【名前】エマージー・マクスフェル
【出典】スクライド
【性別】男
【初期支給品】正義装甲ジャスティスハチマキ@BLEACH、アクション仮面のベルト@クレヨンしんちゃん、反魂香@トラウマイスタ
【スタンス】マーダー→対主催
【台詞】
「今度こそ、助けてェっ!僕の、スーパーピンチクラッシャ~~~!」
「なにも……死ぬこたあ……ねえ」
「知った……ことか……!!」
【人物】
ロストグラウンドにおける武装警察HOLD内特殊任務部隊HOLYの隊員。一人称は「私」だが、素が出ると子供時代のままの「僕」となる。隊員服の下に強化スーツを着込み、首には赤いスカーフを巻いた顔色の悪い男で、通称「崖っぷちのマクスフェル」。アルター能力「スーパーピンチ」は、自立稼働型の巨大ロボット・スーパーピンチクラッシャー(どこぞの勇者シリーズを彷彿とさせるデザイン、というか明らかにそのパロディ)を出現させる非常に強力なものだが、身体的・精神的ピンチに追い込まれなければ使えないという厄介な特性を持っており、それがために慇懃無礼な態度を取って相手を挑発し、わざと攻撃させて自らをピンチに追い込むという戦法を取る。
クラスとしてはA級以上で、HOLYのリーダー、マーティン・ジグマールの懐刀と称されるなど高い実力を備え、一度は
カズマを完全に圧倒したが、覚醒した
カズマのシェルブリットを前に敗北。精神が破壊され、幼児退行して再起不能となる。
元はインナー出身で、幼少期、アルター能力者として迫害を受けながら、「どこからか自分を助けてくれる無敵のヒーロー」を夢想し、スーパーピンチを発現させた。その認識は能力者となった後も変わっておらず、彼にとってのスーパーピンチは都合のいい「救いの手」でしかない。アルターを自分の力、自分のエゴと認識できない心の弱さが
カズマ戦での敗因である。
【本ロワでの動向】
スクライド第10話「スーパーピンチ」での敗北後より参戦。精神崩壊と幼児退行は解除されていたものの、
カズマへの敗北のトラウマから半分錯乱状態に陥っていた。スーパーピンチクラッシャーの強さを証明し、再び「無敵のヒーロー」として立ち返らせるために、
カズマ含む他参加者を倒し優勝を目指すことを決意。血走った目で「敵」をさがしていたところで、対主催として行動を開始した金剛番長と遭遇。戦闘に突入する。
エマージー「ピンチだ……デンジャラスだッ……僕の心がピンチだぁぁッ!!」
「今度こそ、助けてェっ!僕の、スーパーピンチクラッシャ~~~!」
すでに追い詰められた極限状態、正真正銘の精神崖っぷちだったせいか、即座にスーパーピンチを呼び出すことに成功し、金剛番長へ一方的な砲火を浴びせかける。さらに、グレートピンチクラッシャーへの合体変形を行い、勇者復活の華々しい開幕凱歌を上げ……ようとしたが、ミサイルの直撃をすらものともしない鋼の肉体で攻撃を耐え抜いた金剛番長は、「荒欧零猛怒(アラクレモード)」を発動。冗談じみた怪力で、大地にひびを入れると、なんとエマージーとグレートピンチを地面ごと放り投げるという無茶苦茶をやらかす。
エマージー「うわ、ま、まさか……うわあああああああっ!!?」
大地に叩きつけられながら狼狽し、無敵のヒーローは、私の勇者は負けないとわめき散らすエマージーに、金剛番長は「知ったことか」の決め台詞と共に必殺の“打舞流叛魔(ダブルハンマー)”をぶちかまし、グレートピンチを粉々に粉砕する。
エマージー「わ、わたしの、ぼくの、ひーろー……ひーろーが……へへ、へひゃは」
二度目の完全敗北を前に、エマージーは辛うじて立て直そうとしていたプライドと拠り所を完全に打ち砕かれ、絶望からの心神喪失に堕ちかける。が、そんな彼に、金剛番長の武骨な手が伸ばされた。
金剛番長「……すがるもの、頼るものを持つなとは言わねえ」
「だが、最悪の『逆境』をぶち破るには、結局自分自身で向き合うしかねえってことは、覚えておいた方がいい……本当の意味で生き残りたいなら、なおさらな」
その姿に大きく強く輝く何かを感じ、かけられた言葉への理解は追いつかぬまま、エマージーは涙と鼻水を垂れ流しながら、縋りついた。そのまま自ら「超合金(スパロボ)番長」を名乗り、お前の好きにしろと歩きだした金剛番長の後ろをへこへことついて行く。
道々では、金剛番長の機嫌を取ろうとお世辞を言ったり、あるいはスーパーピンチクラッシャーの素晴らしさを延々語ったりして叱咤される。(とは言え金剛番長も、エマージーの姿に仲間である念仏番長を思い出して懐かしく思ったりはしていた)
それから二人は、単独行動をとっていた
斎藤一と遭遇。情報を得るために強硬な態度で詰問してきた斎藤の眼光にエマージーは一方的に怯え上がり、助けてを連呼して金剛番長の陰に隠れる。その結果発生した金剛番長と斎藤の戦いを、逃げようか逃げまいか右往左往しながら見つめ、戦闘後には、斎藤から「腰ぬけ」呼ばわりされてしまう。
斎藤と別れた後、傷だらけの状態で助けを求めて来たカーレッジに、二つ返事で了承した金剛番長と共について行くが、その先で出会ったのは、ひこにゃんを撃ちまくる元の世界での同僚・立浪ジョージであった。
エマージー「立浪くん……同じHOLY隊員、いいえ、『A級隊員』にして“超合金番長”の称号を得たこの私が、『C級隊員』の貴方に勧告します。降参した方が身のためですよ?」
立浪「あー!? ブルブルピンチのアルター使い、“マゾっぷちのマクスフェル”様かァ!うるせえ、死になぁ!」
“太くて固くて暴れっぱなし”な立浪のアルター「ビッグ・マグナム」で攻撃され、慌ててピンチ戦法で応戦しようとするも、精神状態のせいかうまくアルター能力の構築が出来ず、危うく吹き飛ばされそうになる。呆然としているところを立浪にさんざん嘲られながら金剛番長に助けられ、結局、立浪を撤退させたのは、金剛番長と、途中から合流した
東方仗助であった。
ひこにゃんの死を看取った後、カーレッジ、仗助を仲間に加えてここに番長組が結成されるが、二人にはチーム上での先輩を気取り、金剛番長に対してと同様にスーパーピンチ自慢をかます。その結果、仗助からは「言いにくいんだけどよォ~~~~、その……“おたく”ってやつっスか?」などと言われ、そこへ向きになってさらにべらべらと喋りかけるものだから、すっかり「めんどくさいやつ」認定されてしまった。
また、カーレッジに対しては、「自分以上に臆病で役立たずな奴が来た」と内心ひそかに安心し、優越感に浸るというどうしようもなさを見せていた。
エマージー「ああ!ようやく来た!来てくれたんだねピンチ!」
「どうです君たち、私のヒーロー“グレートピンチクラッシャー”は!かっこいいでしょう!?(ギャキィ」
カーレッジ「……(ナンダコレ」
仗助「“グレート”っスね、確かに……ただ、一つ言わせてもらうならよォ~~~」
「もう『敵』はいねーんだよ。目立つから引っ込めてもらえねーかな」
(立浪戦後30分ほどしてからようやくアルターが発動して)
夜には、岩場の傍で休息を取っていた番長チームを、月打された
ねないこだれだが強襲。
途中で見つけたスーパーピンチの玩具を愛でながら起きていたエマージーが最初の標的にされ、子供返りして連れて行かれそうになってしまう。
ところがそこを、原作からしてホラーな怪物や狂人たちとやりあって来たカーレッジが発見、起きてるわるいこアピールとリアクションを取りまくって
ねないこだれだの注意を引きつけ、エマージーを助ける。ぶるぶる震えながらも奮闘するカーレッジを見ながら、エマージーは腰を抜かして見ているしか出来なかった。
結局、金剛番長の「不動明王岩盤彫り」という意外過ぎる対抗策で、物理攻撃無効の
ねないこだれだの撃退に成功するも、エマージーは己の無力を再び痛感する羽目になった。
その後、チームは再びマーダーに襲われるが、襲ってきたのは何と、主催打倒の会話を交わして別れた筈の
斎藤一であった。その両眼が青い月に侵され、姿も変容していることに気付いたエマージーは悲鳴を上げ、金剛番長も、問いかけの言葉空しく牙突に貫かれる。幸い、仗助がいたため怪我はなんとかなったものの、斎藤を追いかけようとしたところで、トラップとして会場に仕込まれていた口寄せの印@NARUTO に引っ掛かってしまい、現れた口寄せ獣によってチームは二手に分断されてしまう。
気絶しながらもカーレッジに担がれて何とか難を脱したエマージーは、その先で瀕死の毒娘イーズーンと出会う。死にゆく彼女の頼みは、姉の仇であり自分を殺した相手となる男・ガリグール王を倒してほしいというものだった。時同じくして、キカイソダテール@ドラえもん によって巨大に成長改造されたゴーラ・モスカ@家庭教師ヒットマンREBORN! が出現。その中に取り込まれ、死ぬ気の炎の動力源となって暴走しているのがガリグールであった。カーレッジの懇願もあってエマージーは勇気を奮い起こし、戦おうとするが、相変わらずアルター発現が一定せず、逃げ回る羽目に。崖下に追い詰められたところで、カーレッジが、イーズーンから託されたナイフでモスカに突撃。動力系統を断ち切ろうとするも、振り落とされ、そのまま踏みつぶされそうになる。
自分を助けてくれたカーレッジのピンチに、エマージーはようやくグレートピンチクラッシャーへの合体を成功させ、ゴーラ・モスカを押しとどめる。しかし、出力が安定しない。必殺剣も出せないまま押し負けそうになったところへ、助けに入ったのは、駆けつけてきた金剛番長であった。彼の助けにより、エマージーは何とか、ミイラとなっていたガリグールごと、暴れるモスカを撃破することに成功する。
勇気を出して戦おうとした、だがやはり私では駄目だった、と自嘲するエマージーを、しかし金剛番長は、「助けにすがる」のと「仲間を信じる」のは違うと言い、「お前は俺が認める仲間で、気概を持った漢だ」と讃えた(この時、エマージーは自身のトラウマである幼少期の迫害の経験を金剛番長に明かしている)。
その後も番長組は、なかなか他の対主催と出会えぬまま次々と襲い来る敵に苦戦を強いられることとなるが、その中でエマージーは、仗助からもまた、命の危機を救われる。
エマージー「なぜ、君が……自分の傷は治せないのでしょう!?なぜ、私なんかに、そうまでして……」
仗助「昔、知り合いの馬鹿野郎にも……そうやって聞かれたっけな」
「……“なにも、死ぬこたあねー” そう思っただけだよ」
これらの経験を経て、エマージーは、怖がりながらも、自分の出来ることをやるのだと、安定しないながらスーパーピンチ、グレートピンチを駆使して仲間たちをサポートするようになる。また、仲良くなったカーレッジと二人してリアクション要員になるなど、チーム仲間に心を開いて行った。
しかし、中盤を越えようかという頃、エリアを腐食しながら進む公害怪獣ヘドラが来襲。足止めに残った金剛番長を助けに行こうとしたところで、仗助にカーレッジのことを託され、二人残される。
カーレッジ「~~~~~~~~!」
エマージー「大丈夫、大丈夫です……彼らが負けるわけがない……そうだ、そうに決まってる」
しかし、その次の放送で知らされたのは、帰還を信じた二人の死であった。愕然として崩れ落ち、自分を責めるエマージーだったが、同じく涙まみれになったカーレッジから叱咤され、金剛番長と仗助の遺志を無駄にしないために戦うことを決意。それからはカーレッジと二人、助け合い、協力しながらトラップやマーダーとの戦闘を切り抜ける。道中では、ヨミやストライダー飛燕たちのグループとも行き遭い、合流はしなかったものの、猛威をふるうバビル二世のことを聞くなど、情報交換をした。
そして、休息のためにやってきた森の傍で、
岸辺露伴と安部菜々の二人と出会い、協力体制をとることになる。ようやくの対主催との合流である。ダウンした露伴を手当てする中で、これも会場トラップである虚@BLEACHに襲われるも、磁力の指輪を活用した菜々の捨て身の機転でこれを脱する。
しかし、追い打ちをかけるように、最悪の脅威が出現した。
アルター・ポセイドン。菜々たちの仲間であった佐山・御言や
富士鷹ジュビロを初め、多くの参加者を葬って来た、バビル二世のしもべの一角。
斎藤一と同じく、原形をとどめぬほどに歪められ狂わされたバビルとポセイドンの「切り離された」姿に、エマージーはかつての自分とピンチクラッシャーを重ね、それぞれが囮になると申し出た菜々、カーレッジをとどめ、アルター使いとしてポセイドンに立ち向かうことを宣言。これまでの戦いの中で成長した精神を反映して、「自立稼働型」から共に戦う「搭乗型」へと進化したスーパーピンチに乗りこみ、決死の戦いを挑む。
しかし、ポセイドンのパワーはゴーラ・モスカをはるかに凌駕し、進化したエマージーの力をも上回っていた。スーパーピンチのみならず、合体したグレートピンチによる攻撃も無力化され、ラストチャンスソードを砕かれ、ずたぼろにされてしまう。
それでも、カーレッジたちの前に立ちふさがって攻撃を受け続けるエマージーは、激痛の中、背後の叫びに混じって、過去の自分の姿を借りた心の声を聞いた。
『痛いよ、怖いよ、苦しいよ……なんで僕が、こんな目に……』
『ねえ、なんで?なんで、こんな目に遭ってまで』
『知り合って間もない人たちじゃないか。お父さんでもお母さんでもない、他人だよ。僕を、化け物だって崖っぷちに追い詰めた、あの人たちとおんなじだよ』
己の内側から響いて来るその声に対し、確かに自分に、自己犠牲の精神も、大それた理由もないと認めながら、エマージーは、弱い心に『反逆』する。「何も死ぬことはない、そう思っただけ」と、仗助と同じ言葉を返して。生命危機の警戒ランプと駆動限界のアラームが鳴り響く中、金剛番長の背中を思い出しながら「知ったことか」の言葉と共に立ち上がる。
このピンチを、絶望の苦境を、どう脱するか――――。
「決まっているだろう!……この私が、エマージー・マクスフェルが、ピンチクラッシャーと共にだ!!」
かつての
カズマと重ねるように放たれたその咆哮に応え、カーレッジのデイパックの中で輝いたのは、ゼロの一族の伝承の剣、雷龍剣。
それを媒介に、エマージーは「向こう側」を通じて「聖龍体系(ゼロシステム)」にアクセスし、天空より龍機ドラグーンを召喚・合体。“プラズマピンチクラッシャー”となり、サンダーソードとラストチャンスソードの融合した「ウルティマピンチ・プラズマサンダーソード」を掲げて、全てのエネルギーを注ぎ込んだ必殺の「逆転閃光カット」を放つ。
恐るべき出力を発揮してそれすらも受け止め、押しとどめたポセイドンによって翼を、剣を、全身を溶かされながら、仲間を守るという意志を新たな翼に、負けたくないという己のエゴを新たな剣へと再構成。金剛石の如く輝く虹色の刃、「先へ進む意志」そのものとなって、エマージーはピンチクラッシャーと共に、アルター・ポセイドンの中心核へと斬り込んでいった。視界を埋め尽くす光の向こう側に、懐かしい二人の人影を垣間見ながら。
『――――スジは、通しましたよ』
空を覆わんばかりの光の渦が収まった後。
エマージーの名を呼びながら、消失した森の跡地へ分け入ったカーレッジと菜々が見つけたのは、巨人の輪郭状に抉れ溶け焦げた地面と、その中心に突き立った雷龍剣、剣に引っ掛かったぼろぼろの赤いスカーフだけであった。
「スクライド」本編でのネタキャラっぷりそのままに、優勝狙いのマーダーとしてスタートしたエマージーであったが、初っ端の敗北によってゼロの状態まで落とされ、そこから金剛番長、仗助、カーレッジとの交流やロワイアルでの挫折・戦いを通して少しずつ成長。己のアルターと向き合いながら、最後は仲間を守るため、恐るべき敵へ立ち向かって壮絶な相討ちを遂げた。
かつて幼い彼が憧れた「逆境を砕くヒーロー」に、そしてこのロワイアルの中で彼が気付いた「本当の勇者」に、彼自身もまた、なることができたのかもしれない。
スクライド
エピローグにおいては、菜々やカーレッジからエマージーの戦いと最期を聞いていた劉鳳と、彼からそれを伝えられたHOLY仲間らによって墓が作られ、かつてエマージーが玩具(
カズマをおちょくるために爆弾入りと嘘をついたアレ)を配った子供たちが参りに来るなどの場面が描かれた。
また、最後の戦いの前にカーレッジへと託したスーパーピンチの玩具は、生還したカーレッジの
エピローグに登場し、大切な宝物として保存されている。
最終更新:2024年08月24日 11:24