【名前】直見正嗣
【出典】異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件
【性別】男
【年齢】15(架空学園では全員中学三年生になるため)
【キャラ解説】
「なろう小説主人公」の一人。書籍版のデザインではペルソナ3主人公に似た女顔のイケメンになっている。
クラスカースト最底辺のいじめられっ子高校生だったが、異世界の『ワルムズ王国』にクラスごと召喚された際、クラスで唯一戦力として認められなかった事をきっかけに、獣人の幼女が一人だけいる孤児院の経営をさせられる。
スキルに『守る(改)』というものがあるが、これは周囲の身近な対象をあらゆる意味で守護するスキル。
これだけの情報だと防御スキルか献身技を普通はイメージするが、これは誰かが危害を加えられそうになると発動する自動スキルで、あらゆるものをその身一つで弾くことができるようになる。
すなわち、あらゆるものから守る=ほぼ何でも倒せる特性から攻撃への転用も可能。
ようはチートか奇跡としか言い様がない1億年に一人いるかいないかの選ばれた本当の才能を持つ者にしか発現しないレアスキル。

自身の持つスキル『守る(改)』が希少かつ万能なスキルである事に気付いてからは傲岸不遜な性格となっていくのだが、架空学園ロワではかなり最初の方から参戦のため重大スキルであることを知らず、性格は内向的でこそあるが根は心優しい。

後にミヤモトを中心としたいじめっ子たちへの苛烈な制裁を行うのだが、ミヤモト側もマサツグから金品を奪ったり人前で裸に脱がしたりとマサツグの性格が歪んでも仕方ないイジメを行っており、因果応報とも言える。
また生々しいいじめ描写とそれに対しての過剰な報復、外道行動と傲慢さばかりに目が行きがちだが心の拠り所である孤児院を守るという点は変わっておらず、嫌いな奴に厳しく味方には優しいタイプというべきだろう。

口癖は「やれやれ」「たいしたことじゃない」。
余談だが原作Web版と書籍版だと微妙に展開が違うので注意されたし(これは書籍化したネット小説によくあること)。


【架空学園での設定】
架空学園の世界にはいじめっ子のミヤモトが存在しない。
それだけでなく、誠ややらない夫と言った友人たちに恵まれており、いじめられておらず性格が丸くなっている。
なぜかやたら雑事を押し付けられるが、「やれやれ、その程度の雑事造作もない」とやれやれしながらもこなすからクラスメイトからは「出た!マサツグのやれやれコンボだ!」と言われる羽目に。
原作とは違い孤児院の院長ではないが、友人が多いので手伝っている。
風評被害のせいで政府の援助が打ち切られた孤児院を救うために蛇喰と手を組んで、ちょっかいを出してきたヤクザからギャンブルで金を巻き上げて寄付したりしている。

一方、孤児院が裏では孤児達をナイトレイド(テロリスト)の一員として育てる施設と秘密の情報には記載されていた。
事実の真偽は本編中でも不明だが、少なくとも正嗣はそのことを知らない。


【あらすじ】
親友である誠を見せしめとして大東亜帝国に殺され、友達を守るために対主催に。
何者かの手によってやらない夫が殺されていることを知って、彼を殺した者への復讐を誓う。
だが正嗣の努力も虚しく、クラスメイトは次々と死んでいく。

そんな正嗣の前に誠を殺した大東亜帝国への復讐のため殺し合いに乗った世界が現れる。
帝国の最新装備(架空学園の世界ではアームドギアは量産されている)であるダウルダヴラを身にまとう世界を止めるために正嗣と合流した新八は挑むが、復讐のために想い出をも燃料にした世界の執念の前に敗北。
新八を失うことになる。

瀕死になりながらも辛うじて生き延びた正嗣であったが、友の命も心も救えない自分の無力さに打ちひしがれ、最期は経営に手を貸していた孤児院がテロリストの支援施設だったという情報を信じたセリューにトドメを刺される悲惨な結末を迎える。

「世界……やらない夫……新八……何も…してやれなくて……すま…な………」

しかし、彼の戦いは決して無駄ではなく、世界のダウルダヴラに与えたダメージがよしこ・弓那コンビを遠まわしに援護することにつながり、巡り巡って世界の魂も救うことができたのだった。


【本ロワの動向】
今回もクラスメイトを守るために行動をする。
だが前回の殺し合いは親友に何もしてやれないまま死んでいる。
この無力な自分に何ができるのか、守る(改)スキルもおそらく主催には対策されている。
自分には力が足りない……己の実力を正嗣は疑問視していた。

そんな彼が彷徨っていると、一人で空手の稽古に打ち込む空手家・AKYSの姿があった。
素人でもわかるほどのAKYSの体捌き、そして漢として本能から強いと確信できるオーラから、友達を守るために強くなるにはAKYSの技術が必要だと思い、弟子入りを懇願するのであった。
最初は戸惑うAKYSであったが正嗣の真剣さに何かを感じたAKYSは弟子入りを許可するのだった。

正嗣「俺は強くなりたいんだ!だから俺をあんたの弟子にしてくれ」
AKYS「その心意気よし、ついてこい」


さっそく始まったAKYSの稽古は非常に厳しいものであった。
少しでも弱気になったり、手を抜いたりすれば容赦なく蹴りや罵声が飛んでくる。
「人間の屑がこの野郎」「そんなんじゃ虫も殺せねえぞ」「返事せんかい!」
されどいじめではなく罵倒も蹴りも愛のムチ。それら全てが弟子を高めていくためのものだとわかると、正嗣はその痛みを受け入れていく。
その努力や忍耐は無駄ではなく、AKYSの厳しくも適切な稽古を素直に受けた恩恵として、真綿に水が吸い込まれるように迫真空手の技術が驚くべき速さで身についていった。
こうして修行によりスキル・才能頼みであった正嗣は迫真空手家となったのだ。

放送の折には友人である弓那、AKYSの生徒である野獣が死んだことにより共に悲しんだ。
その直後に檀黎斗と大海舞菜のコンビが襲来してくる。
ちなみに黎斗はここにいるAKYSを、自分を殺した犯罪者ロワ主催の一員であったAKYSと思い込んでおり、完全に誤解からの戦闘であった。
それでもAKYSと正嗣はうろたえることなく冷静に黎斗と舞菜の攻撃を捌いていく。

途中で自分と姿がそっくりな男が襲来してきた。
混沌3の直見正嗣ことマサツグ様である。
これには正嗣だけでなくAKYSや黎斗たちすら困惑するが、どうやらマサツグは正嗣に対して逆恨みしている様子である。
正嗣としてはもう一人の自分が名簿上では『マサツグ様』表記だったせいでアウトオブガンチューであり、しかも自分勝手なマサツグの物言いに嫌悪感を抱いて「うわ、きめえ、自分と瓜二つがこんなん嫌だ」的なことを発してしまう。
それが沸点が低いマサツグの怒りに触れることに繋がってしまった。
怒りに呼応してジュエルシードの力が解放され、マサツグを強化させてしまう。
自称、超スーパーマサツグ様を自称するマサツグは「自分が真の直見正嗣になる」というおかしなことを言いながら正嗣に襲いかかる。
言動こそイカれているが、パワーアップしたことは本当であり今の正嗣では苦戦必至だったが、AKYSはあえて一体一で正嗣と戦わせる。
まだ自信を持てない正嗣であったが、AKYSはマサツグこそおまえが乗り越えるべき最初の壁だと言い、アレに勝てないようなら他の友人を救うことも夢のまた夢だと叱咤すると同時に、この時のために努力しているおまえならやれると激励した。

ふざけたネーミングセンスに反して超スーパーマサツグ様のカタログスペックはこちらを上回っていた。
だが所詮はスキルと魔力に頼っただけであり、習った迫真空手と執念の差の分だけ正嗣が僅かにリードする。
それでも気の抜けない接戦であったが、かつてマサツグが使っていた、そして使用する資格を失った支給品の聖剣である人類の守護剣が正嗣の方を選び、力を与えた。
それにより師匠AKYSの奥義である聖拳・月をアレンジした斬撃『聖剣・月』がマサツグに直撃し、倒すことはできなかったものの撃退に成功する。
その頃には黎斗・舞菜も正嗣が同じ場所に二人いたところから何かを察し、撤収。苦難は去った。


勝利を収めた正嗣だが、その表情はあまり喜びを感じられない。
それもそのはず、彼は架空学園の箱庭世界では封印されていた記憶がもう一人の自分自身と聖剣に触れたことで漸く解放されたのだ。
もともと正嗣の過去は平行世界のマサツグと同じく、友達のいないクラス最底辺の存在でずっといじめられてきた。
いつしか異世界に召喚されるがそこでもクラスの連中が逸材と持て囃される中で、ぞんざいな扱いを受けていた。
そんな鬱屈した日々を送っていたが、奇跡の魔女であるフレデリカに拉致されてまた別の異世界である箱庭「大東亜帝国」へ送られる。
その際、帝国の技術で肉体を中学生に戻され、記憶を封印されて別の人生を歩んだ。
架空の中学に入って最初はやれやれ系を気取っていたが、やる夫や誠との出会いやジェシカをはじめとする生徒たちに振り回されることで一歩踏み出すことで新たな世界が見えて、狭い視野から広い視野を見れるようになった。
それゆえに自分の世界に閉じこもっているマサツグを許せなかったし、マサツグの話を聴いてやれやれ系時代を気取っていた時に自分に都合が良いラノベ小説と同じような行動をとっている事に嫌悪を抱いたということを正嗣はAKYSに打ち明ける。
もう一人の自分がどうしてああなったのかは知らないが、明らかにミヤモトにいじめられてきた時よりも悪化している様子であり、アレが鏡の中か将来の自分だと思うと気分が滅入ってしまったようだ。
そんな俯く正嗣にAKYSは語る。

自分を信じろ、今のおまえはあのマサツグやミヤモトよりもずっと良いものを手にしている。
才能も力も関係なく、ただ友達を守るために拳を振るう自分を信じろと。
その励ましに正嗣は再び立ち上がるのだった。


AKYSと共にしばらく会場を散策すると今田耕司先輩から逃げるように野獣邸に逃げ込む鉄華団もとい西園寺世界の姿を発見する。
世界は正嗣の大親友である伊藤誠の彼女であり、前の殺し合いでは実力不足で暴走を止められず双方に悲しい結末をもたらした。
今度こそ彼女を救おうと、正嗣はAKYSと共に野獣邸へ駆け込んだ。
だが野獣邸はクマ吉によって罠の巣窟となっており、奥地へ進むほど困難を極めた。
途中でAKYSが落とし穴によって奈落に落ちてしまいはぐれてしまう。
AKYSならば罠程度で死ぬはずはないが、単身で鉄華団を探さなければならなくなった。

そして、今まさに今田に殺されかけている世界を発見する。
気絶しているオルガを守ろうとしているところからして殺し合いに乗っていないのは明白、故に拳と剣を敵に振るうべき時だった。

正嗣「――世界ッ!」

咄嗟に正嗣は聖剣・月を放ち、今田に大ダメージを与える。
だが例のアレロワ最強格の今田も一筋縄では行かなず、眉の色一つ変えずに二人との戦いを続行し、一瞬の隙をついて今田先輩の刃が正嗣に襲い掛かる…が、正嗣に集中してしまった瞬間を世界が手にした包丁が突き立てられ今田は殺害された。
強敵撃破に一息ついたと正嗣であったが、世界の様子がおかしく血のついた包丁を見てひどく怯えている。
何があったのか問いかけた瞬間、正嗣を付け狙い、秘密裏に追ってきていたマサツグの一撃が世界の胸に入る。

世界「正嗣くん…あのときもこうやって私をたすけ…グフッ」
正嗣「せ、世界ィィィィィィィィィィイィ!」

吐血して倒れる世界。
彼女に対して嘲笑するマサツグと絶叫を上げる正嗣。
マサツグは架空学園の世界にも存在した帝具である黒い鎧グランシャリオを纏っており、更にパワーアップしていた。
そしてその鎧の下の眼は手遅れなほど狂気に取り憑かれていた。
正嗣は助けたかった友達を殺したもう一人の自分を憎み、師匠から危険すぎるため使用を禁止されていた帝具インクルシオを纏う決断をする。


―――憎い、憎い、憎い!親友の彼女であり友達を殺したこいつが
―――自分に瓜二つのこいつが

正嗣「インクルシオォォォォォォォ!!!」


白い怒りと黒い狂気が野獣邸にて衝突した。

マサツグ「俺は! おまえを殺して本物のマサツグ様になるんだ! 偽物は消えろ!」
正嗣「そんなことのために……人間の屑がこの野郎」
マサツグ「ただ運の良い恵まれていたおまえに俺の何がわかる!?」
正嗣「元は一緒だろうが! 運を言い訳にするんじゃねえ!!」

戦いは互角……否、怒りで力任せになっている分だけ、正嗣が不利であった。
だが正嗣は負けられなかった。
この身に変えても目の前にいる人間の屑『直見正嗣』だけは許しておくわけにはいかなかった。
その怒りにインクルシオの中に宿る魔獣タイラントが呼応し、正嗣を竜人へと姿を変貌させる。

この帝具の持ち主であるブラート、タツミ、こなたはインクルシオへの高い適正を持っていた故に使いこなせていた。
ところが正嗣の場合は適正が『高すぎた』のである。
すなわちただ一回の感情の爆発ですら、タイラントの細胞による汚染を受けるのである。
AKYSはそれを直感で見抜いていたために使用を禁止していたのだ。
だが正嗣は約束を破り、怒りのまま使ってしまった。
暴走状態の正嗣の前にマサツグはグランシャリオにジュエルシード、守る(改)の力を総動員するが戦いにならず、ついには命乞いをするが聞き入れることなく正嗣はもう一人の自分を惨殺した。

マサツグは消えたが破壊衝動に飲み込まれた正嗣はそれで止まらず暴れ始める。
このままでは気絶したオルガ、実はシンフォギアのおかげで死んでいなかった世界が危険だったが、そこに一人の漢AKYSが立ちふさがった。
AKYSは約束を破った馬鹿弟子に苦言を言いつつも、友のために約束を破ってしまっただけに心の痛みは理解していることや、師匠として止められなかった自分の責任を痛感し、命に変えても正嗣を止めることを決意する。
そしてぶつかり合う「聖拳・月」と「聖剣・月」。
AKYSの聖拳が満月に、正嗣の聖剣が新月に例えられる美しくも残酷な戦いが展開される。
AKYSは善戦するが弟子の実力の方が僅かに上回っていたがために剣に腹をえぐられる。
気絶から目覚めたオルガは三日月を召喚して正嗣暴走の原因になっているインクルシオの剣を破壊しようとするが消耗のせいで三日月の召喚に失敗。
もはやこれまでかと思われたとき、次に気絶から醒めた世界がマサツグのディパックから零れたシンフォギアを拾い、天ノ羽斬を纏ってインクルシオを破壊、正嗣を正気に戻した。

正気に戻った正嗣は自分の手で師匠を手にかけてしまったことに気づき、後悔と罪悪感から涙を流して倒れたAKYSを抱きしめる。
だがAKYSは死にゆく身でありながら弟子を責めることなく許し、爽やかな笑顔を見せる。
怒りに我を任せて他人を傷つけてしまった……それもまた大事な経験であり、この失敗はおまえをきっと強くする。
おまえを強くするためなら喜んで失敗例になろうと。
最期にAKYSは、自分の意志が介在していないとはいえ師匠を超えた弟子を激励する。

AKYS「負けるなよ……正嗣……………」

そして、AKYSは消滅していった。

師匠を殺してしまった正嗣はしばらくは塞ぎ込んでしまうが、共にAKYSの墓を作っていた世界によって励まされる。
彼女もまた先の戦いで真の記憶を思い出し、元の世界で身勝手な愛によって恋敵の心を壊し誠を殺してしまったらしい。
元いたスクイズ世界や架空学園世界で殺めた響・弓那・新八への償いのために生きて戦い続けることを誓ったのだった。
そんな彼女の力強い決意に正嗣は励まされて立ち直る。

師は遺言として自分に負けるなと言った。
最後の約束をダメにしちゃいけないと、正嗣は心に強く刻むのだった。


AKYSの墓が建てられてからしばらく経つと親友の一人であるやる夫がやってきた。
正嗣は知らなかったがやる夫こそ七不思議の連続殺人鬼キルキルだったのだが、彼自身も殺人は望んでやっていたわけではなく、こなたたちの説得で改心したらしい。
親友との再開に喜び、さらにドバーランドは対主催の最大拠点となっていてこなたやよしこもそこで待っているらしい。
正嗣と世界はやる夫についていく形でさっそくドバーランドへ向かい、オルガはなかなか戻ってこない仲間の遊星を探すために一時的に別れるのだった。

しかしドバーランドへ向かう途中で凶悪マーダーの一人、志々雄が現れる。
正嗣・世界共に消耗が激しく戦える状態ではなかったのでやる夫が一人で相手をすることになる。
やる夫は一度敗れた志々雄に対して対策を講じていたが、志々雄が事前にメラメラの実を喰らっていたために対策が通じない。
それでもやる夫は友を守るために最初から相討ち狙いで特攻し、斬られ燃やされても最後の執念で志々雄と共に海に落ちた。
悪魔の実を喰らった人間は海に落ちたら自力で上がれない。そして海にはサメの群れがおり、自分ごと志々雄を食わせたのだった。

とても戦える状態じゃなかったとはいえ友の死に何もできなかったことを悔やむ正嗣と世界。
やる夫の犠牲を無駄にしないためにも自分たちだけでもドバーランドへ向かおうとするが、そこで戦闘授業で習ったモールス信号によく似た閃光を目撃する。
「ジェ・シ・カ・の・た・め・に・こ・こ・に・き・て」と読み取った二人は蓬莱学園の誰かが発射地点にいることを察し、現場に向かう。
そこにはこなたとよしこ、五停心観を使って異形と化したジェシカの心に直接アクセスしていた魔理沙の姿が見えた。
こなたたちとの再会を喜ぶ暇もなく、状況はさっぱりであったが一先ず魔理沙に習ってジェシカに刺さっている鍵に触れてみた。

そして魔理沙含む五人はジェシカの心に触れるが、そこで衝撃の真実を知る。
ジェシカこそ蓬莱学園に終わらない殺し合い(ループ)を招いた影の黒幕であったということ。
右代宮朱志香は六軒島に起きた殺人事件により既に死亡しており、その存在は架空学園ロワの主催であった奇跡の魔女の力に依存しており、殺し合いの終焉はジェシカの永遠の喪失を意味していたのだ。
故に主催を良いところまで追い詰めたところで自分が死んでいたことを思い出し、その度に怖気づき友人を裏切って殺し合いをループさせていたのだという。
この殺し合いに招かれるまではジェシカのせいで生徒は架空学園世界から永遠に出ることはないは知った正嗣たちであったが、それでジェシカを責めることはしなかった。

「もういいだろ……会長」

それはジェシカに生存を諦めろという話ではなく、別の生存方法を探せという意味で放った言葉であった。
もし自分がジェシカの立場なら同じようになっていたのかもしれないと正嗣は同情する。
彼女の場合、どこぞのマサツグのように魔が差していただけなのだ。
幸か不幸か、この殺し合いにはフレデリカはおらず、おそらくジェシカも解放されている。
箱庭世界には繰り返すしかなかった道が別に用意されているかもしれないと、正嗣は主張する。
そんな正嗣たちの言葉が通じたのかジェシカも心を開き、説得に応じるのだった。

現実世界に帰還する正嗣たち。
気づけば魔理沙の仲間であるトランクスとイオクもそこにはいた。
さあ、みんなでドバーランドへ向かおう……そのように気が緩んだ瞬間、悲劇は起きた。

突如、イオクが連れていた知り合いの少年であるしんのすけがジェシカを刺して致命傷を与えたのだ。
その時、正嗣がしんのすけを見るとミヤモトにいじめられて狂ったマサツグによく似た瞳をしていた。
しんのすけはここに至るまでに気性が荒れたジェシカによっていじめを受けており、度重なる不幸も相まって狂ってしまった。
誰しもが狂気に身を任せて刃を振り回すしんのすけを取り押さえようとするが、消耗・負傷・トラウマ・呆然・麻痺によって誰も動けなかった……魔理沙を除いて。
親友を殺されて怨恨に取り憑かれた魔理沙はしんのすけと殺しあおうとするが、寸前でイオクが割り込んだことにより最悪の事態は回避された。
代償としてイオクは命を落とすが、ジェシカ自身の説得もあって魔理沙としんのすけは互いに憎しみを捨てて武器を下ろすのだった。

また、親友を守れなかった……悔しさだけが正嗣の心に募っていく。
されど死に際のイオクが言ったように忌むべきは殺し合いとそれを開いた主催である。
正嗣は悔しさをも糧とし、主催に全部ぶつけることを決めるのだった。


仲間を失った悲しみを背負いつつもドバーランドに到着した正嗣たち。
そこで一度は別れたオルガとも再開し、怪我の治療が行われた。
そして対主催に投降したBBから主催の目的や戦力が明かされる。
要はキアラがビーストとして完成体になると誰も手につけられない強さになって無数の世界で大量虐殺が行われてしまうので、その前に叩く必要があるとのことだった。
一方、BBの話ではAKYSは本物のTDNの配下であり、ひいては主催が送り込んだジョーカーであると聞いた時はショックを受けたが、AKYSの自分を鍛えた意図は決して自分を信用させて利用するためじゃないと否定。
指導を受けた正嗣にしかわからないが、利用するためなら自分より強くする意味はないだろうし、叱咤激励などしないであろうから、師匠を信じることにした。

決戦に向けて首輪解除も行われるが、守る(改)スキルは失われていた。
これはインクルシオ暴走の際に竜の因子という不純物が体に入ってしまったために機能不全に陥ったようだ。
それでも正嗣は後悔など微塵もなかった。
守るというのは意思であって才能ではない。
大事なのは一億年に一人のレアスキルではなく、一度しかない一生で紡ぐべき友情と絆。
師匠との絆で育んだ迫真空手と戦う意思があればどんな強大な敵にも負ける気がしなかった。



主催戦開幕。
正嗣はキアラ討伐隊に編入された。
インクルシオを喪った正嗣は多少空手が出来るだけ…だが今度はマサツグが使っていたグランシャリオで主催に挑む。
雑兵を蹴散らしながら先に進むと、淫夢四天王であるMURが正嗣に立ちはだかった。

MUR「この畜生めが!!」

MURもとい進化系のMUR閣下はAKYSの弟子でもあり、ひいては正嗣にとって兄弟子と言える存在であった。
師匠であるAKYSに認められつつも、事故とはいえ殺害した正嗣をMURは許せなかったのだ。
そして繰り広げられる迫真空手のガチンコバトル。
腕前はAKYSに修行をつけられた期間が長いMURの方が上であった。
そこで正嗣は禁断の帝具2段重ねを使用、帝具使用による過労で死にそうになるが根性でこらえる。
グランシャリオに技の精度を高めるやる夫の置き土産・パーフェクターによって一時的にブーストがかけられ、正嗣は辛くもMURに勝利した。
MURも最初こそ正嗣に個人的な恨みはあったものの、戦っている内にAKYSが彼を認めた理由を悟り、弟弟子を認めながら消滅するのだった。

MUR(野獣……KMR……AKYS先生……。俺も今、そっちに行くゾ……)

敵であれ、MURもまた信念のために戦った兄弟子。
拳で語り合った正嗣は消えていったMURを敵として蔑むことなく、漢同士正々堂々と打ち合えたことを感謝したのだった。


MURやKBTITを打ち破り、討伐隊はキアラの待つ玉座にたどり着く。
しかしキアラは既にビーストとして完成しており、BBは偽情報を掴まされていたことを知る。
その強さは、言うなれば守る(改)スキルを手にした正嗣……否、それ以上であり、パワーもスピードももはや意味を成さない。
これでAKYSに精神力を鍛えられていなければキアラの色香に惑わされて滋養にされていた。
他の仲間同様に迫真空手も帝具も通じず、正嗣もまたキアラに弄ばれる。
勝機をないのかと誰もが絶望しかけた時、ラングセンの裏切りによってキアラが大幅な弱体化を強いられる幸運が起きる。
複数人の対主催で囲えば勝てるレベルまで落ち込んだキアラは力を取り戻すまで一時の逃亡を図る。
キアラを逃がすものかとこなたとキアラから解放されたかなたが追っていき、正嗣たちもついていこうとするが、それを主催幹部であるTDNと生き残りの上級センチネル・淫夢四天王に阻まれる。

TDNの腕には主催内部に音楽を流すことで妨害を行っていたよしこが首をあらぬ方向に曲げて握られており、消滅させられる。
クラスメイトを失ったことに悲しみと憤りを覚える正嗣たち。
TDNは正嗣のことをAKYSに利用されていた哀れなガキと嘯くが、正嗣はそれを否定。
淫夢コンテンツの原点であるTDNは、淫夢キャラであるAKYSやMURでは倒せないよう魂にインプットされているため、TDNを倒すために淫夢キャラではない弟子である自分に迫真空手を教えたのだと正嗣は主張する。
全てはTDNを倒し、淫夢キャラ解放と淫夢コンテンツがある世界を滅ぼさせないために武術という遺産を自分に託してくれたのだと、正嗣は解釈した。

TDNは、単にネタがないから神扱いされたGOとは違い、正しく淫夢コンテンツの神であり原初の混沌。
初戦は仮面ライダービルドと化したTDNだけでも強敵であり、暴走したTDNを止めるために乱入した田山の助太刀がなければ犠牲者が出ていた。
さらに田山がベルトを奪って変身を解いたと思いきや、今度は真の姿である究極の絶望たる異形・ネオエクス淫夢となる。
人類悪完成のキアラほどではないが、理不尽な強さの前に人類の守護剣もどこか遠くへと弾かれ、ピンチを迎えた正嗣たちであったが、ここで田山がTDNから奪ったビルドドライバーで強化し、相討ち覚悟でネオエクス淫夢に単身で突撃……命をかけた野球合戦を繰り広げ、田山は致命傷を負うもTDNもまた倒れた。

TDNが滅ぶときは「私は間違っていたのか?」と問いかけるが、AKYSを始めとするキアラが弱体化する際に漏れ出た淫夢キャラの魂たちが田山を説得し、それを安堵の笑みを浮かべ消滅。
田山もまた親友を正気に戻せたことを喜び消滅していった。
TDNと話を聞く限り凶悪マーダーであったハズの田山の間にどんな絆があったかはわからないが、きっと自分たち蓬莱学園の生徒のように田山もまた友情のために戦っていたんだと飲み込んだ。


連戦でかなり消耗した正嗣たちであったが、キアラを討つためにこなたの援護に向かうか、浄化杜首領の前にピンチらしい格納庫のオルガたちを援護にしに向かうかの二択を迫られる。
キアラは力を取り戻す前に討たねばならぬ巨悪であるが、格納庫には脱出艇もあるため、どちらも外せかった。
そこで正嗣の判断で世界を向かわせることに決める。
レイジングハートとロンゴミニアド、さらに帝国の最新アームドギアであるアガートラームを装備した世界ならば火力はピカイチであった。
世界の性格からして無茶をすることは目に見えていたので、回収したよしこの支給品からアドレナリン注射(セリューが使っていたものと同じもの)を渡して注射する。
互いに生きて帰ろうと笑顔で約束しあい、世界はオルガたちへの救援に向かった。

正嗣たちもまたキアラ戦に備えて残ったアドレナリンを刺して、消耗を回復しようとする。
しかし、正嗣が最後のアドレナリンを注射しようとした寸前で弾幕が一行に襲いかかる。
割れた注射器を惜しむ暇もなく、敵の方を見ると本ロワ最凶のトップマーダーである浅倉威がいた。

浅倉は最初は殺し合いが破綻したと知り、イライラついでに参加者を無視して主催本拠地に殴り込みをかけていたが、そこで使い方によっては自分を不老不死かつ絶対無敵の存在にする平行世界移動装置エニグマの存在を知ってしまう。
自分が神崎のような存在になりあらゆる世界でライダーバトルを起こして殺し合いを楽しむ野望に目覚めた浅倉は、主催戦の混乱に乗じてTDNがなる予定だった究極の戦士バイカイザーになるためにネビュラスチームガンを回収。
そして邪魔者を排除し、エニグマに攻め込んで奪うつもりなのだ。
野望だけならキアラ並の危険を孕んでいる浅倉こと仮面ライダー王蛇を止めるために正嗣たちは挑む。
世界たちと友情を育むきっかけになったとはいえ、悲しみを引き起こすバトルロワイヤルの種を犠牲者たる自分たちが潰さなくてならなかった。

浅倉との戦いで、和解して対主催となったしんのすけがユナイトベントで召喚された合体魔獣ジェノサバイバーによって犠牲になってしまう。
浅倉は余力を残している上に、主催本拠地で手に入れたサバイヴのカードやその他で強化されている。
消耗しきっている……特にアドレナリンを注射できなかった正嗣では勝てないかに思われた。
そこで正嗣は一か八か、グランシャリオとパーフェクターに雷撃の帝具であるアドラメネクによる帝具三つ同時使用を敢行する。
間違いなく消耗で自分は死ぬだろうが、死んでも引けない戦いであった。
ここで敗れれば世界が、魔理沙が、こなたが、生き残った仲間たちが死んでしまう。
友を「守る」ために正嗣を命を燃やした。


「やら、せねえ…俺の仲間を友達を…みんなをやらせねえ…」


何度も食い下がる正嗣にイライラをぶつけるように攻撃する浅倉。
それが魔理沙が全力全開のマスタースパークを放つことに繋がる。
浅倉はジェノサバイバーを盾にして直撃を防ぐが、それにより一瞬の隙が生まれ、正嗣は自分自身の拳を放つ。AKYSから教えてもらった迫真空手の基本中の基本である聖剣・月を、最後の力を振り絞って浅倉のデッキを砕き、変身を解除させた。

―――へへっ、師匠、やる夫、誠…見てくれたかな…最高の一撃だったよ。

勝利を確信した正嗣。
しかし、浅倉はなお止まらず、コブラのように噛み付いてでも目の前の正嗣を殺そうとする。
仲間からの援護は……間に合わない、撃てば近くにいる正嗣に当たるほど浅倉は肉薄していた。

だが。

銃声と共に浅倉の腹に大穴が開いた。
撃ったのはまだかろうじて息のあったジェノサバイバー。その左腕、マグナギガのガトリング部分だった。
契約モンスターにとってデッキを破壊されたライダーは餌か敵でしかない。
自分を盾にした浅倉を裏切るのも道理であった。
……いや、ひょっとするとモンスターであるマグナギガにも何か思うところはあったのかもしれない。
長らく契約していた戦友の北岡の代わりに仇敵を討とうとしたのか……答えは風の中だが、浅倉は死に、同時にマグナギガ含むジェノサバイバーも消滅した。



だが正嗣の疲労はやはりピークを超えており、魔理沙の腕の中で息を引き取った。
同じ頃、ライダークロニクルの力を持って魂を吸収できるキアラは他の仲間の手によって討たれたために遺体は消滅することなかった。
対主催は勝利をもぎ取ったのだった。
死ぬ間際、正嗣はAKYSの声が聞こえた気がした。


『よくやったな、正嗣』
「ありがとうございます師匠…」

正嗣の死に顔は、絆のために戦い散っていった幾多の参加者と同じく安らかなものであった……





正嗣の遺体は蓬莱学園の生き残りである世界、魔理沙、こなたによって丁重に葬られた。
特に世界は恋人の誠とは違った、素晴らしい少年を死んでも忘れるものかと、心に刻む。

そして、少女は親しかった女性の遺言に従ってある幼子の名付け親になり、義理の叔母として幼子を育てた。

少年の名前は「正継(マサツグ)」。
友情のために生きた漢の正しさを継ぐように、彼は家族や友達に恵まれ、互いに「守り合う」絆の中ですくすくと育ったそうな。
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  • ゲスじゃない方のマサツグ様
  • 燃える闘魂と師弟愛
  • 本当に誰かを「守る」という尊さ
最終更新:2024年01月21日 22:13