隠しつつ場を混乱させる(CV:田中敦子)
2:優勝を目指す、自身による直接戦闘はしばらく避ける
3:チンク達へいつか復讐する
4:アラレに働いてもらうことを期待
*時系列順で読む
Back:[[LOVE DESTINY]] Next:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]
*投下順で読む
Back:[[LOVE DESTINY]] Next:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]
|051:[[衝撃的な出会い]]|チンク| |
|051:[[衝撃的な出会い]]|風見志郎| |
|051:[[衝撃的な出会い]]|獅子王凱| |
|042:[[ギタイ]]|メガトロン| |
**光り輝け勇気の力 ◆c92qFeyVpE
「くっ、重いな……!」
「平気か?」
「ああ、その手で運ぶよりは現実的だ」
気絶したままの凱を、チンクが苦労しながらもサイクロン号へと運んでいく。
……体格差のせいで運ぶというより引きずっている形になっているが、それを指摘しても彼女の機嫌を損ねるだけであろう。
「カザミ、支給品はどうだった?」
「ああ、剣とナイフのようだ……」
「……カザミ?」
PDAを確認しながら応える風見の様子に違和感を持ち、再度呼びかけるがPDAに視線を向けたまま応えない。
風見は電磁ナイフ――ZXの物であるそれを見ながら思考を巡らせる。
ZXは自分と違い、多彩な武器による変幻自在な戦法を得意とする。
もしもその武器の大半が奪われたとしたら、彼の戦闘力は半減すると言っても大袈裟ではないだろう。
無論それだけで負けるほどの男ではない、純粋な格闘戦でも自分たちに負けないほどの力を持っていることもわかっているが、それでも万が一の事を考えてしまう。
「おい、カザミ!?」
「っ! すまない……修理工場へ急ぐとしよう」
「……大丈夫か?」
初めてチンクから素直に気遣うような言葉をかけられ、大丈夫だと力強く頷く。
ここで心配していても村雨と合流できるわけではない、一刻も早く体を癒し、この殺戮を止めることが先決だ。
なんとか凱をサイクロンに乗せ、風見が落ちないようにそれを抑える形を取る。
「気をつけろ、バランスが取りづらいぞ」
「わかっている。その男を落とすなよ」
近づいてくるバイクの音に、メガトロンは視線を向け――慌てて考えていた相手を騙すプランを放棄する。
メインの方針はチンクやアラレへの扇動だ、その本人が相手では計画そのものを変える必要がある。
無論本人と対峙した場合の事も考えてはいたが、それは一対一の場面、複数人の名前さえ知らない仲間と一緒の場合などいくら彼でも考えきれない。
――だがしかし、不測の事態こそビースト戦士の真骨頂!
まずは自分の上に乗せている人形を転送する。正体を偽りながらのアドリブは危険が大きい。
転送が終わった直後、チンク達はメガトロンを補足する。
「あれは……恐竜というやつか?」
「シグマの話ならあいつもロボット……怪人の一種かもしれない」
何度も死闘を演じたデストロン怪人たちを思い出しながら、慎重に近づいていく。
「一つ聞きたい、ノーヴェという、恐らく私と同じ服装の赤髪の女か、青い髪のスバルという女、同じく長髪のギンガという女、後仮面ライダーという変身する男たちを知らないか」
待て、後半は大雑把すぎやしないか。
風見が突っ込むより先にメガトロンは口を開く。
「女の方は知らないが、ライダーならば会ったぞ」
「本当か!?」
「仮面……かどうかは知らんがな、メカ沢という随分と好戦的な男だった。黄色いロボットを従えて襲い掛かってきたぞ」
目的の人物とは違うことに風見は軽く肩を落とす、チンクに至っては「女の方は知らない」の時点で「ハズレか」などと小さく呟いていた。
「お前たち、この壊し合いには乗っていないのか?」
「ああ、そう聞いてくる、ということはお前も乗っていないんだな」
「無論だ、俺様があんな奴の思い通りに動いてやる義理はない」
「そのメカ沢という奴はどうした? 破壊したのか」
「壊し合いには乗っていないと言っただろう、何とか撒いてやった」
風見とメガトロンが話している最中、チンクは何とも言えぬ不快感をメガトロンに感じていた。
壊し合いに乗っているかいないかは別として、こちらの腹を一方的に探られているような感覚はどこかで――ああ、クァットロと話してる時と同じ感じがするのか。
風見も相手の本心を探ろうとしているようだが、話術では向こうに分があるようだ、一向にペースが掴めない。
一方、メガトロンの方もこの二人に苦戦を強いられていた。
この男は思った以上に用心深く頭も切れる、迂闊な発言をしようものなら一気に畳み掛けられてしまうだろう。
最初の問いかけ以降喋っていないチンクの方も、明らかに疑っている表情でこちらから目線を放そうとしない。
今までの単純そうな連中とは違う、下手な扇動を仕掛けるのは逆効果になりかねない。
かといって無理に会話を切り上げるのも、また不自然になってしまう。
ならば――取る手段は一つ。
「今さらなんだがな、このまま道端で話しているのは危険じゃないか?」
「……確かにな」
「すぐ近くに修理工場がある、お前のその手も直せるかもしれんぞ」
言われるまでもない、元々目指していた場所はそこなのだ。
だが――やはり気にかかる。罠でも仕掛けられているのではないかと勘ぐってしまう。
「どうする、カザミ」
「はっきり言って信用できん、だが、修理工場に行きたいのは確かだ」
風見の手だけではない、今だ気絶したままの凱の様子も気がかりだった。
見ただけではわからなくとも、もし患者をスキャンする機器等があればそれを使って無事かどうかを確かめられるかもしれないうえ、
体内に仕掛けられているという爆弾についても調べられる可能性はある。
「……わかった、とりあえずは着いていくとしよう」
警戒は解かないまま、それでもメガトロンの後についてサイクロン号を押しながらついていく。
罠にだけは注意を払い、工場へと入って辺りを見渡す。
「広いな……」
「工具が並んでいるだけ、なんて状況も想定していたが……」
二階は後回しにして、いくつもある部屋の内の一つを適当に選んで入る。サイクロンはチンクのPDAに転送しておいた。
最初に入ったその部屋にはいくつかの大きなポッドがあるだけで、他の物は何も置かれていなかった。
「このポッドで、何かを直せるのか?」
「その通りだ、これは俺様の宇宙船にあった回復ポッドと同じもののようだからな」
実際はメガトロンと敵対していた宇宙船の物なのだが、伏せておく。
「中に入ってちょちょいっと操作してやるだけで破損箇所が修理されるはずだ」
「……俺にも効果があるのか?」
「……むぅ」
そう尋ねられてもメガトロンは唸るしかない。
元よりサイバトロンの作ったシステムだ、デストロンである彼には仕組みさえ解っていない。
何とも言えない空気を打ち破ったのは、何か使えそうな金属はないかと探索していたチンクだった。
「……問題無いようだ、ご丁寧にこんなものがあった」
呆れたようにチンクが差し出したのは一枚のメモ用紙。
ポッドの操作方法が書かれた横に、
『どんな者でも治癒効果がるように設定し直している。傷つくことなど恐れず破壊しつくすがいい』
などと書かれていた。
「妙だな……」
「まったくだ」
「同感だな」
その場の全員がそのメモを疑惑の眼差しで見つめる。
これだけを見るなら、壊し合いに乗っている者が傷ついてしまうことを防止しているようにも取れる。
だが、はっきり言ってそれはナンセンスだろう、使用法を見る限り、ポッドに入っている間は軽い睡眠状態になり無防備だ、
仲間がいるならともかく、その方針から単独行動になるであろう壊し合いに乗った者がこんなポッドを使うはずがない。
「逆に破壊されたりしかねんな」
「流石にそれはないだろうが……どうするカザミ、この男で試してみるという手もあるが」
部屋の隅に寝かせたままの凱を見ながら言うチンクに、風見は首を振りながらポッドを操作していく。
「外傷がないんだ、放っておいても目覚めるかも知れないんじゃ効果は確かめられない」
「だが……無防備になるぞ」
「ああ、その間はチンク、任せるぞ」
「……甘いな、私が裏切る可能性は考えないのか」
少し呆れたように見るチンクに対し、風見は僅かに笑みを浮かべながら言葉を返す。
「裏切る奴は、そんなことは言わないさ……信用している」
「――っ」
思わず言葉を失っている間に、風見はさっさとポッドに入ってしまう。
妙な苛立ちを覚え、八つ当たり気味に操作パネルを強く叩きつけてポッドを起動させた。
「あ~、俺様はちょっと他の部屋を見て回ってくる。ごゆっくり~」
「ま、待て! なんだその最後の言葉の意味は!」
チンクの言葉を聞き流しながらメガトロンは部屋を出る。
扉が閉まり、何だかんだでチンクが追ってこないのを確認し……
「メガトロン、変身!」
恐竜の姿から人型の姿へと変形する。
そのまま恐竜時の頭部の形をした右手を、たった今出てきたばかりの部屋へと向ける。
「ふん、思ったより早かったが……三人纏めてさよならだ」
その右手、丁度口にあたる部分からレーザーとミサイルが次々と放たれ、部屋を破壊していく。
「片手で撃つべし! 撃つべし! って、これは違うキャラのセリフだな」
扇動が難しいならば、とっとと片付けてしまうに限る。
そう考えたメガトロンは三人の仲間として行動を共にすることを選んだ。
仲間から撃たれるということは例え予想していても防ぎにくい、少しでも警戒を解いてしまえば、この通りだ。
「レーザーの出力も連射速度も低下しているな……壊し合うだけが目的ではないのか?」
自身の性能に不満を感じながら、破壊された部屋を確認し――
「お前も甘いな」
「何!?」
聞こえてきたチンクの声に目を凝らす。
ミサイルによる煙が晴れていき、風見が眠っているポッドの前で防御障壁を展開しているチンクの姿が現れる。
「私がお前への警戒を少しでも解いたと思ったのか? それがお前の戦闘形体というわけか」
「おのれぇ、ラブコメをしながら死んでいっていれば幸せだったものを!」
「誰がしたかそんなもの!」
わずかに顔が赤くなっているあたりは自覚があるのかもしれない。
再びメガトロンが右手を構えるより先に、ナイフを両手に構えて斬りかかる。
「ぬぅ!」
「その巨体では!」
自らの小柄な体を生かし、メガトロンの懐に入り込んでナイフを振るい続ける。
それを何とか回避してはいるが、チンクの言う通り、小回りの利かないメガトロンはこの間合いでは反撃できない。
「――などと言うと思ったか! ビーストモード!」
「くっ!?」
一瞬の隙をついて恐竜の姿へと戻り、尻尾によってなぎ払おうとする。
咄嗟に障壁を張って防ぐが、力任せのその衝撃に耐えきれず壁に叩きつけられてしまう。
「もういっちょ変身! これで終わりだな!」
「く、まだ……しまった!?」
レーザーかミサイルか、追撃を防ぐため三度障壁を展開しようとするが、狙いが自分でないことに気づき慌てて駆け出す。
「死ねぇ!」
「カザミィィィィ!!」
風見が眠っているポッドへミサイルが放たれる。
チンクが駆け出すがとても間に合わない、放ったナイフは無情にもミサイルから離れた宙を切る。
ミサイルの進行を隔てる物は何もなく、そのままポッドへと――届く直前で斬り落とされた。
「ウィル! ナイフ!」
「なんですとぉ!?」
電磁ナイフによって飛来するミサイルを斬り落とす、などという芸当をしたのは金色の鎧に包まれた勇者、獅子王凱。
度重なる爆発音によって目覚めた彼の目にまず入ってきたのは、紫の恐竜に吹き飛ばされる少女の姿だった。
――助けなくては!
勇者としての彼の思考が、ここはどこだとか今どういう状況なのかとか重要な箇所をすっ飛ばして一つの答えに到達する。
すぐに立ち上がろうとするが、目が覚めたばかりのせいか体が重い。
そう感じてる間にも状況は変わり、少女が自分を――自分の後ろを見て、名前のような言葉を叫ぶ。
その叫びを自分は知っている、自分と親しい者、失いたくない者の命が失われそうになっている時の叫び方。
そう、その声は自分が探していた人物、チンクと同じもの。
チンクはまた大切な者を失おうとしているのか、自分はまたそれを見ているしかできないのか。
――そんなこと……させるかぁ!!
凱の気持ちが、勇気が彼に埋め込まれているGストーンを活性化させる。
体の重さなど吹き飛ばし、その右腕に収納していた電磁ナイフを取り出して飛来して来たミサイルを斬り落とす。
「ウィル! ナイフ!」
「なんですとぉ!?」
突然の増援にメガトロンは焦りを隠せない。
――大体なんだこの狙ったようなタイミングの登場は!? こいつは特撮ヒーローか!?
そんなことを思いながら、速攻で新たな脅威を排除しなくてはと右手で噛みつかせるように殴りかかる。
凱は上顎と下顎をそれぞれ受け止めるが、メガトロンは『計 画 通 り』とでも言うかのような笑みを浮かべ、
そのほぼ0距離の状態でレーザーを発射する。
「はぁ!」
だが、それは凱に右腕を蹴りあげられ失敗に終わる。
レーザーが天井を砕き、メガトロンはその瓦礫に紛れて撤退することを選んだ。
即座にそれを追おうとするが、視界の端にチンクが入り、慌ててその足を止める。
「君! 大丈夫だったか!」
「あ、ああ……カザミ、そのポッドにいる男は無事か?」
突然の出来事によって窮地を脱したことにより多少放心しているが、大きな怪我はないようだ。
ポッドと言われてその中を確認するが、中に居た男は眠ったままで何か起きているようには見えない。
「大丈夫のようだ、それより、君はチンクで間違いないか?」
チンクは凱の問いに頷いて応える。
自分を轢いた者をここまで気にかけるとは、とんでもないお人好しらしい。
メガトロンの追撃は後回しにするしかないだろう、今の状態で追っても仕留め切る自信はない。
ノーヴェがあの狡猾な殺戮者と出会わないことを願いながら、チンクは凱に対して口を開く。
【G-3 修理工場 一日目早朝】
【風見志郎@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:約一時間V3に変身不能、疲労大、両拳に重症、頭部と胸部と左肩に中程度のダメージ、右肘に重大な負傷。
左腰から出血、全身に僅かな火傷、固い決意、やるせない思い 、回復ポッドにて睡眠中、ダメージ・怪我は全て回復中
[装備]:なし
[道具]: PDA紛失(支給品一式、不明支給品0~2)
[思考・状況]
基本:殺し合いを破壊し、シグマを倒す
0:…………
1:チンクと共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する
2:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない
3:可能ならば、ボイルドを仮面ライダーにしたい。そのためには、危険は辞さない覚悟
4:シグマの真の目的を探る。そのためにエックスと呼ばれた男、赤い男(ゼロ)と接触する
5:生きているなら、男(凱)が起きたら話を聞く。
6:弱者の保護
7:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い)
[備考]
※参戦時期は大首領の門に火柱キックを仕掛ける直前です(原作13巻)。また身体とダブルタイフーンは元通り修復されています
※チンクと情報交換をしました
※なんとなくチンクを村雨、そして昔の自分に重ねている節があります
※回復ポッドで完治するのか、またどれだけ時間が掛かるのかは他の書き手さんにお任せします。
【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:小程度の疲労、全身に小ダメージ、固い決意
[装備]:ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス(3/30)
[道具]: 支給品一式、不明支給品0~2、サイクロン号(1号)@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本:ノーヴェを守り、シグマを破壊する
1:凱と話をする。
2:志郎と共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する。
またノーヴェを最優先にする。
3:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない
4:スティンガー、シェルコートを手に入れる
5:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い)
[備考]
※参戦時期は本編終了後です
※優勝者の褒美とやらには興味がなく、信用していません
※志郎と情報交換をしました、また完全には志郎の事を信用していません
【獅子王凱@勇者王ガオガイガー】
[状態]:強い怒り、疲労(小) 全身を強打
[装備]:グランドリオン@クロノトリガー、電磁ナイフ@仮面ライダーSPIRITS(右腕に収納)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒しこの殺し合いを止める。
戦う力を持たぬ者、傷ついている達を保護し、守り抜く。
1:チンクと話をする
2:メガトロン(名前は知らない)を止めたい
3:同じ目的を持った仲間を探す。
4:パーマの男(村雨)と彼を殺した人物の情報を集め、その人物を倒す。
[備考]
※Zマスター撃破直後からの参戦です。
※村雨の名前は知りません。
※制限の影響により、グランとリオンは出現する事が出来ません
※凱が見た村雨の写真は原作五巻に出てきたものです
※修理工場一階の回復ポッドがある部屋がポッド一つ残して破壊されています。
※回復ポッドの操作方法が書かれたメモは燃えてしまったようです
メガトロンは修理工場から離れながら忌々しげに舌打ちをする。
今までうまくいっていたため油断した、どんな贔屓目に見ても今回は失敗だ。
あの三人に自分に対する情報を与えてしまったのはまずい、チンクが仲間といる以上、アラレによる扇動も効果が薄くなってしまうかもしれない。
だが、この程度で挫けるようでは曲者揃いのデストロンを率いることなどできはしない。
「ノーヴェ、それに仮面ライダーか……」
新たに得た情報を整理し、どう活かすのがベストかを考えていく。
自分の悪評が広まる前に動かなくては、逆にあの三人を陥れる策を考えろ。
「覚えていろ、悪役のしつこさは時に正義にも勝つということをなぁ!」
【G-3 修理工場外 一日目深夜】
【メガトロン@ビーストウォーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、草薙素子のスペア義体@攻殻機動隊S.A.C、ランダム支給品0~2(確認済)
[思考・状況]
基本思考:優勝しサイバトロンの抹殺。その後シグマも倒す。
0:一旦修理工場から離れる
1:己の正体を隠しつつ場を混乱させる(CV:田中敦子)
2:優勝を目指す、自身による直接戦闘はしばらく避ける
3:チンク達へいつか復讐する
4:アラレに働いてもらうことを期待
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|051:[[衝撃的な出会い]]|チンク| |
|051:[[衝撃的な出会い]]|風見志郎|068:[[運命交差点(後編)]]|
|051:[[衝撃的な出会い]]|獅子王凱|068:[[運命交差点(後編)]]|
|042:[[ギタイ]]|メガトロン|076:[[男の世界(後編)]]|
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