灰鱗の王
私は、その書を手にした。
私は、その書を手にせざるを得なかったのだ。
呼んでいるから。その書が私を呼んでいるから。
知れ。と。世界の裏側の超世界の恐怖を知れ、と。
止めろ!!止めてくれ!私の、私の頭を覗くな!
見ている。それが私を見ている。理解しよう、と。ただの書だ。灰色の甲殻で包まれたただの書だ。
すべての知識は人に知られねばならないと思った事など、今となってはあまりに愚かしい。
見ている。ああ、見ている。真っ黒い窓の向こうから、そいつが。そいつが私を
(ここから先は血がべったりと張り付いていて読めない)
概要
真黒の甲殻に、ページ毎に緑に薄く輝く火文字で古代文字の書き付けられた書物。
それ自体は特に優れた力を持っている訳では無く、それどころか読んだ人間を破滅に追い込み、また読む側こそに何者かに心を読み解かれている様な猛烈な錯覚を覚えさせる、甲殻で出来た大著。
最も問題なのは書かれている知識で、それは世界の忌むべき秘密を、『大母』への箴言、告発と言った形で曖昧かつ難解に書き表しているのだという。
特に危険なのは、「我等全ての影についての嘆き」と呼ばれる編である、とされる。
持ち主を選ぶ、と言われ人の間を渡り歩いては、数多くの狂人を出しており、各国当局は本書の行方を必死で探しているものの未だ発見には至ってはおらず、その実在を疑う者も少なくない。
関連事項
最終更新:2013年05月12日 03:09