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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ
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ローゼンメイデン百合スレまとめ@ウィキ

くんくん人形

最終更新:

rozen-yuri

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だれでも歓迎! 編集

 事の発端はほんの些細なお遊びだった。
「お人形遊びするの?でも私お人形なんて持ってないわぁ」
シュンと寂しそうにする水銀燈がかわいくて真紅はいつも甘やかしてしまう。
でも、これでいいのだ。姉妹で仲良く過ごすことは当たり前なのだから。
「私のお人形貸してあげるのだわ。このくんくんの人形はとても大切だから大事に使って頂戴」
「いいの?くんくん・・・・素敵ねぇ」
うっとりとした表情でくんくん人形を見つめる。
いつも通りジュンの部屋にて水銀燈と二人で楽しく過ごす。
少し前までのローザミスティカを奪い合っていた日々が嘘のような素敵な毎日が心地よい。
そう穏やかな日々がずっと続けばいいと真紅は思っていた。
「あら、くんくんの腕から糸が出てる」
ちょこんと飛び出した糸が気になってしまった水銀燈は何のためらいもなく糸を引っ張った。
不意にぽろっとくんくんの腕が落ちる。コロコロと水銀灯の膝の上を転がっていった。

「―――あぁあ!!!なんてことをしてくれたの!?私のくんくんの腕が・・・・腕が!」
「真紅・・・・あの、ごめんなさぁい・・・・」
水銀燈はとても申し訳なさそうに腕の落ちてしまったくんくんと拾ったその腕を抱きしめながら様子を伺う。
笑って許してくれると思っていたのだが今回の真紅は少し違った。
「あっ、謝って許される問題ではないのだわ!貸すときにいったはずよ。大事に使って頂戴って!!」
珍しく真紅が怒りをあらわにしている。
水銀燈も真紅がここまで怒るのも無理はないことが分かっていた。
真紅は根っからのくんくんファンで色々なグッズを集め大切にしている。そのことを知っていた。
知っているからこそ本気で怒る真紅が悲しくてやってしまった後悔が襲ってきて目に涙がたまってくる。
「そ、そんなに怒らなくていいじゃない・・・・。真紅の・・・・真紅の・・・・おバカさーん!!」
その場にいるのが辛くて、いたたまれなくて窓ガラスをパリンっと割って飛び出していってしまった。
その胸には腕がとれてしまったくんくんとその腕を大事に抱えて。
「うぅ・・・・泣きたいのはこっちなのだわー!」
鞄に伏して真紅も泣き始める。
あんな大きな音を立てればさすがに1階で遊んでいた姉妹も気づく。
階段を上がってくる音が聞こえてきた。
トントンとノックする音が部屋にこだまする。
「真紅ぅーだいじょうぶー?」
「真紅、どうかしたのかい?」
雛苺と蒼星石が気を利かせてかドアを開けず声をかけてくれた。

「だっ、大丈夫よ。なんでもないわ」
「そう・・・・雛苺先に下でお手伝いしてて」
「うゆ~、わかったのー」
とてとてと雛苺だけが階段を降りていく。
「あー、翠星石。今は上にいっちゃダーメーなーのー」
「キィー!なんで翠星石だけがいっちゃダメなんですか!?」
と一悶着あったようだが次第に静かになっていった。
蒼星石は閉まっている扉を背もたれにして寄りかかる。
「真紅、水銀燈と喧嘩?」
「・・・・・・・・」
「大丈夫、今は僕しかいないよ」
少しの静寂の後、観念した真紅が顔を上げる。
「水銀燈が・・・・私が大切にしているくんくんの人形の腕をとってしまったのよ・・・・」
「それでついカッとなってしまったわ・・・・」
「じゃあ今は後悔の最中なんだ?」
少し意地悪な言い方で真紅を困らせてみる。
「・・・・っ」
一人顔を紅潮させているであろう真紅を想像しながら蒼星石は続けた。
「後悔してるのなら会いに行って話せばいいじゃないか」
「フフ、本当に世話の焼けるかわいい姉妹だよ君たちは」
飛び出していく気配を感じながら蒼星石は皮肉混じりにつぶやいた。

行くところなんてひとつしかない。
誰もいない古びた教会で水銀燈は一人鞄の中にポツンと座る。
ここはお化けが出るだの変なうわさで中々人もやってこないしとても静かなので好きな場所なのだ。
どうしたらいいのかしら?どうしたら真紅は許してくれるのかと思案する。
「あなたは何かヒントをくれないのかしら・・・・?」
教会に捧げられた安っぽい神の偶像を見つめつまらなそうにつぶやいた。
胸に腕の取れたくんくんを抱きかかえて途方にくれていた。
「こんにちは、水銀燈」
不意に声を掛けられる。この優しい声は他でもないめぐだ。
「めぐ・・・・これ直したいのよ。どうすれば・・・・いい?」
振り向きざまに目に涙を浮かべた水銀燈が腕の部分が取れてしまった人形を見せる。
こんな風にお願いをしてくる水銀燈がめずらしいのかめぐはちょっと嬉しそうにしていた。
「あら、遊んでいたら取れちゃったの?」
「これ、真紅の大切なお人形だから・・・お願い教えて・・・・」
今にも泣き出しそうな水銀燈を助けてあげたくて巾着袋をちらつかせる。
中には携帯用のソーイングセットが入っていた。
「得意じゃないけれどお裁縫好きなのよ。水銀燈はお人形自分で直して真紅ちゃんに返したいの?」
めぐが掛けてくれる優しい言葉に泣いてしまいそうになるのを我慢して頷いてみせる。
「そう、それなら・・・・まずはこのハンカチで練習してみましょう」

「水銀燈・・・・どこにいるのかしら」
小雨がぱらつく中、当てもなく真紅は水銀燈を探していた。
何か考えてないと先ほど蒼星石にからかわれたことを思い出して度々顔を赤くしてしまう。
「・・・・ホーリエ、水銀燈を探すのを手伝って頂戴」
ふわっと現れた人工精霊ホーリエが真紅の周りを旋回する。
何かを感じたのか一瞬停止したかと思うとスッと移動を開始した。
「水銀燈・・・・大丈夫かしら。一人で泣いたりしてないかしら・・・・」

「・・・・っくしゅ」
「水銀燈、大丈夫?」
「平気よぉ。きっと誰かさんが心配して私を探し回ってるのよ」
チクチクと、不器用ながらにも教えてもらった手順で人形の腕を繋げていく。
ハンカチで練習をしたけれど人形を直すことになるとやっぱり難しい。
ふと、いつかの真紅のことを思い出していた。
「あのときの真紅もこんな気持ちだったのかしら・・・・」

ホーリエが飛んでいった方向へ急いで追っていく。
腕が取れてしまったのを目の当たりにした時はすごくショックで怒りに満ちていたのに、
今は水銀燈が心配で心配で仕方ない。そんな情けないやら恥ずかしいやらで。
そんな真紅の思案をよそにホーリエはとある教会の前で止まった。
教会の中から誰かが傘を差して出てくるのも見て取れた。
不意に視線がこちらにやってくる。
「あなたは・・・・めぐ」
「あら、真紅ちゃん。水銀燈を探しにきたの?」
めぐは少し雨に濡れてしまっている真紅を傘の中に招き入れた。
ポケットから糸の飛び出たハンカチを出して真紅の濡れた髪を拭ってくれる。
「水銀燈はここにいるのかしら・・・・?」
少し照れながらおずおずとめぐに尋ねる。
めぐは雫を取る手を止めずにそっと伝える。
「ええ、でも今は眠っているから中に入るなら静かにね」
「めぐ、ありがとう。ところでその不恰好なハンカチはどうしたのだわ」
「え、あ、ウフフ。これはちょっとした記念よ記念」
「・・・・?」
めぐのいっていることがよく分からない真紅だったが静かに教会の扉を開ける。
中はしんと静まっている。ポツンと教会の中心に水銀燈の鞄があるのが見て取れた。

「水銀燈・・・・?」
少し心配そうに半開きの鞄を除く。
そこにはすやすや寝息を立てて眠っている水銀燈がいた。
胸には持ち出した真紅のくんくん人形が抱きかかえられている。
水銀燈が何か無茶をしていたわけじゃないことが分かってホッと胸をなでおろした。
「よかった・・・・」
サラサラとやわらかい水銀燈の髪を優しく撫でる。壊れ物を扱うように優しく優しく。
水銀燈が休んでいる間、真紅も休憩をするために出てくるときに持ってきたお出かけ用鞄からシートを出す。
携帯ティーセットも用意して少し遅いティータイムを楽しむ魂胆だ。
どれくらい時間がたったのか。多分一時間も経っていないが真紅には少し長く感じられた。

「・・・・・・・・ん」
「水銀燈、目が覚めた?」
優しく真紅が声を掛けてくれる。まだ少し眠たい頭では状況が飲み込めない。
「(えっと・・・・真紅の人形を直すためにここに来て・・・・それからめぐがきて・・・・)」
「し、真紅!?」
混乱する頭で状況を把握しようとするが中々寝起きで思考が動いてくれない。
そんなあわあわとしている水銀燈を真紅はふわっと抱き寄せた。
「あぅ、真紅・・・・」
「水銀燈、さっきはごめんなさい。私が大人気なかったわ」
「真紅・・・・。私ももう一度いうわ。ごめんなさい」
目と目が合って二人とも笑う。
胸の奥が熱くなってとても温かい気持ちになってくる。
もう、気持ちに嘘はつけない。
「水銀燈。私はあなたが心からいとおしいわ」
「私も・・・・真紅のこと・・・・嫌いじゃないわ」
素直じゃないが水銀燈も同じ気持ちのようだった。

もう一度優しく抱きしめると水銀燈も真紅の背中に手を回してキュっと返してくる。
ただそれだけの行為がとても嬉しく心地よいものだったので何度も何度もそうしていた。
もっと水銀燈を感じていたいと真紅は抱きしめていた手を水銀燈の頬に当てる。
「・・・・ん」
何をされるか察した水銀燈は頬を紅潮させながらゆっくりと目を閉じた。
「・・・・んん・・・・はぁん・・・・」
水銀燈から艶やかな声が漏れる。真紅も頬を染めながら水銀燈の唇を楽しんだ。
「・・・・真紅、紅茶の優しい香りがするわ」
熱っぽい声で水銀燈がそんなことをいうもんだから真紅はたまらず水銀燈をギュっとする。
「あっ、真紅。せっかく直したくんくんがつぶれちゃうわぁ」
「・・・・え?・・・・くんくん」
そこには世にも奇妙につぶれたくんくんの人形があった。
「すすす、水銀燈、これはどういうことなのだわ!!」
「やぁねぇ、真紅がいきなり抱きついてくるからでしょう?」
「くんくんがぁー!私の大切なくんくんがぁー!!」

「よし、そこよ真紅ちゃん!押し倒して!!」
少しだけ扉の開いた隙間から中をデジタルビデオカメラ片手に覗いているめぐ。
「あら、あの二人なんだかちょっと言い争ってないかしら・・・?」
「ここからじゃよく聞こえないわ~」
この後、真紅と水銀燈はこのビデオの内容をネタに色々めぐに遊ばれたとかなんとか。

おしまい

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