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Affection

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rozen-yuri

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 寝起きの顔に冷たい水が気持ちいい。
 顔を丁寧に拭いて、鏡に写った自分を見つめる。
 また、だ。
 自分の首を一周している赤い傷。それは暴力的な所有印。
 離さない、逃がさないという意味を込めた首輪。
 何をそんなに怖がっている。何をそんなに不快に思っている。
 貴女の心を惑わせているのは、何?


 ──Affection


 首に強い圧迫感を感じて恐ろしくて目を開けたら、そこには妹の姿。
 妹の瞳は開いていたが、おおよそ感情はなく、寝てるのか起きてるのかさえ分からない空虚な瞳でただ私を見つめていた。
 その瞳を見た途端、不思議にも恐怖は薄れた。何故だが、殺される、とは思わなかった。
 しばらく締められてはいたが、私は幸いにも死ぬことはなく、代わりに首にくっきりと跡が残った。
 それが一年前の夜。私達が姉妹から恋人になった日だった。
 翌日、妹に変な素振りは見えず、私も何かの間違いではないかと思いたかった。
 しかし、それを覆すようにくっきりと残る赤い跡。無情な現実をつきつける首輪。
 それから時々、つけられる所有印。
 最初は月一回だったのが隔週に一回になり、週一回になり、最近では二・三日に一回という頻度。
 傷を隠すようにチョーカーを付けたり、タートルネックを着たり。
 妹は何も気付かない。何も気付いていない。何故だか、気付かせてはいけない気がした。

「おはよ、翠星石」
「ひゃっ!」
 いきなり後ろから抱きつかれて、思わず変な声が出てしまった。
「そ、蒼星石、今日は早いですね」
 しまった、油断した。いつも休日は昼まで起きてこないから、まだ着替えていない。
 つまり、首が丸見えなのだ。
「んー、なんか目が覚めちゃった」
 スリスリと私の髪に顔を埋めているので、まだ見ていないのだろう。
「ほら、いつまでもぐだぐだせずに、シャキッと顔洗うですよ」
 強引に蒼星石を剥がし、足早に寝室へ向かった。チョーカーを素早く付けて、服も着替える。
 とりあえずバレずに済んだ。
 ひと安心してリビングに向かうとパジャマのままソファーに腰掛けテレビを見つめる蒼星石。
「まだパジャマのままで。さっさと着替えて来いです!」
 蒼星石が抱えていたクッションを取り上げてそう言うと、しばらくこちらを見ていた彼女は私の腕を強引に引っ張った。
「な、何を……」
「だめ?」
 返事をする前に塞がれた唇。荒々しく口内を貪られ、あっという間に私の息は上がってしまっていた。

 彼女の唇は私の鎖骨を這い、手は柔らかく私の腰のラインをなぞる。
 ゾクリ、と背中が震えた。目の前に差し出された快感に溺れたくなってしまう。
 しかし、彼女の舌が私の首をなぞる度に襲う焦り。バレてしまうことだけは避けたい。
 その思いを知らないであろう彼女はチョーカーと素肌のギリギリのラインに舌を這わせる。
「ひ、あ……っ」
 やがて蒼星石の手が私のシャツを捲り、ゆっくりと素肌に触れてくる。
 しなやかな指が私の膨らみに触れ、力を入れてくる。
 下着の隙間から指を滑らせ、既に尖っている突起を少しだけ押し潰される。
「んんっ……あっ」
「もう固くなってる。可愛い」
「やぁっ……」
 彼女の唇が私の胸の上の方に強く吸い付き、その跡を残す。
「僕の、ものだよ」
 ギクリ、と心臓が跳ねた。
 あぁ、やはり。
「わざと、なんですか……?」
 私に残酷な赤い首輪を付けるのは、故意の行為だったのだろうか。
「何が?」
 しかし、聞いてみても意味が解せないらしく蒼星石は首を捻った。
「いえ、何も……」
 知らないのなら、知らなくていい。悟られてはいけないような気がする。

「変な翠星石」
 ──変なのは貴女の方。
 と、喉まで出かかって止めた。変なわけではない、彼女のこれは彼女なりの。
「ひっ……ああっ」
 ブラジャーをずらされ、露になった胸を荒々しく揉みしだかれて自然と声が漏れてしまう。
「好きだよ、翠星石」
 譫言のように呟いた蒼星石の背中に手を回し、きついほどに抱きつく。
 こんなにも愛されているのが伝わってくる、痛い程に。
「あぁ、っ……だめ、そこはっ」
 下半身に伸びてきた手を避けるように腰をずらす。本当は欲しくて堪らなくなっているのに。
 逃げようとした腰を片手でしっかりと掴むと、足を割られ、無防備な姿を晒してしまう。
「や、あっ……見ない、でぇ」
「ダメ、全部見せて」
 私の秘所に指が伸びてくる。下着をも湿らせている状態では拒否をすることさえできなくて。
 私を全て知っている蒼星石はゆっくりと丁寧に私を暴いていく。

「……きれいだよ」
 溜め息交じりに呟いた彼女の言葉から私への深い愛情が伝わってくる。
 首輪等、私の下らぬ幻想に思えるほど。
 私の太ももに唇を寄せ、再び赤い所有印をばらまく。
「あ、……んぅ、ひぁっ……そ、うせ、せきぃっ」
 指は深く埋められ、私の中を強引に押し入ってくる。
「翠星石、好きだよ。もう離さない」
「わ、たしも……好、き……んくっ」
 唇を塞がれ、私の紡ごうとした言葉は塞がれた。
「このまま、」
 蒼星石の瞳を見た私は、そこから目が離せなくなってしまった。彼女の目からは一筋の涙が。
「死ねたらいいのに」
「ひぁぁっ……!」
 その言葉に反応する前に中の質量を増やされ、ただただ喘ぐしかできなくなってしまった。
 私を犯す指は蒼星石の願いの強さを表すように激しくなっていく。
「ねぇ、翠星石」
 頬を支えられ、視線が蒼星石と絡む。その瞳は真剣で、はぐらかすことなんかできそうになくて。
「死んでよ。僕の為に」
「……っ……あ」
「このまま、死のうよ。君と繋がったまま」
 私を犯していた蒼星石の指がいつの間にか抜かれ、優しくでも強く私を抱き締めていた。
「お願い……」
 蒼星石の腕がゆっくりと私の首に伸びてくる。
「愛してるんだ、心から。」
「そうせ、……せき」
 彼女の名を紡いだ私の声は果たして彼女に聞こえたのだろうか。
 強い圧迫感の中、私は初めて彼女の全てを感じた気がした。


終わり

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