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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

愛の羽ばたき

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rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集

 
 巴がオディールと付き合い始めてから数年…最初はこんな遠距離恋愛が続くかどうか不安だったが、何事も順調に続いていた。
 今ではオディールも巴の家族と仲良くなり、親しい付き合いをしている。

 そして今はオディールが冬休みで日本へとやって来ていて、巴の家に遊びに来ていた。
 夕食も巴の家族と一緒に食べて、巴の部屋でゆっくりした時間を過ごしているところだ。
 ベッドに並びあって座り、オディールが口を開いた。
「今日も色んな所に行って楽しかったわね。雛苺とも遊べたし」
「そうね。明日も色んな所に行きましょう。案内してあげる」
「ありがとう、楽しみにしてるわ」
 明後日まで滞在という制限があるオディールと出来るだけ濃い時間を過ごす、それが巴の最大の愛情表現だ。
 二人とも顔を見合わせて、クスリと笑顔を浮かべる。
 だが、次にはオディールの顔から笑顔が消え、少し寂しいものになった。
「どうしたの?」
「…まだ、私達の関係の事はご両親には話してないの…?」
「……うん…」
 オディールからの寂しい質問に、巴も苦しげに頷いた。
 二人の関係…恋人同士という事はまだ巴は両親に話しておらず、唯の「外国のお友達」と言うことで伝えてある。
 オディールの方は了知してくれているらしいが、巴の場合はと言うと…。
 恋人の相手が同じ女性で、しかも遠いフランスの人間だと言う事を考えれば、話した場合の結果は見えている。
 間違い無く二人は引き離されるだろう…そんな不安から話せていなかった。
 それがオディールに対して後ろめたく、申し訳なかった。
 巴はオディールの手を握り、真剣な表情でオディールの顔を見た。
「…いつか、時機を見て話すから。それまで…待ってて」
「…ええ」

 オディールは笑顔を浮かべて頷き、巴に抱きついて首筋に顔を埋めてきた。
 これは体を求めてきた時の合図…巴もオディールを抱きしめ返し、髪をそっと撫でる。
「オディール、愛してる…」
「私もよ…」
 二人ともキスを交わして舌を絡ませあい、そのままベッドに倒れこんだ。
 ベッドに倒れた二人はお互いに服を脱がせ合い、裸になってお互いを強く求め合った――

―※―※―※―※―

「んっ…巴、いい…!」
「オディール、んっ…可愛い…」
 オディールの白い体に、キスマークをいくつも付けていく。
 まるでオディールが自分の物である事を誇示していくかのように。
 夢中でお互いを求め合っていたが、それは最悪の形で終わりを告げる事となった。
 不意に扉が開かれて、外から巴の母親が姿を現したのだ。
「なっ!?」
「っ…!」
「…ふ、二人とも何して…」
 迂闊にもカギを閉め忘れてしまい、二人が体を重ね合っていたところをしっかりと見られてしまった。
 これまで隠し通してきたのに、こんな些細なミスでばれてしまうなんて…巴はかつて無いほどに自分を呪った。

 それからオディールの事はすぐに父親にもばれて、巴が泣いて謝るのも無視して追い出されてしまった。
 巴はその晩、両親に泣きながらオディールの事を許して欲しいと頼んだがそれも無駄に終わり、聞き入れてもらえなかった。
 一晩中泣き続けて目が覚めたときにはもう昼近くになっていて、霞む目で携帯を見ると一通、メールが入っていた。

――直接話がしたいけど、ホテルまで来れる…?――

 絵文字も何も無い、それだけが無機質に書かれたメール。差出人はもちろんオディールだ。
 ダメもとで一階に降りて両親にお願いしようと降りて行ったが、誰もいない。
 少し不思議に思ってリビングに行くと、チラシに書かれた置手紙が置いてあるのに気が付いた。

――急用が出来たから出かけます。夕方には戻る。外出はしないように――

 それだけが書かれたチラシ。これはチャンスだと思い、巴は言いつけを破り家を飛び出した。
 そのまま自転車に乗ってオディールの泊まっているホテルまで全速力で向かって行った。

 ホテルに着くと、そのまま早足でオディールの泊まっている部屋へと向かう。
 やがて部屋の前まで来てドアを軽くノックすると、中からオディールがドアを開けて出迎えてくれた。
 その目の下には隈が出来ていて、目も少し赤い…巴と同じように一晩中泣いていたのだろう。
「…ありがとう来てくれて…入って」
「うん…」
 オディールに招き入れられて、二人は奥へ進む。
 部屋の奥はずい分と片付けられていて、あるのは纏められたキャリーケースが一つだけだ。
 オディールは小型テーブルのイスに座り、その向かい側に巴も座った。
「…謝って済む問題じゃないけど…昨日は本当にごめんなさい…。私が迂闊だった…」
「ううん…。あの時求めたのは私の方だったから…」
 そう言ってオディールは力無く自嘲的に笑った。
「それに…巴にも辛い思いをさせて…こっちこそごめんなさい…」
「そんな、オディールは悪くない! 悪かったのは全て私、あの時にしっかりとカギを確認しなかった私が…!」
 涙を流してそうオディールを庇おうとするが、その口はオディールの指で押さえつけられて止まる。
「…そうやって全て自分で背負い込む。巴の悪いところよ」
 クスッと少しだけ笑って見せるが、巴はその笑顔が辛そうに見えて何も言えなかった。
 それから二人の間に重い沈黙が流れて、重い空気が一層重くなったような気がした。

 やがて一分近く経った頃、オディールが先に口を開いた。
「…もしかしたら、これで終わりなのかも知れないわね…」
「なっ…」
 オディールの口から飛び出した台詞に、巴は息を呑んだ。
 その巴から目を逸らし、窓の方を向いたままオディールは続ける。
「…自分でもよくここまで続いたと思う。フランスと日本という遠距離恋愛で…」
「オディール、何言って…」
「…でもこうなってしまった以上、私達は…」
「そんな、オディール、私のこと嫌いになったの!?」
「そんな訳無いじゃない! …でも、あの様子で許してもらえると思う…!?」
「それは…!」
 大粒の涙を流しながらオディールに言われ、巴は反論しようとしたが言葉に詰まって何も言えなかった。
 手紙なんて親に見られればその場で捨てられてしまう可能性が高いし、電話もこれまで通り出来なくなるだろう。
 いや未来ばかりが浮かんで来て、巴は握り拳を強く握る。
 その様子を見てオディールは立ち上がり、窓の外を向いて話を続けた。
「…ご両親に伝えておいて。もう迷惑はお掛けしません、申し訳ありませんでしたって…」
「…そんな事…! 本当に、オディールはそれで良いと思ってるの…!?」
 それに直接的な返事は無いが、オディールの握り拳が震えているのが分かり、それが一番の返事だった。
「…今夜の最終便でフランスに帰るわ…。巴…今までありがとう。あなたと会えて本当に良かった…楽しかった…」
「オディール…」
 話はそこで終わり、しばらくすると時間が危なくなってきて巴は渋々ホテルを後にした。

―※―※―※―※―

「…これで日本ともお別れか…」
 ホテルを出て雛苺とのり達に別れの挨拶をし、空港に着いた頃には日はとうに沈んでいた。
 ロビーでイスに座りオディールは腕時計と便の出発時刻を交互に見比べて、深く溜息を吐いた。
 浮かんでくるのは巴の事ばかり…まさかこんな最悪な形で巴との恋が終わってしまうなんて思わなかった。
 この数年間の巴との恋は本当に幸せで夢のようだった。
 こうして日本に来る事はもちろん、届く手紙にドキドキしたり週末の電話も何もかも。
 …しかしこれからはもうそれは無い。
 そう思うとこれまでの出来事がすべて夢のようで、心にぽっかりと穴が開いた気分だ。
 
『フランス行き最終便は、四番ゲートから…』
 そのアナウンスでオディールは意識を現実に戻して立ち上がった。
 これで最後、もう終わりだ。
(…さようなら、巴…)
 もう会えない巴に思いを馳せ、ゲートの方面へ向かう。
 だがそれは本来聞こえないはずの声で足を止められる事となる。
「オディール待って!!」
 後ろから聞こえて来たのは慌てた様子の巴の声。
 オディールが弾かれるように振り返るとそこに息を切らした様子の巴がいた。
「巴!? どうしてここに!?」
「…あれから私、必死に許してもらうように説得してみたけど、全然聞き入れてもらえなくって…」
 巴は息も絶え絶えに事情を説明していき、一つ唾を飲んで息を整えると更に続ける。

「それでもう大喧嘩して、家飛び出して来ちゃった…」
「…そんな事が…」
 改めて巴の姿を見てみると、ほとんど着の身着のままの格好で荷物は鞄一つのみ…本当に思い切って飛び出してきたのだろう。
 巴は意を決したようにオディールに駆け寄ると、両腕を掴んで目を覗き込んできた。
「お願いオディール、私もフランスに連れてって!!」
「え、ええ!?」
 思い切ったようなその台詞にオディールは耳を疑った。
 その様子は本気のようで、巴は縋るような目で見つめてくる。
「このままオディールと終わるのは絶対に嫌…! それなら、オディールとフランスに行くわ!」
「でも…冷静に考えて。行く先は日本じゃない、フランスなのよ? 文化も違うし、大体あなたフランス語が…」
「必死に勉強するわ! それに、簡単なフランス語ならオディールのおかげで話せるし…」
「…それだけじゃない。あなたの家族と…友達は? もう会えなくなるかも知れないわよ?」
「それでも良い、オディールと一緒なら…! だからお願い、連れてって!」
 頑ななその態度とその目に、迷いは一切感じられなかった。
 あるのは強い意志と覚悟だけ…それを感じ取り、オディールは確かめるようにもう一度口を開く。
「…ここから先へ行ったらもう簡単には引き返せないわよ。それでも良い?」
「ええ。引き返すつもりは無いから…」
「…分かった」
 オディールは頷き、巴の手を取ってゲートへと向かって行った。

―※―※―※―※―

 小さくなっていく夜景を眺める巴を、オディールは静かに見つめていた。
 巴の肩は小さく震えていて、その心中を少なからず察してこっちも少し心苦しく感じる。
 雛苺や友達、家族…それら全てを振り切ってフランスまで逃避行を決めた巴。
 …喜ぶべきか申し訳なく感じるべきか、分からない。ただ、決まっている事は一つだけある。
 オディールはそっと巴の肩に腕を回すと、そのまま巴を抱きしめた。
「…必ず幸せになりましょう。そうすれば、きっといつか許してくれるはず…」
「…うん…!」
 ここまで自分を愛してくれて、覚悟を決めて着いて来てくれた巴を幸せにする。
 これから先何があるか分からないが、それが自分に決められた、しなければならない事。
 だが今は、ただ抱きしめた巴から感じる、確かな鼓動だけを感じていたい。
 この愛の鼓動を…。
 
 


モデル曲:銀河/フジファブリック(http://jp.youtube.com/watch?v=tlaj_0mPO8o

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