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衝撃的な出会い - (2009/01/06 (火) 00:17:04) のソース
**衝撃的な出会い ◆d.NbLKVxEc 勇者王は走る。 ただひたすら走る。 全力疾走とは言わないまでもけして遅くは無く、体に疲労が蓄積しない程度のスピードで。 この殺し合いが始まって4時間を過ぎた、既に犠牲者が出ている。 そんな中、凱はのんびり歩いて目的地に向かうなど、出来る筈もなかった。 今も何処かで力無き者が、この殺し合いに乗った者に襲われ、命の危機に瀕しているかもしれない。 いや、先程の青年の様に既に何人もの犠牲者が・・・ そう考えると、今すぐ全力で走り出したくなる。 凱はそんな思いを、鉄の自制心で押しとどめる。 (まだだ、今はまだ余計な体力を消費する時じゃない。・・・だが!!) 殺し合いに乗った者はいる。 その事実は村雨の死体が物語っている。 凱は力無き者を守る為、殺し合いに乗った者と戦う為にも、今は体力を温存しておかねばならない。 そんな事は解っている。 だがしかし・・・ 今向かっている修理工場には、誰もいないのだろうか? もしかしたら、誰かがあそこで助けを求めているかもしれない。 それならば、今すぐ駆けつけないと間に合わないかもしれない。 このままゆっくり走っていたせいで、俺はまた殺し合いを止める事が出来ず、犠牲者を出してしまうのか? そう思い全力疾走をしそうになるが、強い自制心で走るペースを抑える。 一刻も早く目的に駆けつける為走るスピードを上げたい、しかしスピードを上げ体力を消費しては、危険人物と戦闘になった時に満足に戦う事が出来ない。しかし目的地に早く着く為には・・・ 凱はそんな思考のループを、先ほどから何回も繰り返している。 おそらくゴミ処理場の青年、村雨を救えなかった事がよほど悔しかったのだろう。 凱は気付かぬ内に深い思考の渦に沈み込み、周囲への注意が散漫になっていた。 誰にだって経験があるのでは無いだろうか。 集中のし過ぎで、目的地を通り過ぎたり、自分呼ぶ声が聴こえなかったりする事は。 凱の状態は、今まさにその通りであった。 自らの考えに没頭して、周囲の状況をきちんと把握できていない。 そんな状態である。 だからそれは起こるべくして、起きたのであろう。 凱の耳が何処からか響く重低音を捉える。 (この音は・・・エンジンの音。自動車か何かか?) 遠くから近づいてくるその音を聴きながら、凱は突如閃いた。先程自分を悩ませていた問題の答えを。 (自動車。・・・そうか、なにか乗り物を手に入れればいいのか。何でこんな簡単な事を失念していたんだ!) 自分の足で走るから体力を消耗する。ならば自分の足以外で高速で移動できる物を用いればよい。そんな簡単な事に気がつかないほど、凱は思考の渦は深かった。 走り続けている凱は、その時自分に迫りくるそれに気がつかないほどに。 次の瞬間、凱の体に大きな衝撃が走った。 ・・・勇者王は宙を舞った。 「どうやら撒いたみたいだカザミ」 「ああ」 後ろからボイルドが追撃してくる気配は無い。 追うのを諦めたのか、それとも別に何あったのか。 どちらにしても一時的にではあるが脅威は去った。 そうなるとチンクの思考にも余裕も生まれてきた。 本来自分達は金属を補充する為、まずスクラップ工場に向かおうとしていた。 そこでボイルドと遭遇し、戦闘になりここまで移動してきたのだが。 これからどこに向かうべきか? まず、スクラップ工場には向かえない。 ボイルドの現在位置がわからない以上、迂闊に引き返して再度遭遇何てことはごめんである。 それに今の状態の自分達では、再度戦闘になったら殺されるのがおちだ。 ならば向かう場所は、ごみ処理場と修理工場の二つ。 現在地からの距離ではゴミ処理場の方が近い。 実際左手にゴミの山が見えている。探せば幾らでも手頃な金属片を見つける事が出来るだろう。 反撃の為の武器を確保すべく、ごみ処理場に向かう。悪くはない判断のはずだ。 「カザミ、このまま修理工場に向かう。異論はないな?」 「ああ、そうしてくれ」 しかしチンクが選択したのは、修理工場の方だった。 実際風見の受けたダメージは大きい。 仮に3時間経って再び変身できる様になっても、戦闘に支障をきたすだろう。 そんな風見を気遣ってか、チンクは修理工場に向かう事を選択した。 「…勘違いするなよカザミ。お前がそんなざまじゃ、足手纏いにしかならん。 それにボイルドを倒してノーヴェを守るには、正直私だけでは力不足だ。 別にお前が傷が心配という訳ではないぞ」 「まあ、そういう事にしといてやるよ」 まだ完全に風見を信頼しきれていないせいか、素直になる事が出来ないチンク。 言外に心配だと言っているようなもんだが、風見はあえて突っ込まないでおく。 それが起こったのは、そのすぐ後だった。 道路がカーブに差し掛かり、チンクが視線を右に移したその瞬間。 そいつは左側から、二人の目の前に飛び出してきた。 風見は油断していた訳ではない。 ただ想定外なだけであったのだ。 バイクに乗って走るという事は、そのエンジン音で自分達がここにいるという事を、伝えている様なものである。 当然、このエンジン音を聞きつけた危険人物が、隠れて奇襲を行う可能性を考えていない訳ではない。むしろあり得ると考え、ボイルドを振り切った後も警戒していたくらいだ。 また、他の参加者がこちらと接触する為に、進路上に姿を現すことも考えてはいた。 しかし、己がバイクに轢かれる絶妙のタイミングで、自分達の前に飛び出してくる。 そんな自殺紛いの行動は、いくら風見でも完全に想定外だった。 (こいつ正気か!? チンクは…駄目だ、気づいていない) 想定外の事態に風見の反応は一瞬遅れた。 このタイミングではチンクに声をかけても、ブレーキは間に合わないであろう。 そのチンク自身にいたっては、その人物が現れた場所がチンクの死角になっており、気づいてすらいない。 この時点で風見に出来るのは衝撃に備えることだけだった。 次の瞬間、衝撃が三人を襲った。 (―っ、一体何が?) 完全に不意を突かれたチンクは、訳も分からず宙を舞っていた。 元々サイクロン号とは体のサイズが合っていない上、不意を突かれたのでは衝撃に耐える事など、チンクに出来る筈もなかった。 それでもチンクに怪我が無かったのは、堆一事態を把握していた風見が、咄嗟に左腕で彼女を抱きかかえ、離脱したからだろう。 「カザミ、一体何が起こった。突然過ぎて私にはさっぱり分からん」 風見の腕に抱きかかえられたチンクが、やや呆然とした様子で訊ねる。 それに対して風見は、かなり呆れた様子で答えた。 「…どこかの馬鹿が飛び出してきただけだ」 「なるほど。…と言う事は何か、私は人を轢いたのか」 「そうなるな」 チンクを降ろすと風見は警戒しながら、飛び出してきた人物に近付いていく。 可能性はかなり低いが、相手が気絶したフリをしていて、襲い掛かってくるかもしれないからだ。 サイクロン号は十数m先に横倒しになっているが、あの程度で壊れるほど軟ではないので今はいいだろう。 この人物が危険人物でないとしたら、むしろの方が心配だ。 カーブを曲がるため減速し始めていたとはいえ、それでも結構なスピードが出ていた。 あれで死んでいても、おかしくはないのだ。 最もこれで死なれていたら、死ぬほど寝覚めが悪くなるが。 「そいつは生きているのか、カザミ?」 カザミの後ろでチンクが気まずそうに尋ねる。 「判らん…死んではないと思いたいが」 参加者だけあってこの人物もサイボークの様だ。 特に目立った破損個所はない、それだけに逆に判別がしづらい。 単に気絶しているだけなのか、それとも死んでしまったのか。 これが生身の人間であれば、出血や呼吸の有無等で確認できるが、相手がサイボークの類では、そもそも呼吸自体必要であるかも判らない。 つまり一定以上の専門的な知識がなければ、見た目で判断するしかないのである。 「なんにせよ、このまま放置という訳にもいかんだろう」 風見とチンクは同時に大きなため息をついた。 【H-2 道路/一日目・早朝】 【風見志郎@仮面ライダーSPIRITS】 [状態]:約三時間V3に変身不能、疲労大、両拳に重症、頭部と胸部と左肩に中程度のダメージ、右肘に重大な負傷。 左腰から出血、全身に僅かな火傷、固い決意、やるせない思い [装備]:なし [道具]: PDA紛失(支給品一式、不明支給品0~2) [思考・状況] 基本:殺し合いを破壊し、シグマを倒す 1:修理工場へ向かう 2:チンクと共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する 3:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない 4:可能ならば、ボイルドを仮面ライダーにしたい。そのためには、危険は辞さない覚悟 5:シグマの真の目的を探る。そのためにエックスと呼ばれた男、赤い男(ゼロ)と接触する 6:生きているなら、男(凱)が起きたら話を聞く。 7:弱者の保護 8:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い) [備考] ※参戦時期は大首領の門に火柱キックを仕掛ける直前です(原作13巻)。また身体とダブルタイフーンは元通り修復されています ※チンクと情報交換をしました ※なんとなくチンクを村雨、そして昔の自分に重ねている節があります 【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]:小程度の疲労、両腕に僅かな痛み、固い決意 [装備]:サイクロン号(1号)@仮面ライダーSPIRITS(志郎の支給品)、ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス(4/30) [道具]: 支給品一式、不明支給品0~2 [思考・状況] 基本:ノーヴェを守り、シグマを破壊する 1:修理工場へ向かう。 2:志郎と共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する。 またノーヴェを最優先にする。 3:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない 4:スティンガー、シェルコートを手に入れる 5:生きているなら男(凱)が起きたら話を聞く。 6:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い) [備考] ※参戦時期は本編終了後です ※優勝者の褒美とやらには興味がなく、信用していません ※志郎と情報交換をしました、また完全には志郎の事を信用していません 【獅子王凱@勇者王ガオガイガー】 [状態]:強い怒り、疲労(小) 気絶中 全身を強打 [装備]:グランドリオン@クロノトリガー、電磁ナイフ@仮面ライダーSPIRITS(右腕に収納) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本思考:シグマを打ち倒しこの殺し合いを止める。 戦う力を持たぬ者、傷ついている達を保護し、守り抜く。 1:…………(気絶中) 2:修理工場を目指す 3:チンクと呼ばれていた人物と接触する 4:同じ目的を持った仲間を探す。 5:パーマの男(村雨)と彼を殺した人物の情報を集め、その人物を倒す。 [備考] ※Zマスター撃破直後からの参戦です。 ※チンクの顔と村雨の名前は知りません。 ※制限の影響により、グランとリオンは出現する事が出来ません ※凱が見た村雨の写真は原作五巻に出てきたものです *時系列順で読む Back:[[DEVIL A/Beginning]] Next:[[とっても嫌な聞き間違い]] *投下順で読む Back:[[狂えし少女は何思う]] Next:[[決意をこの胸に――(前編)]] |044:[[DEVIL A/Beginning]]|風見志郎|058:[[光り輝け勇気の力]]| |044:[[DEVIL A/Beginning]]|チンク|058:[[光り輝け勇気の力]]| |033:[[怒れ鋼のサイボーグ!勇気と魂をその胸に]]|獅子王凱|058:[[光り輝け勇気の力]]|