『STAR & WEAPONS』
(キャラ) グローグー、風野灯織、グラディス、八宮めぐる
どうして、こんなことになったんだろう。
首を両手で締め付けられた風野灯織は。
その両手の主であり、視線の先で無表情にこちらを見つめる八宮めぐるの姿を見ながら、そう思った。
◇◇風野灯織
その時から数十分ほど前の話。
バトルロワイヤル。唐突に殺し合えと言われ連れて来られたこの空間。
風野灯織は家で眠っていたはずだった。
いつも通り、櫻木真乃、八宮めぐると共に283プロでレッスンをして。
ただいつも通りに、また明日3人や、283プロの皆と会う日が来るはずだった。
もしも、この時八宮めぐると再会できていなかったら、もっと取り乱していただろう。
「よかった~!灯織が無事で!」
そうやって駆け寄ってきためぐるは、小さな生き物?を抱いていた。
緑色の肌をして、耳が細長い小さな生物。人型ではあるが、人間でもなければ知識にある生物でもない。
めぐるが最初に会ったのがその生き物らしく、食べ物をあげて仲良くなったのだという。
少し怖かったが、近くの自販機で買ったお菓子を差し出すと小さな手を動かして口をもぐもぐと動かした。
可愛い、とは思えたが、めぐる抜きでこんな生き物と会ったらきっと驚いてしまっただろう。
改めて、めぐるのコミュニケーション能力を感じさせられた。
ここまでは、穏やかな時間だった。
少しの間だけ、ここが殺し合いの場所だというのが忘れることができた。
「あの、少しよろしいかしら?」
現れたのは、一人のお婆さんだった。
少し化粧が強く彫りが深い顔は日本人離れしており、西洋人らしい人だろう。
その人が現れた時、緑の子が走って離れ始めた。
「あ…、ちょっと待って。あの子が…」
「じゃあ私がおばあちゃんの方を対応するから、追いかけてあげて。私なら英語も分かるし!」
「お願い。だけど、気をつけてね」
小さな体で走り出した後ろ姿は、このよく分からない場所だと気が気ではないものだ。
かといってお婆さんの方も放置することはできない。
遠くまでは行かないと約束した上で、緑の子を追いかけた。
離れたと言っても、10メートルほど離れた場所の物陰に隠れているだけであり追いつくことはすぐにできた。
だが、話しかけても元の場所に戻ろうとしない。
何かを警戒しているかのように、身を隠している。
どうしようか、と考えていた時だった。
めぐるのいたはずの場所から、チリン、と鈴の音が聞こえたのは。
音の正体は分からない。だからこそ気がかりだ。
動かないのなら仕方ない。ここを動かないでね、と呼びかけてめぐるの元に戻った。
「ごめん、めぐる。あの子ちょっと着いてきてくれなくて―――めぐる?」
歩いてきためぐるには表情がなかった。視線も自分を見ておらず虚ろだ。
「はじめまして、お嬢さん。ちょっとお友達のことは預からせてもらったわ。
私の名前はグラディス。よろしくね」
そう言って不気味なほど明るい笑顔を向けながらめぐるの後ろから近づいてきたお婆さん。
その手には、めぐるのスマホのストラップが巻き付いた木の枝が握られていた。
◇◇グラディス
自分はアレックスを手駒としての計画に失敗し、操っていた子どもたちに体を引き裂かれて死んだはずだった。
それが気がついたら東洋人に言われるがまま、殺し合いなどというものに巻き込まれていた。
癪ではあるが、命があるという現状はありがたいものだ。
同じ失敗をしないように注意しつつ、元の場所に帰らねば。
そう思っていた時、二人の少女が目に入った。
一人は東洋人、一人は顔立ちは西洋風だが様子を見るに彼女も東洋人の様子だ。
どうも二人は親しい仲らしい。
一人が離れていく何か――よく見えなかったが小さな子どもか何かだろうか、を追っかけていき。
もう一人がこちらとコミュニケーションを取ろうと残り近寄ってきた。
好都合だと思った。
少し会話をして空気を和らげたところで、少女の手にあったスマートフォンのストラップに目をやった。
警戒心を解いた状況で、ちょっとしたおまじないを行うと言ってそのストラップを受け取って。
手にした棘付きの木の枝に巻き付け、棘で指に傷をつける。
少女が驚く声を上げるのにも気にせず、そのままバッグから取り出したベルを鳴らす。
こうして呪術が成立し、少女の自我はなくなった。
「ヒオリさん、って言うんでしたっけ?
お願いがあるの。ちょっと私に手を貸してほしいの」
もう一人の少女。
自我を失った八宮めぐるを操れば、彼女も同じように人形にすることは容易いだろう。
だが、人形ばかり増やしても細かい調整が効かない。もう少し融通がきく手駒が欲しい。かつて両親を人質に取られ言うことを聞くしかなくなったアレックスのように。
「あなたは…、何なんですか?めぐるに何をしたんですか?!」
「そうね、慌てるのは分かるけど、あなたに選択する権利はないと思うのよ。
もし断るようだったら―――」
手元にあった枝に、先程抜いためぐるの髪を巻き付けて。
パキリ、と折った。
めぐるは自分の首を、自分の手で力いっぱい締め始めた。
「め、めぐる?!」
「さて、お返事はYesかしら、Noかしら。
早く答えないと、この子は窒息して死んでしまうわね」
めぐるの手をその首から引き離そうとする灯織だが、その手はピクリとも動かない。
引き離すことができないうちに、めぐるの顔色が少しずつ変わり始めた。
「わ、分かりました!あなたの言う事聞きます、聞きますから!!
めぐるの手を放してください!!」
「そう、いい子ね」
そう言って、インスタントヌードルが入っていたプラスチックの器に溜まった水に枝をつける。
術が解除され、めぐるは意識のない人形の状態に戻った。
息を切らせ涙を流しながら安心する灯織に対し、その顔を撫でながら告げる。
「これから参加者に会ったらね、その人の持ち物をもらってきて欲しいのよ。
できればたくさん持ってきて欲しいわね」
「………」
それを聞いた灯織の視線は、枝に巻き付いたストラップに注がれている。
その行動の狙いを察した様子だが、拒否はしないだろう。こちらは友達の命を握っているのだから。
「ひ、おり…、にげ、て」
そうして微笑んだところで、有り得ないことが起こり表情が固まった。
「めぐる!?」
「にげて、わたしの、ことはいい、から」
自我のない無表情な人間が、喋り始めた。
「どういうことかしら?」
想定外の事態に驚きつつ周囲を見渡す。
視界の先には、物陰から顔を覗かせた小さな影がこちらに手をかざしている姿があった。
◇◇グローグー
共にいたはずのディンの元から離され、見知らぬ場所に連れてこられたグローグー。
突然の事態に驚きつつも、そこまで取り乱さずにいられたのは最初に出会った二人の少女のおかげだろう。
グローグーのフォースは二人から感じ取った善意を信頼し、友好関係を築けていた。
だからこそだろう。また、食べることに執心していて警戒が緩んでいたのもあったかもしれない。
突然現れた老婆。彼女の持っていたドス黒い気を真近で無防備に感じ取って、驚いて離れてしまった。
ディンが傍にいたならそこまで怯えはしなかっただろう。
まるで双子のハットのような、人を人と思わず他者の命を使い捨てることを躊躇わない、そんな悪意に。
そして、驚いて身を隠してしまったがゆえに事態は悪化してしまった。
めぐるはグラディスに操られ、灯織は彼女を人質に取られて言いなりにならざるを得なくなっている。
グローグーは、めぐるに向けてフォースの力を行使した。
マインドコントロールにフォースヒーリングを合わせたような形。他者を操るようなコントロールはできないが、封じられた自我を呼び起こすことであれば、あるいは。
「ひ、おり…、にげ、て」
それでも、自我を取り戻し切ることはできなかった。
複雑な何かに心を絡め取られている。卓越したジェダイナイトであれば分からなかったが、少なくともフォースの修行を完遂しきっていないグローグーにはその縛りから解き放つまでのことはできなかった。
「あなたが何かしたのかしら?」
グラディスの意識がグローグーに向かう。
「あんなことされたら、もう人質にならないじゃない。こうなってしまったら、仕方ないわね。
ヒオリさんは口封じということで、ごめんなさいね」
そう言って、灯織の顔を触った時に拾った一本の髪を枝に巻き付けて、また折った。
「め、めぐ―――」
めぐるの手が灯織に伸びて、その細い首を締め付け始めた。
グローグーの目が見開かれる。フォースの力をさらに込めるも、めぐるの動きは止まらない。
歯をむき出して灯織の首を締めるめぐるの瞳からは、涙が流れている。それでもそれに反して、手は灯織の息を奪い続ける。
更にそんなグローグーの元に、彼を捉えようとグラディスが迫る。
どうにかしなければ、と周囲を見渡したグローグーは、ふとグラディスのすぐ近くに物置棚があることに気付く。
めぐるに行使していたフォースをその棚へと向けて、置いてある物ごとグラディスの方へと一気に倒した。
色々なものが地面を転がる音と共に、グラディスの悲鳴が響いてその姿が見えなくなった。
「ゴホッ、ゴホッ…」
灯織は解放されたようで、むせ返りながらもグローグーの近くまで這って寄ってきた。
しかしめぐるの瞳は虚ろなままだ。
若干躊躇しながらも、グローグーは灯織の裾を引いた。
ここから離れようという意思は伝わったようだが、灯織はまだ動けなかった。
「でも…、めぐるが…」
意識を奪われた友達を置いて逃げなければならない。
その悲しみを感じ取ったグローグーは、少し目を伏せる。だがそれでも離れようという意思は変えられなかった。
どうすれば助けられるのか。その解決のための情報がなく、状況も悪い。一歩間違えば灯織にも危険が及ぶ。
今はまだ、助けられない。
そんなグローグーの中にもある迷い、そしてそれでも助けたいという想いが残っていることが、灯織にも通じたのだろう。
グローグーを抱きかかえて立ち上がり、めぐるの方を見て。
「……、待っててめぐる。絶対に、また助けにくるから!」
そう言って走り出した。
走り去る二人を見つめる感情のない視線を、その背に受けながら。
◇
「いったたたた、逃げられたのね…」
降り掛かった物の中から起き上がったグラディス。
既に視界の外に逃げた二人、いや、一人と一匹の向かった方向に目線をやる。
倒れた棚に大した重量物があったわけではなく、ちょっと体をぶつけたり傷ができた程度だ。
ただ、その中に水の入ったペットボトルがあったらしく、さらにその水が棚が倒れた拍子に周囲に水を大量にぶちまけてしまい。
運悪く、その水たまりとなった地面に木の枝を落としてしまった。これで灯織を殺せという指示が解除されてしまったようだ。
腹立たしさはあるが、ここで執着心を出してしまえば以前死んだ時の二の舞になりかねない。
まあ幸い、八宮めぐるはここにまだ残っているのだ。もしアレが生き残るようであれば、また戻ってくるだろう。その時に始末すればいい。特にあの緑の生き物は。
まずは手駒を集めるところからだ。
荷物持ちと人形がしっかりと確保できるまでは、現状唯一の手駒であるこの少女も大事に扱わねば。
歩き始めたグラディス。その後ろを歩くめぐるの顔には表情はない。
ただ、流れた涙が乾いた跡だけが、その顔を彩っていた。
【風野灯織@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:困惑、悲しみ
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:生き残って帰りたい。
1:今はグローグーと共に逃げる。
2:めぐるは絶対に助ける。
3:グラディスを警戒。
【グローグー@マンダロリアンシリーズ】
[状態]:疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:ディンの元に帰る。
1:灯織と共に行動する。
2:めぐるのことは助けたい。
3:グラディスに強い警戒心。
【グラディス@WEAPONS/ウェポンズ】
[状態]:手に傷、疲労(小)
[装備]:木の枝×??+ベル@WEAPONS/ウェポンズ
[道具]:基本支給品一式×2、不明支給品×1~5
[思考]:何があっても生き残る。
1:ます生き残るための手駒を増やしたい。可能であれば自我を残したまま言う事を聞く者が欲しい。
2:邪魔な者や気に食わないものは排除する。
3:めぐるは駒が揃うまでは丁重に扱う。
4:手駒が揃ったら緑の生き物は排除する。
【八宮めぐる@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:自我喪失状態
[装備]:
[道具]:
[思考]:―――――
1:――――――
『木の枝+ベル@WEAPONS/ウェポンズ』
グラディスに支給。棘がついた木の枝と小さなベルのセット。
グラディスが呪術をかける際に使用する呪具。
これに呪術にかけたい対象の所有物を巻き付け、血を塗り、ベルを鳴らすと対象の自我を封印し人形のようにすることができる。
またこれに他者の髪を巻き付けて折ると、髪の主を殺し破壊しつくすまで追跡し続ける人間兵器とすることができる。なおこの人間兵器状態は水につけると解除される。
自我封印はグラディスが死亡すれば解除されるが、封印時間が長い(生命力を吸われている期間が長い)と自我が戻るまで時間がかかる。
また、この道具を使った呪術自体は手順を把握さえしていればグラディスでなくとも同じことを行うのは可能。
なお人間兵器状態での追跡力についてはリレー性の問題から距離や持続時間などに制限がかかっていると思われる。
最終更新:2026年08月09日 18:48