つまらなく退屈な数学の授業。こういう時、窓側で本当に良かったと思う。
校庭を見れば体育の授業。テニスが行われている。
そこに自分の片割れ、蒼星石がいることに気が付いた。
身体能力の高い彼女は何をやらさせても経験者と変わらないほどの腕前を持つ。
フォアハンドの素振りをやっているが、テニス部の者は退屈そうである。
しかし、きっとテニスも軽くこなすであろう彼女はきちんと先生の指導に注意を払いながら、素振りをしている。
自分とは程遠く生真面目だな、と思いながらその姿を見つめる。
「あれ?」
思わず口から出てしまったが幸いクラスメートは気づいてないらしい。
動きがなんとなくおかしい。いつもよりキレがないのだ。
歩くときも何だか覚束ない足取りである。彼女のクラスメート、水銀燈がその変化に気づいたのか、駆け寄る。
──っ!
その瞬間。ふらっとよろめいたかと思うと蒼星石は倒れてしまった。
「蒼星石っ!」
授業中なのも構わず、席から立ち上がり教室を飛び出した。
ざわざわ、と騒ぐ教室を教師が抑え、翠星石の後を追った。
──終わり良ければ全て良し
ピピッ、と電子的な音を立てて熱の計り終わりを知らせる体温計。
それを手に持ち、じっと見つめると保健医の柿崎がはぁ、と溜め息を吐いた。
「38.1℃。貴女、よく立ってられたわね」
「え?そんなにあるんですか?」
体温計を柿崎から受け取り、見つめるとデジタル数字がそれを指していた。
「おバカぁさん、早く帰りなさいよぉ」
「蒼星石っ!」
保健室のドアを乱暴に開け、ズカズカと蒼星石のいるベッドへ急ぐ。
「大丈夫ですか?」
「ん、平気だよ」
「平気なわけないでしょぉ」
水銀燈がチラリと毒づいた。
柿崎先生から蒼星石の容態を聞き、サッと血の気が引いた。
「おめぇはバカですか!何で39℃もあるのに気づかないですか、このヘッポコポコのスケ!」
「とりあえず、早く帰りなさい。早退届け書いてあげるから…っと」
柿崎先生が引き出しから早退届けの書類を取り出す。
「そういえば、貴女達って二人暮らしよね?」
「はい…」
「じゃ、翠星石さんも帰らせなきゃ意味ないわね…そういうことだから」
柿崎先生はドアの方に振り返り、おそらく私を居ってきたであろう教師に笑いかけた。
「翠星石さんも早退にしておくわ。柏葉せんせっ」
柏葉先生はチラリと私と蒼星石を見るとお願いします、と頭を下げた。
電車で帰るのはしんどいだろう、と柏葉先生の車で家まで送ってもらった。
蒼星石を支えながら車を下り、柏葉先生にお礼を言うと、紙切れを一枚差し出された。
「私の携帯番号。何かあったら連絡ちょうだい」
「はい、ありがとうです」
「お大事にね」
にこりと微笑むと手を振って去っていった。
熱があると自覚したのか蒼星石はなんとなく、ぐったりしている。
「大丈夫ですか?」
「ん…」
少し辛そうな彼女を支えながら寝室へ向かいベッドふ彼女を下ろした。
クローゼットから蒼星石のパジャマを出し、運ぶ。
「自分で着替えれるですか?」
「…大丈夫だよ」
学校の時に比べると随分つらそうだ。
その間に浴槽に向かい、蛇口をひねり、ぬるま湯にタオルを浸した。
タオルを寝室に持っていくと下着をつけたままベッドに仰向けに倒れている蒼星石。
「辛いですか?」
「ちょっとね」
上半身だけ起こさせて肩に凭れさせ、ブラジャーのホックを外す。
小振りな胸につい目が行ってしまう。顔は熱で赤く染まっていて、息は少し荒い。
「蒼星石」
「ん?…何?」
「セクシーです」
「……は?」
私の言葉が理解できない、と言ったように怪訝な顔をしている。
その唇にそっと口付ける。
「ん、何するの…」
いつもされてばっかりだが、する側は何となくぞくぞくする。
「いつもこんな気持ちで、翠星石を抱いてるですか?」
「…まさか」
にこっ、と笑って見せると名の通り真っ青になった蒼星石。
ベッドに押し倒して首筋を軽く吸いながら、胸を揉む。
「っひ、…や」
普段聞かない蒼星石の艶かしい声にゾクッと背筋に何か走った。
「や、やめっ…すいせ、…せき」
聞く度にもっとしてやりたいという欲望が溢れ出す。
ちゅ、と音を立てて胸の突起に吸い付くと、蒼星石の甲高い声が上がる。
「ひっ、やぁぁ…」
手を腹から滑らし、蒼星石のそこに下着越しに触れると、蒼星石が声を荒げる。
「ひ、あ…おね、が…やめてぇ!」
その時、ハッと彼女の顔を見ると涙をポロポロ流している。
その時、蒼星石が病人だということを思い出した。
自分は何をやってるんだろう。蒼星石は嫌がっているというのに。
「…ごめん、です」
「………うん」
パジャマを着せてやり、頭を下げた。
「少し眠るといいです」
「うん、そうする」
布団をかけてやり、時計を見つめると午後三時。
とりあえず自分もやることをやってしまおうと、部屋着に着替えた。
午後六時。
そろそろ起こしてご飯を食べさせなきゃ薬も飲ませられない。
卵とじのお粥と薬と水を持って寝室に向かう。
気持ち良さそうに寝ている彼女を起こすのは忍びなかったが布団を軽く叩く。
「ん…」
「お粥を持ってきたです。食べれるですか?」
「大丈夫」
眠って大分楽になったらしく、先ほどより清々しい顔をしている。
「ふーふーしてやるですっ」
「ふふ…ありがとう」
レンゲに粥を掬うと行きを吹き掛け冷ましてやり、口許に運んでやる。
「んまいですか?」
「おいしいよ」
食欲はあったらしく小さい土鍋のお粥をペロリとたいらげてしまった。
「薬も飲むですよ」
「っ…」
途端に嫌な顔をする。
薬は苦手で、いつも嫌がる。
「病院行って点滴が良いな」
「嫌ですよ、めんどくさい」
「じゃ、飲ませて」
「はぁ?」
蒼星石の方を振り替えると普段見せない甘えた表情になっている。
「じゃなきゃ、飲まない」
にやりと笑う表情から譲らない、という気持ちが見えた。
仕方ない、と薬を一錠口に入れ、水をたっぷり含み蒼星石に近づく。
溢さないように口づけ、ゆっくり流し込む。
「っふ…」
水が少し顎を伝ったが、ほとんどをうまく流し込めた。
全てを流し込んだ後、口を離そうすると頭を押さえつけられ、離せなくなった。
「んっ…」
深く舌を絡められ甘噛みされ、ちゅ、と舌を吸われた。
腕を引かれ、視界が逆転したと思ったら、蒼星石の顔が目の前にあった。
「へ?」
「よくもさっきはしてくれたね?だから…」
良い笑顔の蒼星石が怖かった。
「お返し」
耳元で囁かれ、背筋ゾッとした。
「でも、おめぇ風邪は…」
「人の心配より自分の心配したら?」
そう言いながら首筋に吸い付かれた。
「同じこと、…ううん、それ以上のことしてあげる…」
翠星石の叫びが響いたが、誰にも助けられるようなことはなかった。
終わり
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つづき
まだ彼女には熱があるらしい。触れる部分から伝わる熱がそれを示している。
しかし、蒼星石とは違う熱に冒されている状態では何も言えない。
「ん、はっ…やぁぁ…」
既に上半身は脱がされていて、赤い跡が散りばめられていた。
舌は胸の突起をしつこく攻めてくるし、片手は胸に、もう片手は脇腹を撫でている。
「んっ…そうせ、だめ、また、…熱、が…やぁあっ」
「大丈夫だって」
大丈夫じゃない、と言おうとしたところで口を塞がれた。
「っ、やぁぁ…ひぁ…」
何だかいつもよりしつこい気がする。
未だに突起を含んでいる蒼星石の頭を押すとすぐに口が離れた。
離してくれたのかと思ったが、蒼星石も変な顔をしている。
「力が出ない…」
体調が悪いのでいつもより力が出ないので、簡単に離されてしまったらしい。
これなら本気で抵抗すれば勝てるかもしれない。
と思ったのがバレたらしく、手にベッド近くにかかっている制服からリボンを取った。
「手、貸して?」
疑問系だが有無を言わさない雰囲気がある。
「え、…や、やですよ」
「手」
顔は笑顔だがそれが怖い。しかし、負けたら何されるか大体分かる。
「今がいい?治ってからがいい?」
やらない、という選択はないらしい。体調が万全なときにされるよりは今の方がいいだろうと、手を素直に出した。
「イイコ…」
両手の手首をまとめられ、ベッドへッドにリボンでくくられた。
「すごくイイよ、その格好」
手首から唇を触れたまま二の腕まで滑らせる時に喋るので、息がくすぐったい。
「立ってるよ。やらしーね」
腕を上げたことで少し上向きになった胸の先端が天を仰ぐ。
「触って、って言ってるみたい」
そう呟くと、もう唾液でぬるぬるになったそこを指で弄られると堪らなくなってしまう。
「やっ…ひゃぁっ…」
「もっと触ってほしいとこあるでしょ?」
「ふぇ…?」
「言って…どこ?」
耳元でそう囁かれると、ぞくぞくと悔しいが快感が走る。
本当に触ってほしいとこがあるが、そんなこと言ったこともないのに、恥ずかしすぎて沸騰しそうだ。
「や、やだ…」
「言わないと触ってあげないよ?」
わざとらしく内腿ばかりを撫でて焦らされると、ひくひくと腰が動いてしまう。
「や、やぁ…おね、が…ひやぁあ」
「言って?」
言わないと本当に触ってくれないらしい。
「あ、あ…すい、せ、せきの…お、ま…」
これ以上はとても言えなくて、ぼろぼろと涙を流すと、おでこにキスを落とされた。
「よくできました」
すると蒼星石は私の下着に手をかけ、脱がすと希望した場所に触れた。
「ひっぃああっ!」
焦らされたせいなのか、いつもと違うせいなのか、そこはいつもより確実に敏感になっていた。
「や、やぁ…へ、変で、すっ…ひぁぁあっ!」
「そんなに気持ちイイの?やらしい子」
「や、ちが…」
「そう?でももう指三本入っちゃったよ?」
言葉通り、に中の指が増したのが分かる。自分でもおかしくなるくらい感じてしまっているのだ。
「や、そうせ、やぁぁぁあっ!…も、…もぅ、だめ…」
性を貪ることしかできない体ではもう喋るのも覚束ない。
「イきそう?」
その問いに、薄れゆく意識の中でガクガクと首を縦に振る。
中のイイトコロを擦られ、突起を親指でグリグリと潰されるともう堪らなかった。
「ひっひぁぁ…ああぁぁああっ!」
達した瞬間、私は意識を手離した。
目が覚めると始めに見えたのは天井で、何が起こったか分からなかった。
隣を見ると蒼星石が安らかに寝息を立てている。
「あっ…」
その時、眠るまで何をしていたかを思い出し、カァッと顔が熱くなる。
手首を見ると少し赤くなっている。
その割に体はベトつかないし、パジャマを着ている。体調が悪いのにも関わらず、後始末してくれたらしい。
隣で眠る人物のおでこにキスを落とすと、小さな声でお休みなさい、と呟いた。
後日、悪化した蒼星石と風邪を引いた翠星石が水銀燈と真紅の世話になったのは言うまでもない。
終わり